魔法つかいプリキュア!♦闇の輝石の物語♦   作:四季条

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逆転回答

「な、なぜこんな事に!? おバカなプリキュア二人が連続正解などあり得ないデス……」

 

「言っておくけれど、ミラクルは頭いいから」

 

 マジカルが言うと、デスヨクバールが歯を食いしばって鉛筆で地面を突いて、恨みがましい目でプリキュアたちを見据えた。

 

「なんデスとぉっ!? そんなのずるいデスよ! 一人が頭良かったら、もう一人は頭が悪いのが相場じゃないんデスか!? ミラクルはどう見たって頭良くなさそうデスよ!」

 

「さんざん卑怯なことしておいて、変な言いがかりつけないでよ!」

 

 マジカルがデスヨクバールに怒りをぶつけた後に、ミラクルとルーンが立机の前からジャンプしてデスヨクバールの直線状に二人で並んで立った。

 

「攻撃していいんだよね」

「二人でパンチだ~」

 

「ヨクーッ!?」

 

 ミラクルとルーンが同時にはやての如く走り出し、デスヨクバールに肉薄する。

 

『プリキュア! ミラクルルーンパーンチ!』

 

 二人でそろってミラクルの左アッパーとルーンの右アッパーが、デスヨクバールの顎に炸裂!

 

「ヨクバァルゥーーーッ!?」

 

 デスヨクバールが真上にぶっとんでから、答案用紙の体が空気に乗ってひらひらとゆっくりめに落ちてくる。

 

「き、効いたデスよ……」

 

 デスヨクバールが目を回し、マジカルとプリーステスを拘束していた黒い輪っかが弾け飛ぶ。

 

「外れたわ!」マジカルの喜ぶ声でデスヨクバールが目を覚ました。

 

「ぬあ!? し、しまったデス!」

 

 そしてデスヨクバールがマジカルとプリーステスに睨まれて思わず震えた。二人は背後に燃え上がる炎が見えそうなくらいに凄まじく怒っていた。

 

「まずこの格好を何とかしましょう」

 

 プリーステスが右手をまっすぐ横に振り、チョークの粉で白くなっているブレスレットにリンクルストーンを呼び出す。

 

「リンクル・ジェダイト!」

 

 プリーステスが右手のブレスレットを高く上げると、強風が起こって渦を巻き、プリキュアたちを白く染め上げていた粉をあっというまに上空へと吸い上げていく。

 

「ああ、すっきりしたし!」

「体から重荷が取れたようね」

 

 気分爽快なマジカルとプリーステスをルーンが変な目で見ていた。

 

「そんなに重くないよね、だって粉だもん」

「ええっと……」

 

 同意を求められたミラクルは答えに困ってしまった。

 

「覚悟しなさいよ! このヘンテコのヨクバール! もう絶対に許さないんだから!」

「今度はわたしたちが相手よ!」

 

 プリーステスが腕組みしながら言うと、デスヨクバールは不敵に笑った。

 

「フフッ、いいデスよ! こんな事もあろうかと、回答不可能な難問も用意してあるデスからね!」

「それにわたしたちが答えられたら、それ相応の攻撃を受けてもらうからね」

「回答など不可能デス!」

 

 デスヨクバールが自信満々にプリーステスに言い放つ。

 

「わたしから行くわ!」

 マジカルが一歩前に出た。

 

「ジャジャーン! キュアマジカルに問題デ~ス! 魔法界には様々な星座がありますが、実は魔法の望遠鏡でしか観測できない隠された星座がいくつかあるのデ~ス、それを全て答えよデス!」

 

「黒龍座、像の玉乗り座、フラスコ座、錬金釜座、スカイホース座、ペガサスの親子座、パパラチヤ座、ラコニウム座、セイレーン座、ケルピー座、ゴブリン座、オーベロン座!」

 

「な、なにぃーっ!!? 全て、しかもよどみなく答えよったデス!!」

「占星術は得意なの」

 

 マジカルは言葉通りにおしげもなく得意げな態度を見せつける。デスヨクバールは青ざめてしまった。

 

「バ、バカな!? 得意とかいうレベルを超えてるデス! 占星学者でも答えるのが難しい問題デスよ!」

 

「次はわたしの番よ。さっさと問題を出しなさい」

「お、おのれ! キュアプリーステス、お前だけでも道ずれにしてやるデスよ!」

 

 デスヨクバールがやけくそ気味に叫んで鉛筆をプリーステスに向ける。

 

「ジャジャーン! キュアプリーステスに問題デ~ス! 大宇宙の真理の前にひれ伏すがいいデス! ブラックホールは光すら飲み込む超重力空間デス! その光が逃げ出せなくなる超重力の境目を何と言うか! 答えてみるがいいデス!」

 

「相対性理論の問題ね。答えはイベントホライズン、または事象の地平線ね」

 

 デスヨクバールがあんぐりと骸骨の口を開けたまま、わなわなと震えている。ミラクルとルーンは見ていて気の毒なくらいだった。

 

「な、何なんデスか、おまえたちは……」

 

 プリーステスが腰に左右の手を当てて態度を強める。

 

「あなたはその性質上クイズに正解されたら攻撃を必ず受けなければならない」

 

「つまり、これからわたしたちが繰り出す魔法は絶対に回避できないということよ」

 

 マジカルから死の宣告に等しい言葉を突き付けられて、デスヨクバールがさらに青ざめる。

 

「ヨ、ヨ、ヨクッ……」

 

「ミラクル、ルーン、こっちに来て手伝いなさい」

「え? でも、正解したのはマジカルとプリーステスでしょ」

 

 プリーステスに呼ばれたミラクルが疑問を口にすると、マジカルが震えている敵を一切容赦しない意志が見える怖い瞳で見つめながら説明する。

 

「問題ないわ。わたしたちが正解したのは4人で攻撃してもお釣りが来るくらいの難問だから」

「そういうことね」

 

 そしてマジカルとプリーステスは二人で一緒に満面の笑顔になると、世にも恐ろしい穏やかな声で言った。

 

『お仕置きの時間ね』

 

「ヨクーーーッ!?」

 

 デスヨクバールは必死に押し寄せる恐怖と戦いながら、巨大鉛筆を竹槍のように構えて叫ぶ。

 

「こうなったらクイズなんてもう関係ないデス! お前たちに一矢報いてやるデス!」

 デスヨクバールが4人のプリキュアに向かって突進する。

 

 4人のプリキュアが同時に跳躍し、それぞれのパートナーと手をつないで高く舞い上がる。

 

『聖なる光よ!』

 プリーステスとルーンの声が一つになり、

 

『奇跡の光よ!』

 ミラクルとマジカルの心が一つになる。

 

それぞれのパートナーと寄りそった二組のプリキュアが飛鳥の如く舞って降りると、4人のプリキュアの足元からダイヤのように7色の輝きを秘めた光が無限に広がっていく。そこにモフルンを抱えたリリンが飛んできて、二人でプリキュアたちの後ろに並んだ。

 

 プリーステスとルーンの左手と右手が後方で繋がれ、前方で二人の手が重ねられる。さらにミラクルとマジカルの左手と右手が後方で繋がれ、前方で2本のリンクルステッキがクロスする。

 

『二つのダイヤの光よ!』

 プリーステスとルーンの腕輪にある青いダイヤが光を放ち、

 

『二色のダイヤの輝きよ!』

 ミラクルとマジカルのリンクルステッキの先端が白銀の輝きを放つ。

 

『いま一つとなりて! 聖なる輝きの魔法となれ!』

 

 4人のプリキュアの声が一つになると、プリーステスとルーンはリンクルブレスレットの付いている手を前に出し、ミラクルとマジカルはリンクルステッキで前方を突く。するとプリキュアたちの後ろに控えていたモフルンとリリンのダイヤから強き光が広がっていく。

 

 寄りそいあう二組のプリキュアの前に巨大な青白い輝きの魔法陣が姿を表す。周囲に六つ星マークの入った六芒星の中心に、五つのハートの五芒星が入り、さらにその中心に三日月が入る。宵の魔法つかいと伝説のまほうつかいの魔法陣が融合し、二つのダイヤの魔法が一つとなる。

 

『プリキュアッ!』

 

 4人の心が一つとなり、二組のプリキュアの後方でつなぐ手がさらに強い力で結ばれる。そして巨大な魔法陣の前に青い輝きと白い輝きの巨大なダイヤの姿が並んで現れた。

 

『ダイヤモンドッ! スーパーファイアストリームッ!!』

 

 二つのダイヤに輝きが収束し、二色の波動が同時に放たれた。

 

「デスヨクバールッ!」

 

 青と白が螺旋に絡み合った光の流れに、黒い魔力に身を包んだデスヨクバールが突っ込み、流れに逆らってプリキュアたちに向かっていく。そしてデスヨクバールは完全に二色の光に飲み込まれた。

 

 デスヨクバールは青白い輝きに抱かれて天空へと流れ、彗星のように輝いて宇宙の果てまで飛んでいく。

 

「……ヨクバール……」

 

 デスヨクバールが無限に広がる暗闇の果てで弾けると無限の光が広がる星雲となり、その輝きの中から淡い光に覆われし8枚のテストと一つの闇の結晶が降りてきた。

 

 テストはルーンの両手の上に順番に落ちて重なり、闇の結晶はミラクルがキャッチした。それを見届けたロキは憤懣やるかたなしに舌打ちしてその姿を消した。

 

「うわ~、すっごい魔法出たね! ファンタジックだね!」

「うん! 4人の魔法! ワクワクもんだね!」

 

 マジカルとプリーステスは静かに頷いていた。そして二人はヨクバールが消えていった空を感慨深そうに見上げた。

 

「今までにない強敵だったわね……」

「ええ、危ないところだったし……」

 

「そうぉ? ぜんぜん大した事なかったんだけど~」

 

 ウィッチが疑問符が浮かぶような顔をしている横でミラクルのテンションが少し下がっていた。

 

「わたしってそんなに頭悪そうに見えるのかな……」

 

 ミラクルは敵に先ほど言われたことが軽くショックだった。

 

「そんなことは気にしない方がいいわ。見た目なんて頭脳の優劣には関係ないんだし」

「そうだよね! ありがとうマジカル!」

 

「さあ、さっさと寮に戻って勉強再開よ」

 

『えぇ~~~~っ!?』

 

 プリーステスにミラクルとルーンから不満いっぱいの声がぶつけられる。

 

「戦いが終わったばっかりなんだし、少し休もうよ」

「そうだよ~、もうつかれたよ~、勉強はまた明日からっていうことで~」

 

「ルーン、どさくさに紛れて勉強を打ち切ろうとするんじゃないの。だいたい、あんたたちに休んでる暇なんてないの! さあさあ、寮に戻って!」

 

『はうぅ~~~っ……』

 

 ミラクルとルーンが肩を落とし、見ているマジカルは二人がちょっと気の毒になった。

 

「スパルタね……」

 

「暇だからリリンとモフルンは二人でお茶会するデビ」

「食堂のコックさんがフワフワのクッキー焼いてくれるモフ~」

 

『いいなぁ~~~っ!』

 

 二人のぬいぐるみの悪意のない言葉が、ミラクルとルーンにいらない刺激を与える。

 

「もちろん、みんなにもクッキーもっていくモフ」

 

『モフルン様ぁ~っ!』ミラクルとルーンから歓喜のあまり零れた台詞に、マジカルとプリーステスはおかしくて少し吹き出してしまった。

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