左手の薬指   作:鯖缶

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本当に久しぶりの更新になってしまった…


9話

「ヨイショ!」

 

視界内の最後の一体を切り伏せてから走り出す、名前からして空間接続魔法のコネクトで直行も考えたんだけど、それをすると移動経路が分からないから戻れないことに気づいてやめた

 

「走る…かな」

 

それが一番妥当だという事で

とりあえず走り出す

 

「…遠いなぁ…」

 

ひたすらに先へと進むと

まだ現実的なオブジェクトがある表側の結界から、本当に意味不明な内側の結界への境界面を超えたらしい

 

「…!」

 

使い魔が飛び出してきたので

不意打ちじみた一撃をなんとかかわして、地面を転がりつつ鉤爪を投げる

 

反撃にもならないような小技だけど、それをかわすようなこともなく正面から受けた使い魔は消滅した

 

「…ふぅ……」

 

大きく息をついて、ゆっくりと立ち上がり、今のは危なかったな…などと呟きながら

投げた鉤爪を拾って

再び走り出す

 

痛む体を無理やりに動かしているため、所々フォームが狂って体勢を崩すが

それでも構うことなく無理やりに走る

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

足だけを全力でかつ静かに動かしながら結界の最奥に突入して…そこで地獄を見た

 

赤と黒で構成された肉質な壁と、生物的に蠢く床、何かの体内のような空間に

黄色いリボンでできた蜘蛛の巣と糸を無数に散らかして、高速で移動する魔女を床や天井やら壁やら様々な場所からリボンが伸びて縛り上げようとしている

 

もともとかなり地獄めいた空間だったのだろうが、これは輪をかけてひどい

 

「…一撃で!終わらせるから!」

 

今まで形成していたマスケット銃は少なくて二丁、多くて四丁、必ず自分の手元に出現していた、だが今形成されたのは少なくとも十丁を超える数

 

空間にそのまま固定されているように巴さんとの相対位置を維持しながら

それらが一斉に乱射される

 

そしてその連射が切れると同時に

巴さんの手元には巨大なリボルバーに見える異形の銃が形成された

 

「ティロ ・フィナーレ!」

 

その一発を最後に

巴さんと対峙していた

 

身体の魔女 astrid

 

は完全消滅して、その展開していた結界も即座に霧散した

 

「はぁ…急いで彼のところに行かなきゃ!」

 

「もう来てますよ、巴さん」

 

巴さんの後ろから声をかけると

反射的にマスケット銃が形成されたので、一応射線から外れるように屈んで

 

よく顔を見せる

 

誤認されるのはごめんだからね

「御影くん!」

「はい、御影くんですよ」

 

急に笑顔になった巴さんは

パッと飛び込んできて…

 

「みかげくうぅん!」

「いたたたたたっ!」

 

抱きついてきた、魔法少女衣装のまま、つまりは、比類なき身体能力のままで

 

「ごぁぁぁっ……」

潰れる虫かなにかのような声をあげていると、ようやく僕が圧死しかけていることに気づいてくれたようで、僕から離れると

「大丈夫?怪我してない?」

 

心配そうな表情で問うてくる

正直、巴さんの一撃()が一番効いた、と返しておく

 

「大丈夫だよ、魔法もほとんど使わずに済んだし」

笑顔を見せると

途端に表情が緩む巴さん

 

「良かったわ…でも、なんで最初に教えてくれなかったの?」

「?…なんのこと?」

 

僕が惚けると、急に顔色を変えた巴さんは青筋を浮かべた笑顔で僕の耳を引っ張る

 

「惚けないで、寿命を削る魔法なんて初めて聞いたわよ?」

「それは言ってなかっただけだね

どうでもいい情報の重要度が上がったからその場で提示しただけだよ?」

 

「それを詭弁というんじゃない?

そんなことはどうでもいいわよ

細かいこと、しっかりと、全部聞かせてもらうんだから!もう連行よ連行!」

 

そのまま、僕は巴さんの家に連れ込まれるのだった…

 

「そもそも!身体能力が一般人なんじゃ戦力として足りないわよ!キュウべぇと契約して、魔法少女になるべきだとおもうわ」

「魔法少女って…あのさ

僕は男なんだけど?」

 

「比喩よ比喩、そういう表現!」

「ごまかせないぞ、いま一瞬表情が歪んだことは絶対にごまかせない…」

「もう!御影君ったら!」

 

結局、話はロクに進むことはなかったが、それはそれ、むしろ適当に言っている分

話が進まない事は即ち

ボロが出ないことに直結するのだから、話が進まないほうがありがたい

 


 

「…はぁ…帰ってきた…」

 

魔女の結界に突入することは多々あれど、本格的に戦闘になる事は極めて珍しい

一当てして逃げる事の方が多いからだ

 

まぁそれでも?

使い魔数体だったら撃破することもあったし、特に問題ではないのだ

根本的に疲れた原因は

巴さんにある

 

巴マミ…やはり、僕の体力を削ることに掛けては天才的な能力を発揮する少女だ

なまじ顔が良いのも困る

 

美少女はそれだけで社会的な影響力というやつが全く違うのだ

 

「はぁ…なんだい彼女は…疲れるなぁ」

 

ため息を吐きながら未来への予定を立て直す、主に悪い方向への修正が入った未来予想図は、想定よりも酷い状況を示していた

 

一応考えていたはずの未来がガラガラと崩れていく…あぁ…(クソデカため息)

 

まず考えている未来の指針を立て直す必要があるだろう、今の状況では

考えられる変更点となるポイントは5つ、まず僕が存在することで

マミさんの交友関係が変化する

つまりぼっちじゃなくなる

 

2つ、まみさんがぼっちじゃなくなることで連鎖的にまどかの好感度が上がりづらくなる

3、行動半径の変化のため、パトロール経路が変化する(ハコの魔女と遭遇しない可能性発生)

4マミらない可能性が生まれる

5マギレコ時空に変化または介入する(かもしれない)

 

こんな感じで時空が変動している可能性が湧いてくる

 

「まぁ、やることは本編のクリアまでやれば僕は部外者だからな…よし」

 

マミさんを病院に出てきた魔女

お菓子の魔女『shallotte』に殺させない事

これが最大にして最初のポイントになる…ワルプルギスの夜と戦うまでに

戦闘することになる最悪の敵は

マミさんに限ってはshallotteなのだから…いや、PSP版のまどかマギカに限れば

公園に居る魔女が最悪の敵(トラウマ的な意味で)なのだが、アニメではこちらが最悪の敵(相性的な意味で)だ

 

やるべきことは分かるな?

そう、マミさんのストーキングだ

マミさんをつけ回し、原作のふさわしいタイミングで助けに入る

これさえなせばもう怖いものはない

根本的に第二形態ならシャルロッテは変形が可能という能力を見落としたのが

原作での『マミっ』につながる失敗であるので、それを僕がカバーすれば良いだけだ

 

無論、僕自身も鍛えなければマミる対象が変わるだけであり、それでは結局

直接殺すか間接的に殺すかの違いでしかない…それでは意味がない

なので根本的に自分が一番鍛える

その上で周りにもその水準を求める

 

「結局こうなるのか…」

 

ため息をつき直して、ゆっくりと目を閉じる

 

「よし、夕食作るか!」

 

俺は思考を放棄して

まずは冷蔵庫の中身を確認するのだった…

 

 


 

翌日になり、動かない体を強引に動かしながら学校へ向かう

 

「あぁ…辛い…」

 

呟いていると

友人に背を叩かれたり、消しゴムをぶつけられたり、靴箱に手紙が入っていたりするが、完全に無視して眠る

 

「……………………」

 

眠っていると、いつのまにか一時間経っていたようで、休み時間に入っていた

 

そんなことを5回分繰り返すと

もう1日が終わろうとしている

結局、体力が万全に回復することもなく、消耗した分を補填した、程度の感覚のままではあるが、それでも回復した魔力を使って

帰り際にアローで練習し

 

やはり5回分以降は使えずに倒れることになった

 

「さすがに無理をし過ぎたか…今日は魔女もいないし、大人しく家に帰ろう」

 

立派なフラグではあるが、

結局回収はされなかった

R版の特典の形態について

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