小説の中の僕たちは戦場のあとの楽園に沈む   作:ソウブ

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1話 閉鎖的な日常 2/2

 

「食後の運動、しよう!」

 食事を終え、食器を片づけた後、リーネがそんなことを言った。あと食器の片づけを手伝おうとしたけど断られた。

「それともだらだらする? わたしはだらだらしたい!」

「前言撤回しないで」

「だってだらだらする方が楽だし―。わたしどちらかというとインドア派だし―」

「なまけ気質がよー。まあだらだらでいいけど」

「じゃあスマブラしよ!」

 

 スマブラというEスポーツに興じることと相成(あいな)った。

 

 テレビの前に二人で座り、コントローラーを握る。前と同じようにリーネは女の子座り、そして僕はあぐら。いつもの体勢になりそうだな? いつもって程過ごしてないけれど。

 

 僕はバウンティハンターを選択、リーネはピンク色の風船だ。

「おら、遠距離ビーム!」

「あ、チクチク逃げ逃げ戦法ひどい! 陰険! 極悪人!」

「言い過ぎでしょ!?」

「正面から戦えー!」

「わかったよ……」

 

 正面から戦ってボコられた。

 

「夜ご飯もわたしが作るよー!」

 カレーだった。

「美味しい」

 

 食後。

 

「お風呂入る?」

「あるの?」

「あるよ」

 

 部屋を出ると、広く長い廊下が左右に広がっていた。

 廊下の隅が、小さく見える、遠い。

「お風呂こっちだよ」

 

 リーネの部屋から二つ隣のドアを開けると、洗面所と脱衣所があった。広い。

「ここは高級な物件かなにか?」

「ここにはなんでもあるよー」

「なんでもはないでしょ」

「ごゆっくりー!」

 

 リーネは去っていった。

 僕は服を脱いで、

 

「あ、着替えはその籠に入ってるからねー!」

「僕脱いでる途中なんだけど、というかもう脱いでるんだけど」

「ごめん!」 

 

 僕は脱いだ服を籠に入れて、別の籠に着替えが入っていることを確認してから浴場のスライドドアをガラガラと滑らせ開けた。

 

 白い。そしてここも広い。ライオンの口からお湯が出ている。

 

 手前の洗い場で体を洗ってから、湯船に浸かる。

「あ~」

 気持ちいい。

「良い風呂だ」

「わたしはここでお風呂に乱入するというテンプレをこなすよー!」

「なにぃ!?」

 ガラガラとリーネがタオルを巻いて乱入してきた。

 飛沫(しぶき)を上げながらお湯に飛び込んでくる。

 僕は頭からお湯を被るはめに。

「もっと静かに入ってほしい」

 

 長い黄緑色の髪に、真っ白い肌に滴るお湯が艶っぽい。エロい。おっぱい結構ある。なんかいい匂いする。

 

「そんなことして僕に襲われたらどうすんの?」

「それはNG!」

「なら入ってこないでよ……」 

「入るの!」

 

 しばらく、無言で浸かった。ライオンの口からお湯が流れる音だけが浴場に響く。

 

「でも、ちょっと恥ずかしいね……」

 リーネは結局隅の方にスススっと移動し口まで浸かった。

 ほんとになんで入ってきたんだ。

 

 風呂から上がり、パジャマに着替えると、もう就寝時間だ。

 

「一緒に寝よー!」

「いやいやいやいや」

「一緒に寝るの!」

「でも襲われるのは?」

「NG!」

「あほくさ」

「うう……じゃあわたしの部屋の隣に使ってない部屋あるから使っていいよ」

 

 リーネの部屋の右隣の部屋が僕の部屋になった。

 

 ドアを開けると、殺風景な部屋に天蓋付きの豪華なベッドが一つ。

 ベッドさえあれば寝れるから問題ない。というよりもいい部屋だ。

 

 僕はふかふかのベッドに身を横たえて、眠りに就いた。

 

 

 翌日。リーネの部屋。

「今日はこの【タワー】内部を案内するよ!」

「【タワー】?」

「わたしたちがいるこの建物のことだよ」

「【タワー】ってことは高い建物だったんだ」

 廊下の長さから広い場所だとは思っていたけど。

「100階ぐらいあるよ」

「たっか」

「それじゃあわたしについて来てー!」

「いやほんとどこなんだろう此処(ここ)

 

 リーネに先導されて廊下に出る。

「今わたしたちがいる三階は居住区だよ!」

 長い廊下に扉がいくつも並んでいる。

「居住区ってことは僕たち以外にも誰かいるの?」

「いないよ!」

「これから来る予定がある?」

「ないよ!」

「じゃあなんでこんなに部屋が?」

「居住区だから!」

 

 階段を上って、四階へ。

「四階はカードゲームエリア!」

「うおおおおおおお!」

 一面カードにデュエルスペース!

「すごい!」

「ふふふ、わたしの部屋のカードは極一部ということだよ」

「あの部屋のカードだけでどんなデッキも作り放題って言ってなかったっけ?」

「あれは誇張表現!」

 

「五階はゲームセンターエリアだよ!」

 格ゲーやクレーンゲームやシューティングゲーム、その他さまざまなゲームが広いフロアを埋め尽くしている。

 

「六階はスポーツエリア! トレーニング器具とかグラウンドとかあるよ」

 

「七階はプールアリア!」

 

「八階は料亭エリア!」

 

「九階はギャンブルやダーツやビリヤードがあるよ!」

 

「十階動物園エリア」

 

「十一階水族館エリア」

 

「十二階自然エリア」

 

「滅茶苦茶お金かかってそうな施設だね」

 森林で(たたず)みながら風を感じる。建物内なのに。

「お金はかかってないんじゃないかな」

「え? こんな施設お金なしにどうやって建てるの?」

「【タワー】は【タワー】だから。世界がそう在るの」

「何を言っているのかわからない」

 詳しく()いても答えてくれないだろうけど。

「こんな所勝手に利用して後で莫大な額請求されない?」

「されないされない。わたしたちが楽しく過ごす為だけに存在する場所だから!」

 

 木の陰から、何かが出てきた。

 それは人型で、黒色で、昆虫のような頭をしていた。

 

「は?」

 なんだ、あれ。

「化け物……? 怪人?」

 怪人っぽい。

 人型の化け物だから、怪人。

 あんなのが、現実にいるのか……?

 目に見えているのだから、いるのか?

 

 化け物が走ってきた。

 殺気を直接叩きつけられてる感覚。

 殺される? 殺されるのか?

 状況に追いついていけない。

 だが迫る怪人。

 恐怖に硬直した。

 

「素名くん下がってて」

 

 リーネが前に出た。

 

「変身」

 

 リーネがエメラルド色の光を纏い、すぐに光が発散する。

 光が消えた後、リーネが荘厳な装備を身に纏っていた。

 

 機械の羽のよなものが背に装備され、足も機械の装甲が覆い、腕にはガントレットが装着される。それらは全て、緑色をしている。

 

「なにそれ……」

 

 リーネのガントレットから、光の剣が伸びた。

 目の前まで迫った怪人へすれ違いざまに振り切った。

 

 緑色に光る切れ込みが体に入った怪人は、僅かな硬直の後爆散した。

 

 リーネの装備が、緑色の粒子となって消失する。

 

「ふー、楽勝だったね! やっぱりわたしは最強ヒロイン!」

「あれはなんだったの?」

 わけがわからない。

 恐怖から解放された安堵感と、状況の理解不能さで心が不安定だ。

 非日常が続き過ぎて、もう混乱が極地なんだけど。

「この【タワー】を破壊しようとする敵だよ! 無関心や批判、自然の圧力ってやつ」

「え、なに? なんて?」

 無関心? 批判? 自然の圧力?

「詳しく説明して?」

「まあ敵だから倒さないといけないんだよ!」

「もっと適当になったな?」

「わたしに任せてもらえば大丈夫!」

 

 

 

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