魔法つかいプリキュア!♦闇の輝石の物語♦   作:四季条

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最果て島へ

「俺がダークネスにかけた暗示は少しは効いているようだが、やはり不十分だな。それにしてもマジカルとダークネスだけで勝負するとはな。なぜ全員で本気で戦わない? お互いに闇の結晶を集めているのなら決着をつける必要があるはずだ……」

 

 ロキは闇に沈む玉座で傍らの竜の石像を触りながら考える。

 

「……街か。街にいる人間どもを巻き込まないために本気で戦わなかったんだな。ならばそんな事など気にせずに戦える場所を提供してやろう」

 

 それからロキはしばらく黒龍の石像をなでていると、鋭い牙をむき出して喜悦に満ちた悪魔の笑みを浮かべる。

 

「ただ戦わせるだけじゃ面白くねぇ。とびきりの花を添えてやろう、お互いに死力を尽くせるようになぁ」

 ロキの非道をにじませる笑いが暗闇に染み渡った。

 

 

 

 小百合とラナはセスルームニルに来ていた。ボルクスを倒して取った大量の闇の結晶を届けにきたのだ。

 

 微弱な光を放つ球体が宙に浮いて石造りの廊下を照らす。薄暗いが廊下から天井まで純白の空間が淡く青白く輝いて神秘的だった。小百合とラナはその神秘的な空間に足音を響かせて歩き、リリンがその後から飛びながらついていく。

 

「フレイア様のお城にくるのちょっと久しぶりだねぇ」

「最近、闇の結晶があまり手に入らなかったからね」

 

 急に空間が開いて天井をささえる無数の巨大な石柱が現れる。2本ずつ立ち並ぶ石柱の間に道があり、それがまっすぐフレイアのまつ玉座へと続いていた。玉座に続く短い階段の下にはバッティとダークナイトが左右に分かれて立っている。

 

「フレイア様、闇の結晶をお持ちいたしました」

「ご苦労様です」

 

 小百合とラナが階段を上がってフレイアの前までいって、闇の結晶を収めた布袋を差しだす。フレイアがそれに触れるといつも変わらず浮かべている微笑が消えた。

 

「……この闇の結晶からは邪悪な闇の気配がします。二人とも何か変わったことはありませんでしたか?」

 

「いえ、特にかわったことは……」

「あ~、そういえば~」

 

 小百合の言葉を遮るようにラナが言った。また変なことを言い出すんじゃないかと小百合は疑わしい目でそれを見つめる。ラナは小百合が少し苛々するくらい長く考えてから口を開いた。

 

「小百合なんか変だったよ」

「変てなにがよ?」

 

「ほら、きのうリコと勝負する前にさ、別の人みたいになって皆で戦うっていってたじゃん。あれちょっと怖かったからよく覚えてるんだ」

 

「なに言ってるの? わたしそんなこと言ってないわよ」

 

「絶対絶対いったよ!」

 

「確かにいったデビ、リリンも聞いたデビ」

 

 小百合の背筋に冷たい汗が流れ、言いようのない気味の悪さが全身を駆け抜けた。その時のことを懸命に思い出そうとするが、ヨクバールを倒した後からリコと勝負をする前の記憶が曖昧になっていた。

 

「わたしいったい……」

 

「この闇の結晶はロキの部下が持っていたものなのでしょう。きっとロキが闇の結晶によからぬ魔法をかけたのでしょう」

 

 フレイアが玉座から立ち上がって小百合に顔を近づけた。その一瞬、小百合はとても懐かしい温もりのようなものを感じる。フレイアは母親が子供の熱をみるように額と額を合わせていた。小百合はこの時に非情を肯定するフレイアの姿を思いだして辛い気持ちになった。今の母親のようにやさしいフレイアと以前に見せた冷酷なフレイア、どちらを信じてよいのかわからなかった。

 

「今のあなたからは邪悪な気配は感じられません。けれど心配ですね。少しでもおかしいと思ったらここに来なさい」

 

 フレイアは小百合から離れて玉座に腰を下ろすと、まるで疲れ果てたかのように長い息をはいた。小百合たちが一礼して去っていく。彼女らの姿が完全に消えるとフレイアは言った。

 

「バッティ、わたくしを魔法の森に連れていってください」

「承知いたしました」

 

 

 

 この夜、二つの場所で事件は起こった。

 

 みらいとリコが寮の部屋でそれぞれ机について勉強をしていると、いきなり窓が開いて邪悪な気配を含んだ風が入り込んできたのだ。ベッドの上にいたモフルンとチクルンが飛ばされそうなくらいに激しく空気が渦巻く。驚いたリコとみらいが窓辺に駆け寄ると夜の闇に紛れて何者かが空中に立っていた。それが近づいてきて窓から漏れるランプの光でその存在が闇から浮き出てくる。

 

「ダークネス!?」

 

 みらいが叫んだ。その姿は確かにキュアダークネスそのもの。そして彼女は気を失った若い女性を肩にひっかけて抱きかかえていた。

 

「お姉ちゃん!!?」今度はリコが叫ぶ。

 

「この女を返してほしければ最果て島にきなさい」

 

 そしてダークネスは飛翔して闇夜の中に消えていった。みらいはこの上ない悲壮感に包まれてしまった。

 

「どうして、どうしてダークネスがこんなことするの……?」

「お姉ちゃん……」

 

 リコはショックを受けながらも、先ほど現れたダークネスに拭いきれない違和感を感じていた。

 

 ――ウィッチの姿がないのはおかしいわ。あの二人が別行動するなんて考えられない。

 

 リコはそこまで考えると、悲しみを抱えて目に涙を浮かべているみらいにいった。

 

「さっきのダークネスはたぶん偽物よ」

 

「偽物? 本当に?」

 

 リコはみらいにはっきりと頷いた。

 

「とにかくこのことを校長先生に伝えて、すぐに最果て島に向かいましょう」

「うん、リズ先生を早く助けてあげないとね」

 

 そして二人は急いで校長室へと向う。

 

 それから半刻ほど後には、小百合とラナの前に気を失ったエリーを抱えたキュアマジカルが姿を現したのだ。窓の向こうに立つマジカルを見てラナは目を白黒させた。

 

「エリーさんを返しなさい!!」

 

 小百合の怒気がラナの混乱を吹き飛ばす。小百合が変身しようとブレスレッドを胸の高さまで上げたときにマジカルが嘲笑った。

 

「この女を返してほしければ最果て島にきなさい」

 

 その言葉を残してマジカルは大きく跳躍して闇の中に溶け込んでいった。

 

「な、なんでマジカルがこんな酷いことするの??」

 

「違う、あれはマジカルじゃない。マジカルはこんな卑怯な真似はしないわ。それにミラクルの姿もなかった。これは敵の罠よ」

 

 それを聞いてラナは少し安心したが、エリーがさらわれてしまったショックも大きい。

 

「でも最果て島にはいかなきゃ、エリーお姉ちゃんを助けなきゃ!」

「ええ、罠と分かっていても行くしかないわね。ところで最果て島ってどこにあるの?」

 

「行ったことないけどすっごい遠いのはしってる。わたしの箒でも丸一日はかかると思うよ~」

「ラナの箒で丸一日…ですって……」

 

 小百合は心の底から絶望した。最果て島に着く前にどうにかなってしまいそうだが、それでも行くしかないのであった。

 

 

 

 ラナは鼻で歌を奏でながら最果て島に行く準備を整える。

 

「魔法のコンパスを箒につけて、できた~」

「あんた最果て島の方角がわかるの?」

 

 ラナの箒の先っちょに付いたものはどう見ても方位磁石だった。

 

「ぜ~んぜんわかんない」

「だったら方位磁石なんて役に立たないでしょ」

 

「これは魔法のコンパスだよ。魔法をかけると針が目的の場所に向くの。おばあちゃんが遠くの街に行くときに使ってたんだ」

「へえ、魔法界のカーナビってところね」

 

「わたしは使ったことないけどね~」

「あんたが魔法なんてかけたら、針が逆向きになるわよね」

 

「ぜんぜんそんなんじゃないよ。針がくるくる回ってどこいったらいいかわかんないの!」

「相変わらず想像を絶するわね……。で、どうすればいいの?」

 

「コンパスに魔法で行きたい場所を教えてあげるの」

 

 小百合は魔法の杖を出すと月の光を吸って怪しく輝く三日月をコンパスに向けた。

 

「キュアップ・ラパパ、最果て島へ!」

 

 ふらふら動いていたコンパスの針が小百合の魔法で一方向に定まる。

 

「この方向に向かえばいいのね」

「そういうこと! 出発するからのってのって~」

 

 ラナが箒にまたがると、リリンには専用のポシェットに入ってもらって小百合はそれを腰に付けた。

 

「夜の旅立ちって、とってもファンタジックだよね」

「リリンも楽しみデビ」

 

「あんたたち状況を理解してる? エリーさんがさらわれてるんだからね」

 

 小百合がラナの後ろに乗ると箒が浮いてゆっくり上昇を始める。ラナは魔法界の空に浮かぶ月を見て笑顔のままにいった。

 

「わかってるよ。暗い気持ちでも楽しい気持ちでも最果て島に行くのはおなじじゃん。だったら楽しくいこうよ~」

 

「この状況で楽しくって、どんだけ能天気なのよ」

「ゴ~」

 

 ラナは前触れなく箒を爆進させると小百合が振り落とされそうになって変な悲鳴をあげた。

 

「ちょっとおっ!? 行くなら行くっていいなさいよねっ!!」

「箒でとぶだけでいちいちそんなのいわないよぉ」

 

「あんたの箒は普通じゃないの! 速すぎるの! いきなり猛スピードだしたら後ろに乗ってるわたしが落ちるでしょっ!」

「一気に全速力だあ~」

 

 ラナは後ろで小百合がいろいろ言ってるのをほとんど聞き流してぐんとスピードを上げた。箒の筆の部分から小さな星の形をした光が無数に噴き出しては消えていく。小百合がまた悲鳴を上げてラナの体にしがみついた。

 

「いやーっ!? もう少しゆっくりにして!」

「だめだよぅ。エリーお姉ちゃんを助けるんだから早くいかなきゃ」

 

 ラナにそういわれるともう何も言えなかった。

 

「速くて気持ちいいデビ。闇夜をかける悪魔の気分デビ」

 

 小百合の下のほうから上機嫌のリリンが言っても小百合の耳には全く入らない。彼女はラナにつかまりながら目を閉じて、いかれたスピードの恐怖に耐えていた。

 

 ラナは高度を下げて海面近くを飛び夜を映す群青色の水面を波立てながら進んでいった。

 

 

 

 小百合たちは一日以上かけて最果て島の近くまできていた。今は最果て島の直前に広がっている渦巻く嵐雲の中を突き進んでいた。最果て島は浮遊島なのだ。この雲を越えた先にある。

 

「ほとんど何も見えないわ」

「雲の中だからね~」

 

「何があるかわからないからスピードを下げて慎重に進みましょう」

「一気にいくよ~っ! それ~っ!」

「ちょっと! ひとの話をききなさいよね!」

 

 ラナは全速力で雲の中をぶっちぎった。視界もなく鯉の滝登りのように垂直の状態での超スピードの恐怖は半端ではない。小百合はもう声も出せなかった。それからほどなくして小百合たちは雲を突き抜けた。

 

 視界が開けた先にある無数の浮遊島が小百合たちの目に飛び込んでくる。ラナは箒のスピードを落として垂直から水平の状態に箒を戻した。恐怖から解放された小百合は全身の力が抜けそうだった。

 

「……死ぬかと思ったわ」

「大げさだなぁ」

「大げさじゃないわよ!」

 

 さんざんな目にあった小百合はラナに思いっきり突っ込まずにはいられなかった。

 

 ラナはゆっくり飛んで物珍しそうに浮遊する島々を見ていた。小百合もようやく気持ちを落ち着けて周囲を見ることができるようになった。

 

「島がたくさんあるわね」

「最果て島どこ~?」

 

 二人とも最果て島がどんなものか知らない。けれど小百合は明らかに異質な島を見つけてすぐにそれだと分かった。

 

「きっとあれだわ」

 

 小百合が浮遊島の中でひときわ大きな島を指した。ラナは箒をあやつってそれに近づいていく。周囲の緑に覆われた島々と違ってその島だけ荒れ果てている。

 

「まるでテキサスの荒野みたいな島ね」

 

 小百合たちは最果て島に上陸した。小百合は箒から降りると地面にいきなり倒れこんだ。

 

「お尻痛い、体だるい、休みたい……」

 

 リリンが飛んできてそんな小百合を上からのぞき込む。

 

「この程度で情けないデビ」

「ポシェットの中でのんびりしてただけの人にはわからないわよ! この辛さはっ!」

 

「快適な旅だったデビ」

「むかつくわね……」

 

「あ~っ、あれ、ペガサス」

 

 小百合は立ち上がってラナと同じ方向を見た。ペガサスが翼をはためかせて小百合たちが上陸した場所の反対側から外に出ていくところだった。

 

「どうしてこんなところにペガサスがいるの? あれは森の生き物でしょう?」

 

「わかんないなあ。ペガサスの翼でなら最果て島に行けるっていうのは聞いたことあるけど」

 

「それが本当なら、わたしたち以外にも最果て島に上陸した人がいるのかもしれないわね」

 

 それから小百合たちはさらわれてしまったエリーの姿を求めて最果て島の中心部を目指して歩き始めた。

 

 

 

 小百合たちと時同じくして最果て島に上陸したリコ達もリズを探し求めていた。彼女らにはここで闇の魔法つかいと戦った記憶がある。敵と正々堂々と戦い苦戦はしたが仲間のおかげで勝つことができた。今度の敵はリズをさらうという非道な手段に出た。ここに罠があることもわかりきっているので、以前よりも苦しい戦いになるのは目に見えていた。

 

「リズ先生ーっ! いたら返事してくださーい!」

「お姉ちゃん、どこ!」

「リズ先生どこモフーっ!」

 

 みらいたちの声が最果て島を見下ろす青空にむなしく響いていく。リズの返事もなければ姿も見えなかった。あきらめずに声を張り上げていると、どこか遠くから声が聞こえてきて二人とも立ち止まった。

 

「リズ先生かな?」

 

 みらいが期待を込めて言うと、リコが耳をそばだてる。

 

「……違うみたい。誰かを呼んでいるみたいね」

 

 みらいもリコも予感があって声のするほうに走り出した。

 

「エリーさ~ん! ど~こ~!」

 

「ラナ、もう呼ばなくていいわ。敵はわたしたちを罠にかけるためにエリーさんをさらったんだから、呼んで返事ができるような場所にはいないわよ」

 

 その時に小百合は荒涼とした大地を走って近づいてくる人の姿をとらえる。

 

「お~い! みらい~、リコ~」

 

 その姿がはっきりしてくるとラナが笑顔になって手を振った

 

「あなたたちも来ていたのね」

 

 リコが目の前に現れると、小百合は驚きよりもやはりという気持ちの方が強かった。

 

「いつもお世話になっているエリーさんが、マジカルに化けた敵にさらわれてしまったのよ」

 

「わたしたちもそうよ。ダークネスの姿をした誰かにお姉ちゃんがさらわれてしまったの」

 

「そう、嫌な予感がするわね……」

 

 すると小百合のその予感を体現するかのように空に暗黒の雲が広がり、あっという間に島全体が薄暗い闇におおわれてしまった。そして暗黒の雲が渦巻くと、その中心から黒く塗りつぶされた真円の空間が広がって、その中から二つの垂直に立つ黒い魔法円がしたから引き出されるように姿を現してゆく。

 

「お姉ちゃん!」

「エリーさん!」

 

 リコと小百合は同時に叫んだ。二つの黒い魔法円に二人の女性が十字架の形に磔にされていた。二人とも気を失ってぐったりしている。

 

「探し物はこれだろ」

 

 暗い雲をスクリーンにして映し出された邪悪な男の巨大な顔が少女たちを見下ろしていた。小百合は射貫くような強い視線でロキを睨み据える。

 

「ロキ、やっぱりあんただったのね」

 

「おやおや、予想通りってか」

 

「あなたがロキ!?」

 

 リコは前触れもなく途方もない困難に出会って厳しい表情になっていた。リコとみらいはロキを見るのは初めてだったが、幻影の魔法によって映し出された姿からもその邪悪な精神と破滅的な闇の魔力が伝わってきた。

 

「伝説の魔法つかいの二人にはお初にお目にかかる。この俺様がいずれ世界を支配する闇の王だ」

 

「そんなこと絶対にさせない!」

「そうだよ! わたしたちが力を合わせれば怖いものなんてないんだから!」

 

 みらいに続いてラナが勢いづいて言うと、ロキは口角を引き上げてぞっとするような笑みを浮かべた。

 

「おまえらが協力するなんてありえねぇことだ。なぜなら、今日ここでどちらかが消えるからだ」

 

「何をするつもり!?」

 

 リコが可愛らしい顔に精いっぱいの強気をのせるとロキの笑みが消えた。

 

「俺様はお前たちには何もしねぇ。ただ条件を出すだけだ。お前たちで勝負をしてどちらか一方が勝てば、その二人の女は無事に解放してやる。勝負を拒むのなら二人とも消えてもらう」

 

「なんですって!? ふざけないでよ!!」

 

 ロキが出した衝撃的な条件にリコが怒りをあらわにし、みらいは苦し気な表情になる。

 

「いいでしょう。あんたの罠にはまってあげるわ」

 

 小百合が言うとロキの顔に再び狂気的な笑みが浮かんだ。

 

「小百合どうして!?」

 

「リズ先生とエリーさんを助ける方法はこれしかない。それにあなた達とはいずれは決着をつけなければならなかった。ちょうどいい機会だわ」

 

 悲痛な声を上げたみらいに小百合は淡々と語った。

 

 リリンが飛んできて小百合とラナの後ろにくると、小百合はラナに左手を返して差し出す。ラナは悲し気な表情で小百合の左手に右手を重ねた。そして三日月を背後にした黒いとんがりぼうしが浮かび上がる。二人が結んだ手を後ろに引いてもう一方の手を天にかざすと、二人の乙女は瞬時に宇宙に広がる闇のようなローブに身を包んだ。

 

『キュアップ・ラパパ!』

 

 魔法の呪文で闇のヴェールが彼女らを覆い隠し、そして闇ごと彼女らの姿は消える。次の瞬間には空中に広がった三日月と星の黒い六芒星の上にダークネスとウィッチが召喚された。そして地上に黒いプリキュアたちが舞い降りた。

 

「穏やかなる深淵の闇、キュアダークネス!」

「可憐な黒の魔法! キュアウィッチ!」

 

『魔法つかいプリキュア!』

 

 先に変身した二人を見て、みらいとリコも覚悟を決めるとモフルンが彼女らの足元まで走ってくる。そして二人手を重ねるととんがり帽子に魔法の箒をそえた金色の光が現れ、つないだ手を後ろにしてもう一方の手を高くかかげる。みらいは桃色の輝きのローブをその身にまとい、リコは紫に輝くローブで身を包む。そして二人で高らかに呪文を唱えた。

 

『キュアップ・ラパパ!』

 

 聖なる輝きが彼女らの姿を覆い隠し、次の瞬間にすべてが消えてなくなる。それと同時に白い光で描かれたハートを抱く五芒星が空中に現れ、その上にミラクルとマジカルが召喚された。

 

 菫の色の魔法のプリキュアと桃の色の魔法のプリキュアが地上に舞い降りる。

 

「二人の奇跡! キュアミラクル!」

「二人の魔法、キュアマジカル!」

 

『魔法つかい、プリキュア!』

 

 四人のプリキュアが向かい合うとロキのさも楽し気な笑い声がこだました。

 

「戦え! プリキュア共!」

 

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