美少女になってちやほやされて人生イージーモードで生きたい!   作:紅葉煉瓦

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#15 【雑談】マシュマロよむよー【夏波結/あるてま】

 ──私は黒猫燦が嫌いだ。


 

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 #ユイ友ライブ

【雑談】マシュマロよむよー【夏波結/あるてま】

  5,201 人が視聴中・0分前にライブ配信開始
 
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 夏波 結 

 チャンネル登録者数 24,989人 

 

「こんゆいー」

 

 こんゆいー

 マシュマロのお時間だー

 

 いつものように配信を始める。

 最近ではこの挨拶にも慣れてきて、リスナーも増えたから返事が多くなってきた。

 ……最初の頃とは大違いだ。

 

「いやー最近暑くなってきたねー。今年の夏は色々忙しくなりそうだから今からドッキドキだよー」

 

 あるてまの夏イベ!

 コミケ参戦期待していい?

 

「ふっふっふー。今はまだ何も言えないんだなあ。まあ楽しみに待っててよ!」

 

 本当に、今年の夏は大変なことになりそうだ。

 デビューしたての頃はどうなるか不安しかなかった。

 正直、私のデビューは大失敗だったから。

 

「じゃあ早速マシュマロ読んでいこっか、1通目!」

 

 

                                 

黒猫さんが相談せず(?)にコラボだけど、ママとしてどんな気持ちですか?

 

 

マシュマロ

❏〟

 

「続けて2通目」

 

 

                                 

こんゆいー

黒猫さんがコラボするそうですね。

結ママとばっかりコラボしてたし、やっぱり保護者としては心配?

 

 

マシュマロ

❏〟

 

「このマシュマロめっちゃ多いんだけど! 燦が誰とコラボしても私関係ないんだけど!?」

 

 草

 だってママじゃん

 

 あぁ、もう。

 どうしてこうなったんだっけ……。

 

 そうだ、始まりは私が彼女に邪な気持ちを持って近づいた時だ。

 あまりにも平凡で、面白みのないデビューを果たした私は2期生の中で一番の没個性として埋もれてしまっていた。

 憧れのきりん先輩のようにたとえ普通でも、元気で直向きに頑張れば人気が出ると思っていたのに、現実は燦のような話題になる子が人気になるだけだった。

 

 だから私は自分を人気にするために、当時逆恨みを抱いていた燦にコラボを持ちかけた。

 あの子でも接しやすい設定で話しかけて、なし崩し的にコラボを取り付けて後は燦の人気に乗っかればいいと思っていた。

 けど予想以上に燦は扱いが難しい子で、あの頃はよく裏で舌打ちしたりしたっけ。

 でもあの子の人気はいつしか私の目標になっていた。

 

「はい! 次もまとめていくよー」

 

 

                                 

ゆいまま……尊い……

 

 

マシュマロ

❏〟

 

 

                                 

ゆいままが黒猫さんを産んだ時の話をきかせてください

 

 

マシュマロ

❏〟

 

 

                                 

#ゆいままへ

 

娘さん(燦)を僕に下さい!

なんでもしますから!!!!

 

 

マシュマロ

❏〟

 

 

                                 

黒猫はワシが育てた。つまりワシがパパ。

ワシがパパならゆいままはママ。つまり夫婦じゃ。フゥー↑↑(勝利のポーズ)

 

 

 

マシュマロ

❏〟

 

「ママじゃないから! 産んでないから! 娘じゃないから! 夫婦でもないから!」

 

 ゆいままぁ

 娘も旦那も認知しないなんて

 俺も黒猫育てたからパパだった

 

 気が付けば私は黒猫燦の保護者ポジションになってしまっていた。

 最初は仕方なくだった。

 1人じゃ絶対にVtuberとして重圧に耐えられず潰れていくと思ったから、その人気に嫉妬していたのについ手を差し伸べてしまった。

 

 その選択に後悔はない。

 昔から困っている人は放っておけない質だったから。

 けど、それが今も続く苦労の始まりになるなんて当時は思ってもいなかった。

 

「なんでこういうマシュマロばっかりなのかなー。えーっと次!」

 

 

                                 

#ゆいねこ

【私と黒猫】

 

 私が彼女と出会ったのは、バイト先で知り合った先輩の引っ越し祝いに行った時の事だ。

 何でも前のアパートはペット不可だったらしく、先輩はその拾った子猫の為に引っ越す事にしたらしい。

 

 そんな話を聞いた私は、当然その子を見たくなった。

 お願いすると、先輩は快くスマホの写真を見せてくれた。

 

「へ~、すっごいかわいい子だね!」

 

 そこには、小さくてかわいらしい黒猫が映っていた。

 艶やかな黒毛に好奇心いっぱいに輝く瞳、それでどこか気の抜けた表情。その子――燦は、私の好みにドンピシャだった。

 

 ぜひぜひ合わせて下さいとお願いすると、先輩はその子の所まで案内してくれた。

 リビングに向かうと、燦はぐでーと体を伸ばして眠っていた。 

 起こさない様に慎重に傍に寄り、その寝顔を覗き込む。

 

 あ、目が合った……なんだか凄くビックリした顔で固まってる。

 

「目が覚め」

「にゃ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙ああ゙あ゙あ゙ぁ!!!!」 

 

 物凄い鳴き声。それに驚いているうちに燦は全力で逃亡、あっという間にいなくなってしまった。

 

「……私、嫌われてるのかな?」

 

 落ち込む私に「燦は怖がりだから」と先輩は苦笑していた。

 

「諦める?」

「……もう少しだけ、頑張ってみる」

  

 それから何日か会いに行くと、流石に慣れて来たのか逃げる事はなくなった。

 それでも一定の距離から近付いてくれないけど。

 

 猫じゃらしや玩具で誘ってみても、燦はそっけない態度。

 見かねた先輩が物は試しと、燦の好物であるチュールをあげてみる事にした。

 

「にゃーんっ! にゃ、にゃっ!」

「……えぇー?」

 

 今までの苦労は何だったのだろう? 思わずそんな事を考えてしまうくらいの豹変ぶりだった。

 それでもまぁ、いっか。

 

「ねぇ、燦――私と友達になってくれる?」

「……にゃ」

 

 『しょうがないにゃ~。お、おやつに釣られたわけじゃないんだからねっ!』と言いたげな態度に、思わず笑ってしまった。 

 

 何だかこの子って、ほんとに目が離せないな。

 

 

PS. ゆいちゃんってバイト経験ありますか?^^

 

 

マシュマロ

❏〟

 

「ほんっともう! 私のマシュマロ燦について多すぎないかな、しかもSSまで来てるし! バイトはコンビニとかバーガーショップやってたよ!」

 

 制服姿のゆいちゃん、ありやな!

 案件来たな

 どこでやってる?買いに行く

 

「今はもうやめたから探しても意味ないよ。学業とVtuberに専念したいからね」

 

 勉強も頑張ってえらい!

 成績良さそう

 

 彼女とコラボしてからこういうマシュマロが増えた。

 それは決して嫌なものではないけど、自分で読むとなるとかなり恥ずかしい。

 私は配信に映らないように画面端に写したそれに目をやった。

 

 

最近放って置けない猫と友達になった。

 

燦は、人見知りで人との関わりを怖がるくせにどこか隙だらけで、グイグイ来られると断れない気の弱い子。

でも、私が沢山お話ししても一生懸命聞いてくれる優しい子。

 

私は人の話を聞くのも好きだけど、話すのも大好き。

だから、自分から話を振るのが苦手な燦相手だと私の話す割合が必然的に多くなる。

あるとき不安になって、聞いてみたことがある。

一方的に話過ぎかな、嫌になってないかなって。

それを聞いたあの子は、きょとんとして当たり前のように言ってくれた。

なんで?嬉しいって

コミュつよなんて言ってくれるけど、ほんとに迷惑そうにされる時もないわけじゃない。

だから、嬉しいよって受け入れてくれて嬉しかった。

 

いっぱい話して、仲良くなれたと思い始めた頃、ままなんて言われた時はこの子は何を言っているんだろうとかままじゃないよといった呆れの他に、特別になれたみたいで嬉しいなんて気持ちが湧いて自分でもびっくりした。

でも、確かに他と違う特別は嬉しいし、放っておけないこの子を支えたいとは思うけど、やっぱりままはやだ。

成長するのは喜ばしいけど、親離れなんてしちゃ嫌だよ。

そばにいたい。

 

今は、皆にもあの子にもこの気持ちは秘密にして沢山のことを経験していっぱいいっぱいのあの子を支えてあげる。

 

でもいつか、ままだなんて思えなくしてあげるから、待っててね、燦

 

 

 っ、はぁー……。

 こんなの絶対配信に映せないよ。

 まあ、まあまあまあ。

 内容については、うん。

 概ね、ね。

 どこで見たの!? と言いたくなる程度にはあれだけども、あれだけども!

 

 なんでこんな子のこと気に入っちゃったかなぁ……。

 

「つぎー……」

 

 なんか元気なくなってるけど

 元気出してまま…

 

 

                                 

こんゆいー

 

先日息抜きに長野にドライブに行ったら景色がキレイだったー

 

お土産に買った峠の釜めしも凄く美味しくて大満足!

いいリフレッシュになったよー

 

ゆいママは何か行き詰まった時のリフレッシュ方法等ありますか?

 

良ければ是非教えていただけると嬉しいです。

 

タカられウサギ

 

 

マシュマロ

❏〟

 

「タカられうさぎさんありがとー。いいなぁドライブ、私もいきたーい」

 

 最近は燦のお陰というべきかなんというか、私も人気が出て休む暇がない。

 1週間後にはきりん先輩とコラボを控えているし、マネージャーさんからは夏イベントの練習が近々始まると聞かされている。

 あー休みが欲しい!

 

「そうだねー私はリフレッシュしたいときはお風呂に入ってる! 長風呂は頭をふにゃふにゃにしてくれるしー悩んだ時はシャワーと一緒に悩みも洗い流そー」

 

 僕も一緒にお風呂入る!

 俺が一緒に入ってやるよ

 

 うん、今日は長風呂にしよう。

 入浴剤とか使っちゃおうかな。

 

 

                                 

定期的に通話してるとか鼻歌は可愛いのにとか黒猫さんの彼氏面で視聴者にマウント取るのやめてください!!!!

 

 

マシュマロ

❏〟

 

「取ってない! 別に同じ企業なんだから通話ぐらいするでしょ!?」

 

 ママじゃなくて彼氏だったのか

 ゆい彼ぴっぴ

 黒猫さんが彼女、なるほどね!

 

 うちのリスナーは初期からいる私だけを推してくれる人と燦とコラボして流れてきた人がいる。

 だから必然的に燦と私の絡みを期待している人が多いんだけど、初期リスナーがどう思っているか私は不安だった。

 

 まだチャンネル登録者数が少なかった時から私を追ってくれている人の名前は全員覚えている。

 ツイッターでリプライをくれると嬉しいし、今でもチャットに名前を見かけるとつい拾ってしまう。

 けど、やっぱり1人1人見覚えのある名前は減っていく。

 だから私はそれが不安だった。

 

「うん、じゃあ次ね」

 

 

                                 

こんゆいゆい〜

 

風の噂で聞いた話なのですが、其方のご息女であらせられる黒猫さんのことなのですが、最近、悪いむshi(ゲフンゲフン……強引に迫る人が多くまったくけしから(ゲフンゲフン……いいぞ、もっとやれ!(彼女も困っていると思います)

 

ひとり立ちさせたい気持ちも分かりますが、愛娘としてもう少し手を差し出してあげては貰えませんか

 

 

マシュマロ

❏〟

 

「はい! ご息女じゃないからね!」

 

 結局最後までこういう質問が多かった。

 それを不満に思いつつも、不快ではないと思っている自分は確かにいる。

 

「えーっと強引に迫るって、最近だと祭先輩とか十六夜さんとかかな。まあ燦の友好関係が広がることはいいんじゃないかなって私は思うよ」

 

 保護者目線

 黒猫さんって強引に迫りたい魅力があるのかな

 そこんとこどう思うゆいちゃん

 

「私に聞く!? え、っと。まあ攻めたくなるよね。いや変な意味じゃないけどね!?」

 

 人見知りのくせに虚勢張りなところはなんていうかイジメたくなる。

 正確には意地悪したくなるのかな?

 リアクションが返ってくるからついついその反応を見たくなるんだよね。

 

 まあ、こんなこと言うと絶対に誤解されるから誰にも言えないけどさ。

 

「ひとり立ちに関しては燦が頼ってくるならともかく、私から過干渉するのもおかしいじゃん。ほら、ウザがられても嫌だし」

 

 思春期の娘を持ったママ

 完全に子育てなんだよなぁ

 

「あぁもう! だからママじゃないってば!」

 

 まったく、燦に関わってから毎日が大変だ。

 リスナーにはママ認定されるしコラボは忙しいしイベントの準備も待ってるし。

 それもこれも全部燦とコラボしたから、全部全部燦のせいで燦のおかげで、

 

 ──だから私は黒猫燦が嫌いだ。

 


 

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