ダンジョンにイヴァリース一の剣豪がいるのは間違っているだろうか   作:ZANTETSU

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どこのファミリアにねじ込んでやろうか...


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ダンッと大きな音が鳴り響く。なにか大きなものが上から降ってきたような重い音に思わず振り返った。

 

「貴様...何者だ」

 

「お前こそ何者だぁ?さっきからちっこい癖にやたら腕が立つ少年や、エルフなんかと遭遇しているが...ひょっとしてこれがふぁんたじぃとか言うものなのか!」

 

ぽんと何かを閃いたように手を叩く2メートルを超える大男。背中には身の丈ほどもある槍や薙刀が見える。遠くからでもわかる一級品の武器だ。

 

「まぁいい。お前が何者であろうとどうでもいい。去れ。お前に用はない」

 

こんな男よりもフレイヤ様の頼みの方が重要なのだ。こいつに構っている暇などない。

 

「そうか...ノリが悪いなぁ。だが、そんなお前でもやる気を出さざるを得ない状況にしてやる。背中にあるその見事な大剣。失いたくなかったら俺と戦え」

 

不意打ち。自分が元いた場所に槍が突き刺さっている。殺気を一切感じさせはしなかったが、あまり早い速度で投げられた訳でもなかったので、それを躱すことは容易だった。

 

「なんの真似だ。貴様。」

 

「ギルガメッシュ様の真似だ。似てるだろう?当たり前だ俺様はギルガメッシュその人だからなあ」

 

「ふざけた事を...貴様なんぞ知らん」

 

大剣で軽く振り払うが、その巨体からは予想もつかないような繊細な槍さばきで綺麗に受け流した。

 

「ほう...少しはやるか」

 

「少しどころかかなりやるぜ。俺様は」

 

力を込めて剣を振る。しかし、やはり受け流される。

 

「ふんっ」

 

並の冒険者ならば持ち上げることすら叶わない大剣を目にも止まらぬ速さでギルガメッシュと名乗る男に叩き込む。さすがに捌き切るのは不可能と判断したのか、槍でその攻撃を受ける前に背後に大きく後退した。

 

「強いなあお前。尚更その武器が欲しくなってきたぜ」

 

「俺はお前の武器に興味はない。だが来るというのなら容赦はせん。死んでも文句は言うなよ」

 

「殺されて文句なんざ言わねえ。殺されて当然のことをやってるんだからな。剣士の命に等しい剣を奪おうというのだ。なんの覚悟もしていないと思うか。常に命懸けよ」

 

「面白い。ならばこい!」

 

ギルガメッシュは槍も薙刀も空間に仕舞い、その鍛え上げられた腕2つ分の幅を持つ巨剣を取り出し構える。大剣どうしで俺と戦おうというのか。

 

「せぁっ!!」

 

その巨剣事吹き飛ばす勢いで大剣をフルスイングするが、剣にかかる衝撃を地面に逃がし吹き飛ばされることなくその場に立ち止まっていた。大剣を振り抜いた後の無防備な俺に容赦なく巨剣で突きを放つ。

 

剣の腹を叩き自分の体を浮かせることで回避し、重力により落下する勢いを載せ大剣を振り下ろす。しかし、奴はそれを横に少し移動することで躱す。そして、突き出していた剣を引きその巨体でタックルをしかけてきて俺を吹き飛ばした。

 

近くにいたミノタウロスを巻き込んで壁に叩きつけられた俺は口の中に溜まった血を吐き捨てる。

 

「ウゥォオオオオオ!!!」

 

血が滾るのが分かる。今のオラリオに自分を相手にこれだけ渡り合える者はおらず、嘗て敗北したゼウスファミリアの構成員に及ぶものなど誰一人としていない今のこのオラリオで自分と渡り合い、且つ傷を負わせることができる存在がまだいるとは思いもしていなかった。

 

分かっている。フレイヤ様の命令があるのにこんな回り道をしている場合では無いのは分かってはいるのだが、強敵の撃破はあまりにも魅力的にすぎた。

 

「へへ。どうやらやる気になったみたいだな。」

 

「お前の武器、貰い受ける!!」

 

地面が抉れる。とてつもない重さの剣同士がぶつかり合い、ダンジョンの壁や床に亀裂が生じ広がってゆく。戦闘が熱くなるにつれてダンジョンも悲鳴をあげるかのように大きく揺れるが構うものか。

 

ただ目の前の敵を倒したい。ただそれだけだ。

 

獣のように剣を縦横無尽に振るい、敵の攻撃には本能で察知し磨きあげられた技と経験で回避し受け流し、反撃する。技を覚えた凶暴な獣ほど厄介なものは無い。

 

「おおっとと...コイツはマズいな」

 

確かに感じる手応え。僅かにではあるが、自分が優勢に立っているということが分かった。ギルガメッシュは応戦しようにも、ダンジョンをまるで自分の庭かなにかのようにその驚異的な身体能力で飛び回り即死級の攻撃が止むことなく飛んでくるのだ。

 

少しでも対応を間違えれば死ぬ状況に中々隙をつくことが出来ないでいた。だがそれと同時にオッタルも焦っていた。自分のこの力は限定的なもので精神力を大幅に消費する。短期決戦用の技だと言うのに、この男は動きに付いてきて更には劣勢ではあれどなんとか防いでいる。

 

このまま決めきれずにいれば、倒しきることが難しくなるのは目に見えていた。だからこそ、オッタルは勝負に出た。

 

「おぉらァァア!!」

 

なんと大剣をギルガメッシュに向けて投げ放ったのだ。しかし、目で追えている以上ギルガメッシュは回避することができるだろう。ただし、その一投は今までの速さよりも1段上の全力の一投だった。回避する余裕がなくギルガメッシュは大剣で弾いてしまう。

 

振動で少し手が痺れてはいるものの、剣が振れないということはない。しかし、大きな隙ではあった。そこにオッタルが猛スピードで距離を詰め瞬きの間にギルガメッシュの懐に入り込む。

 

「せぇああ!!!」

 

「ぐぅぬぉおおおおおお!!!」

 

獣の重く鋭い拳による一撃が腹部に突き刺さる。ミシミシと嫌な音が拳越しに伝わった。血をまき散らしながらギルガメッシュは吹き飛ばされダンジョンの壁を突き抜けた。

 

「え。ちょ、まっ...あ〜れぇ〜」

 

徐々に声が聞こえなくなっていく。どうやら下の階層に落ちてしまったようだ。ダンジョンの壁が壊れてしまうのはさすがに予想外ではあったが、あの様子では致命傷ではなかったのだろう。

 

「次こそはトドメをさす。覚悟しておけ、ギルガメッシュ」

 

思わぬ時間を取られてしまった俺は、大剣を拾い上げフレイヤ様の命令を遂行するためにその場を後にした。

 

 

 

ーーーー

 

いてててて。なんとか生きてはいるが、完全に負けた。言い訳の余地もなく負けた。壁が壊れて下に落ちてしまった時はまた次元の狭間に落ちていくのではないかと思っていたが、そんな事にはならなかったようだ。ありがたい。

 

今回は負けてしまったが、あの猪人の武器はなんとしても手に入れたい。次に見えた時は必ず武器を奪ってやる。

 

「さて、ここはどこだ」

 

この世界に来た時も同じようなことを言った気がするが気のせいだろうか。

 

「GUAAAAAAAA!!!!」

 

「へ?」

 

どす黒い肌の巨人が怒り狂ったように吠えながらこちらに向かってくるではないか。

 

「なんだなんだぁ??武器も持ってないやつとは戦いたくないんだが、そうも言ってられないかっ!」

 

巨大な拳を巨剣で弾き返す。仰け反る巨人を他所に巨剣を仕舞い、オーガキラーを取り出す。巨剣に比べれば少し小さめの両刃の斧で、巨人に対して有効な武器である。

 

巨人族はこれを見ただけで震え上がり逃げ出すものなんだが...

 

「GUAAAAAA!!!!!」

 

怯えるどころか掛かってこいと言わんばかりの咆哮。流石の俺様も困惑気味。

 

「これオーガキラーだぞ?本当にわかってるか、いや、分かってなさそうだな。どうしてかは分からないが正気を失っている...仕方がない。」

 

手を組み、ハンマーでも振り下ろすかのように地面に叩きつける。しかし、その手を足場に見立てて飛び乗り腕をかけ登っていく。

 

「お前に恨みはないが...じゃあな」

 

黒い肌の巨人の頭からオーガキラーを振り下ろすと、スルスルと切れ味の良いナイフで肉を斬るようにブチブチと肉を割いて行き、途中であった硬い石もまとめて両断する。

 

すると、巨人は糸の切れた操り人形のように静止し、上の階層で倒したモンスターのように霧のように消え去った。

 

「またそうやって消えるのか。よく分からんな」

 

この世界のモンスターと自分のいた世界のモンスターの特性の違いに驚きつつ、武器のことではなくこの世界について考えてみた。このモンスターの消え方然り、モンスターの中にある石も然り、冒険者などというワード然り。

 

「どうやらこの世界には知らないことが多すぎる見てぇだな」

 

少し情報収集をしてもいいかもしれん。そう思い、街があるであろう上の方に向かうことにした。

 

今までに出会った人間やほかの種族達と出会えば幸運、出会えなくとも上には街や村があるであろうし地上に出ることが出来れば、人には会えるだろうと思いついた。

 

「さぁて行くか」

 

狭いフロアでも扱いやすい短剣を取り出し両手に装備する。両手で短剣を弄びながら、上の方へと向かっていった。




ギルガメッシュの口調むーずぃ
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