Marker   作:ワワ

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私生活が慌ただしくなったので前回投稿から1週間以上も経ってしまいました。
普段の話より少し長いですが、なんつーか読む読まないはお好きにどうぞって感じがしてる話です。


一応、閑話もう一話投稿してから二章に入ります。
今後は今回のように更新ペースが落ちますが、ご理解下さい。


閑話 奏でろ! 耳郎!

ウチらがUSJで(ヴィラン)に襲撃されてから、今日でおよそ一週間。あの敵襲撃事件は高校としてはとても大変な事態で、時々ニュースで雄英の警備体制への疑問が取り沙汰されてるのも見る。

そんな中だけど雄英体育祭は予定通り決行されることが決まったので、今はあと一週間で体育祭という時期でもある。

体育祭参加種目の決定、それに伴う個々人の準備…。雄英体育祭はヒーロー科(ウチら)にとって職場体験やインターンなど後々に大きく関わってくる上、時には将来のヒーロー活動でかなりのアドバンテージにも成り得る大事なチャンス。だから誰も手を抜けない、抜かない。皆、この二週間でかなり仕上げてくると思う。ウチもそのつもりで、実際に昨日まで――そして多分明日からも、準備に勤しむことになったし、なるんだと思う。

 

でも、今日は息抜きをする日。

誰だって、何をするにしたって一息にやり続けるのは上手いやり方じゃないから。集中力は落ちるし、時間あたりの効率も悪くなる。だからしっかり休息をとったり、リフレッシュしたりすることが必要になる。

 

 「お、耳郎おはよ」

 

 「おはよう。待った?」

 

 「いや、そんな待ってねぇよ。むしろナイスタイミングだ」

 

そう言って笑う記田。 今日は記田とちょっとした予定があり、こうして待ち合わせをしていたのだ。待ち合わせ時間は本当はあと30分くらい先なんだけど、二人とも揃ったんだから特に重要ではない。

 

 「しかしこの公園、良い所だな」

 

 「でしょ? ウチ、小さい頃からここによく遊びに来てたんだよね」

 

待ち合わせ場所にも指定したこの公園はこの辺りでは有名な場所。ここから徒歩圏内にショッピングセンターやカラオケなどの施設があり、また少し離れるけど夏場は賑わう海水浴場もある。我が家も含む住宅街からも大して距離はないので、基本的にはいつも人で賑やか。 最近は夕方になるとここでストリートライブ的な事をしてる人も居る。

 

 「ちょうど今みたいに忙しい時期は、こういう所がありがたいな。荒んだ心が、癒される」

 

 「だよね。 ウチは受験勉強の時とかよくここに息抜きに来てたんだ」

 

 「まだこの辺詳しくないから、こういう所教えてもらえるとスゲー助かるわ。ありがとな!」

 

その言葉から分かるように、記田は元々この辺りに住んでる訳じゃない。雄英に通うにあたって千葉から越してきたのだとか。

 

 「どういたしまして。 それじゃちょっと早いけど、行こっか!」

 

 「おう!」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 「…じゃあ記田って、産まれたときから個性発現してたんだ?」

 

 「あぁ。ま、発現つっても、当時青と緑しかマークもなかったらしいんだけどな」

 

待ち合わせ時間前に集合したウチらは今、ショッピングセンターへ向かっていた。

 

 「ならマークの色って増えていくモンなの?」

 

 「一応そうみたいだが…今後も増やせるのかは分かんないな。小3の時には、今と同じ6色あったし」

 

 「へぇ。なら今後も色増やせたら、記田はもっと汎用性高められる訳か…」

 

 「容量(キャパ)の問題もあるし、無理そうだけどな」

 

 

 「キャパ?」

 

あぁ。そう言って記田が話したのは、昔唱えられたという個性容量上限(キャパシティ)論。

この個性容量上限(キャパシティ)論というのは所謂複合型個性にまつわる学説で、ざっくり言うと人が有する個性因子には上限があるのではないかという物。この論文の話からすると記田の個性は放熱や衝撃波などの複合型個性で、既に容量の大きな個性(モノ)なのだとか。それでいて記田はもう1つ個性があるから、既に上限容量ギリギリ。だから無理だろうと。

 

 「そんなのがあるんだ」

 

 「結構マイナーな学説だけどな。…で、アレが目的のショッピングモールか?」

 

 「あ、そうそう。木椰区のショッピングモールのが幅広く扱ってるからそっち行っても良かったんだけどね」

 

ちょっと行きたい店があって。

 

 「記田はどこか行きたい所とかあるの? あるなら付き合うけど」

 

 「…なら1軒だけ構わないか?」

 

 「良いよ。先そこ行こっか」

 

 「悪いな。そんなに時間かかんねぇから」

 

 「気にしすぎないで良いって。それでどこに?」

 

 「所謂ホームセンターだ」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 「これは…金属? ホームセンターにこんなの置いてあるんだ」

 

記田が店に入ってすぐに向かったのは金属コーナー。ウチはあまりこうした所に来なかったのもあって、ホームセンターに金属が置いてあるなんて知らなかった。

 

 「普通ホームセンターにはあまりないんだが、この系列店って何故か置いてあるんだよ」

 

 「でもそんなの買ってどうすんの?」

 

記田が手に取った―というより抱えたのは、何かのパッケージ。

 

 「買った分全てがそうかは限らねーけど、大抵は加工して使うんだ」

 

俺が鉄球使うの覚えてないか? アレ作るんだ。

 

そう言われれば確かに、記田はよく投擲する形で鉄球を使っていた。

 

 「あの鉄球って自分で加工してんの?」

 

 「ああ。サポートアイテムの扱いじゃねぇし、多少設備さえあれば“個性”で熱加工できるからな」

 

パッケージをそのまま3つ抱える記田。

 

 「俺はこれ買えばもう用は無いけど、耳郎は何か買うものある?」

 

 「ウチは大丈夫かな」

 

 

それから記田がレジで精算を済ませ、戻ってくる。

 

 「待たせた」

 

 「大丈夫だって。それじゃ今度はウチが案内するね」

 

 「おう!」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

ホームセンターを出てまず来たのはブティック。ショッピングモール内にブティックは何店舗もあるけど、ここは全体的に落ち着いた物が多い。

 

 「ブティックか」

 

 「うん。ウチ、ここによく来るんだ」

 

メンズ、レディースのどっちも扱ってて、そのどれもが手を出しやすい値段だからちょうど良いんだよね。

 

 「見た感じだけど、確かにそうだな」

 

これとか良いかもな。

 

 「なあ、これとか耳郎似合うんじゃねーか?」

 

 「あ、それ持ってるよ」

 

マジか。

 

 「うん。それより、記田は何か気になるものとかないの?」

 

 「特にはねーな…。耳郎はないのか?」

 

 「ウチはいいかな」

 

 「そっか。 …あ、ちょうど良いし、グローブでも見るわ」

 

グローブ…。

 

 「そういえば記田って、授業中もグローブしてるよね。今更かもだけど、そのマークってオンとオフの切り替え出来ないの?」

 

確かに今更だな、なんて笑う記田。

 

 「無理だ。触れ方で刻まないように出来なくもないけど、ふとした拍子につい刻んじまう」

 

だからグローブして、無闇にマークを刻まないようにしてるんだとか。

 「飯田がメガネ属性なら、俺はグローブ属性だな」

 

グローブ属性て…。それはないんじゃないかな。確かに日常的にグローブしてる人なんて珍しいけど。

 

 「記田の個性、便利で良いなって思ってたけど不便なとこもあるんだ」

 

 「そこは一長一短だな」

 

 

あ、コレ良いな。そう言ってグローブが並ぶ一角を眺める記田。結局記田はそこでグローブを買うことはなく、ウチらは手ぶらで店を出た。

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

その後記田と更に2軒ほど回ってから、昼食を採るためにショッピングモール内のフードコートに来ていた。フードコートの規模は雄英の食堂よりも広くて出店している店舗数も多いので、ショッピングモールに買い物に来ている人の多くが利用しているんじゃってくらいに賑わってる。

 

 「…にしても、アンタ食べ過ぎじゃない?」

 

 「“個性”の関係上、エネルギーをとにかく使うからな。このくらいでようやく体重の維持が出来る程度だ」

 

そういう記田が食べているのは、バーガー2つにナゲット、ポテトのLサイズ。ウチは特に少食というほどでもないから、記田の食べる量が多いのは確かだ。

 

 「え、マーキングってそんなエネルギー使うの?」

 

 「結構食うぞ。俺が刻むマーク、アレって元は血が元になってるからな」

 

それを最低でも一度に3個以上同時に使うんだ。食わなきゃすぐに死んじまうよ。

 

 「不便過ぎる気がするんだけど…」

 

 「威力はともかく汎用性は高いんだ。それくらい、俺としては何でもないさ」

 

記田が何ともなさそうに笑う。

 

 

 

 「悪いな、待たせて」

 

気付けば記田はもう食べ終わっていた。ちょっと考え事に夢中になりすぎたらしい。

 

 「気にしないで大丈夫だよ。むしろあれだけ食べてたのにウチと大差ない時間なのがビックリなんだけど」

 

 「ま、昔からアレに近いだけの量を食べてるからな。流石に早くもなるだろ」

 

それで、午後はどこに行くんだ?

 

 「んー、そだね…。 ちょっと、まぁ…」

 

 「どうした?」

 

 「あー、うん…着くまでの秘密ってことで」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

目的地はショッピングモールからある程度歩いた所に構えるとある店。ここははロックの専門店のようなもので、ギターやベースを中心としたバンドで使われるような楽器やロックバンドの楽曲を多く扱っている。

 

 「これは…ロックバンドのCDか」

 

 「記田も知ってる? そのバンド」

 

記田が手に取ったのは最近新曲を出したとある有名バンドのCD。入り口の今月の新曲コーナーに並んでいた内の1つだ。

 

 「いや知らないな。つーかそもそもバンド自体詳しくないんだよな…」

 

耳郎は詳しいのか?

 

 「あ…まぁ…」

 

 「んー…ロックねぇ…。 これはギターか」

 

店内に並ぶ楽器やCDに付属するバンド紹介などを熱心に見ていく記田。授業とかでは結構積極的な方でよく質問してるのを見るからなんとなく予想はしてたけど、やっぱりロックに興味を持ったらしい。

 

 「それギターじゃなくてベースだよ。 ギターの弦は6本あるけどベースは4本しかないんだ」

 

 「え、そーなの?」

 

 「うん。他にもギターとベースじゃ出せる音や役割も違うんだよね」

 

ギターはコードでメロディを奏でる役で、コードっていうのは複数の音を同時に鳴らす感じ。色々音が出せるんだ。

対してベースは演奏に厚みを出す役。複数個の音を同時に鳴らすことはないけど、ギターより低い音が出せる。

 

 「へぇ…。見た目似てんのに、やることは結構違ぇのな」

 

じゃ、コイツがベースでソイツがギターってことか。

 

近くに並べられたギターとベースを比べ見て言う記田。少しずつ移動しながらも、その動きはかなりゆっくりでほとんど夢中になってるみたい。

 

 

 

それから店内を見て回る間で記田に質問詰めにされた。エレギとアコギとか、キーボードとか、バンドについてとか。記田自身はバンドやロックについてはニュースとかでたまに目にする耳にする程度で知識はほぼなかったらしい。

 

 「なぁ耳郎、ちょっと聞きたいんだけどさ」

 

店内をだいたい見終え、色々解説し終えたタイミングで話しかけられた。

 

 「どしたの?」

 

 「来月とか落ち着いた頃にでも、またここ一緒に来てくれないか?」

 

 「あ、あー…なんかいきなりだね」

 

 「こうして見てて思ったんだけど、耳郎って楽器…いやロックについてか、詳しいよな」

 

 「まぁ…親が好きで小さい頃から教えられてたから…」

 

 「へぇ、良いことだな。俺は特にそんな覚えはねぇから羨ましいよ」

 

それはともかく。

 

 「こう、見ててさ。思ったんだよな」

 

ギター始めようかなって。

 

 「そうなんだ。あ、それで買うならどれが良いかってことね」

 

 「ああ。それと教えてもらえたらなって思ってさ」

 

 「いつになるかはまた話すとして、来るのは大丈夫。そりゃ分かんなかったりするよね」

 

 「助かる。ありがとな耳郎!」

 

 「どういたしまして」

 

 

 

 

 

◇◆◇◆

 

 

 

 

 

あれから少しして楽器店を出たウチらはそのままショッピングモールを出て集合場所にしてた公園まで行った。それまで色々話して、夕方頃に別れた。

記田に言われた事をきっかけに今日こうしていた訳だけど、息抜きとして確かなものだったな。記田も楽しんでくれてたら、息抜きになってたら良いんだけど。

 

 

―――帰ったらまた体育祭に向けた準備をしないと。

 

体育祭について、記田とちょっとした約束というか、賭けのような事をした。だからって訳じゃないし、そもそも雄英体育祭って言ったら誰もが知るビッグイベントでウチらにとっては将来に繋がる重要なイベント。手は言われなくてもむしろ言われても抜かない。

だけど。

 

 

これは、頑張る理由が増えたな。

 

 

 

 

 




難産でした。耳郎ちゃん好きなんで毎日頑張って考えたけど、どうしても書いては消してを繰り返す内にこうなった…。
なんかオリ主に耳郎について教えるって口実(?)より耳郎がオリ主について詳しくなってくだけな気が…。


タイトルは結局変えなかったけど「奏でろ!」要素無いです。体育祭前なので色々考えてたら無くなりました。ただ体育祭編以降のどこかでまた耳郎回が入ることになります。多分そのどこかで「奏でろ!」要素が入るハズ。


ハイエンド戦、アニメで見るとエンデヴァーやっぱカッコいいわーってなる。みろや君も良いよね、彼のガチさ好き。
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