Marker   作:ワワ

8 / 17

燈矢=荼毘説、あるじゃないですか?
個人的にかなりそうであってほしいなっていうか、まずそうだろうと思ってるんですけど。
ま、それだけなんですが。


今回ちょっと少なめ。


閑話 Marker

 

 

ヒーローとは何か、(ヴィラン)とは何か?

俺は今まで、多くの人にこの問いを投げ掛けてきた。

個性のある一般人。個性のない一般人。ちょっとした事をやらかした(ヴィラン)。指名手配されてる凶悪(ヴィラン)。あまり名の知れないヒーロー。かなり有名なヒーロー。

 

 『ヒーローは人々を救う正義さ』

 『(ヴィラン)は人々を苦しめる悪だ』

 

多くのヤツは、これに大して差異のないことを言う。

 

 

国が定めるヒーロー、(ヴィラン)の定義はこうだ。

 

 『ヒーローとは免許を以て個性を使用し、災害や(ヴィラン)による犯罪行為から人々を救う者である』

 『(ヴィラン)とは個性を無断使用し、人々や社会に被害をもたらす者である』

 

 

 

かつて父は言った。

人間は皆生きる上で疑問を得る。それに対する解答を出さなければ、前には進めないのだ、と。

 

故に俺は考え続け、他者に問い続けた。

 

 

そして俺は一人の男に出会った。

ソイツはこう語った。

 『ヒーローとは自らを省みず他者を救う存在でなくてはならない』

 『(ヴィラン)は信念なく力を振るう者だ』

 

ソイツは免許を持たず個性を無断使用し、しかし(ヴィラン)を倒す、所謂自警団(ヴィジランテ)。当時は“スタンダール”と名乗っていた。

……約7年が経った今は“ヒーロー殺し”ステインという名で、(ヴィラン)として指名手配を受けているが。

 

 

俺は当時、面白い考えを、信念を持つヤツに出会ったと思った。ソイツによれば、俺は(ヴィラン)ということだ。

 

 

 

 

 

◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 「あ、謝るから。 謝るからさ、離してくれよ…」

 

 「いやぁ、謝る必要なんてないさ」

 

俺は今、どこにでも見かけるような路地裏に居る。

 

 「ひっ、お願いだ。 何でもするから許してくれ!俺が何をしたって言うんだよぉ」

 

先ほどぶつかってきた男の首を掴んで、壁に押し付けているのだ。

 

 「許すも何もさ。 因縁吹っ掛けてきたのはそっちだろう?」

 

俺は別に、ぶつかってきたからといって人を殺しはしない。そもそも目的に関係もない一般人を殺すなんて、基本的に好かない。だってそんなの、遺体は邪魔だし、警察やヒーローを無駄に呼び寄せてしまうだけだからね。

ただコイツは駄目だ。さっきぶつかった時に人に因縁吹っ掛けてきて、金を出せと脅してきた。別に金に不自由はしてないから少し位ならくれてやっても困らないのだけど、それだけじゃなくコイツは俺の首元(・・)を掴んできた。ソレだけはいけない。ソレをしてきたヤツは皆、例外なく死んでもらうと決めているのだ…。

 

 「じゃあな」

 

首が宙を舞う。首を失った胴は血を流すことなく(・・・・・・)地に崩れ落ちる。ただ、ソレだけではまだ死んではいない、俺のはそういう“個性”だ。

そして胴を、正確には心臓に当たる部分を携帯していたナイフで一突きする。染み付いた動作。コレが俺の手口であり、コレでやっとこの男は死ぬ。

 

 

度々、現代はヒーロー飽和社会であると言われている。ヒーローの数が増えているというのも一因だろうが、“オールマイト”以降の(ヴィラン)による犯罪件数が減少し、その現状はトップヒーローは除くものの多くのヒーローが暇を持て余すことすらあるほどだ。

 

といっても、別に凶悪な(ヴィラン)犯罪が無くなった訳ではない。

例えば数年前の連続失血死事件。これは同一犯によるものと思われる失血死した遺体が複数見つかった事件で、容疑者は当時未成年であったために氏名顔写真こそ公表されていないものの連日報道された有名な事件だ。

 

それ同様、俺もまた凶悪(ヴィラン)犯罪を起こした一人である。いや、別に他の事件に比すれば一件一件は大して凶悪ではないと言えなくもない。ただ件数が件数だ。誰が呼び始めたのか知らない“マーカー”という名称は、相次ぐ連日の報道の中で世間に定着、よく使っている偽名よりも呼ばれることが多くなってしまった。

 

 「失礼、一部始終見させていただきました。 貴方が“マーカー”ですね?」

 

声の主―黒い靄みたいなヤツの首に当たる部分を掴む。

 

 「動くな。 お前は何者だ、何しに、どうやってここへ来た?」

 

 「“先生”の使い…そういえば良いのだと伺いましたが」

 

“先生”…か。

 

 「なら約束の物があるハズだ。出してもらおうか」

 

 「そんなものがあるとは聞いておりませんが…」

 

手を離す。 流石に引っ掛からないのならば違いない、コイツが俺の待ち人らしい。

 

 「疑った。 気を悪くしたなら一応謝るが」

 

 「いえ、仕方ないでしょう。 貴方も指名手配された身ですし」

 

理解のあるヤツだな。 これで突っかかってくるようなヤツならすぐ手にかけるんだが…。

 

 「それで? 何の用だ」

 

 「いえ。それは私共のアジトに来ていただいてからお話ししますよ」

 

黒い靄を、俺一人くらいの大きさまで広げる。

 

 「私、黒霧と申します。“個性”はワープゲート、ですのでこの靄を通っていただければすぐにアジトへ案内できます」

 

 「そうか」

 

取り敢えず行かないことには何にもならない。そう考えた俺は靄の中へと入り込む。

 

 

その後黒い靄も消え失せ、後には男の死体が残るのみとなった。

 

 

 

 

 





作者はステインが好きです。 トガちゃんは大好きです。

今回はつまるところ、本作タイトルでもあるとある凶悪(ヴィラン)の話になります。


閑話と題してますけど、コレは準本編的なヤツです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。