美少女になってちやほやされて人生イージーモードで生きたい! 作:紅葉煉瓦
鉛筆転がしマスターの異名は伊達ではなかった。
続く4問目と5問目をコロコロと完全に運だけで正解した亜彩さんは、最終的な得点を9ポイントまで伸ばすことに成功した。
序盤の3問が終了した時点で5ポイントしか獲得していなかったことを思えば、残りの7問中4問を鉛筆転がしだけで的中させたのだから素直に凄いの一言に尽きる。
対する1ポイントリードの旭くんもこれまた勘だけで5問目6問目と連続で正解して、最終的には亜彩さんと同じく7問中4問を的中させて10ポイントで終了した。
奇しくもこのふたりの順位は1ゲーム目の穴埋めクイズと変わらず未だに1ポイント差で、勝負は最後の早押しクイズに託されることとなった。
……それはそうとお前ら先輩のバズった出来事に関して全部山勘で答えるってどうなんだ。ましろさんなんて全問正解だったんだぞ。
..【集計速報】全20問、ましろちゃん17点、旭10点、シアちゃん9点
..下2人が正答率50%前後って相当低レベルな争いが繰り広げられてるな…
..引っ掛け多かったけど切り抜き見てれば大体わかるサービス問題多めだったね
..絶妙にありそうな選択肢を出してくる黒猫のチョイスが上手いのか、あるてまが奇天烈集団なのか諸説ある
..4期生しか見てなかったから他の配信にも興味出た!
「うんうん、ちゃんと切り抜きとかトレンド抑えてるましろさんは先輩として鼻が高いね。逆に運だけで50パーセント当ててるふたりは褒めるべきかもっと周りに興味持とうって言うべきか迷う」
..www
..微妙に当ててるのがな
..ぶっちゃけシアちゃん途中から鉛筆転がすのが目的になってなかった?w
..4択で鉛筆転がし50%取ってるの、上振れもいいとこなんだよなぁ
..なお鉛筆転がさずに全部勘で答える旭くん
..ちゃんと先輩のバズった切り抜き見ろ
まあ、配信者にとって先輩後輩と言っても、あくまでも所属する事務所が同じというだけだ。そこまで交流のない相手の配信事情について、あまり詳しくなくてもそれは仕方がない。
「さて、そんなわけで長かったこの企画も次のクイズで最後だよ」
..そんなに長かったか?
..20問しかやってないと見るべきか20問もやってると見るべきか
..1問1問出題者と回答者のせいで内容が濃いから満足感はあるよ
..クイズって言うなら100問までやれ
「最後はクイズの王道、一発逆転も狙える早押しクイズ! テンポよくキリよく10問用意してきたから、1位と8ポイント差の亜彩さんでも連続正解すればまだまだチャンスはあるよ! あ、ちなみに一度解答を間違えたら一巡するまでは答えられないからそこだけはよろしく」
..うおおおお
..ラストは1兆点とか言わないかずっとハラハラしてた
..全30問ってキリ悪いからキリよく早押し80問やらないか?
..早押しってことは反射神経か…2人ともゲーマーだからましろちゃん不利だな
..不利(全10問で2位と8点差)
..多分ですけどね、最後に解答してもよゆーでましろちゃんが勝つと思うんですよ。あの2人自爆するので…
..旭くん頑張れー!
チャット欄を見る限りでは案の定、ましろさんの1位予想は揺るぎないものだった。
クイズ番組を見ていて一番退屈な展開は1位が圧倒的すぎて勝ちが確定しているときだと思うのだが、今回の企画では狙った訳では無いが最下位の実力が拮抗しているおかげでその心配はなかった。
1位になってもこれといった賞品がない代わりに、最下位には恥ずかしい罰ゲームが待っているというエンタメ要素もリスナー的には先の展開が読めなくて盛り上がるのだろう。
「じゃあラストだからみんなの意気込みでも聞かせてもらおうかな。最初はましろさんから」
「はーい、息吹ましろでーす! 早押しはちょっと自信がないけど、その分ゆっくり答えを考えられるから頑張りたいと思います!」
..自分の番が回ってくる前提で草
..この女、早押しクイズなのに早押しする気がないのである
..ラスボス感パネェ
「次は旭くんどうぞ」
「っす、10連続で正解して優勝します。亜彩はそもそも眼中にねぇっす」
..www
..イキれるほど正解してないんだよなぁ…
..旭くんならできるよー
「じゃあ最後は亜彩さん」
「蛙がなんで井戸の中にいるか知ってる? 海を知らないからだよ」
..???
..ちょっと何言ってるか分からない
..あー、眼中にないって言われたから海(うち)を見ろってことか?
..とんでも解釈ことわざやめろバカっぽい
「ハッ、鳥がなんで飛べるか知ってっか? 飛べるからだよ」
..??????????
..すまん、こいつらちゃんと同じ次元で会話してる?
..諺とかそれっぽい言葉使って会話しようとするとアホっぽくなる良い見本
..「俺は勝つお前のこと眼中にねぇから」「海も知らない浅いやつが何いってんの?」「鳥が飛ぶように俺が勝つのは常識なんだが?」
..なんで会話が理解できるんだ……?
..4期生リスナーは特殊な訓練でも受けてんの???
「うぅ、ふたりと同期だからって同類だと思われるの恥ずかしいよ……」
「わかる、わかるよその気持ち。私も経験あるから」
我王とか十六夜とか。こっちの話を聞かずにマイワールド展開する同期がいると苦労するよね。
..?????
..お前じゃい!
..黒猫はあっち側なんだよなぁ…
..自分を保護者枠だと思い込んでる問題児
「はいはい、早押しクイズやるよ。さっきまでと違ってシンキングタイムとかもないから、ここからは終わりまでノンストップだよ。みんな準備はいいかな?」
「いつでも大丈夫です!」
「うーす」
「どうぞ」
全員の準備が完了したことを確認した私は用意していたクイズに目を通す。
早押しクイズはプロフィールやハッシュタグといった比較的簡単に答えられるものから、特定の出来事から配信タイトルを答えたり逆にタイトルから出来事を予想したりといったちょっと難しい問題まで揃えている。
いちおう、念の為に余分に考えてきているからみんなの様子を伺いながら難易度を調整していこう。
「じゃあ第一問『我王神太刀の女性の好みは──』」
ピンポーンっと通話越しに軽快な音が響いた。
何故か事務所に放置されていた早押しボタンの音だ。
クイズを作るに当たってどうしても早押しクイズがやりたくて、四期生のマネージャーに無理を言ってそれぞれの家にまで直接届けてもらった。
やっぱり早押しクイズといえばこのピンポーンという音だし、挙手制でやると確認ができない通話越しでは大声とパッションが強い人が有利になっちゃうからね。
ちなみに同時押しに関しては私がDiscordのマイクを常に監視しているので、アイコンが光った順番で決めるつもり。
「はい早かった旭くん、まだ全文が出ていないけど答えられるのか。解答をどうぞ」
「イージー問題あざっす。我王神太刀の女性の好みは巨乳か貧乳か、答えは巨乳に決まってんだろうが!」
「ぶっぶー、残念でした。他のふたりが解答するまでお休みだね」
..wwwww
..勝手に女性の好みを晒されて勝手に間違いにされる我王;;
..仲の良い後輩から巨乳好きって大声で宣言される我王かわいそう
..問題は最後まで聞いたほうがいいってやつだ
「じゃあ最初から読み直すよー」
再び我王の性癖について読み上げようとしたら、またピンポーンと音が響いた。
「あれ、亜彩さんいいの? 続き読んでからじゃなくて」
「ましろは問題が把握できるまで答えなさそうだけど、そこまで待ってたら負けるから。旭のバカが勝手に自滅したおかげで答えは絞れたしね」
「じゃあ解答をどうぞ」
「巨乳って解答が不正解なら、きっと問題文は『我王神太刀の女性の好みは巨乳ですが、黒猫燦と夏波結のふたりならどっちが好み』とかそんな感じになってるはず。つまり答えは夏波結!」
「亜彩さん、大正解! 問題文はズバリその通り、早押しクイズの醍醐味なになにですがで続く文章だよ」
..おー
..88888
..シアちゃんすごい!
..黒猫さんと我王の初コラボで我王にとっては初めてのコラボであったやり取りが元ネタだね。出題者が黒猫だったら予想できる良問題
..それはそうと巨乳ですがって断言される我王草
..旭くんのチャレンジ精神もナイスだった!最初に間違えたから紫空ちゃんが正解したようなもんだよねw
..我王の名誉のために言っておくとアイツは一応小さいのも大きいのも等しく平等って言ってたぞ。それはそうと小さいのと大きいのが並ぶとついつい目がいっちゃうだけだゾ
..この配信で一番の被害者って我王だと思うの
概要欄には記載してないけど、この配信には我王が一枚噛んでるからね。
やっぱり協力してくれた人の名前はこれでもかと全面に押し出してあげなくちゃ。
まあ、アイツは問題を作るのに協力してくれただけで、わたしが個人的に作った問題まではチェックしてないから自分が出題されてること自体知らないんだけどね。
「これで亜彩さんはトータル10ポイントで旭くんと並んだね」
「あとは旭が自滅してうちが正解すれば勝ちってわけ」
「は? じゃあ俺ぜってーお前より先に答えねーし。お前の間違い待ちすっから」
「はぁ? それならアンタが答えるまでうちも答えない。残念でした、これでアンタの勝ちは無くなったから」
「あ、じゃあ私が最初に解答するね?」
「ちなみにましろさんが全問正解したら同率最下位でふたりとも罰ゲームだから」
わたしとましろさんの言葉を聞いたバカコンビが息を呑む気配を感じた。
早押しクイズは相手より先に解答をしてしまうのが一番簡単な勝ち方だが、万が一間違えてしまったらみすみす解答権を譲ることになってしまう。
しかも譲った先でも間違えると十中八九、ましろさんが正解をしてしまい順位が動かないことになる。
どうやらこの早押しクイズ、相手より先にボタンを押すか押さないかの心理戦へとステージを変えたようだ。
「じゃあ次の問題いくよー。えーっと、『相葉京介の身長は──』」
ピンポーンと再び音が響く。
解答者は……、旭くんだ。
「じゃあ旭くんどうぞ」
「身長に関する問題、だったら175センチくらいが答えだろうが!」
「はい違いまーす」
「……やばい、うちも身長わかんない」
よく考えたら、こいつらバカだから心理戦とかそもそも関係なかった!
イノシシみたいに突っ込むか、問題の答え分からなくてフリーズするかのどっちかしかねぇ!
すると今度はましろさんの方からピンポーンという音が聞こえた。初押しだ。
「あ、じゃあ私身長ならわかります。問題の続き気になるけどシアちゃん答えないなら答えてみようかな。178センチ」
「問題は『相葉京介の身長は何センチ』、答えは178センチでましろさん大正解!」
「やった!」
..88888
..プロフィール把握してるってすご
..京介くんかなり身長高いんだよね
..イケメン系ラノベ主人公だからな
..~ですがの問題とシンプル問題混ぜてくるのやらしい
..バカコンビがシンプルバカで黒猫が工夫して出題しても意味なくてほんと草
..そもそも自信満々に早押ししといて~くらいってあやふやかよ
「あ、そういえば今の正解でましろさんが18ポイントになったから自動的に1位確定だね。ふたりのうちどっちかが残り8問連続で正解しても、最大18ポイントになるから同率1位が限界だし」
「え、あ、ほんとですね。わ、わーうれしー」
..ましろちゃん優勝おめでとう!!!!
..やったー優勝だあああああああ
..88888888888888888
..うおおおおおおおおおおおおおおおお
..※まだ8問も残ってます
..拍子抜けする定められた勝利過ぎて素直に喜べないの草
..ここまで既定路線ここからが本番