【完結】ドクター「オペレーターと仲良くなりたいけどどうすれば良い!?ミッドナイト!」 作:塊ロック
「と言うわけで、ドクター。技術提供の代価として今回のプランに彼女が一枚噛むことになりました」
「ウッソだろオイ」
約束の日。
『ドクター、聞こえますか?』
耳にしたイヤホンからミッドナイトの声が聞こえる。
場所は、応接室。
「バッチリだ」
『私達は別室でモニターして見ています、健闘を』
「ああ、作戦開始だ」
一週間、みっちりミッドナイトに仕込まれたんだ。
やってやるぞ。
今日、ここでシルバーアッシュの信頼を勝ち取ってみせる!
「失礼する」
「どうぞ。よく来てくれた、シルバーアッシュさん」
「ロドスのドクター。今日の要件は一体何だ?」
「ええ、今回はお互いをもっとよく知ろうと思いまして」
――――――――――
「あ、もう始めてたの?呼んでよ〜」
「ああ、クロージャさん……何故ポップコーンを」
「なんとなく?それで、何か面白い事あった?」
「面白い事……は特にありませんが、これと言って問題ありません」
「ふーん……何かドクターが喋っててシルバーアッシュが聞いてるだけみたいだけど」
「これは今、ドクターが彼の話しやすい場を探っている所です」
「……どういう事?」
「人にはそれぞれ、顔、呼吸、声と言う判断材料があります。それら一つでも変化が見られるならもう一歩踏み込んで見る、駄目ならば引く。これが最初の駆け引きですね」
「へぇ……要するにドクターがこれからシルバーアッシュを口説き落とすって事?」
――――――――――
――シルバーアッシュの耳が、動いた。
(お)『お?』
俺とミッドナイトがほぼ同じタイミングで反応する。
この話題で反応するのか。
「……どうかなさいましたか?」
「いや、気にしないでくれ」
「では続きを……」
「ドクター」
「はい?」
腕を組み、目を閉じ静かに聞いていたシルバーアッシュが動いた。
これは、何かアクションが来る。
『ドクター。ここがターニングポイントです。選択を誤らないように』
「……前々から聞きたかったのだが」
「何なりと」
「この茶受けは、誰が?」
えっ、そこ!?
応接室のテーブルの上に置かれたコーヒーと、タルト。
「ああこれですか?お気に召さなければ下げますけど」
「い、いや……」
ん?
シルバーアッシュの態度が変わった。
これ、まさか……。
(人前で食べるのを、遠慮している?)
まさか彼が甘い物に反応を示すとは。
「誰が、作っているのかと」
「買った物、とは言わないんですね」
「……これだけの物、市販品とは思えん」
――――――――――
「えっ!?うっそ、意外!その実態は甘党なのね!?」
「これは……意外な流れですね」
「ふふ、ドクター、どうするのかな?」
「恐らくこの流れ、モノにする以外選択はないかと」
「いいなー、ドクターのお菓子美味しいから欲しいなぁ〜」
「……後で頂いたら良いのでは?」
――――――――――
「これ、私が作ったんですよ」
「何……?」
「最近手に入ったいちごのタルトです。オペレーターの皆にも好評だったんですよ」
この前アーミヤに振る舞ったら喜ばれたっけ。
ジェシカなんて泣いてたけど。
「そうか、そうなのか……」
「良かったら、持って帰りますか?」
再度、シルバーアッシュの耳が動く。
間違い無い、これは好機!
「それ、は」
声音が僅かばかり弾んでいる。
行ける!
「実は作り過ぎたんですよ。どうぞどうぞ」
「……感謝する」
ふっ、とシルバーアッシュが
――――――――――
「はい落ちたぁ〜〜〜〜!!!」
「やりましたねドクター!」
「このままシルバーアッシュの弱みを握れ!」
「あれそんな話でしたっけこれ」
「えっ、違うの?」
――――――――――
……そんな外野のやり取りを小耳にしつつ。
ふと、違和感を覚えた。
確かに彼は微笑んだ。
しかし……何となく、困っている。
「シルバーアッシュさん?」
「何だ」
「もしかして迷惑でしたか?」
「……人を導く身として、少しな」
「大丈夫ですよ」
「何?」
「私は、貴方と……シルバーアッシュさんと円滑な関係を結びたいと思ってます。確かにロドスの為でもあります。ですが……率直に言うと、私は貴方を好ましく思っています。人の上に立つ立場にシンパシーを感じてるのかもしれません。けど、私は貴方が好きですよ」
「………………全く交渉事には向かないな、ドクターは」
「ケルシー先生にもよく言われます」
「だが、それもドクターの人柄なのだろう」
ふっ、と肩の荷が降りたようにシルバーアッシュが微笑む。
「察しの通り……私は甘い物が好きだ」
「良いと思いますよ。私も疲れた時にはよくキメてますから」
「キメ……?」
「ん……?」
あれ、なんかちょっと噛み合ってない。
「大丈夫ですよ、秘密にします」
「恩に着る」
……あ、これそう言えば二人が聞いてるんだっけ。
『大丈夫ですドクター。他言はしません』
『クロージャも空気読みまーす』
大丈夫みたい。
クロージャがちょっと心配だけど。
「しかし、そうか……私を好いてくれるか」
「?どうしましたか」
「いや何、面と向かって好意を伝えられたのは久しく無かったからな」
「そうでしたか」
立場的に難しいよねそう言うの。
俺ももうちょっとハッキリ好意を伝えたら良いかもね。
「む、もうこんな時間か」
「ああ、すいません長々と」
「いや、気にしなくても良い。これからも末永く付き合う盟友との団欒だ。無碍にはしないさ」
「盟友……?」
「迷惑か?」
「とんでもない、シルバーアッシュさんにそう言ってもらえるなら甲斐があったものです」
「それとドクター、敬称はなくてもいい」
「え……」
「シルバーアッシュと、そう呼べ。敬語も使わなくて良い」
「わかり……分かったよ、シルバーアッシュ」
「それで良い」
「あ、帰るならちゃんと包んで渡すから」
「ああ、助かる」
――――――――――
3日後。
「で、あれからシルバーアッシュとは?」
俺の執務室でケーキ強請ってきたクロージャとミッドナイト。
あれから3日しか経ってないっての。
「特には。強いて言うなら毎日一通メールが来るくらい」
「はぇ、見ていい?」
「行儀悪いぞクロージャ」
「はーい」
毎日何だかんだやり取りして、信頼してもらえたのかなとちょっと安心している。
「ドクター、お客様ですよ」
そんな時、アーミヤが執務室に顔を出した。
「あ、ドクター。まだ仕事は終わってませんよ」
「俺どう見ても仕事してるよね?」
サボってんのこの二人だよ。
「焼いたクッキーはその棚に入ってるから」
「ほんとですか!?」
甘い物に目を輝かせる。
ロドスのリーダーを背負ってはいるものの、やっぱり中身は女の子。
「そうでした、お客様が」
「失礼する。久しいな、盟友よ」
「!シルバーアッシュ」
そう言って入ってきたのは、先日顔を合わせたシルバーアッシュ本人だった。
「む、少し疲れが見えるな」
「そうかい?でも、皆頑張ってるし俺も頑張らないと……」
そう言うが否や、シルバーアッシュが俺のすぐ目の前までやってきた。
「……シルバーアッぎゅむ」
両手で頬を掴まれた。
そのまま顔をシルバーアッシュに向けられた。
「ひょ、ひょうひは(ど、どうした)……?」
「そんな浮かない顔はやめろ。私の前ではもっと楽しそうにしてくれ」
「ふぁ、ふぁい……」
「よし、その調子だ。お前が抱えている問題を解決できるのは、この私のほかにはいないのだからな――そうだろう?」
やばい。
やばいやばいやばい!!
心臓がもたない……誰か、ミッドナイト!助けて!
「おっと、オーキッド隊長からのご指名だ」
「あ~私も購買に戻らないと」
「ケルシー先生にも渡してきますね!」
「アッお前ら!!」
「盟友よ、余所見とはずいぶんと暇そうだな。暇つぶしなら、良い方法がある」
「え、ちょ、シルバーアッシュ?」
この後めちゃくちゃお茶会した。
と、言う訳でEP1はこれにて終了しました。
なんだこれは……。
さて、次回以降ノープランなので誰で書くか決まり次第更新していきます。
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