美少女になってちやほやされて人生イージーモードで生きたい!   作:紅葉煉瓦

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#100 わたしの夢は

「おまたせぇー」

「ぜ、ぜんぜんぜん待ってないよ!」

 

 あっという間に甘良なぁと約束していた日曜日がやって来た。

 人と待ち合わせして遊ぶなんて経験が乏しいわたしはそれはもう滑稽なほど慌てふためいてしまったが、しかし甘良なぁはクスクスと笑い、

 

「もしかしてぇ、緊張してる?」

「あ、や、べ、別に?」

 

 目線を合わせるように覗き込んできた瞳から思わず目を逸らす。

 紫色の瞳に見つめられていると、なんだか心の内まで見透かされそうな気がして不気味だった。

 

「んふふ、かーいぃーねぇ」

 

 知り合ってまだ日は浅いけど、甘良なぁが何を考えているのか分かるようでイマイチ分からない。

 たぶん、自分が面白いと思う方向に行動するタイプだと思うんだけど……。

 

「そーだ、なんて呼べばいっかな?」

「あー……」

 

 オタクがオフ会をすると全員がハンドルネームで呼び合うから誰も本名を知らない、みたいな話はよく聞くけど、VTuberの場合は活動している名前で呼んでしまうと身バレの危険性がある。

 これがどこにでもあるような名前なら兎も角、わたしや甘良なぁみたいな特徴的な名前だと一発でバレる危険性が跳ね上がる。それもここ、オタクが闊歩する秋葉原なら特に。

 かと言って同じグループに所属しているならまだしも、最近知り合った個人VTuberの人に本名を教えるってのはやっぱりネットリテラシーに敏感な現代人としては躊躇うというかなんというか……。

 

「あだ名にしよっか。くーちゃんとかにしとく?」

 

 わたしが困っていることに気づいた甘良なぁが助け舟を出してくれた。

 それにしてもくーちゃん、か。

 黒猫から取ってくーちゃんなんだろうけど、黒音でもくーちゃんだからなんていうか本名の延長線上感が凄いな。

 

「じゃあわたしはなーちゃんで……」

「んふふ、いーねぇ」

 

 どうやらなーちゃんという呼び名はお気に召したようだ。

 

「それでぇ、くーちゃんはおなかすいてるかなぁ?」

「あ、いちおう」

 

 現在時刻は11時過ぎ。

 これからお昼の時間ということもあって、おそらくオフ会真っ只中だろうオタクたちがあちこちで大移動をしているのが見受けられる。

 

「んじゃぁ、お昼にしよっか」

 

 そう言うとなーちゃんはスッと手をこちらに出してきた。

 

「?」

 

 なんだろう、とその手を眺めていると、

 

「あれぇ、手繋がないの?」

「んぇ!?」

 

 いやいやいやいや、会って二回目の女性と手を繋いで秋葉原の道を歩くって難易度高すぎないか!?

 

「さすがにさすがに恥ずかしいよ!?」

「えー、そんなぁ」

 

 両手をブンブンしながら全力で拒否をするとなーちゃんは目に見えてしゅん、と落ち込んでしまった。

 まるで遊ぶのを拒否された犬みたい……。

 

「せっかくのデートなのにぃ」

「デートじゃないが!?」

 

 親睦深めるためにゆるく遊ぶとかそういうあれじゃなかったっけ!?

 うぅ、なんでわたしの周りって初対面で距離感バグってる人が多いんだろう……。

 

「まぁいいやぁ。じゃあしゅっぱーつ」

「お、おー」

 

 ところで今日なにすんの?

 

 

「おかえりなさいませ! お嬢様!」

「うわっ」

 

 なーちゃんに連れられてビルの狭い入口からエレベーターを上り、辿り着いたのはメイド喫茶だった。

 

「まさかお昼って、ここ……?」

「だよぉ」

 

 マジかよ。

 いや、確かに秋葉原といえばメイド喫茶みたいな印象はある。

 駅前の通りでチラシを配っているメイドさんはもちろん、少し入った道に行けばそこかしこにメイドや和装等々色んなコスプレをした女性が客引きをしている。

 それが秋葉原という街だ。

 

 しかし、しかしだ。

 まさか会って二回目の女の人と遊びに行く最初の場所がメイド喫茶とは誰が想像するか。

 しかもお昼ごはん──お腹を満たすためにメイド喫茶に入ることになるとは……。

 

「えー、メイド喫茶楽しぃよ?」

「楽しさより恐怖のほうが今は勝ってるんですけど……」

 

 ミニスカートに猫耳のカチューシャを付けたメイドさんに先導されてテーブル席に案内される。唯一の救いはホールの端、あんまり他の客からは目立たない席だったことか。

 うわぁ、メイド喫茶ってはじめて来たけど、凄いファンシーなピンク色空間で目に毒だ。

 

「お嬢様、ご注文がお決まりになりましたらまたお呼びくださいね♡」

 

 妙に高い声でメイドさんはそう言い残して他のテーブルにもえもえキュンをするため、一旦離れていった。

 うーん、そういえばウチの高校では文化祭でメイド喫茶をしたけど、傍から見たらああいう感じに写ってたのかな……。

 

「ほらほらぁ、くーちゃんはなに食べるぅ?」

「えーっと……、たかっ!」

 

 思わずお店の中だと言うのに大声で叫んでしまった。他の大きなお客さんやメイドさんの視線が突き刺さる。

 うぅ、だって高いんだもん……。

 

 わたしはメニュー表で顔を隠すようにして、再び上から順に目を通すことにした。

 普通のオムライスが1000円超え、ソースとかカレーが掛かったオムライスが1200円超え、カレーやハンバーグも1000円を超えていて、パフェに至ってはちっさいくせに800円を超えている。

 当然、ソフトドリンクも軒並み600円を超えていて、普通に食事するだけで2000円は優に超えるだろう。

 特別量が多いわけでも美味しそうな訳でもないのにこの値段とは、さすがはメイド喫茶だ……。

 

「んふふ、高いよねぇ~」

「うっ、そ、そうですね……」

 

 あ、やっぱりなーちゃんも高いって自覚あるんだ。

 

「まぁ私の奢りだから好きに頼んでいいよぉ。こーいうのはサービス料込ってやつだからぁ」

「サービス料……」

 

 メイド喫茶は言ってみればコスプレした女性が接客してくれるお店だ。

 ケチャップでオムライスに名前や絵を描いてくれたり、軽くお喋りしたり。別料金になるがチェキを取ったりとか、時間帯によってはお店全体でイベントしたりとかもあるらしい。

 まぁ、そうやって頑張っているメイドさんの日々の技術料やサービス料込と考えれば、普通の喫茶店よりちょっと高いぐらいならむしろ安い、のかもしれない……?

 いや、でもやっぱ高いもんは高いわ。

 

「じゃあ、普通のオムライスで……」

「んー? こっちのデミソースとかホワイトソースはー?」

「無しで大丈夫です……」

「じゃぁオムライスと食後にパフェにしよっかぁ。ソフトドリンクはなにがいーい?」

「アップルジュースで……」

「りょーかーい」

 

 そう言ってなーちゃんはテキパキとメイドさんを呼んで、注文を済ませた。

 やたらオプションをオススメしたがるメイドさんをのらりくらりと躱す姿はやけに手慣れているように見える。

 

「あの、なんでメイド喫茶なんですか?」

 

 さすがにラーメン屋とかは量産型地雷ファッションをバッチリ決め込んでいるなーちゃんが食べるとは思えないけど、お昼を食べるだけなら別に普通の喫茶店でも良かったはずだ。まあ、この時間帯なら混んでいるかもしれないけど。

 わたしの問いになーちゃんは近くのメイドさんをボーッと眺めながら、

 

「んー、社会勉強?」

 

 と、言った。

 メイド喫茶でお昼食べることが社会勉強なんだろうか……。

 

「腑に落ちないって顔だねぇ」

「あ、や、べつに」

「んふふ、くーちゃんは顔に出やすいからぁ」

 

 うっ、自覚があるだけに何も言い返せない!

 なーちゃんはメイドさんを観察するのを止め、わたしの方に向き直った。

 深く、綺麗な紫目がわたしを捉える。

 

「でもねぇ、与えられた役に徹してお客さんを楽しませるっていう意味ではメイドさんも私たちも、あんまり変わらないんだよぉ?」

「………」

 

 それは、メイドさんとVTuberは変わらないっていう意味だろうか。

 

「ほらぁ、あそこのメイドさん。ちょっと汗っかきなお客さんの隣でチェキを撮ってるのに嫌な顔一つしてないしぃ、あっちのメイドさんは自分が興味のない話題を早口で語られてもうんうんって頷きながら興味あるフリしてるぅ」

 

 なーちゃんが次々と指差す方を見ると、確かにメイドさんはみんなニコニコと笑顔でお客さんとお喋りをしていた。

 

「ああいうのってぇ、私たちも学ばないといけないプロ根性? ってやつじゃない?」

「むぅ」

「んふふ、くーちゃんは顔に出やすいタイプだからぁ、ちょっとわかんないかぁ」

 

 いや、言っていることは分かる。

 VTuberもメイドさんも言ってしまえばエンタメの提供者であり、その仕事はお客さんを楽しませることだ。

 どんなに自分が不快になってもその気持ちを時には隠して、プロとして自分の気持ちより見てくれているリスナーを優先しなければならない。

 

 VTuberはキャバクラと揶揄されることも最近は多いけど、広義として俗な言い方をすればサービスを提供して消費者を楽しませるという意味では何も間違ってはいないのだから見習うところはある、のかもしれない。

 

「まーぁ、メイドさんとかと違って私達はしっかり対価を貰っているわけじゃないし、自分の気持ちを優先するのは悪いことじゃないけどねぇ」

「………」

「むずかしーこと考えずにどうやったら人を喜ばせられるか、そういうの見てるだけでもたのしーしね」

 

 そう言って指をピッと差した席では料理を並べる際にお客さんの手にさり気なく触れているメイドさんがいた。

 たぶん女性に慣れてなさそうな男性はそれだけで顔を真っ赤にしてここからでも分かるほどドギマギとしている。

 うーん、ああやってチェキとかミニゲームとかオプションを頼ませるのか……。

 

「自分の気持ちより優先すること……」

「頭の隅で覚えておけばいいよぉ。それが必ずしも正解って訳じゃないし、くーちゃんは自分らしくあることが持ち味だしぃー。でも時にはそれが長く続けるコツになるかもねぇ」

 

 ふと、どうしてなーちゃんがここに連れてきたか、その理由がなんとなく分かった気がした。

 思えばわたしの配信って自分本位なところが多くて、コラボでも相手に甘えているところが結構多い。

 先日の学力王決定戦でも色んなコラボ相手がいるにも関わらず、終始対戦相手であるはずのアスカちゃんにフォローをしてもらっていた。

 もっと色んなVTuberさんと絡んでもいいはずなのに、わたしがあのとき絡んだのはアスカちゃんが殆どだった。

 なーちゃんはこれから先、わたしが見知らぬ他企業や個人のVTuberと絡んでいく上で大事なことをこのメイド喫茶で教えてくれているのではないか、と。

 

「んふふ、なんだか勘違いされてる予感? メイド喫茶を選んだ本当の理由はくーちゃんともえもえキュンするためだよぉ?」

「へ!?」

「ほらぁ、オムライス来たよぉ。メイドさんと一緒にぃ、もえもえキュンしよぉ」

 

 ちょ、いや、聞いてないんだが!?!?!?

 

 

「うぅ、ひどい目にあった……」

 

 メイドさんとなーちゃん三人でもえもえキュンをさせられ、なんかついでにチェキも撮られたわたしは心身ともに疲弊していた。

 

「んふふ、メイド喫茶たのしーでしょ?」

 

 よろよろと今にも倒れそうに道を歩くわたしと違って、なーちゃんはるんるんとスキップでもするんじゃないだろうかってぐらい上機嫌になっている。

 

「どーしよっかぁ。くーちゃんは行きたいことろあるぅ?」

「んぇ、別に……」

 

 正直、秋葉原って物を買うところだから遊ぶにはちょっと適していないと思うんだよね。

 これがカードゲームとかボードゲームでもするならそういうショップに行ってフリースペースで遊んだり出来るんだろうけど、別にわたしはカードゲームとかしないし、なーちゃんは見るからに興味なさそうだしな……。

 どうしよっかなぁ、と道の端で立ち止まって悩んでいるとなーちゃんが、

 

「じゃぁ同人誌巡りしようよぉ」

「同人誌!」

 

 わたし、興味あります!

 そんなこんなで二人並んでメロンブックスに向かうことにした。

 

 ゲームセンター横の狭い階段を降りてお店に入る。

 狭い空間と地下特有の息苦しさや暑苦しさに一瞬襲われるが、そこをなんとかグッと堪え周囲を見渡す。

 

「オタクいっぱいじゃん……」

「日曜日だからねぇ」

 

 休日のメロンブックスは人でごった返していた。

 気を抜けば近くの人と身体が触れるぐらい、人口密度が高い。

 

「あー、見て見てぇ」

 

 なーちゃんが指差す先のモノ、そこには甘良なぁのASMRを収録したコミケ限定グッズがあった。

 知り合い──それも今隣にいる人のグッズが棚にあるのは妙な気分だった。

 CDでは不特定多数の人に語りかけている魅惑の声も今はわたしだけが独占していると思うと、優越感に浸れるというかなんというか。

 

「んふふ、あっちにはアレもあるよぉ」

 

 再びなーちゃんが指を差す。

 そこにあるのは、

 

「黒猫燦の同人誌……!」

 

 うわ、うわ、めっちゃなんか、うわっ。

 思わずフラフラと近寄ってその表紙を手に取る。

 さすがに中身を見ることは出来ないけど、それでも表紙を見るだけでなんだか見てはいけないものを見たような謎の背徳感がやって来た。

 

 べ、別に同人誌ってえっちなものだけが同人誌ではなく、要は自主制作本全般を同人誌って呼ぶわけだから中には当然全年齢向けのものもあるんだけど、これは間違いなくえっちな同人誌だった。

 黒猫燦が半裸で、うわぁ。

 

「なーちゃんなーちゃん」

「はいはい、落ち着きましょーねぇ」

 

 興奮冷めやらぬテンションでなーちゃんに見せつけると、苦笑しながら落ち着くように言われてしまった。

 そういえば他人の目もあるし、と今更ながら冷静になると周囲の大きいお客さんたちがギョッとした目でこちらを見ていた。

 うっ、狭い場所なのに騒ぎすぎた……。

 

「くーちゃんは目立つからねぇ。場所移そっかぁ」

 

 そうは言うけどなーちゃんも大概目立つ格好していると思うんだけど……。

 まあ、秋葉原には変わった見た目の人が多いからそこまでアレではないが。

 

「じゃーぁ、ゲームセンターで遊ぶ?」

 

 なーちゃんと連れ立ってメロンブックス側のゲームセンターに寄る。

 

「あー、あのフィギュアほしぃね」

 

 ふたりでクレーンゲームを物色しているとなーちゃんがあるものを見つけた。

 それは、

 

「タヅナメイのフィギュアだ」

 

 現在のVTuberブーム、その先駆けとして活躍した超有名VTuberさんのフィギュアだった。

 なーちゃんはキラキラとした瞳でそれを見つめ、

 

「なぁはねぇ、メイちゃんに憧れてVTuberになったんだぁ」

「メイちゃんに?」

「うん。ほら、私って所謂黎明期にデビューしたでしょぉ。あの頃にデビューした今で言う個人の人たちってみーんなメイちゃんとか他の四天王さんたちに憧れてデビューしたと思うんだよねぇ」

「たしかに……」

 

 最近はあるてまに憧れてVTuberデビューしたと言う人が増えてきたけど、2017年末や2018年の頭にデビューした人たちはその殆どがタヅナメイや四天王の影響を受けてデビューしていた。

 なにせまだあるてまという箱は当然、企業とか個人という括りすらなかった時代だ。

 あの頃にデビューするのは相当ハードルが高かったと思うし、それでもデビューした人たちはみんなタヅナメイや四天王のカリスマ性や魅力に惹かれて、少しでもその輝きに近づくために活動していたと思う。

 だから黎明期の一人である甘良なぁもタヅナメイに対する思い入れは、箱からデビューした後発組のわたしより一入(ひとしお)なんだろう。

 

「VTuberってねぇ、見ている人に夢を与える人たちだと思うんだぁ」

 

 そう語るなーちゃんの紫目はキラキラと輝いている。

 

「くーちゃんは夢ってある? VTuberとして何が何でも叶えたい夢」

「わたしの夢……?」

「なぁはね、メイちゃんや色んな大好きなVTuberさんたちと共演したい。あなたに憧れてデビューした私はこうやって頑張ってますよーって恩返しをするために。でぇ、それを見た人がまたVTuberに憧れてデビューしてくれたら、さいっこーの恩返しになってみんなすっごい幸せじゃなぃ?」

 

 両手を広げて楽しそうに語るなーちゃんは夢を語る子供のように純粋で、本当にメイちゃんやVTuberが大好きなんだと感じさせるものがあった。

 わたしがデビューした理由()は、

 

「友達たくさん作ってちやほやされるため……」

「んふふぅ、いいねぇ。じゃぁ私もその夢の一欠片なわけだぁ」

 

 最近、忙しいとか人気になったからとか自分のためとか、それを理由に本当に大事なことを忘れていた気がする。

 

「みんなに夢を与えたいなら夢を追うのは大事だよぉ。本質を見失わず、初心忘るべからずってねぇー」

 

 そう言うとなーちゃんはクレーンゲームにコインを投入しだした。

 軽快な音と共にアームが動き、フィギュアが入った箱の角にその先端を当て景品を落下させた。

 

「んふふぅ、実はこーぃうの得意なんだぁ」

 

 自慢気に笑う甘良なぁの姿は決して配信やSNSでは見れないものだった。

 それからしばらくゲームセンターを堪能した後、なーちゃんに連れられてカードショップで最近ハマっているカードゲームの話をしたり、カラオケに行って配信でも言っていない一番好きな曲の話をしたり、これでもかと秋葉原を満喫した。

 

 で、日が暮れて。

 

「じゃぁ、またねぇ」

「うん、またね」

 

 帰ろうかという頃、駅のホームでなーちゃんが別れを惜しむようにギュッと抱きついてきた。

 朝は手を繋ぐことすら恥ずかしがっていたわたしだが、かなり打ち解けた今となっては既に女性特有のスキンシップへの恥ずかしさとかそういうものを感じることはなかった。

 まるで後輩の世話を焼くように色々と語ってくれたなーちゃんだが、別れを惜しむ姿はしょんぼりしていて、思わずオフ会の延長を宣言してしまいたくなる。

 まぁ、わたしは未成年でしかも高校生だからそんな訳にもいかず、また絶対に遊ぼうと約束して、電車で地元へ帰るんだけど。

 

 あぁ、でも、インターネットを通して幾らその人のことを知った気になっていても、こうやって直で遊んでみないと気づけないその人の本質というか魅力ってのが人にはたくさんあるんだなぁ、と今日一日を通してしみじみと理解させられた。

 

 ──普段何気なく絡んでいるみんなのこと、わたしは本当にちゃんと理解できているんだろうか。

 

 ぼっちだった頃からは想像も出来ない友達の難しさに、わたしは電車に揺られながら頭を悩ませた。


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