美少女になってちやほやされて人生イージーモードで生きたい! 作:紅葉煉瓦
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黒猫燦 ♪⚙ #XXXX | 20:11 黒猫燦 すみませんでした
─────2018年6月23日───── 13:15 マネージャー そろそろ他のライバーさんとコラボしてください。 13;20 黒猫燦 え 13:22 マネージャー こちらで企画は用意しますので他の同期と絡んでください 13:30 黒猫燦 困ります 13:31 マネージャー 困るのは此方です。絶対にコラボしてもらいます。 13:35 黒猫燦 わかりました……
│マネージャーへメッセージを送信 |
なんてこった。
わたしはただ画面の前で茫然とするしかなかった。
最近は平穏な日々を送れていたのだ。
知らないライバーにコラボを投げられる訳でもなく、突飛な先輩によるオフテロが起こるわけでもなく。
たまに夏波結とコラボをして自分のチャンネルに引き篭もって配信する日々。
それは基本的に人見知りのわたしにとって何よりも落ち着く繰り返しの日常だった。
だというのに! 今運営が、マネージャーが他のライバーと絡めって!
なんだそれは、わたしに対して喧嘩を売っているのか!?
運営はわたしに死ねって言ってるのか!?
「ゆ、ゆいまま……」
いつものように彼女に頼ろうとして、そこでふと思いとどまった。
──わたしは企業Vtuberとして、今後コラボするたびに彼女へ相談して助けてもらうのか……?
そもそもどうしてわたしはVtuberをしようと思ったんだ?
今の自分を変えたいと思ったからだろう。
じゃあ、ここで彼女を頼るのは、間違っている。
「が、がんばろう。一人で、うん」
具体的に何を頑張るのかは分からないが、取り敢えず詳細はマネージャーから送られてくる企画次第だ。
◆
「やあ、こんばんわ。十六夜桜花だよ」
「ぁ、う、黒猫です……」
「いやぁ、嬉しいな。漸く黒猫さんとコラボが出来るなんて」
その日の夜のうちにコラボの詳細合わせをすることになった。
で、相手は御覧の通り十六夜桜花。
わたしの胸中は人と喋るのが億劫だとかそういう感情以前に、「あ、おわった」という絶望しかなかった。
何を隠そう、わたしはこの女が我王と同じくらい苦手だった。
我王は癖の強いキャラだが、ああ見えて意外と深入りをしない空気の読める男だったが、十六夜桜花はひたすらガンガン来る女だ。
夏波結にも運営にも話していないが、十六夜桜花は毎日のようにわたしのDiscordへメッセージを送ってきている。
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黒猫燦 ♪⚙ #XXXX | 19:00 十六夜桜花 ねえ、コラボしようよ ─────2018年6月14日───── 19:00 十六夜桜花 ねえ、コラボしようよ ─────2018年6月15日───── 19:00 十六夜桜花 ねえ、コラボしようよ ─────2018年6月16日───── 19:00 十六夜桜花 ねえ、コラボしようよ ─────2018年6月17日───── 19:00 十六夜桜花 ねえ、コラボしようよ ─────2018年6月18日───── 19:00 十六夜桜花 ねえ、コラボしようよ ─────2018年6月19日───── 19:00 十六夜桜花 ねえ、コラボしようよ ─────2018年6月20日───── 19:00 十六夜桜花 ねえ、コラボしようよ ─────2018年6月21日───── 19:00 十六夜桜花 ねえ、コラボしようよ ─────2018年6月22日───── 19:00 十六夜桜花 ねえ、コラボしようよ │十六夜桜花へメッセージを送信 |
な? 終わったでしょ?
誰にも言わなかったわたしが悪いけど、十六夜桜花とだけはコラボしたくなかった。
しかしこれはマネージャーが用意してくれたコラボだから断ることは絶対に出来ない。
企業所属の悲しいところである、にゃーん……。
取り敢えず、だ。
苦手だろうと何だろうとわたしはこの女相手に一人で頑張らなければならない。
既に通話開始から瀕死の重体だが明後日のコラボは何とか乗り越えないといけない。
「ねえ、黒猫さん」
「な、なんですか」
「ボク、キミのことが好きかもしれない。ううん、かもしれないじゃない。好きなんだ」
「………???」
は? は? はぁああ!?
この人は何を言ってるんだろうか。
ほんと何を言ってるんだ!?
この通話はコラボの詳細を詰めるための初
今までタイマンで会話したことはないしチャットだって向こうが一方的に送ってきているだけで、全くと言っていいほどわたし達に絡みはない。
なのになんだこいつ!?
「一目惚れ、と言ってもいいね。キミの初配信を見てからずっと惹かれてるんだ。今こうして通話をしている時でさえ胸の高鳴りが抑えられない」
「あの、あのあのあの、え、は、えぇ……?」
「いっそ、コラボはオフコラボにしようか」
「ぜったいにイヤッ!」
一瞬わたしの勘違いも期待したのだが、ライクの好きじゃなくてラブの好きだこれ! ガチなやつだ!
う、運営いいい! やべぇ奴が2期生に混じってるんですけど大丈夫ですかこれ!?
「正直黒猫さんの声を聴いてるだけで興奮する」
「わ、わたしは何を聞かされてるの!?」
「愛を囁いてるのさ」
あ、無理。
最初はガンガン絡んでくる陽キャかと思っていた。
けど違う。
これはヤバい人だ、関わっちゃいけない人間だ!
た、たすけてゆいままー!
コミュ障が一人で頑張るなんて早かったんだ!
「ところでTwitterで呟いてもいい? 黒猫さんと付き合うことになったって」
「し、知らないうちに恋人に!?」
「初コラボは結婚報告しようね」
「運営さーん! この人あたまおかしいです!!」
「キミの愛らしさがボクをおかしくするのさ」
話にならねぇ!
マネージャーは何を理由にこの人とコラボさせようと思ったんだ。
多分十六夜桜花はあるてまの中でわたしと一番相性が悪い。
いや、向こうは相性ばっちりと思ってそうだけどこっちは相性最悪だよ! 我王とタイマンコラボしてる方がまだマシだ!
「で、コラボはどうしようか」
「あ、コラボ、コラボね……」
もう企画は頓挫した気分だ。
えぇっと、マネージャーから貰った資料は、
「ホラゲー……?」
「黒猫さんの
「そろそろ黙ってもらえます?」
「そんなに照れなくてもいいのに」
あ、通話切ろう。
「紅蓮の炎に抱かれろ! というわけでマシュマロを焼くぞ」
紅蓮の炎に抱かれろ!
王の帰還、お待ちしてました
「うむ。1通目、いくぞ」
陰キャの治し方を教えて下しい。
マシュマロ ❏〟 |
「陰キャの治し方か……」
同期に陰キャいましたね
初コラボ見てたよ
王様が治し方教えてくれるから黒猫聞いとけよ
「そもそも陰キャを治す必要があるのか?」
マロ完全否定
唯我独尊
「何故陰キャを治したいか、が我は重要に思う。人と繋がりたいから陰キャを治したいのならば勇気を出して頑張れ。貴様はまだ光の道へ進む資格がある。しかし陰キャと呼ばれるから何となく治したい、と思っているのなら諦めろ。貴様は後戻り不可能の陰キャだ」
後戻り不可能の陰キャ
流石王様、ズバズバ物申す
「そも陰キャの何が悪い。陰という文字の響きに惑わされているだけだろう。世間が勝手に抱く印象ではなく貴様の生き様で語れ、恥ずるな」
なんかよくわからんけどいい感じのこと言った
黒猫聞いたかぁ!
あいつ先輩に喧嘩売って炎上してたぞ
草
別の放送の話題は程々にな
「よし、次だ」
紅蓮の炎に抱かれろ! 我王君は普段配信外では何をしてる事が多いですか?
マシュマロ ❏〟 |
「最近は他のライバーの配信を見ることが多い。あとはゲームだな、嫌な過去を忘れて楽しめる」
唐突に影ちらつかせるな
他のライバーのネタ全部拾えるから我王様すごいよな
勉強熱心ね
「えぇいやめろ、黙れ! 次いくぞ次!」
紅蓮の炎に抱かれろ!
我王様、先日のコラボ配信面白かったです ですので、次のコラボ配信は期待してます
次はいつ来るんでしょうか? 気になって夜も12時間しか寝れません、いい感じになってるライバーさんがいれば教えてください
マシュマロ ❏〟 |
「うむ、声援助かる。そうだな、コラボの予定は……ない。何故か、ない。何故だ!?」
草
相変わらず志願者0
自分から申し込め
実は黒猫よりコラボの少ない男
もしかして:陰キャ
「黙れ! 紅蓮の炎で焼かれたいか!」
キャー
漆黒の雷で痺れさせて♡
「チッ。……そうだな、我個人の興味としては1期生のヴェンデット・ハルキオンが気になる」
おっ、べんとー様
余と我かぁ
キャラが濃い!
「確かにあるてまでは立場上先輩だが、奴には王としての格の違いを知らしめねばならん」
けどコラボ予定ないんでしょ?
ぼっち王
格の違い(笑)
「ぐぅ、いいだろう待っていろ! ひと月以内にコラボまで取り付けてやる! 絶対にな!」