食事が済んでからの後片付け。
いつもなら桜が手伝いに来てくれるのに、今日に限って藤ねえと一緒にテレビを見ている。レムは「手伝います」と言ってくれたのでお言葉に甘えさせてもらった。
「シローくんも料理が得意なのですね。」
「まぁ、得意ってほどじゃあないが…。まぁ、できるよ。レムも得意だったんだな。」
「はい、レムは基本的に家事全般が得意です」
「そうか…」
取り留めもない会話をしていると、
「最近、物騒ね〜。」
テレビから流れてくるのは、連日の物騒なニュース。今日は外国人観光客が殺人事件の犠牲になったらしい。
本当に最近物騒だ。これも聖杯戦争のマスターによるものなのだろうか。
だとしたら、無関係な人たちを巻き込むなんて………!
っと、もうこんな時間か。
今日は頑張ったおかげで洗い物が多い。
桜を送ってから片付けを再開するとなると、深夜になってしまう。
何よりそれをレムが許すはずもない。
となれば、代理を立てるより他ない。
「藤ねえ、そろそろ桜の見送り頼む」
何を隠そう藤ねえは、「冬木の虎」との異名を持つ猛者なのだ。そこいらの暴漢ぐらいなら、藤ねえの手にかかればちょちょいのぱっぱだ。
しかし、その虎の反応が無い。
「藤ねえ?………もしもーし?」
虎の尾を踏むわけにはいかないので、虎の口に手を入れるように藤ねえの前に立つ。
「ん?悪いけど却下。しばらくは桜ちゃんを送ってあげられないから」
「なんでさ」
寝転がっていた藤ねえは、視線だけこちらを向けて拒絶すると、目を背けるように反対側に寝返りを打った。
「今日から私もここに泊まるから」
はい?
今なんて言った?
泊まるって?
「桜ちゃんもどう?おうちの方には私から連絡入れてくから安心だよ」
「あ、はい!是非!藤村先生、頼もしいです!」
身を起こし桜まで巻き込む藤ねえ。
桜は桜で、今までの暗い表情から一転してパッと明るい表情になる。
「よーし、それじゃあ奥の座敷を使おう。布団ならいっぱいあるし、レムちゃんもいいわよね?」
年頃の男女が同じ屋根の下で一晩を明かすなんて、教師として見過ごせないのだろう。もうこうなったら、藤ねえは梃子でも動かない。
これ以上反論しようものなら、今度こそ虎の尾を踏みかねない。
レムが困った顔をしてこちらを見るが、不甲斐ないマスターにはこれ以上手の打ちようが無い。
どうやらレムの身元を偽装する策は裏目に出たようだ。
策士策に溺れる。
慣れないことはするものじゃない。
すまないレム。
明日の朝食は、レムのリクエストに最大限応えるから。
途中です