USJ襲撃編のクリア特典として、オリ主の過去のちょっとしたお話があります。
ま、オリ主はUSJ途中から
☆閑話は耳郎ちゃんの話に決まりました
二番目に多かった話の約2,6倍の投票数でしたね
ただ投稿は土曜正午……とはいかなさそうです。ご了承ください。
「衰えた? 嘘だろ…完全に気圧されたよ。 チートがぁ…!」
オールマイトを前に頭をかきむしりながら呟き続ける敵。
「どうした? 来ないのかな!? クリアとかなんとか言ってたが…」
出来るものならしてみろよ!!
更に迫力を持って睨み付けるオールマイトに、敵が声をあげる…。
「さぁどうした!?」
しかしその言葉とは裏腹に、今のオールマイトは時間がない。よく見れば土煙に紛れつつも変身するときの蒸気が出ているから。
「主犯格はオールマイトが何とかしてくれる!」
「…俺たちは他の連中を助けに…緑谷?」
切島くんたちはオールマイトの現状を知らないから安心と共に自分たちに出来ることをしようとしているけど…でもオールマイトは……これは――
「何より…脳無の仇だ」
主犯格二人がオールマイトへ走り寄る。
―――僕だけが知ってる
「な…緑谷!!?」
ワン・フォー・オールを発動してオールマイトの下へ跳ぶ。しかし制御が上手くいかなくて足が折れる!!
―――届いた!!
「オールマイトから離れろ」
一瞬、敵が僕に反応して動く。
「二度目はありませんよ!!」
相澤先生の肘を崩した敵の手が迫り来て――
―――その手に弾丸が撃ち込まれる。
「来たか!!」
「ごめんよ皆、遅くなったね。 うごける者をかき集めてきた」
「1-Aクラス委員長、飯田天哉!! ただいま戻りました!!!」
避難し助けを求めに行った飯田くんが、多くの先生方と共に戻ってきたのだ。
その後主犯格の二人はこの場から逃げ失せ、僕は足が折れたものの、そのかいあってオールマイトは無事だった。
この時僕らが経験した、プロの相手にしているもの。それは僕らにはまだ早すぎる経験だった。
◆◇◆◇
「ってぇ…両腕両脚撃たれた…完敗だ…」
そこはとあるバー。そして
「平和の象徴は健在だった…! 話が違うぞ先生…」
『違わないよ』
黒霧のワープで逃げ戻った死柄木の声に答えたのは、パソコン越しの何者か―いや、先生と呼ばれた人物。
『ただ見通しが甘かったね』
『うむ…なめすぎたな。
どうやらパソコン越しに居るのは一人だけではないようだ。
「そういえば一人…オールマイト並みの速さを持つ子供が居たな……それと脳無のパンチを腕を受け止める子供も……」
『…………へぇ』
「あの邪魔がなければっ! …ガキがっ…ガキ…!」
『悔やんでも仕方ない! 今回だって決して無駄ではなかったハズだ』
『精鋭を集めよう! じっくり時間をかけて!』
『我々は自由に動けない!』
『だから君のような“シンボル”が必要なんだ、死柄木 弔!!』
次こそ君という恐怖を世に知らしめろ!
◇◆◇◆
『アンタ、また来たのかい。今回は事態が事態だからあまり強くは言わないけど、入学して1ヶ月もしないうちに二度も保健室に来るのはあまり良くないよ』
『今回は緑谷を庇って怪我したんだってね。
右腕は折れてたし肋骨もヒビだらけ。 肋骨は治癒してほぼ健康体だが、右腕は4日間ほど覚悟しときな。 治癒はアンタの体力を消耗するから、こうした骨折を連続して癒すのは逆に命取りになるのさ』
『今後はあまり怪我しないようにする事。 それと肋骨の治癒で体力をだいぶ消耗してるから、ここで休んでから帰りな』
「へー。それでアンタ、しばらくは右腕使えないんだ」
「そういうこと。ま、折角庇った緑谷もケガしてたらしいから複雑なんだが、一応は
今、俺は保健室に居る。数日振りだから
「見た感じ、耳郎は特にケガとかなさそうだな。良かった」
「…まぁね」
既に放課後。突然の
「……実はさ。 ウチ、ヤオモモと上鳴と一緒に山岳ゾーンに飛ばされてたんだ」
「そうか。 やっぱ
「まぁ、確かに楽じゃなかったんだけど。それは良いんだ。上鳴の放電でなんとかなったし」
俺がやったのと同じ要領だろう。 むしろ個性が帯電とはっきりしてる分、俺のより強力かつ素早い発動が出来るので対多数への対処は早い。
「ただ問題があったのはその後なんだ。 上鳴の放電のデメリット、記田も知ってるよね?」
「アホになるヤツだろ?」
ウェ~イってな。
「うん。 で、ウチらが
「…動いたら殺す、とか言われたのか」
「そう。まぁ
「脅された訳か…最終的にはどうなったんだ? 結局誰もケガはしてないんだよな…?」
先生が来て助けてくれた。でも。
「それからは何も出来なくて。もしあのまま先生が助けてくれてなかったら……そう思うと悔しくて」
記田は緑谷を助けようと動いて、緑谷を一時的にとはいえ助けた。梅雨ちゃんも、アンタが動いたお陰で助かったって言ってたよ。記田は友達を助けたけど、ウチは自分では助けられなかったんだ…。
俯き、そのまま黙り混む耳郎。 とても悔しかったのか耳が赤くなっていて、涙らしき物も見える。
…それは入試の日も含め、この雄英で過ごしてきた中で初めて見る耳郎の姿。耳郎と過ごしたのはまだ数日程度だが、決してすぐに忘れられるようなモノではなかった。
「確かに結果だけみりゃそうだろうけどさ」
大事なのは過程。それに含まれる動機だろ。
「資格とか色々他にもあるにはあるけど、俺たちが
俺の場合は敵が俺の居場所を把握してなかったり、俺らを
「耳郎の場合は真正面に居て、それに舐めてるような様子はなかったんだろ? 俺の時とはそもそも条件が違うぞ」
それに。
「耳郎が動こうとしたのもそれを止めたのも、お前が上鳴を
「……それじゃ、もし先生が来てなかったら…」
顔を上げて、耳郎が問いかけてくる
「いや、飯田が呼びに行ってたらしいから来ないなんて事は有り得なかったよ。 それに」
自分が力不足だと、自分の手で助けられなかったと嘆く暇があるのならさ――
「同じような状況で、今度こそ自分の手で助けられる。 そういう能力を身に付けられるように、今…」
――努力すべきだろ。
耳郎の目を見つめる。少しの後に目が合い、一瞬気恥ずかしさが込み上げるが逸らしはしない。
「……ッ」
耳郎に目を逸らされた。
「それで身に付けられたら良いさ。それなら次は助けられる。 そういう能力が身に付かなかったとしても、それこそそれを補えるような“何か”を事前にしておけば良いんだ」
なぁ耳郎。俺は付き合いが短いから耳郎らしさなんて俺には説けないけどさ……でも短くてもはっきり分かる、耳郎の良さもあったよ。
「俺は、耳郎は良いヤツだと思ってる。」
入試ん時みたいに知らないヤツが困ってたら、真っ先に助けに行ける。屋内戦闘訓練の時みたいに絶望的な状況でも希望を掴もうと足掻ける。USJじゃ、上鳴を助けようとして助けられなかったと、悔やみ涙を流してる。今みたいに、ケガした俺を心配して見舞いに来てくれてる。
だからさ――
「―――いつまでも下向いて俯いてんなッ! 前見ろよ!今出来ることは何だ!そんで出来なかったと悔やむくらいなら、次こそ悔やまないようにしろよ! ヒーロー目指すなら立ち止まってんじゃねぇ!」
僅かな静寂の後に耳郎が口を開く。
「…ねぇ、なんでそんなに前を見てられるの?後悔しないの?そもウチの何を知ってんの?」
短い付き合いで、知った風に言わないでよッ!
それはきっと、耳郎が抱える重み。ヒーローになるために雄英に進学し、その中で積もってきたプレッシャーや悔しさなどの表れ。
「そうさ! 俺と耳郎はまだ短い付き合いでしかねぇ!だから!」
これから、俺に耳郎の事教えてくれよ!
「それに俺だっていつも前見てられる訳じゃねえし、後悔してんだよ!俺は、俺はッ――」
―――この手で母さんを、兄弟を殺したんだ。
手を当て、顔をベッドに下ろす。それとほぼ同時に耳郎が息を飲んだのを感じた。
「……それは、どういう…」
「なぁ耳郎」
顔を上げ、また耳郎の目を見つめて話す。
「前、俺と切島が小学校中学校と一緒だって、話、したよな」
「…うん、言ってたね」
「一緒ではあるんだが、俺は小3の時に転校してきて、切島に出会ったんだ。 だからこの先話すことは少しだけしか切島も知らないし、父さんと一部の人しか知らないんだ」
だからここから先の話は、秘密って事で良いか?
「…分かった。 二人だけの秘密」
「まぁ、“二人だけ”ではないんだがそういうことで頼む」
◇◆◇◆
俺が小2の時の話。
俺の母さんはヒーローだった。 あ、比喩じゃなくてプロのヒーローだったって話。
父さんはサポートアイテムを作る企業に勤めてるんだが、それはあまり関わらないんで言及はしない。
それで母さんなんだが、ヒーローではあったものの家族の事は世間にはあまり公表してなかったんだ。理由は分かるよな? そう、危険が及ばないようにってとこ。
まぁヒーローに捕まった敵がその家族を狙うなんて事も少なくはないみたいだし、実際、母さんはそれを恐れてたんだ。
10年以上前になるから耳郎は知らないかもしれないけどさ、スタンプヒーロー プッシュって知ってる? なんかヒーロービルボードジャパンにも、何度か名前出てたらしいんだけど。
あ、それは母さんじゃなくて俺の叔母さん。母さんの妹なんだ。母方はヒーロー一家だったみたいで、皆名前も似た感じだから紛らわしいよな。
記田って姓は父さんの物。俺は今、父さんと二人で暮らしてるんだよ。
それはともかく。
本題に戻ると、母さんが恐れてた
どこから漏れたかは知らないけど俺たち家族の事を知った
それから母さんが駆けつけてくれたんだが、敵は俺たちを盾に母さんを痛め付けたんだ。それが当時の俺には堪えられなくて……。
で、気が付いたら敵が死んでて、俺は母さんと弟も殺してた。何がどうなってそうなったのか。
うん。最初は俺も、自分がやったんじゃないって、そう思ってた。耳郎も知ってるよな。俺の個性。そう、
俺――“個性”が2つあるんだ。何故かは俺も知らない。実際、その事件の前まではマーキングしか自覚してなくて、それに今はマーキングしか使ってないから。
おかしな話だろ?だから事件の内容は切島にも言ってない。切島は俺が母さんと兄弟を亡くしたってことしか知らない。
じゃあそのもう1つの“個性”がどうしたって話なんだが…。
その個性は、発動すると異形に変身するんだ。元は今の俺そのものの只の人なんだが、発動すると変身する。それはそれでまぁ身体能力とか上がるし、皮膚は凄く硬いし、なんかよく分からないけど他にも出来そうなんだが、意識がすぐ薄れてほぼ制御出来ないんだよ。だから発動なんてするといつ誰をどうしてしまうか分からない――実際、後にカメラに映ってたのは、変身した俺が
だから普段は使わないようにしてるんだ。極一部の、本当に限られた時以外はな。
◇◆◇◆
「……なんか、ゴメン」
「謝んなくて良いって。俺が話したんだ」
話し終えると、耳郎が謝ってくる。
「なんでかな。長い付き合いの切島には上手く話せなかったのに、耳郎にはすんかり話せた」
「それって、どういう…?」
「ま、俺は耳郎のことそれくらいには良いヤツだと思ってるってこと」
「…そっか」
…どこか、耳郎が呆れているような…?
「ねぇ記田。 アンタって本当人の気持ち考えられないんだね」
「…どういう事だよ」
「人にはしつこくあんだけ語っておきながら、結局ウチの言って欲しいことは言ってくれてないってことだよ」
「…ちゃんとさっき言ったことの意味は話したじゃないか。 あ、本当この事は秘密って事でよろしく頼むな!」
この通り、なんて大袈裟にポーズをとる。
「フフッ…仕方無いな」
笑いながら立ち上がる耳郎。
「…帰りか?」
「うん、そろそろ帰ろうかなって。アンタはいつ帰るの?」
「俺はあと30分ほどは残るようリカバリーガールに言われててさ。それからだな」
「そっか」
あ、そうそう。
「ウチの事教えてほしいんでしょ? 来週の土曜、空けといて」
それじゃ、なんて言って保健室を出ていく耳郎。
―――しかし何故、来週の土曜? 空ける?
……これは。 もしかしたらもしかしちゃったのかもしれない。
以上、後半はオリ主過去語り3割耳郎ちゃん6割その他1割でお送りしました(当社比)
後半保健室でお送りしてますが、原作のデクとオールマイト、塚内警部のシーンはちゃんと存在しています。オリ主がその間横のベッドでグッスリ寝ていたので描写はされていません。
つまり後半は時系列的にはデク帰宅、オールマイトは会議出席中の事になります。
この後半から閑話に続くぞ!