ダンジョンにイヴァリース一の剣豪がいるのは間違っているだろうか   作:ZANTETSU

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ガシャガシャと鎧が鳴る音が響き渡る。途中何度か冒険者とすれ違う機会はあったが、めぼしい武器を持っていそうな実力者とは出会わなかったので黒い肌の巨人を倒して以降戦いという戦いもしていない。

 

雑魚モンスターを数体蹴散らした程度だ。

 

「そろそろか。」

 

喧騒が聞こえる。おそらくこの出口の先に街があるのだろう。そして、だからこそそこを警備する者もいる訳だ。

 

「その風貌。その背にある武器。間違いない、お前がギルガメッシュと名乗る不審者だな」

 

「不審者とは失礼な。珍しい武器を求めて彷徨う一般人になーにを言うか」

 

「武器だと?あぁ、たしかに報告には武器を奪われたとあったな」

 

警備の人間が、腰に差した自分の武器に手をかける。

 

「それは俺達ギルド警備兵が相手でも関係ないか?」

 

ニヤリと笑う。

 

「たしかに関係ない。お前も見たところそれなりに強いらしい。そしてその武器は...俺の眼鏡にかなっている。なら、やる事は一つだろう?」

 

名乗りもあげぬ内に警備兵が切りかかってくる。非常に素早い並の戦士には反応できない速度だ。何かの能力か魔法を使ったわけでもないのに急加速している。しかし、

 

「対応できない速度ではないな。猪の男の方がもっと速い」

 

「なにっ?」

 

己の速度に対応してくるのが予想外だったのか、思わず距離を取るために大きく後ろに飛んでしまう。そしてそれは悪手である。宙に浮いたが最後、よっぽどな者でもない限り回避も迎撃も全ての行動がやりづらくなる。

 

そして、実力が上の相手にそんな動きをしたら最後。敗北は必至である。

 

「そぉりゃ!」

 

風魔法と斬撃の組み合わせでかまいたちを引き起こす。あまりの暴風に巻き込まれた警備兵は空中で受け身も取れず、空高く舞い上げられ地面に強く叩きつけられる。

 

死んではいないが、痛みで動けず唸っている。

 

「その武器、いただくぜ」

 

品質の良い、ナイトソードを手に入れた。思わぬ収穫に顔がニヤけてしまうが、ダンジョンを出た瞬間謎の集団に取り囲まれる。そして囲まれた瞬間に嫌でも気付いてしまう。どれもこれもが第一級冒険者であるということに。

 

そしてその冒険者達は俺を囲む以上にただ1人の存在を護衛しているように見えた。おそらくこの集団のトップだろう。トップであろう女と目が合うとクスリと笑われた。その後女はこちらに優雅に歩み寄ってくる。武器も持っていないので用はないのだが。

 

「穏やかじゃあねぇなぁ。俺様が何かしたか?」

 

「してしまっているのよ貴方は。ダンジョンで多くの冒険者から武器を奪ったでしょう?貴方にはギルドから懸賞金を掛けられているわ。100万ヴァリス。大した額ではないけれど、これは異例なの。今日報告があってそのまま懸賞金が掛けられるのだから」

 

「その金欲しさに俺様を捕まえるというのか。そんなに金に困っているようには見えないが」

 

「困ってないわよ。お金には。私はフレイヤ。美と豊穣を司る女神フレイヤ。望めばなんでも手に入るし、何も物には困っていないわ」

 

「正義感から俺を捕まえようということか。ご苦労なこった。武器泥棒1人にここまでするとは思ってもみなかったが...ちょうどいい。ここにいる冒険者達の武器全ていただく。そしてこの世界の情報もついでにいただく。お前達は俺の懸賞金をいただく。目的は全てはわかった。ならあとは勝負あるのみよ....だからアンタは下がりな。武器のない奴に興味はない」

 

エクスカリバー。自分が最も信を置く最強の武器を取り出す。右手にエクスカリバー。左手に青く透き通る刀身を持つ大剣アルテマウェポンを握りしめる。これまでにない激闘になるだろう。

 

「武器がない...そう、思うのかしら」

 

「ん?持っていないだろう、違うのか。ダガーでも隠し持っているというのか」

 

ふふっと笑う女を訝しむ。そんなに強力な短剣でも忍ばせているというのか。

 

「私に仕えなさい、ギルガメッシュ。貴方の魂気に入ったわ。私の物になりなさい」

 

瞬間、唐突に猛烈に目の前の女に尽くしたいという気持ちが湧き上がってくる。思わずこの女のものになってしまいたい。それがとても蠱惑的で果てしない快楽を得ることができるだろうとなんの確証がないのにも関わず確信してしまっている。こんな感覚は初めてだが、知っている。この力は....

 

「魅了か...だが、このギルガメッシュ様が魅了に屈すると思うなよ。俺様が魅了されるのは最高の武器にだけ。相手が女神だろうが関係ない。俺様を従えさせたいのなら力づくでだ。それ以外はあり得ない!」

 

レジストする。体を縛り付ける何かが解き放たれるのを感じる。恐らく本気の魅了ではなかったのだろう。でなければこんなに容易に抵抗できるわけがない。

 

「女神の眷属を相手にするとなれば、本気を出すのが礼儀か...いくぞ!ギルガメッシュチェーンジ!!」

 

眩い光と共に腕が8本に増える。そしてその手にどれも一級品の武器を持っている。遠距離に対応するための魔装銃や、弓。それに加え大剣、盾もあれば槍もある。この世界に来てから初めて使うが使用には全く問題が無いようだ。

 

「私の魅了が効かず、腕も増える...貴方本当に人間?」

 

「紛れもない人間だっ!」

 

それを皮切りにクロスボウで手近な冒険者に射撃するが当然のように弾かれる。しかし、

 

「な、なに...?」

 

与一の弓。放った矢は必ず標的に命中する。弾かれようと何をされようとホーミング弾のように標的を狙い続ける。故にこの矢による攻撃を防ぐには矢自体を破壊するか、使い手であるギルガメッシュを倒す他ないのだ。

 

それを知らぬその冒険者の脇腹に矢が突き刺さる。

 

「ぐぁああああ!!!!」

 

たった1射。それで戦闘不能にしてしまえるだけの威力が、技量がギルガメッシュにはあった。心臓を射抜かなかったのは完全に情けである。

 

「そらそらそら、どんどん行くぜえ!」

 

ヒュンヒュンと風を切る音が鳴る度に1人また1人と冒険者が倒れていく。しかし、ついにその矢に対応するものが現れ始めた。自分の周囲に風を纏い、矢の軌道を逸らし続けるという芸当をし始めた冒険者が現れたのだ。

 

そしてその冒険者はギルガメッシュ同様弓を用いて攻撃を仕掛けてきた。1射1射は大した威力ではなく対応出来る物ではあるが、ほかの冒険者を相手にしつつとなると、まるで狩りで獲物を追い詰めるように時には他の冒険者の援護をし、時には隙を見つけて頭を射抜く致命の矢を射ってくる。厄介極まりない。

 

「なら、これを使わせてもらうぜ」

 

零式魔装銃。魔力を込めた威力の高い弾丸が敵の防御結界を吹き飛ばしダメージを与える。魔力を込めれば込めるほど威力が上がるこの武器は、多数の敵を殲滅するのに向いていると言える。事実、風の防御結界を張っていた冒険者は吹き飛ばされ地面に倒れている。それに巻き添えになる形で幾人もの冒険者が倒れる。

 

「さあ、次はどいつだ?」

 

振るたびに電撃を撒き散らす槍をぐるんと回して柄の部分を地面に突き立てる。コンっと小気味のいい音が鳴り響き、周囲を威圧する。

 

「舐めるなよ化け物風情が。雑魚をどれだけ蹴散らそうが関係ねぇ...俺と勝負しやがれ」

 

先程まで相手にしていた冒険者たちよりも一回り、いや二回り以上の強さを目の前の冒険者から感じる。見た目は目つきの悪い犬。見た目を裏切らぬ棘のある話し方。いい所などひとつも見受けられないが、槍を手に持ちこちらを見やるその佇まい。

 

名槍の担い手として十分の技量を持っていることは明白だった。

 

「いいぜ...いつでも掛かってきな!」

 

「っ!!!」

 

1歩。まるで1歩なのではないかと感じるほどに早く速く疾かった。なんとか身をよじらせ回避するが槍による攻撃が横腹を掠める。

 

「ちっ外したか」

 

「強いなあ。お前。いくら俺様でもその槍に貫かれれば死んでしまうかもなあ」

 

あの速さでの突きはまず防ぎきれないだろう。防ぐのではなく躱す。もしくは穿たれる前に距離を詰め接近戦に持ち込むしかない。そう、普通はそう思うはずなのだ。

 

武器を構える。それは、完全に待ちの姿勢だった。もう一度かかってこいと言わんばかりの待ちの姿勢。それは相手に獣人にとっては酷く挑発的なものに写っただろう。暗に、

 

『次は対処する』

 

とでも言っているようなものなのだから。

 

「舐めてんじゃねえぞ!三下がァア!!!」

 

巨大な弾丸が目にも止まらぬ速さで接近する。しかし、それは一度見た技。体を少し横にずらし、自分の目の前を通過する獣人の腹に強烈な膝蹴りを放つ。

 

「グボォオオ」

 

ゴキゴキと嫌な音が聞こえ、獣人は空高く舞い上げられる。しかし、ギルガメッシュは見逃さなかった。まだ諦めておらず闘志に燃え上がり、憤怒に怒り狂うその目を。

 

だからこそ油断なく躊躇いなくギルガメッシュは追い打ちをかける。

 

「貫け、(いかづち)の槍!!」

 

獣人は自分の速度が上乗せされた意識が飛ぶほどの膝蹴りを受けても尚意地でも離さなかった自分の槍で迎撃に移ろうとするが、全身の至る所の骨が折れたりヒビが入ったりしているせいか思うように動かない。しかし、それでも槍を投擲しギルガメッシュが投げた槍を打ち砕いた。

 

そして、空にはオラリオ中の人々が見えるほどの眩い光とともに広範囲に強力な電撃が放出された。空を飛ぶ鳥達は焦げ落ち、市街の電灯には昼なのに電気が点る。電撃は地上にいた者たちにも被害を与えた。オラリオにある建物の1部の屋根は焦げ付き、爆心地の近くの地面は軽くめくれ上がっていた。

 

「ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ッッッッッ』

 

獣人の地獄の釜で煮られてでもいるような悲痛な悲鳴が響き渡る。電撃が止むと焦げ死んだ鳥たちと一緒に地面に落下するのが見えた。恐らく死んではいないだろうが瀕死の重傷だろう。

 

だが、ここまで大掛かりな戦闘に回復薬や治療術師を用意していないはずがないと当たりをつけ、次の標的を探す。第一級冒険者が敗れたのを見てか、不用意に近づいて来ようとする冒険者はいない。かと言って弓で撃たれることも懸念していつでも矢を撃ち落としたり防御魔法を張る準備はしている。

 

「全く。ふざけた奴だ。貴様一人にファミリアを半壊させられるとはな。ましてやあのアレンまでやられるとはな」

 

「クククククク...我らに破滅と崩壊を齎し得る難敵。今か今かと....出番を待つ我が、み、右腕が疼く...ク、ククク」

 

気品さを感じさせ、高貴なエルフであろうことが伺えるホワイトエルフの男と、何を言っているのか理解できない曲者のダークエルフ。ダークエルフとホワイトエルフというのは仲のいいものなのだろうか。少し疑問に思いながらも思わず目を細める。

 

血の匂いがする。多くの命を奪い奪われ土地や金、権利、或いは主張を貫き通すため行われた戦争の匂いがする。それも大戦の。数え切れぬ数の命を奪ったであろう敵に容赦も油断もしようはずもない。

 

紛れもなく歴戦の猛者達だ。

 

「武器の回収は後回しか。まあ、いい」

 

アルテマウェポンの切っ先を二人のエルフに向ける。

 

「覚悟しな、俺様の剣はそこいらの剣士のそれとはひと味違うぜ?」

 

「ふんっ...前口上はいい。さっさと来い」

 

「ク、クククク。わが胸に来たりし..「そぉらあ!」

 

ダークエルフに向かって剣を振り下ろす。当然のように後ろに飛ばれ回避されるが、逃すまいと追撃をかける。しかし、その横から砲弾のような強力な魔法が打ち込まれる。

 

それらを何とか武器で振り払うが、近接のプロに遠距離のプロ。かなり強力な魔法だと言うのに、魔力切れを起こすような素振りを一切見せていない。まだまだ使えそうなホワイトエルフは、こちらをキッと睨みつけている。

 

恐らくあのエルフが行使する魔法は片手に持つ武器によって増幅されているのだろう。長刀が魔法の補助も果たす武器というのには非常に珍しい。希少な武器を目の当たりにして胸が高鳴る。

 

「ククククハハハハ!」

 

「なに...が、おかしい....」

 

「笑いたくもなるぜ。こんなに強い奴らと希少な武器に囲まれているんだ。幸せで幸せでクククク笑いが止まらん」

 

「気色の悪い男だ。早急に潰してやる」

 

ホワイトエルフが砲弾の雨をふらせ、その上からダークエルフが飛びかかる。魔法に懸かり切りになるとダークエルフに倒され、ダークエルフに対処すると魔法を浴びる。

 

「これは万事休すか...さすがの俺様もここまでだ。。。とでも言うと思ったか?」

 

『リフレク』全ての魔法攻撃を1度だけ無効化し反射するバリアである。

 

一弾一弾が強力なこの魔法を自分に当たる度にリフレクを掛け直すことで対処する。

 

「ぐっ...反射魔法だと」

 

「ならば接近戦で叩き潰せばいいだけの話だ。この男に退路などない押し続ければいつかは果てる。押し込め!援護しろヘディン!」

 

「俺に命令するなヘグニ!」

 

ダークエルフの人格がいつの間にか豹変している。さっきまでの訳の分からない発言やひきつっていた顔は消え失せ、そこには王と呼ばれてもおかしくない風格を持った一人のエルフがいた。

 

二人の風格のあるエルフが、悪態をつきながらも連携してくる様は見ていて不思議な光景ではあったが非常に強力だった。

 

迷いのない太刀筋に、ヘグニと呼ばれたダークエルフの隙を潰すように打ち込まれる魔法。ヘグニに距離を詰められ攻撃されていることもあり、タイミングを見計らいリフレクを張る暇がない。数発はどうすることも出来ずに、その身に魔法による攻撃を受けてしまう。

 

ダメージがどんどんと蓄積されていくのがわかる。このままではまずい、動きも鈍くなってきている。なにか打開策を見つけなくては...

 

そんなギルガメッシュの目に映ったのは、あの女だった。ふふふと笑を浮かべながら自分を見ている。あの余裕を持った顔をしているのが癇に障る。自分は何もしていないのに、武器すら持っていないというのに偉そうにしているのが鼻につく。

 

こんな女がトップならまだエクスデスの方がマシだった。奴は大魔法使いという自分よりもはるかに強い高みにいて、雑務を自分に押し付けていただけだ。それすらもマトモにできず、ジジイに敗れ、バッツ達に敗れてしまった訳だが。

 

「俺は...俺様は...負けるわけにはいかねえ!」

 

自分でもらしくないということはわかっていた。だが、負けそうになって逃げるようなことはもうしたくなかった。ましてやこれだけの珍しい武器を前にして逃げることなどできよう筈もない。必ず、手に入れる。必ず勝利する。

 

ホワイトエルフを銃で牽制し、魔法を唱える暇を与えない。ホワイトエルフを狙えばダークエルフが距離を詰めて襲ってくる。しかし、ホワイトエルフを牽制するのを止めると再び魔法が降り注ぐ。

 

だからこそここが自分の踏ん張りどころだった。ここで二人を対処出来ないようであれば勝てないのだ。そう言い聞かせて、まとめて二人を相手にする。頭が痛い。酷使し続けた体と頭が悲鳴をあげる。しかし、着実に二人のエルフは押され始めていた。

 

二人に傷を負わせる度に脳内にアドレナリンが分泌され、痛みの感覚が麻痺して浮遊感に包まれ全ての時間がスローモーションのように流れていくように感じる。ギルガメッシュは1種のトランス状態に入っていた。勝利への執念が、強い思いがギルガメッシュの体を動かせ続けた。

 

獣人によって付けられた脇腹の傷も、エルフ2人によって蓄積されたダメージも今は何も感じないただ、目の前の敵を倒すことだけに集中している。そして、その時は訪れた。

 

あまりの攻防にミスが生じてしまったのだ。ダークエルフが、攻撃を空振りし隙を見せてしまう。そして、予測していた動きと食い違うダークエルフの動きに対応しきれず誤ってダークエルフに魔法を打ち込んでしまう。

 

「ぐぁああああ!!!!」

 

ダークエルフが弾き飛ばされる。しかし、ホワイトエルフは焦らず長刀を振りかぶりギルガメッシュと接近戦を挑みに来る。おそらく魔力が残りわずかだったのだう。ダークエルフほど接近戦に自信があるわけではないようで、ギルガメッシュを相手取るには明らかに不足していた。

 

正しい判断ではあったが、勝利の芽はない。ギルガメッシュがホワイトエルフの鳩尾に拳が炸裂する。血を噴き出し、その場に膝から崩れ落ちるホワイトエルフ。

 

ここに、勝負は決まった。

 

「はぁ、はぁ、はぁ」

 

消耗している。既にギリギリの所にあると言うのに敵はまだ実力者が残っている。傷を癒す魔法を唱える暇もなく間断なく敵が押し寄せる。

 

「ここでお前か...クククク流石の俺様もそれは予想外だったぜ!」

 

「フレイヤ様の命令だ...そしてこれは俺自身の望みでもある。貴様を叩き潰す。欲を言えば、万全の状態の貴様と戦いたかったが仕方があるまい。この場においてフレイヤ様が望まれているのは勝利だ。であれば、確実に勝利できる今、貴様と戦うしかない」

 

「へっ...俺様はどれだけ傷を負っていようが構いやしねぇ。前回は負けたが今回は違う。ギルガメッシュチェンジで本来の戦闘スタイルに加えて、このおしゃべりしている間に補助魔法を掛けたからなあ!」

 

狡い。プロテス・ヘイスト・シェルの行動速度上昇や魔法阻害、物理半減のバリアなど強力な補助魔法がギルガメッシュに付与された。

 

「戦う前にお前の名前を教えてくれ」

 

猛者(おうじゃ)オッタル」

 

「へっ、俺様はイヴァリース一、いいや、天下一の剣豪ギルガメッシュ。お前の武器をいただくぜ、オッタル!!!」

 

「来い!!!!」

 

それからの事はよく覚えていない。朦朧としていた意識の中、何度も何度も攻撃を受け、互いの鎧や肉体を切り刻み血を吹き散らしながらも激闘を繰り広げていた。互いに致命傷こそ負っていなかったもののギルガメッシュは血を失い過ぎた。

 

聖剣エクスカリバーによる数え切れぬ連撃の後、ギルガメッシュは気を失った。オッタルが片膝をつき全身から血を流しているのを見たような気がしたのは気のせいか果たして....

 

 

 

ーーー

 

「ぐっ...はぁはぁはぁ。まさか、ここまでとは」

 

まさかあれだけの深手を負った相手にギリギリまで追い詰められるとは思いもしなかった。特にギルガメッシュが持つ武器の中でも最上級の武器であると思われる金色に輝く聖剣と思しき剣の連撃はオッタルをして死を予感させた。

 

あと数撃続いていれば地に伏していたのは自分の方だったであろう。

 

「思ったよりも強かったわね彼。オッタル、貴方が人にそこまで傷を負わされたのは久しぶりに見たわ」

 

「情けないところをお見せしてしまい、申し訳...ございません」

 

フレイヤ様が溜息をつく。

 

「いいのよ別に。それよりも彼をファミリアのホームに連れてきて頂戴。勝負に負けたのだから、私の眷属になってもらうわ」

 

「承知しました。直ちに運びます」

 

「他の者に頼んでもいいわよ。貴方傷が酷いですもの」

 

「いえ、運ばせていただきます。その後傷の手当を早急にしますので」

 

「そう。そこは貴方の好きなようにしなさい」

 

「はっ」

 

それだけ言い残すとフレイヤはガリバー兄弟に護衛を任せ、ホームへと帰っていった。自分もギルガメッシュを運び、傷の手当をせねばフレイヤ様にこれ以上心配をおかけする訳にもいかない。

 

片手で二メートルを超える男を担ぎあげ、全身から血を流すオッタルを見た通りゆく人々はギョッとしてささっと離れていく。しかし、今の自分に他人を気にしてい余裕はない。一刻も早く戻らなければ自分が倒れてしまいそうだ。

 

ふと、唐突にオッタルは思った。これが終わったら久しぶりにミアの食事でも食べに行くか、と。




長くなってしまった。
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