左手の薬指 作:鯖缶
6話
「ごちそうさまでした」
「お粗末さま…感想はいただけるかしら?人に手料理を振る舞うことがあんまりなかったから」
「え?美味しかったですよ?
僕に語彙力期待されても料理関係については手も足も出ないので、如何ともしがたいですが」
「いいのよ、その一言で十分
美味しいって言ってくれるだけで、作る側としては嬉しいわ」
この子はなんなんだろうか…魔法少女でさえなければモテただろうに勿体ない話だ
「………」
怪我の負荷のせいか、
それとも食事を摂ったからか
急激に眠くなってくる
「…すみません、ちょっと…寝させてもらいます」
「あ、ちょっと待っててね」
空の皿をさっと持って行ったマミさんはキッチンの流し台の方に皿を置いてから
階段を上って二階に移動し?
「…まてよ?」
ここの部屋、窓の外から見える光景的に絶対高い位置にあると思っていたのだけれど二階?
「……!」
頭の中で間取りを思い浮かべつつ
ガラス張りの壁に近づき
夜景を眺める…どう見ても高所にある
というかこの構造、多分高級マンションだ
「おまたせ、毛布持ってきたのだけど…使う?…ほんとはベットを使った方がいいと思うけど、流石に2台目は無いの」
逆にあったら怖いと思う
「ありがとうございます
毛布、使っちゃっていいんですか?」
「えぇ、そのために持ってきたんだから」
聖女かな?だれにでもそんな甘い顔をするから勘違いされるんですよ!
もっと毅然とした対応をしなきゃ
具体的には僕を追い出さなきゃ
僕は自分に何を言っているのだろうか…(困惑)
「…すいません、使わせてもらいます」
考えているうちに意識の維持が難しくなってきた僕は、その一言だけを残して目を閉じるのだった
視点 M・T
「突然気絶しちゃったときはどうしようかと思ったけど…こうしてみると
寝顔は可愛いわね…」
滑らかな頬をゆびでなぞり
そっと撫でてみる
最初に見たときは不運な一般人だと思った。ソウルジェムの気配…魔法少女の反応もなかったわ、でも彼は結界の最奥にまで単独で進入してきて、使い魔に襲われながらも何とか対処していた
次に見たときは目を疑った
お腹を触手に貫かれて、
穴を開けられてもなお立って
あまつさえ魔法すら行使して見せた
今また見ると、ただの可愛い子供なのに、彼にはいろんな顔がある
記憶を失っている、何かに奪われているようだけど、私が腕を上げたら
その封印だって解いてあげるわ
だって、初めてできた『友達』なんだもの
彼は恥ずかしがって『他人』って主張していたけど、わざわざ家にまで泊まっていくような『他人』なんていないわ
「うふ…ふふふっ…」
彼を見ているだけで、
なんだか楽しくなる
体がかるい…こんなにしあわせな気分になるなんて初めて
「…もう、夜もこわくないわ」
一言つぶやいて
最後に彼の頬を撫でる
「おやすみなさい、晴磨くん」
あしたの朝は、何を出そうかしら
夜のナポリタンは手早く作れるものにして、あんまり手間を掛けられなかったから
明日は手の込んだものにしようかしら
「美味しいって言ってくれると良いなぁ…」
自然と明日に期待してしまう
…そろそろお風呂に入らなきゃ
名残惜しいけど手を離して
さっと彼のそばを立つ
良い女はさりぎわも格好良くないといけない、お母さんがいつも言っていたわ
「…今日はいい夢を見られそうね」
視点戻り
「…なんか言ってたけど
なんて意味だったんだろう…」
ぼんやりした頭でも
流石に触られればわかる
何か言っていたみたいだけど…
いいやおやすみ……
……
「…ふぁぁぁ……」
大きくあくびをしながら目を開く
「いい匂い……!?」
空気に漂う甘い香りに、思わず呟いて、その一言から連鎖的に記憶が戻ってくる
「あら、起きたの?」
「巴さん!…あ、おはようございます」
「うふふ…おはよう、御影くん」
「それじゃあ僕は帰らせ」「朝ごはん、もう用意しちゃったから、食べていって?」
有無を言わさない言葉が僕を襲う
「…せっかくなので」
「それじゃあ毛布畳んじゃって?
その辺に置いてくれればいいから」
「はい」
なんというか、指示なれしてる人なんだな…巴さんって
「はい、朝だから軽くね、ハムとチーズのフレンチトーストとクロックムッシュ
朝は紅茶派?コーヒー派?」
「いえまず朝食は適当に残り物な事が多いので、ドリンクに注意した事がないです」
なんというか…朝食って
適当に時間かからない雑料理か昨日の残り物ですませるような感覚だったのだけど
レストランかなにかのような洒落たシロモノが平然と出てきて僕は今とても驚いてるんですよ
「ダメよ?ちゃんと夕食は夕食、朝食は朝食って分けなきゃ、昼は学校だから仕方ないにしても、その二食については妥協しない事
画面の前のみんなも、約束よ?」
キッチン側に向かって微笑みながら謎のポーズを取る巴さん
カメラ目線なんだろうか
「ちゃんと時間帯に適したメニューっていうのがあるのよ、栄養学の観点からも、心理学の方から見ても、連続で同じものを食べるのは良くないわ」
「すごく正論なのはわかるんだけど何か意味が違うんだよなぁ」
呟いて………
「あ、コーヒーでお願いします」
「はい、うけたまわりました」
話を戻す
そして20分後
「ごちそうさまでした、今日も美味しかったです…それじゃあ僕はこの辺で」
失礼なのはわかっているが
速やかにフェードアウトを試みる
「待って」「えっ」
服の裾を掴まれて転びそうになり、危ういところで踏みとどまる
「ここの場所分からないでしょ?昨日の結界があった場所まで送るわ」
「…いえ、大体わかりますよ
ありがとうございました」
速やかに帰りたい、その一心である
「じゃあ電話番号、交換しておきましょう、これからの魔女狩りで速やかに連絡出来るか否かは死活問題だもの」
「僕携帯持ってないんで」
もちろん嘘だけど、それだけ言い残してさっさと立ち上がり、一つお辞儀をする
「お世話になりました」
「ぇっ…ぁっ…」
すっと姿勢を戻して
服の裾を取られないように
一方離れてから玄関側から外へ出る
「…うわやっぱ高い…」
地味に高所恐怖症…というわけでもなく、ただ単に事実として呟きながら
渡り廊下の端にあったエレベーターで1階に降りて、未だにジクジクと痛む腹を抑えながら
魔法ねぇ…
「そんな言葉だけで誤魔化せる僕じゃない…筈なんだが、あの人の行動は
明らかに異常だったよなぁ…」
ドッキリにしても仕込みに時間や手間をかけ過ぎている、明らかに倫理的な問題になるだろう泊まり込みまでさせてやる事は壮大な嘘?
「…一宿一飯…いや、二飯か?
の分くらいは信じてみるか…」
少なくとも、腹の痛みは現実だ
というわけで、俺が魔法を使ったというのも、嘘ではないと信じよう
「……迷った」
高級住宅街は来た事なかったからなぁ
小学校の学区範囲である以上、市を出ることはないと思う
というわけで裏技を使います
まず、とにかく高級住宅街を抜けて
一般的な戸建ての家が並ぶ住宅街に向かいます、そういう場所の近くには繁華街、商店街が近いです…ここでポイント
戸建ての家かアパートに着いたら
塀の下あたりにだいたい付いている住所表示を確認します(郵便受けでも可)
これを把握したのち、近くの繁華街でコンビニに入り、求人雑誌を買って(無料のやつでok)
この雑誌の求人情報に載っている地図、およびコンビニでも取り扱いのある電話帳などから市内の位置情報を確認できます、以上、解散!
R版の特典の形態について
-
A案
-
B案
-
C案