夢を、見ていた。
そよ風に運ばれてくるのは、土と草の匂い。頭上を仰げば、どこまでも広がるような群青。耳に届くのは、その名の通りの蝉時雨。青々とした小高い山は、子らの遊び場になりそうだ。
私の記憶に斯様な景色はひとつもないから、これは夢だと、そう思う。照り付ける太陽の季節、さくりと土を踏み締めて、一歩をそうと踏み出した。
二、三歩ほど足を進めて振り返ると、所々が修繕されているものの、老朽化の否めない母屋が私を見下ろしていた。庭の片隅の花壇には、暑さのせいで元気のない花たちが並んでいる。水撒きをしているのは、少し痩せた小柄な童だ。よほど一所懸命なのか、歩み寄っても私に気付いた様子はなかった。
背後からそうと声をかけると、童は飛び上がらんばかりに驚いて、困ったように眉を寄せながら私を見上げた。その様を見ていると、つい口元が綻んでしまう。
「花の世話をしていたのでしょう、良い子ですね。ああ……ですが、あまり水を撒きすぎてもいけませんよ、根腐れをしてしまいますから」
童の頭へと、手を伸ばしてやる。掌に感じる、髪の毛のさらりとした手触り。くすぐったそうに声を漏らしてから、童も頭を押し付けるようにして甘えてきた。それが愛らしくて、つい撫で過ぎてしまう。子を甘やかしてしまうのは、私の持って生まれた性なのだろうか。考えた所で、答えなど見つかりはしないのも知っていた。
「水撒きも十分でしょうから、日陰へ行きますよ。このままだと、花壇の土より先に貴方が干上がってしまいそうですもの。ああ、そうですね、西瓜を切りましょうか。川で冷やしておいたから、きっと美味しいですよ」
子の手を引いて、母屋へ向かう。小さな指が握り返してくる柔らかさの、何と心地良い事か。この幼い手は、私だけを頼りにしている。それを感じると、胸が高鳴った。
肩越しに振り向くと、半歩遅れた所で黒い瞳が見上げている。知らず知らずのうちに、嗚呼、と声が漏れていた。いつまでも、この時間が続けば良いのに。そう、思わずにはいられなかった。
高々十歩も歩かぬ距離だと言うのに、母屋へ着く頃には、ふと見上げた蒼穹は茜色へと塗り替えられていた。烏の鳴き声が何処かで響き、物悲しさを感じてしまう。足を止めた私に、不思議そうな表情で童は語りかけて来る。どうして止まってしまうの、そう聞かれて言葉に詰まった。
永くあって欲しい時は、あっという間に流れてしまう。締め付けられるような胸の痛みを隠して、童に言い聞かせるために膝を折った。目線を合わせると、くりくりとした子供の瞳が私をとらえて離さない。
「もう、夕暮れですもの。母上の元へ、お帰りなさい。あまり遅くなると、心配してしまいますよ。男児たるもの、母を悲しませてはいけません」
その誘惑を拒むように、自身に言い聞かせるようにして、語りかける。酷く胸が痛んだけれど、こうしなくてはならない。子は、母親の元へ帰るものなのだ。だから、こうしなくてはならない。
けれど、この子は首を振る。私の指を握ったままで、困ったように。どうしたら良いのかを考える様子は、言葉を見つけようとしているのだと感じ取れた。
「お母さんは、いないんです。お父さんも、いないんです」
たっぷりの時間をかけて、童は告げる。とても素敵なそのひと言に、思わず小さな手を握り返していた。
「まあ、そうだったのですか。それは、困ってしまいましたね。貴方をここにひとりで置いて行くわけにはいきませんし……」
誰彼問わずにこうなるわけでは、決してない。孤児など幾人も見てきたと言うのに、何故、こんなにも心がざわめくのか。もう一度手を引かれて、そんな余分な思考は捨ててしまえば良いのだと気付いた。
「ならば、今から私が貴方の母となりましょう。もう直ぐ██も帰る頃、きっと貴方の兄になってくれますからね。ふたりで遊んで、たくさんご飯を食べて、ゆっくり眠りなさい」
我が子の手を引いて、歩み出す。茜はいつしか墨汁のような夜になっていて、月と星が煌めくばかり。暗い夜道を恐れるように、小さな身体を寄せてくるのがやはり愛おしい。
嗚呼、あの子がいたのなら、きっと良い兄弟になっていたでしょうに。漏らした声は、虫の鳴き声に溶けていく。さくりさくりと草の葉を踏んで、真暗な道を並んで歩んだ。転んでしまわないように、小さな手を握り締めて。
夢を、見ていた。
とても幸せな、ほんのささやかな夢を。
シバのレンズがごく小さな特異点を捉えたのは、四時間ほど前の事だった。
脈々と流れる時間の中で人知れず発生し、いつしか周囲を蝕むように成長を続けた黒点。魔術王によって焼却された人理修復の旅の最中、ロマニ・アーキマン司令代理はこの特異点の修正を決断した。そこには枯渇しつつある魔力リソースの回収という切実な理由もありはしたが、マスター自身の同意が何より大きなものだった。
「行きましょう。特異点になってしまうかもしれないなら、やっぱり修正しないと。ぼくでも何かができるのなら、ぼくは、行きたいです」
不要な苦労だったとしても、徒労になったとしても、手が届く限りは差し伸べたい。誰かの助けになれる機会があるなら、見て見ぬ振りはしたくない。それが、人類最後のマスターである少年、
鵠佑の言葉には、ロマニもまた何処か嬉しげに笑い、解析班の導入を急がせた。特異点の状況を確認すると同時に、技術班もまた大慌てで作業に取り掛かる。人手が足りないと嘆くレオナルド・ダ・ヴィンチの声が、管制室に幾度となく響き渡った。
これまで五つの特異点を踏破してきたカルデアは、最早、単一の生物のように滑らかに行動を開始する。局員たちが各々の役割をこなし、ひとつの目標へ向けて連携をする事で、人類の力を示すかのようだ。
そんな周囲の大人たちに取り残されないようにとブリーフィングファイルを読み込む鵠佑が、作業を一段落させたらしいレオナルドに声をかけられたのは、一時間ほど前。カルデアの研究室で与えられた魔術礼装を身にまとい、全工程のテストが完了したのがつい今し方の事だった。
「さて、これで最後のテストも完了だ。どうだい、悪くないだろう? 損傷した戦闘服の修復には、苦労したんだぜ。素材もそうだけれど、システム周りが複雑でねぇ」
「ありがとう、ダ・ヴィンチちゃん。これ、頑丈なのに、凄く動きやすいです」
うんうんと頷きながら、満足げに笑みを浮かべる万能の人は、おもちゃを自慢する子供のようにすら見えた。人間工学に基づいた設計の解説をしかけた辺りで局員に急かされ、レオナルドは一度、大きな咳払いで話題を中断する。
「さて、このカルデア戦闘服だが、今まで使用していた魔術礼装とはまた別の機能が搭載されている。鵠佑くん、ちょっとここで抜き打ちテストだ。ガンド、と言ってわかるかい?」
突然の問いに不思議そうな顔をしながらも、少年は一度頷き、人差し指を拳銃のように構えてみせる。よろしいと告げて、レオナルドは鵠佑の視線を導くように、礼装の手首を指先でなぞった。
最初に鵠佑が目にしたものは、脈部の液晶だ。幾つかのバイタル値を可視化したらしいグラフと、正体の掴めないReadyの文字列。その真意を問おうと顔を上げた、そのすぐ眼前に寄っていた満面の笑みを見て、鵠佑は思わず声を上げていた。
「うわっ、近い、近いですよダ・ヴィンチちゃん!」
「んん、そうかい? まあそれよりも聞きたまえ、そいつが今回の礼装に搭載されたガンドシステムだ。充填には時間を要するが、直撃させればサーヴァントを行動不能にする程度の威力はある。上手く使えば、きっと役立つと思うよ。その表記は見ての通り、射撃可能を意味するものだね、うん」
そう言うとレオナルドは親指を立てて、絶世の美女の顔でウインクをしてみせる。女慣れしている様子のない少年を揶揄って楽しんでいるようだと、鵠佑を除くその場の誰もが思うであろう光景だ。一方で弄ばれるばかりの鵠佑は、至極真面目な顔で挙手をする。どうぞとレオナルドに促されてから質問をするその様は、さながら教師と生徒の様相に近い。
「でも、ぼくみたいな一般人が、戦ってるサーヴァントに当てられるんでしょうか。間違って味方を撃ったりしたら、大変な事になりますよね?」
その質問は当然といえば当然で、誰もが抱くものだった。故に、誰もが行き着くからこそ、レオナルドや技術班もまたその弱点を考えないはずもない。芝居がかった声の張りで、教師役は高らかに歌うように演説めいた解説を再開する。
「無論、そのままでは当てられない。だからこそ、我々が君の足りない分を補うのさ。こちら側で目標の未来位置予測や弾道計算、着弾位置の修正といった演算バックアップ及び礼装の外部操作による照準補正を行う事で、それこそ君は『撃てば当たる』というわけだ。理論上は、音速で移動する目標にだって直撃させられると、この私が保証するとも。もっとも、こんな芸当が可能なのはカルデアとの通信が確立されている間だけ、だけれどね。ここだけの話、このオートマチック・スマートファイアシステムの調整が一番苦労したんだぜ」
レオナルドの言葉に技術班の面々が頷き、笑いを交えた苦労話を口々に語った。鵠佑はそんな彼らを見回してから、拳を握り頭を下げる。多くの人に支えられている事を嬉しくも、そして同時に申し訳なくも思うのは、鵠佑が自らの無力を自覚しているからこその事だ。そんな複雑な思いを、ありがとうございますと、その言葉に詰め込んで鵠佑は姿勢を正した。
「心強いです、とても。ぼくも皆さんに負けないように、頑張りますから!」
真っ直ぐな少年の眼差しに、大人たちは笑顔と激励を返す。出撃準備を終えた鵠佑に管制室のロマニから呼び出しがかかったのは、ちょうどその時だった。
「──以上が、この微小特異点において想定される状況だ。君たちの目的は、いつもの通りと言ってはなんだけれど、聖杯の回収による特異点の修正だね。……鵠佑くん、慣れというのは、恐ろしいものだ。どんなに小さな特異点だとしても、気を緩めないで欲しい。特に今回は令呪が回復していないからね、より慎重に行動して、無事に帰還してくれる事を願ってる」
ロマニの視線は、少年の右手に向けられる。第五特異点の激闘で消耗しきった令呪は、未だ一画とて回復していなかった。魔力リソースの枯渇は、いよいよ目に見える所まで迫っている。そんな現状を鑑みてか、すまないねと、眉尻を落としながらの言葉が小さく漏れた。
自分を気遣う言葉に、鵠佑は引き締まった表情で頷いた。戦闘準備を終えたマシュ・キリエライトがその傍に付き従い、いつでも行けると言うように姿勢を正す。解析班の読み上げる報告を聞いて、現地の天候は嵐らしいと、三人がそれぞれおぼろげに理解したのはその時だ。
「さて、それで、今回随伴するサーヴァントは決まっているのかい? 第五特異点の直後だから、皆の消耗を気にしていたようだけれど」
「ああ、ええと……キャスター、玉藻の前さんでお願いします。あの人とも、一緒に戦っておかないと」
タブレットを操作しながら、ロマニは局員たちに指示を出し、レイシフトの準備を急がせる。その間の問いかけに挙がった名に、不意打ちめいたタイミングで鈴を転がすような声が返答をしたものだから、鵠佑もマシュも飛び上がるほどに驚いた。
「あらあらあらあら、この私がお供です? あいわかりました、お呼びとあらばみこっと参上、頼れる貴方の巫女狐! マシュさん、こちらお近付きの印にクッキー焼いて参りましたのではいどうぞ! 料理上手な玉藻ちゃん、マスターの護衛役という大役をシッカリバッチリ仕りましたとも!」
いつからそこにいたのかと、それを問う事すら忘れる程の勢いと空気。それに呑まれて、マシュも目を白黒させながら、玉藻の前が配った焼き菓子を受け取るしかできなかった。
豊かな毛並みの尻尾を揺らし、魔術師のサーヴァントは朗らかに、やたらと愛らしい声色でお任せあれとはしゃいで笑う。張り詰めていた空気が緩むのを、ロマニもどうしたものかと困り顔で見遣るしかなかった。
「とはいえ、私、そーんなにやたらめったら強いサーヴァントではありませんのでぇ……できたら、お手柔らかにお願いしますね、マスター。はい、こちら様もクッキーどうぞ。糖分補給は大切ですので!」
「あ、はい、よろしくお願いしま……あの、えーと、ありがとうございます」
向けられる笑顔よりも、露わで豊かな胸元にたじろいで、鵠佑は視線を逸らしてなすがまま。渡されたクッキーへの返礼をしつつ、挨拶もそこそこに、逃げ出すように狭いコフィンへと身を滑り込ませた。それを視線だけで追いかけながら、玉藻はゆらりと手を振ってみせる。
「それではお客様、腰の低い位置でシートベルトをお締めください。レイシフト先までの飛行時間は、なんと驚きの十三秒を予定しております。現地に到着してからの合流、私も楽しみにしていますねー!」
常時ふざけているような玉藻の発言に苦笑いをするロマニの姿が見えて、鵠佑もつい笑ってしまう。そんなマスターの横顔を見つめるマシュは、ほんのわずかな、そして不可解な思考の空白に気付いて、コフィンの中で小さく頭を振った。それと同時に、カウントダウンのアナウンスがゼロに至る。
目眩にも似た浮遊感と、暗転する景色。レイシフトの度に、目蓋を閉ざす度に、マシュの脳裏に蘇るのはあの日の光景。燃え盛る管制室で、優しく笑う少年の顔が、今でも目の奥に焼き付いていた。
微小特異点へのレイシフトは、ひとつの問題もなく完了した。開けた景色に、暗い空。振り返れば荒れ狂う海原が、退路はないと告げるよう。眼前に聳える岩山は、麓の鬱蒼とした森も含めて、酷く刺々しい印象を抱かせた。
降り頻る生温い雨は、戦闘服の表面を濡らして流れ落ちていく。防水加工の賜物か、肌が濡れる不快感を鵠佑が味わう事はなかった。
その代わりに突き付けられたのは、汚臭だ。生ゴミが、肉が腐敗した時の、吐き気を催す強烈な臭い。雨の中であっても感じ取れるほどに濃密な、粘つくような酷い臭気。片手で口元を覆いながら、えずきそうになるのを堪えて肺の中身をゆっくりと逃していく。傍に目をやると、マシュもまた、鼻腔に入り込んだ不快な臭いに眉を顰めて咳き込んでいた。
「酷い臭いだ……ドクター、何かわかりますか?」
ロンドンの魔霧とはまた異なる、汚染された空気。ただ、この場に漂うものは魔術的な現象ではないと、ロマニの静かな声が告げた。経路を辿って玉藻の前を呼び出しながら、言い回しに引っ掛かりを覚えた鵠佑が言葉の意味を聞き返す。それに答えたのは、衣装の袖で顔を覆った玉藻だった。
「死体が腐敗した悪臭ですね、これは。それも、ひとつやふたつではなさそうな……ええ、合戦場めいた死臭です」
「三人とも、警戒を怠らないようにしてくれ。鵠佑くん、マシュ、疫病予防にマスクの装着を。……臭いも、少しはマシになるはずだよ」
敵性生物の反応、魔術反応、共になし。ロマニの報告を聞きながら、鵠佑は頭上を仰いだ。分厚い雨雲は空を覆い、時折、稲光を奔らせる。吹き荒ぶ風に煽られて黒髪が舞い上がり、古い傷跡が露わになった。
「先輩、いえ、マスター! 見てください、人が!」
周囲の様子を探っていたマシュの叫びに、鵠佑は泥濘を踏み締めながら駆け出した。水溜りが跳ねる音が、ざあざあと降り頻る雨音に消されていく。玉藻もそれに続きながら、これでは濡れ鼠ならぬ濡れ狐だと、ため息混じりにぼやきを漏らす。
薄暗い森と、雨に濡れた泥地の狭間。無数の刀疵を刻まれた大木に身を預けるようにして、女がひとり。傍のマシュが必死に呼びかけている様を見て、鵠佑もまた、彼女にまだ息があると理解した。
「ドクター、確認、お願いします! 問題ないなら、治療用のスクロール、この人に使います!」
泥水を飛ばしながら女の元へと駆け寄り、その肩に触れる。カルデア技術班の力か、厚手の布地を隔てているのに感じ取れる体温は、冷え切らない温かなもの。ロマニの検診を聞きながら、鵠佑は躊躇う様子も見せずに限られた数の装備品を用いて見知らぬ誰かを治療する。各所に見えていた複数の傷が、見る間に閉じていった。
緩い、か細い呼吸の音。目蓋は半ばほどまで降りていたが、虚な双眸に光が宿る。咳き込む音は、停止していた呼吸を再開した時の反応だ。女の手に握られているのがふた振りの日本刀だと気付いたのは、彼女の蘇生を確認した鵠佑が、一歩を退いた折の事だった。
「あの、大丈夫ですか? 痛みとか、ありませんか?」
不安げに問いながら、改めてそのいでたちを確かめる。女性的な曲線と裏腹に、薄らと浮き上がるのは鍛え抜かれた筋肉の隆起。手にした得物からも、剣士、剣豪の類であろうと想像するのは容易い事だった。
「…………この様子だと、君が助けてくれたのかしら。いや、本当に危なかった……危うく、三途の河を泳いで渡るところでした」
どれだけ寝ていたのかしら。刀を鞘に収め、濡れた髪を搾りながら、女剣士は天を仰ぐ。やや置いてから三人へと向けられたのは、朗らかな笑顔だった。
「うん、よし、私はまだ生きている。それならやる事があるのです。……優しい君たちの正体を聞くより先に、言わなくてはならない事があります。私の言葉を心して聞いて、そして、どうか信じて欲しい……良いわね?」
真っ直ぐに見つめる瞳には、汚れたものは何もない。鵠佑のみならずマシュまでもが頷いて、思わず背筋を伸ばすほど。そんな反応を可愛らしいと笑いつつ、女は一度、咳払いをしてみせた。
「この島には、恐ろしい鬼がいる。私も不覚をとって死にかけていたけれど、貴方たちに救われました。見たところ、少年少女に……花魁かしら、とにかく、ここはとても危ないわ。だからと言うか、一宿一飯ではないけれど、私に恩返しをさせてくれたら幸いなのです」
ぱしゃり、と。水溜りを踏み抜く音は、その刹那。鵠佑たちの返答よりも先、女の双眸が細まった。マシュと玉藻が振り返り、最後に鵠佑が続く。
荒れ狂う稲光に照らされて、幽鬼の如し、影ひとつ。抜身の白刃は血に濡れて、肌も甲冑も朱に染めて。にたりと笑うその顔は、鬼か、魔か──