左手の薬指   作:鯖缶

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3話

木々の間、そして上を飛び回りながら

大量のマスケット銃を召喚、発砲、使い捨て、消滅させるサイクルを繰り返し

 

魔女と思われる巨大な鉢木と

戦っている少女がいた

 

Har=Monika

 

《鉢◾️◾️の魔女、そ◾️性質は◾️◾️》

 

「ダメだ…全然理解不能…」

 

やっぱり魔女の外見通りの巨大な鉢木にしか見えない、攻撃方法は謎の枝での叩きつけ、棘針による刺突、この二つのようだけど

 

「…遠距離あるある、弾が無駄になりすぎて決定力が足りない」

 

まぁ遠距離攻撃主体では宿命のような『あるある』なのだけれど

彼女はそれをカバーできていない

それでは弾が無駄に消費されている

 

最初に会った人は自分で名乗っていたけど、彼女たち『魔法少女』は魔力に制限があるらしいから、いつかは魔力が切れてしまうだろう

 

「…そうなったら、俺死ぬよな?」

「!?そこの人!早く逃げて!」

 

大きく跳躍した少女は

たまたま俺を視界に捉えたらしく

叫び声が上がるが

 

「無理!後ろからめっちゃ来てる!」

「…じゃあこれで!」

 

少女が手を伸ばした瞬間、俺を守るように黄色いリボンでドームが形成される

なんとも幻想的な風景だな

 

「…銃とか使ったことないしなぁ」

もし彼女の使っているマスケット銃を渡された場合には確実に持て余す自信があった

 

やってやれないことはないかも知れないけど、いきなりそれは博打に過ぎる

 

「黄色のリボン…なんか見覚えがあるような…」

 

具体的にはなにか首のあたりに嫌な感じがする少女のことを思い浮かべながら

僕はリボンの壁をしばらく眺めていると

唐突に、それが揺れた

 

ドゴゴン!という音と共に

何かが激突したらしい

 

「…こわぁ…」

 

それからもゴガンドガンと音は続き、その度にリボンの結界はひどく歪む

 

「これは怖い…」

壊されたら一瞬で死んでしまうのだけれど、ここまで歪むともうリボンの方がぶつかりそうになる、相当な強度があるはずだから

それ自体がぶつかってきてもかなり痛いと思うし、密閉空間における衝撃の伝わり方を考えると外壁はそのままにミンチにされる可能性だって拭えない

 

「危ないなぁ…」ゴガキャアッ!

 

「うわ」

ゴシャァ!

 

枝による刺突がついにリボンの防壁を突き破り、僕に突き刺さった

 

「…意外と…ささっても…血出ないんだな…」

 

貫かれた結果か、リボンの防壁が消滅し、その壁に遮られていた視界が回復した

そこには、全身を血塗れにして

四肢を壁に縫いとめられている金髪少女の姿があった

 

それが見えた瞬間、

視界が白く変わる(頭痛が走る)

 

「マミさん!」

 

知らないはずの(かつて見ていた)少女に叫ぶ

 

誰か(彼女)の名前を

 

「え…」

 

意識を失っていた少女は、

その声によって目を覚まして

 

「…あ…っ!」

 

彼女の魔法(繋ぎ止める力)を展開した

 

僕と魔女の間に、リボンの壁が構築される

そう、彼女は、命の危険がある状況で自分よりも他人を優先したのだ

 

既に抜かれている触手(根とも枝とも取れるナニカ)は傷口を抉っていたらしく

今更のように血が吹き出して、薄れて消えゆく黄色いリボンを赤く染めていく

 

「…が…ぁぁぁっ!」

 

何ができるか、何をするべきか(状況を打破するために何を成すか)

 

それに意味はあるのか、確実に出来るのか(リスクとリターンを考えた上で)

 

今の一瞬に閃いたイメージに賭けた

 

コモン(アロー)=ナウ』

 

右手の中指に指輪が現れ

腰には手形のベルトが出現する

それら二つを触れ合わせて

 

僕の魔法(俺の力)が発現する

 

「ハッ!」

ナニカを代償として、指輪が輝き

それと同時に、右掌に光の矢が顕現し

 

同時に声を上げる、イメージは射出

 

それだけで、

光の矢は真っ直ぐに発射され

 

魔女の触手を刺し貫く

コモン(アロー)=ナウ』

 

再びアローを詠唱、ベルトの音声がやたら騒がしいけど、そんなことは(様式美だから)気にしない

 

コモン(アロー)=ナウ』

 

二、三度目の光の矢は

魔女から逸れ、その背後へと飛んで行く

 

killyou

「っ!」

 

四度目の詠唱を始めようとした瞬間

それの威力が十分であることを察したのか、魔女が接近して触手を伸ばしてきた

 

飛びのこうした瞬間、激しい虚脱感とともに姿勢が崩れ、僕の体に触手が突き刺さる…事はなかった

 

「…!」

「理由は後で聞かせてもらうわ」

 

そう、一条のリボンが

俺の足を引き、刺突の軌道から体を逸らしたのだった

 

アローは魔女ではなく

その背後の少女を捕らえる触手をこそ狙っていたのだ

 

「んぐっ!」

傷を擦る痛みは、もはや真っ当に伝わってこない

 

「…ごめんなさい」

「大丈夫」

 

わずかな言葉でのコンタクト

しかしその会話は魔女にとって

あってはならないものだったのか

しきりに触手を震わせ始めた

 

その様子は今にも暴れ出そうとしているように見える

 

「来る!」「!」

警告を飛ばすより早く、刺突が飛び

 

少女はリボンの防壁を一点に集中させて強度を上げた盾でそれを防ぐ

 

続く一撃は二人とも回避し

それに憤ったか

魔女は4本の触手を増やし始める

 

「…4本だったのが、8本か…」

 

「こうしてみると、タコみたいに見えるわね」

「たしかに、あんた回復魔法は?」

「心得はあるけど、貴方は?」

「僕の魔法は今の所これだけだ…」

 

塞がるどころか傷口が開くような行動ばかりしているツケか、膝が折れる

 

「もう…ちょっとだけ耐えて

後で治すわ」

「…その間に死にそう

 

kill them oll!

二人で会話しているのがそんなに嫌なのか、鉢植えという本来移動できない形状ながらに触手で地面を押してジャンプ、突撃を仕掛けて来る

 

「来たわね…ティロ !」

 

マスケット銃が巨大なリボルバーに変形し、黄色の光を放ち

 

「フィナーレ!」

その一言とともに、その口径に似合うほどのごんぶとビームがブッパされた

 

「………ha?」

 

さっきまで実弾主体で戦闘していた遠距離使いが突然ビーム弾を

柱と見紛うほどの直径をしたビームを、突然ブッパするとは思わなかった

故に僕のこの声も必然である

 

と思いたい

 

「…仕留めたわね」

「…だと良いんだけど」

 

reglitbro

 

「ダメかぁ…」

 

魔女は平然と立ち上がって来た

 

コモン(ブラスト)=ナウ』

すかさずの詠唱が響き

直後に魔女が弾き飛ばされる

先の『(アロー)』の魔法とは異なる、衝撃波を発射する面制圧型の攻撃魔法らしい

「もう一度頼む!」

 

叫ぶと同時に思考は再開する

奴の姿は『鉢植え』なら植物であるはず

草木ならばこれが通じるはず

 

「えぇ!ティロ ・フィナーレ!」

コモン(グリル)=ナウ』

 

閃光が放たれるのと同時に、魔女が突然発火する

 

そう、本来は生木に対しての炎は効果が薄いが、グリルは肉焼き用の加熱魔法

その温度は700度を超えて、なおかつ持続性が高い

 

それだけの条件が揃えば

生木であろうと発火に至るのは道理

 

「ギャァァァァッ!」

 

最後だけは、誰にでもわかる断末魔

そしてその声の終わりを確認せずに

僕の意識は薄れていく

 

「ぁ…まず……」

 

多量に血を喪失し、魔法を限界まで使い

生命力も魔力も欠乏している

そんな状態で意識を保てるわけがなく

 

結局僕は、情けなくもそのまま気絶したのだった

R版の特典の形態について

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