「かくて世はこともなし、か…。」
酒をついだ杯の上に桜の花びらが舞い降り、魔理沙はそれごと飲み干す。
「はあ…疲れたわー。…なんなのよの最後のあの桜!化物桜め。」
霊夢がぼやく。
―ここは博麗神社。
異変解決の宴会が、花見と共に行われている。
「主犯も来てるし…。」
すると、霊夢が背にしている桜の木の裏から、幽々子が顔を出した。
「まあまあ、お詫びのしるしにね。」
すると、魔理沙の横に妖夢が現れ、
「酒肴もお持ちしましたので。」
そう言って妖夢は刺身を差し出す。
「おっ。」
魔理沙はそれに目を輝かせている。
「あら、霊夢。」
「あ、咲夜。…レミリアもか。」
「どうも。…疲れてるわね。」
「全くよ…誰かさんのおかげでね。」
そう言って、霊夢は遠くで完全に酔った幽々子を睨みつけた。
「まったくもう…。」
霊夢は再びため息をつく。
「…輪花は?」
「…いや、見かけてないぜ?」
近くにいた魔理沙も覚えがないらしい。
「ま、また屋根にでも登ってるんでしょう。…昼なのに。」
そう霊夢は呟いた。
「どーも。」
そう言って輪花に声をかけてきたのは…。朱莉だ。
「…どうも。」
輪花はアルコール度数が低めの酒を飲んでいるため、至って正常である。
「自己紹介、していいかしら?」
輪花の返答も待たず、朱莉は言った。
「私は示唆朱莉。」
「…僕は後来輪花。霧雨魔理沙の弟子。」
すると、朱莉は顔を近づけてきた。
「…な、なに?」
輪花は若干引きながら聞く。すると、
「…あなたが魔理沙の弟子なのね。」
「何?魔理沙を知ってるの?」
すると、朱莉は輪花から顔を離し、
「…知ってるもなにも、私は今回の異変で魔理沙に倒されたのよ。」
「ああ。じゃあ、魔理沙が酔った勢いで自慢したホラ話って…。」
すると、朱莉は笑い、
「…かなり盛ったみたいね。」
「そう。朱雀の羽が生えただの、青龍が出てきただの、ファイナルスパークが強化されただの。」
そう輪花はぼやいていたが、
「……それ、本当よ。」
「本当?だよねぇ。そんなことあるはずが…。……はいぃ!?え、何、本当なの!?」
朱莉は、
「ええ。なら、証拠…見せようか?」
そう言うと、朱莉は朱雀の羽を出した。その時。
「…ああ。」
輪花が納得した素振りを見せた。
「……何納得してるの?」
朱莉は聞く。すると、輪花が出したのは―白玉楼で拾った、赤い羽根。
「あ…。」
朱莉はそれを見ていたが、
「…そう。そうだったの。…あなた、見抜いたのね。」
「そう。…ま、その前に妖夢に負けちゃったけどね。…なんでこの異変に加担したの?」
輪花が聞くと、朱莉は両手を広げ、やれやれとポーズをとり、
「さあ?あの
―沈黙。
「「…ふっ。」」
そして、二人同時に笑いだした。
「言いそうだね、それ。かなり想像できる。」
「そう。おそらく…いや、絶対あなたの思ったとおりだわ。」
ふたりはこのあともしばらく談笑していたが、
「…じゃあ、行く場所はないんだね。」
「まあ、私は動物でもあるから、森でも過ごせるけどね。」
「へえ。…でもなあ‥。」
すると。
「私の弟子にならあいいじゃやいか~。私と性格が似てるし、いいじぇ~。」
完全に泥酔した魔理沙がやってきた。
「「…………いいの!?」」
二人が同時に詰め寄る。
「お、おう、別に…構わないぜ。」
ふたりの勢いに一瞬酔いがさめた魔理沙。
「…じゃあ、お願いしても、いいかしら?」
「うん!これからよろしくね!」
そう言って、輪花は手を差し出す。
「…ええ。よろしく。」
朱莉は輪花の手を握る。
―こうして、二人目の弟子になった―
作者「はい、という訳で二人目、示唆朱莉です!」
朱莉「どうも!」
輪花「三人目追加された~!」
朱莉「…まさか、ずっと二人でやってたの!?」
作者「…序盤だけゲストがいて、後は自力で。」
輪花「…36回分メインMC二人だったね…。」
作者「おう!次章突入します!次回、#38『弟子の家』、はいどうぞ!」
朱莉「ええ!ここまで見て下さりありがとうございました!」
三人「「「では!」」」