左手の薬指 作:鯖缶
「…ふぁぁ………」
あくび一つとともに目を覚まして
僕はとりあえず身を起こした
「…えっと…まずは」
頭の中で、やるべきことをイメージする
取り敢えずはまず、パンを焼こう
トースターよりフライパンで焼く方が自分の調整が出来る分、好みの味に出来る
慣れるとトースターより早いし
「えっと…冷蔵庫は…」
今日は何があったっけな…
って、何もないじゃないか
「おっかしいなぁ…計画的消費とかとした覚えないのに…」
僕は適当に見繕おうとした冷蔵庫に、早々に見切りをつけて朝食を諦めた
どうせ学校の学食で食べられる
学校を終えて、帰ってきたは良いものの
結局なにをするかというと買い出しだ
「なにもできないわけじゃないけど…正直一人暮らしは辛いよなぁ…10歳では」
20歳とかなら一人暮らしでも
全く問題はないんだけど
半分程度の歳しかない僕は身長も足りないし洗い物とかがかなり厳しい
「…まぁ…やるしかないか」
それからは口をつぐんで
内仕事を済ませてから
明日の用意を行う
「…教科書の入れ替えとかで済むなら楽なんだけどなぁ…」
学校用品を入れ替えたり洗濯したりしながら呟く、やることは多いけど時間は有限だ、一人では手が回らないことも多いけど
それは要努力といった所
「出来る事は出来る、それは妥協しない」
ゆっくりと夕食を作って
午後9時に夕餉だ、
時間は遅いけど仕方ない
半額が20:30とかのところだってあるのだから仕方ない
「ごちそうさまでした」
自分で作って自分で食べるのだから、あまり言う意味もないけど
それでも一応は言っておく
「よし、宿題も終わってるし、もう寝ようか」
音読とかは無視するが
一応、算数のドリルとかは学校で終わらせているので、帰ってきてからはすることも少ない、
「…おやすみ」
ベッドダイブですやぁ…
「はっ!寝てた!」(6:30)
なお学校には遅刻しない模様
「小学四年の勉強とか10年前に通り過ぎたし」
全ての授業が楽すぎてもはや寝ている方が有意義なレベルなので、しっかりと宿題分まで勉強を終わらせておき、しっかりとノートもとった上で自己流の解釈まで注釈を入れ、より良い計算方法や内容を記入した上でその場合の相応しい問題文まで『提案』として書いておく
その上で寝る
こうすると大抵の先生は諦めてくれるので、このスタイルは今のところずっと続行中だ
「これが10歳児のすることかよ…」
「まってなんで微分知ってるのかな」
「まず過去分詞とか教えてない…」
「鉄原子Feをアボガドロ定数分集めた時の体積が…とか式量を…とか
どう見ても高校レベルなんだが…」
「ペリーはいいけどなんで勝暗殺未遂まで書くのか…」
こんな具合で勉強に対しては完璧な様子をみせつけていると、それをやっかんだか
周りの馬鹿どもが突っかかってくる
無論買い出しやら日々の掃除やらに加えて学校やら周辺の側溝掃除やらどう考えても子供には過剰な労働をこなしている僕は身体的にはかなり頑強であり、
物理的な攻撃でのいじめは意味を成さないので、今度は精神的ないじめを始める
のだけれど、せいぜい靴を隠したり
ゴキブリを入れたり
座席のあたりに大量の釘を転がしたりするくらいのレベルではこちらも意味がない
そこでついつい手を出すのだ
子供から見れば何かにつけて完璧な僕の唯一の欠点、親がいないことに
「やい親無し!」
「親無しー!」
「あ?」
正直に言えば、親がいない程度
なんの障害にもならない
そりゃあ家事がとどこおるのは問題だけど、それを指して致命的とは言わない
社会的な欠陥には見えるけど
親がいない、妻がいない
それで就職できないのは警察くらいだ
あの組織は保守的だからね
「ただいま」
今日も今日とて家事がある
お仕事は多いなぁ…
「いつものように帰ってきたはずなんだけど…」
いつもの通学路を通っていたはずなんだけど、気づいた時には
謎の現象に巻き込まれていた
「…はぁ…」
頭がいたい、こんな現象は度々あったけど、その度に何かあった気がする
「…なんというか…なんだかなぁ」
今回の“それ”は
ひどく歪んだビルの黒いシルエットに挟まれた通路、
無秩序なオブジェクトが乱立しているが、なんらかの発光部分以外は全て黒く塗りつぶされたシルエットに成り果てている
踏切や信号機といった路上に置いてあるものが多いけど…これは一体…
「まぁ、大概この結界は外装
奥へ行けば真結界が出てくるはず
だけど…当然行くわけないよな」
なにせ僕は一般人そのもの
あんなファンシーかつキラキラしてる
「Hello ebryone」
「guten Tag」
お前ら何語だよそれ…
いつのまにか多数の何か…乱雑な人形シルエットのようなもの?に囲まれていた
というか、奴ら気のせいでなければ
シルエット状態のビル壁から出現した
「逃げられません勝つまでは…」
ふと、そんな下らない一言が口を衝く
どうせこいつらのほとんどは非戦闘タイプ、ボディバランスが悪いので
ろくに動かないことすらある
身体能力が足りない僕でも!
「…純粋な物理攻撃も、通用する!」
シルエットが故に変形の可能性を考えて、相手との接触面積の大きい組討、投げ技は考えないものとしてショートなパンチを繰り出し
シルエットに拳が当たることを確認する
無策に一旦攻撃、これは一つの賭けだけど、自分からの物理攻撃が可能であるか否かを認識することができる
大抵の魔女の使い魔は
無茶苦茶な外形でもとりあえず人型なので、物理攻撃は通用する
例外は
この四種類はそれぞれ別の理由で
近接物理しか攻撃手段がない凡俗の人間には脅威となる
そんなのと出会ってしまったら基本的には
「はっ!」
このように、例外となるものも
当然のように存在する
「マスケット銃か」
どこから現れた銃が乱射され
一瞬にして十数体の
「…そこのあなた、早く下がって!」
「了解した」
少女からの声に従い
そっと後退っていき
「「「Bonjour」」」
退路に犇めく“それ”を見た
「うわ…めっちゃいるじゃん」
一体一体は大したことないけど
やっぱり消すのには時間がかかる
その間に複数から攻撃を受ければ危険だ、そもそもこのシルエット達の攻撃手段が把握できていない
「…まずいなぁ…」
現状“それ”の脅威度は低いが
群れとなれば話は別、逃げるのを最優先としたいが、結界の外に出れば安全というわけでもなし、むしろ結界の中で逃げた方が本来的な意味では安全だ
「よし、奥に行くか」
「「「「「Wii like it」」」」」
足音は静かながらに
徐々に迫ってくる使い魔に追われながら結界の奥へと向かうのだった
結界の奥へと進むと
黒く染まった線路やら踏切やらが徐々に減り、反対に植物のようなものが見えるようになってきた
「…これは…」
羊歯類特有の広く薄い葉を持つ植物、
「どれもミニチュアサイズならことを除けば、果物系統の木だな」
巨大なはずの木がミニチュアに
なっている事に違和感を感じながらも
さらに進むと………
R版の特典の形態について
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