シャングリラ・フロンティア〜クソゲーハンター神ゲーに挑まんとす〜
の2次創作です。
玲さんが楽郎に必死でチョコレートを渡す話です。
読みにくかったり、キャラが原作と違うと感じたりするかもしれませんが、ご容赦ください。
「ふぁーー、眠いな。昨日寝たの何時だっけ?」
昨日シャンフロからログアウトしたのが確か3時半くらいだった気がするから、寝たのは4時くらいか?睡眠時間3時間じゃそら眠いはずだ。というか、4時は最早昨日ではなく今日なのではないだろうか。
つまり昨日、俺は寝ていないということでは?いや、昨日の朝に寝てるからそんなことはないか。寝不足であまり頭が回っていないようだ。ここはカフェインを摂取したいところだが、朝からライオットブラッドを飲むのも少し気が引ける。ここは朝食を摂りつつコーヒーでも飲むことにしよう。
「よし!」
そうと決まれば話は早い。さっさと着替えて飯を食おうではないか。
食べ物のことを考えたからか心なしか腹も減ってきた。手早く学校に行く支度をして部屋を出る。ドア開けて微かに香るこの匂いは鮭と味噌汁だろうか。
リビングまで降りてくると、瑠美はもう食べた後のようでソファに座りテレビを観ていた。
「おはよう」
「あ、おはようお兄ちゃんーっと、そうだそうだちょっと待ってて!」
と言うと瑠美は自分の部屋へと行ってしまった。
食卓へ目を遣るとそこには焼鮭が並んでおり、やはり今日の朝は和食のようだ。
「うーん、味噌汁にコーヒーはさすがになー」
パンならば一緒にと思っていたが、カフェインの摂取は食後に回そう。そう決めてご飯と味噌汁をよそっていると、瑠美が下りてきたようだ。
「あったあった。はいこれお兄ちゃんに!」
「ん?何だこれ、チョコレート?」
今日は何かあっただろうか、そう思いカレンダーを見て合点がいく。
「あー、今日バレンタインかー」
「お兄ちゃんそれ本気で言ってんの?もう、ゲームばっかやってるからこんな大事なイベントも忘れちゃうんだよ?」
いやちがう、ゲームでもイベントは忘れちゃならないんだ。
というかダメだな、全然頭まわってねー。こんなことじゃ妹までピザ留学に行ってしまう。
「とりあえずありがとうな。ん?ってかよく見たらこれめっちゃ高いとこのやつじゃねーか!何でこんなのを?」
「バイト先で貰ったんだよ『家族みんなで食べて』って。だからみんなで食べようね!」
「てことはお前からのプレゼントでも、俺へのプレゼントでもねーじゃん!」
「あは、バレちゃった?てか急がなくていいの?」
「うお⁉︎意外と時間がない!」
ヤバいな、これじゃコーヒー飲んでる時間ねーじゃん。今日の一時限目なんだったけなー。寝ても怒らない先生だといいんだが。
◆
「あ……ら、楽郎、くん……お、おはようごじゃいましゅ。」
「おお、おはよう玲さん」
焦って飯を食べた甲斐あってか、いつも通りの時間に家を出ることができた。そして玲さんに会った訳だが、何故だか玲さんも少し眠たそうだ。また、顔色はいつもより悪いような気もするが、赤いようにも見える。
「え、えと…………」
「ん?どうかした?」
「その…………や、やっぱりなんでもないです。」
「そ、そう?なんか顔色悪そうだけど大丈夫?寝不足?」
「……っ!そそそ、そんなことはないです。大丈夫です。元気です。」
おお、なんか凄い勢いだな。まあ寝不足なのは俺の方か。
「ならいいけど。」
「…… ……。」
ほんとに玲さん今日大丈夫か?いつものバグより酷い気がするのだが。ただこっちも眠いためあまり脳が働かない。
「…………」
うーん、会話がないとちょっと空気が重いなあ。
何か話題話題っと、そうだ!
「そういえば今日バレンタインだったんだね、俺妹に言われるまで全然気付かなくってさ……って玲さん?」
「い、いえ、えと、あの……………あっ、が、学校に用事があるのを思い出したので、さ、先に行きますね。」
「えっ?いきな『では!』」
「…………」
ええ……話始めた途端、急に立ち止まったかと思えばいきなり走って行ってしまった。一体どうし…………うん?いや、そりゃそうだよ、
いきなり男からバレンタインの話始めたらなんか催促してるみたいになっちゃうもん、逃げるのも当然だ。ああミスったな、後で謝っておこう。うん、やっぱり今日は頭まわってないな…………
◇
ああ、やってしまいました。恥ずかしさのあまり逃げてきてしまうなんて。岩巻さんに楽郎くんの好みを聞いて、今日という日のために作ってきたというのに。そのせいで楽郎くんに心配をかけてしまったし、結局渡すこともできないなんて…………
また岩巻さんに怒られてしまいそうです。せっかく昨日の夜2人で練習したのにって。でもやっぱり練習と本番はちがいすぎます!
いいえ、違います。私は岩巻さんに怒られないためにこれを渡すのではないはずです。私がこれを作ったのは彼のためであり、私のためです。彼に喜んでほしい、彼においしいと言ってほしい、そして彼に私を1人の女の子として見てほしい、そう思ったから作ったはずです。
ならばこれは渡さなければなりません。勇気を出すのです、私!
◆放課後
「あ、あのっ!ら楽郎くん!今日、良かったら、い、一緒に帰りませんかっ!」
「おお、玲さん、ちょうど良かった!俺も玲さん誘おうと思ってたから。」
「…………っ!ソデスカ。デハカエリマショウ」
今朝のことを謝ろうと思っていたらまさか玲さんの方から来てくれるとは。ということは怒っていたわけではないのかもしれない。じゃあ何で逃げていったのだろうという疑問が残るが、とりあえず謝っておくべきだろう。
「えっと」 「あの!」
「「あ……」」
「ら、楽郎くん先にどうぞ」
「そ、そう?じゃあ…えっと、朝いきなりあんな話題出してごめんね?
別に他意があったわけじゃなかったんだけど…………。」
「……っ!いえ、全然大丈夫です。全く気にしてないです、というかこちらこそ逃げるように行ってしまって申し訳ないです。」
「いや玲さんが謝ることじゃないよ。あれは俺のミスだし。で、玲さんの用件は?」
「……………………」
「玲さん?」
「…………じ、じつは、楽郎くんに渡したいものがあって、もしよかったら、受け取ってほしい、です。」
そういうと彼女は鞄から紙袋を取り出した。その大きさと、今日がバレンタインであるということから察するに中身は………
「ひょっとしてチョコ?」
「…はい。本当は朝に渡そうと思っていたのですが、恥ずかしくて……
日頃ゲームや登下校につ、付き合っていただいているお礼というか
……私の、き、気持ち、です。」
「…………お、おお。勿論受け取るよ!」
正直かなり嬉しい。勿論
ただこう、ここまで恥ずかしがられるとこっちも照れるな。いつにも増して顔赤いし、俺も若干赤くなってる気がする。
「ええっと、その、後で感想、聞かせて、くだ、さい………。
じゃあ私はこれでっ!」
紙袋を受け取ると、玲さんは一目散に帰ろうとする。また明日と言おうと思ったが、まだ大事なことを言っていないことを思い出し呼び止める。」
「待って玲さん!」
「ふひゃい!ナ、ナンデショウカ」
「………ありがとう、玲さん。」
「ふぎゅ……………………………………っ!コチラコソ」
あ、今度こそ行ってしまった。とりあえず俺も家に帰ろう。
感想はメールでも良いのか?こういうことは岩巻さんに聞いてからにしよう。
…………ってロックロール閉まってるし。今日定は休日じゃないはずなんだが。何か乙女ゲーの発売日だったのかな?しょうがない、自分で考えるか……。
◇
「いわまぎざーん。わだぜまじだー」
『偉いじゃない、おめでとう!で、なんて言って渡したの?』
「…………という感じで。」
『ほう、その返事の仕方から察するに絶対義理だと思ってるわよあいつ。でもまあいいわ、一応照れてはいたのでしょう?それだけでも十分よ。』
「そう、でしょうか。」
『そうよ。じゃあ、私は用事があるから。またね。』
「ありがとうございました。おやすみなさい。」
その後岩巻家に帰ってきた夫は1番高いワインが空いているのを発見し、また胃薬を飲むことになるのだった。
◇
今日はとても緊張しました。もう動けそうにありません。シャンフロにログインするのはやめておきましょう。それに、今楽郎くんに会ったら恥ずかしさのあまり死んでしまいます。と、思っていると机に置いてある携帯端末が振動し、メールが届いたことを報せる。
「こんな時間に誰でしょうか………って楽郎くん⁉︎」
『今日はありがとう。あのガトーショコラ手作りだよね?すごく美味しかった!じゃ、また明日!おやすみ。」
嗚呼、彼に会わなくても死んでしまいそうです。