魔理沙の弟子は魔法初心者。   作:破片

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#41 怨妖という種族

「怨妖…?」

 輪花は思わず口に出していた。

「そう。…わかりやすく言うと、恨みだけの妖怪、ってところかしら。」

「恨みだけの…?」

 輪花はもはや呆然としていた。

「…そうよ。…人、獣、妖怪、霊、神…。様々な恨み、妬み…。それが積もりに積もって妖怪という形で出てきた種族。…名前は紫に付けられたわ。その種族名もね。だから、もう私は霊でもあるし、妖怪でもあるのよ。…だから、自分で言うのもなんだけど…。」

 そして、一息ついて朱莉はこう言った。

「…私を差別しないで。」

「え?」

「勿論私の精神には何も響かないけど、言ったでしょ…?様々な種族の個々の恨みが積もっているって。…だからね、禁句を聞くと…暴走するのよ、私の体ごと。」

「禁句って、たとえば…。」

 次の言葉を言おうとした輪花を止め、

「自分で言うから大丈夫。…辿えば、そうね…。『死ね』とか『消えろ』とか…?そんな言葉よ。…まあ、心の底から言われないと暴走はしないけどね。」

「暴走したら、どうなるの…?」

 若干の悪寒を感じながら、輪花は聞いた。すると、

「そうね…わかりやすく言うと、その言った奴の五体のどれかを引きちぎらないと気がすまない…かしらね?」

 少しのためらいも見せず、さらりと言い切った。

「‥暴走したこと、あるの?」

「いいえ。でもね、その人の恨みや妬みが脳内に流れ込んでくるのよ…。」

 朱莉はそういう。と、

「さ、私の話はもうおしまい。で、この霧のことだけど、…これは、体内で形成されている気ね。」

「なんでわかるの?」

「‥言ったでしょ、色々転々としていたって。…だから妖怪を倒したりするのもあったのよ。」

 輪花は話し始めてからの朱莉の言動に寒気を覚えていた。自分の種族を話してから、すべてを受け付けないような憎悪の目。

(…でも…。)

 その中でも、輪花はわかっていた。憎悪の目の中に、これ以上誰かを傷つけたくない、そんな感情があるのを。

「…で、なんでかしら?」

 朱莉の言葉で輪花はわれに帰った。

「なんで体内の妖気がこんなところにあるのかしら。」

「え、それは…。」

 輪花はかなり単純な答えを言った。

「…この霧がその異変の首謀者だからじゃないの?」

「…………そうね。…じゃ、どうやって戦うの?」

「霧…霧…。‥そもそも霧ってなんなの?」

「さあ?」

 二人共霧のことには無知らしい。

「じゃあ…。」

 輪花の提案は―

 

 

 

 

 

 

 

「どうもー。」

―ここは図書館内。そう、紅魔館の大図書館なのである。

 知識人のパチュリーなら何か知っているだろうということである。

…当然魔理沙とは違い、美鈴に事情を話してるので、

「いらっしゃい。」

 パチュリーに会うのは容易だった。と、パチュリーが、

「悪いけれど、あなたの師匠に言ってくれないかしら?」

 いきなりこのような事を言ってきた。

「…?なに?」

 輪花は聞く。すると、

「本を勝手に持っていかないように、よ。」

 きっぱりとそういった。

「…うん、そうするよ。」

 と、話が一息ついたことで、

「ねえ、パチュリー…だったかしら?」

 朱莉が聞いてきた。

「ええ。宴会以来ね。」

「3日前だけどね‥。」

 輪花がそうつぶやく。

「知りたいことっていうのは、霧って…どんなの?」

 すると、パチュリーはきょとんとし、

「…随分と大雑把な質問ね。いいわ、特徴を言ってあげるから、止めたい時には言いなさい。」

 そう言って、ふたりを座るようにすすめ、パチュリー自身も座った。

「えっと、霧は、雲みたいに水蒸気が水滴になったもので…。」

「ストップ。」

 早くも輪花がストップをかけた。

「…早いわね、どうしたの?」

 パチュリーが早くも止められたことにつまらないようだ。

「…ひとつ質問。…ということは、蒸発できるんだね?」

「ええ、そうよ。…それだけ?」

「うん、それだけ。じゃあ、今日の宴会でね!」

 あっさりと輪花は立ち上がった。

「あ、ちょっと!」

 朱莉もあわててそれについていった。

 

 

 

 

 

 

―博麗神社。

「どうしたのよ、いきなり。」

 朱莉が輪花に聞いてくる。すると、

「…朱莉。この異変、今日中に解決できるかもよ。」

 そういったのである。

「本当なの!?どうするの?」

「…この霧を蒸発させる。」

 輪花はそういったのである。

「は?……なんで?」

 朱莉はまだ理解できていないようだ。

「だってさ、霧は水蒸気が水滴になったものでしょ?だったら蒸発させて消せばいい。」

「…分かったわ。じゃあ、スペルカード、朱雀『炎翔烽火(えんしょうほうか)』!」

 そして、朱莉を中心に大きな炎の球体が広がっていった。すると―

「わー、あちー。止めてくれ。」

 どこからか声が聞こえてきた。

「…?」

 朱莉は炎を止める。そこにいたのは―

「君だね、この霧の正体は。」

 人間に二本の角が生えている。…小さい鬼、という言い方が自然な少女だった。手首には鎖が巻かれている。

「そうだよ、私の名前は伊吹萃香さ。…どうしたのさ。こんな呼び出し方をして。」

「‥宴会を止めてくれない?」

 輪花はそういった。

「なんで止めなきゃいけないのさ。楽しいだろう?宴会は。」

 どうやら萃香に悪気はないようだった。

「楽しいけどさ…。」

 輪花が言いよどんでいると、

「迷惑なのよ、はっきり言ってね。」

 朱莉が話に割り込んできた。

「―ほう?」

 萃香の目が鋭くなる。

「だったら出てきて言えばいいのよ。それくらいできないの?」

「…鬼という種族をお前らは愚弄した!」

 いきなり萃香が叫ぶ。

「だから私は霧になってみんなを萃めたのさ。…卑怯な手を使う人間を―」

「―卑怯な手で集めたの?」

 さらりと朱莉は言った。

「なんだと!?」

 さらに萃香が怒った。―と、朱莉の口元が緩み、

「…つまりは楽しみたいってことでしょ?」

 そういった。

「ああ。」

「じゃあ―」

 そう言って朱莉は構えた。

「これで戦って、私たちが勝ったら止めてね。」

「―フッ。」

 すると、

「ハッハッハ、面白いねえ!‥いいさ、二人できなよ!」

 が、

「いや、正々堂々が好きなんでしょ?…輪花、先やっていいわよ。」

「えぇ!?」

 いきなりの指名に驚く輪花だが、

「…わかったよ。僕は後来輪花。いくよ!」

「私は伊吹萃香。…鬼の力、思い知るがいい!」

 第一ラウンドが始まった―




作者「久々に2000字超えたなー。」
朱莉「輪花がんばれー。(棒)」
作者「おいおい…。次回、#42『獣vs鬼』ここまでありがとうございました!」
朱莉「では!」



輪花「…僕、今回後書きでた?」
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