美少女になってちやほやされて人生イージーモードで生きたい! 作:紅葉煉瓦
我王の協力もあって無茶な夜ふかしをすることもなく、翌朝はしっかりと睡眠をとった上で学校に行くことができた。
そしていつものごとくクラスメイトからの放課後の誘いをバイトと偽って帰ってきたわたしは、毎日のルーティンでマネージャーからの連絡事項に目を通しながらエゴサをしていた。
黒猫燦やコラボのハッシュタグで検索をすると、お昼ごろにサムネイルを付けて告知したコラボツイートの反応が次々にヒットする。
こういうときのリスナーの反応は後々コラボ配信のネタになることもあるのでしっかり目を通しておこう。
『旭くんのコラボ感謝w!人見知り旭くん見れるの楽しみ~w』
『シアちゃんと黒猫は意外と相性良さそうだから待望のコラボだ!!!とりあえず黒猫の新鮮な悲鳴待ってます!!!!』
『こーれましろちゃんが保護者で過労死するやつです。園児3人の相手お疲れ様やで』
『100万円当たります プロフ見て 会える人募集 #黒猫燦 #貧乳』
うん、盛り上がってるね。それはそうと最後のスパムはなんでハッシュタグにそれ選んだ? ブロックするぞ??
概ね好評な反応に満足感を覚えながら、次は告知ツイートに付けられた引用ツイートに目を通す。
『黒猫とコラボって大丈夫?消化器用意してる?119待機する?』
『黒猫って後輩とコラボするんだ』
『ついに4期生も黒猫さんの犠牲者リストに仲間入りか。どうか炎上だけは避けてくれよ』
『男一人で草』
『炎上ばっかりするVtuberを未だに解雇してない運営の正気を疑う。しかもデビューしたばっかりの後輩と絡ませるとかなに考えてるんだ?これで後輩が炎上したら誰が責任とるの?』
すると今までの期待に満ちた反応とは逆に、引用ツイートでは黒猫燦のコラボに不安を持つリスナーが多く見受けられた。
ツイートにぶら下がる返信の役目を持つリプライとは違って、引用ツイートはわざわざ開かないと見られない上に独り言の側面が強いので、つい普段のノリで直接的なツイートをする人が多い。
中には炎上させるために拡散を狙うアンチも潜んでいて割と魔境なのだが……、まあ最近の黒猫燦の動向を見ると不安になる4期生ファンが多いのも仕方のない話だ。
彼ら彼女たちからすると昨日までマイペースに楽しく推し活をしていたら、急に海から大怪獣がやって来てその大きな足で自分たちの街を闊歩されるようなものなんだから。さしずめ名前はクロネコン、鳴き声は「ねこーん」だろうか。
せいぜい大怪獣クロネコンは街を破壊しないように気をつけながら歩くとしよう。
いちおう、マシュマロも見てみよう。
今回のコラボではマシュマロ読みはしないつもりだけど、黒猫燦が何かしらアクションを起こすと毎回マシュマロに直接感想を送ってくるマメなファンも数多くいる。ありがたい話だ。
サイトにアクセスするとやはり前回目を通してから百単位で増えていた。
とりあえず一番上のマシュマロに目を通す。
『黒猫へ
炎上しないように』
お前はお母さんか。
『黒猫さんへ
最近厳しい世の中だからセクハラはほどほどに』
やらないが。
『後輩相手に調子に乗って自爆しないように』
うっ、本日の戒めのコーナー。
『ましろちゃんのASMRオヌヌメ。メン限だとちょっとエッなやつあるからメンバー入れ』
後輩のエッチなASMR勧めてくるうちのリスナーなに? とりあえず登録するけどさ。
『おじゃまします、旭くんリスナーです
うちの推しをよろしくお願いしますw』
出た、コラボのときにお邪魔しますよろしくお願いしますって律儀に挨拶してくるリスナーだ。
あれってかなり謎文化だけど、別に実害があるわけじゃないからなんとも言えないんだよね。まあやられる方は恥ずかしいけど。
『しあちゃんの性感帯は左耳 ※深夜の飲酒雑談より』
なんの情報???
『4期生とコラボしないで』
しまーす。
って具合で、黒猫燦が炎上しないようにアドバイスをする人がいれば謎の情報提供をする人や、中には同担拒否というか推しが誰かと絡むことを嫌がる人もいた。
旭くんは人見知りだから女性が苦手だから云々とか、紫空ちゃんは人間が嫌いだからコラボしてほしくないとか、下ネタ好きの黒猫はましろちゃんを汚すな云々とか。
最後はちょっと違うか。いや、そもそもわたし別に下ネタ好きじゃないけどね!?
しかしこうやって同担拒否やそれに類する反応を見せるリスナーが一定数いるということは、それだけ新規リスナーが増えたということなんだろう。
今まで1期生と2期生推しのリスナーは大半が箱推しのVTuberファンだったのだが、ここ最近は相葉京介や我王、旭くんといった男性VTuber人気が凄まじく、女性リスナーの増加も目覚ましいものがあった。
彼女たちの多くは最初からVTuberファンだったわけではなく、女性向け作品や声優、アイドルのファンが多くを占めている。
だからVTuber界隈の文化やルールに浅く、代わりに別界隈の文化やルールを引きずる人も多い。
まあ、新規の人が増える以上はそういう問題が起きるのは仕方のないことだろう。
わたしとしては同担拒否云々よりも、女性陣にセクハラするなよという注意マシュマロのほうが目立つせいでそっちに気を取られる。
いったいわたしがいつ女性ライバーにセクハラしたというんだね。まったく、失礼しちゃうよ。
とりあえず、コラボの反応はだいたい把握できた。
リスナーが求めているもの、求めていないもの、気をつけるべき点など配信に活かせそうなものはしっかりと記憶の片隅に残しておく。
そんな感じでコラボに向けて色々と準備を進めていくのだった。