【完結】ドクター「オペレーターと仲良くなりたいけどどうすれば良い!?ミッドナイト!」   作:塊ロック

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今回は2本立てです。


前夜祭

夜。

今夜は、とても綺麗な満月だった。

 

待ち合わせの時間までに少し余裕があったので、近くのバーで時間をつぶす事にした。

 

「いらっしゃいませ。お好きな席へどうぞ」

「この時間に?珍しいな」

 

今はピークタイムのハズだが……?

辺りを見渡すと、すぐ理由が分かった。

 

カウンターの一席で物凄く不機嫌な美女が飲んでいた。

怒気に充てられて誰も寄り付かなくなっている。

やれやれ、またこのパターンか。

 

「……あそこに座るよ」

「えっ……正気ですか」

「大丈夫だよ。任せてくれ」

 

さて。

どうしたものか。

 

「隣、失礼するよ」

 

取り合えず座ろう。

 

ぎろり、と美女が俺をにらんだ。

銀の長い髪。

いや、ウィッグか。

本当の髪はどうなっているか分からない。

角も耳も隠されている?

サルカズの女性だろうか。

 

「……何」

 

めっちゃドスが効いてる。

正直怖い。

 

「何をそんなに不機嫌かな、と」

「関係ないでしょ」

「そうは言うが、君みたいな美人が不機嫌だと魅力も減る」

「ナンパ?悪いけどそんな気分じゃない」

「まぁまぁ。一杯奢るよ。その代わり、君の愚痴を聞かせてくれ」

「変な奴」

「よく言われる」

「物好きね……じゃあ、マスター。これ」

「畏まりました」

 

不機嫌極まりない美女の前で眉一つ動かさずグラスの手入れをしていたマスターが動く。

この人かっこいいなぁ。

俺も将来こんな風に歳を食いたいもんだ。

 

「お待たせしました」

「……それで?私の愚痴、聞いてくれるんだ」

「ああ。仕事か?」

「そうね……仕事」

 

美女が出された酒を少し口に含んだ。

乾いた唇を湿らせる様に。

 

「今回受けた仕事、最初は良いかなって思ってたんだけど……依頼主に会ったらまぁ酷くって」

「よくある話だ。そんなに酷かったのか」

「ええ、そうよ!」

 

ダン!と机をたたいた。

回りの客がビビる。

 

「何アイツ!大した人員と装備も無いくせにご高説垂れちゃって!」

「……お、おう」

「それに何の勝算もなしと来た。私に払う報酬だって前払い金も無しよ!」

「前払いはリスクが高いからな。傭兵が最後までいるとも限らない」

「何よ。傭兵が悪いっての」

「いや、そうは思わないな。戦いこそが人間の可能性だ。そんな事を一人で生業にしている奴が悪い訳ないさ」

「そ、そう?」

「見た所一人だけど、依頼主とはどうした?」

「この後合流だけど……どうしよっかな」

 

机に突っ伏して、上目遣いでちらりとこっちを見た。

 

「……このまま、連れてってくれない?」

 

……是非、と言いたかったがこの後予定もあるし。

どうしたものか……。

 

「……すまない」

「だよねー、知ってた。今めっちゃ困ってたもん」

「聞くだけ聞いておいて何も出来ないのは、ここまで申し訳ないとは」

「イイヨイイヨ。私もだいぶ楽になったし。よし」

 

女性は立ち上がり、俺にこういった。

 

「ぶっちする!」

「良いのか?」

「良い!」

「なら良いが」

「……あ、そうだ。貴方この後この辺りで何か予定があるんでしょ?」

「うん?ああ、そうだが……」

「じゃあ一個忠告。今日は帰った方が良いよ」

「何……?」

「満月の夜には、良くない事が起こるものよ」

「君に出会った事は、良くないことだと?」

「それは、どうでしょう?」

「俺はそうは思わん」

「断言するのね」

「ああ」

「そ。じゃあ気を付けてね」

 

女性は、そのまま立ち去って行った。

 

「……名前、聞きそびれたか」

 

さて、時間もいい具合に潰れたか。

あいつらの所へ行こう。

女性の分の支払いも済ませて、バーを後にする。

 

 

 

――――――――――

 

 

 

「遅いぞ、ジョージ」

 

集合場所に着くと、ラフな格好のエンカク、シルバーアッシュ、ミッドナイトが待っていた。

 

「悪い」

「む、少し飲んでいるな?」

「バレたか」

「少し赤いですよドクター。始まる前から出来上がったら困るんですから」

「あはは。で、今日は何でまた映画なんか」

「何、以前盟友が見たがっていたと聞いてな。チケットは押さえておいた」

「シルバーアッシュ……」

「普段の礼だ。気にすることはない。ただ、遅い時間にしか取れなかったのはすまない」

「いや、全然大丈夫だって。恩に着るよ」

 

いやー、今回やるレインボーシックスシリーズの最新作楽しみだったんだよなぁ。

 

「じゃ、行きましょうか」

 

………………突然、発砲音がし、どこかから爆破音が聞こえた。

全員得物を手にして構え……。

 

「いや、隠れろ!こっちだ!」

 

近くの路地に身を隠した。

 

しばらくして、拡声器越しに声が聞こえる。

 

『全員動くな!このエリアは我々が制圧した!我々は……』

 

 

 

 

『ロドスアイランドだ!』

 

 

 

「「「「……は?!」」」」

 

うそでしょ!?

 

 

 

 

続く

 

 

 

 




そろそろ最終回です。

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