「お前の勝ち、だと…?」
萃香の目が細くなる。
「ええ、そうよ。」
「何がだい。すべて詠唱しないといけないなんて面倒くさいだろう…?」
ここで一つ、萃香は引っかかった。
「‥まて。最初の符は唱えなくてもいいとして、だ。あの朱雀『炎翔烽火』、お前は最初詠唱していなかったぞ?」
最初、萃香を呼び出すために使ったあの符。その時、朱莉は詠唱などしていなかった。
「ああ、それは、詠唱する方が強くなるのよ。」
そう朱莉は説明したが、
「じゃあ何故最初の符は詠唱しなかったんだ?」
「それは…隙ができるに決まってるじゃない。」
朱莉はそう言った。と、萃香は次の質問をした。
「何故勝ちだと思っているんだ?」
「この詠唱さえ終われば私の勝ちよ。」
そう言って、スペルカードを構え直した。そして、
「四神を統制する偉大なる黄龍よ―」
詠唱を始めた。と、
「させるか!」
萃香がそれを止めに朱莉の方へ走る。が、
―見えない壁にぶつかった。
「何?」
と、朱莉は詠唱を一旦止め、あるスペルカードを見せた。
「擬態『カラーメレート』、これで『四獣塞門』の色を透明にしたのよ。カメレオンのようにね。」
「なっ!」
「そう、今私が唱えている、黄龍の詠唱は、それまでに青龍、朱雀、白虎、玄武の技の詠唱を最低で
「はっ…!?」
萃香はようやく気付かされた。いままで朱莉が詠唱したスペル―化身『白虎―撃墜―』、豪門『
「その透明にするスペルはいつ唱えた!?」
萃香が聞いているあたり、そのような声が聞こえた覚えはない。すると、
「バリン、ってなったときよ。あれは玄武のスペルが唱えられたあとの直後。大きな音がした時にさりげなく、ね。」
「そうかい…。あの音はてっきり結界が壊れたもんだと…。…まて、どうして『四獣塞門』を詠唱した?」
「ああ、それは…。詠唱するとそのスペルが強力になるの。それに、今から、二枚のスペルを使うからよ。」
「そうか…。」
すると、萃香は拳を壁にぶつける。と、結界がガラガラと崩れていった。
「なに…?」
「あら、もう時間切れと、耐久がギリギリだったのね。まあ、いいわ。―我が堅甲なるしもべとなりて、この世へと現れん。…見せてあげる。これが私の力を総結集したスペル―憑依『黄龍―全完―』!」
そう言ってスペカを地面に叩きつける。すると、朱莉の前に模様が現れたかと思うと、大きな黄色い光の柱が現れた。そして、それが消えたとき―
朱莉は完全なる黄龍となっていた。しかも、
《さあ、これが二枚目。いい?
すると、黄龍となった朱莉の両腕の周りに4つずつの赤、青、白、黒の宝玉がそれぞれ集まり、周り始めた。
《さ、最後の一撃よ。構えて。打つんでしょ?》
朱莉の声が萃香の中に響く。と、
「ああ、わかったよ!鬼の力、見るがいい!詠唱してきな!」
萃香がスペルカードを構えた。
《お望み通り。神聖なる黄龍よ、我が力、四神の力をも使え!…行くわよ!》
「こい!」
《黄龍『四神・我からなる十一乗の波動』!」
すると、両腕の周りで回っている宝玉、両手、黄龍の口に光が貯まり始める。
「『百万鬼夜行』!」
萃香もそれに全力で応える。
《「はあっ!》」
そうして、同時に放たれ、二つの力がぶつかり合った―
―博麗神社、屋根。
「いや~やっぱり宴会は楽しいねえ。」
伊吹萃香は他の全員に紹介を済ませ、異変最後の宴会を輪花、朱莉と共にすごしていた。
「朱莉まあ、霊夢が何故か気絶していたから壊れたものはばれずに直せたわ…。」
「ついでに賽銭箱も直したから、嬉しさで全部変な記憶とか吹き飛ぶでしょ。‥にしても、鬼の力ってやっぱりすごいね。」
「おうよ、力も技術も鬼が一番さ!…ま、負けたけどね。」
朱莉は微笑み、
「気にすることないわよ。最後、正々堂々と勝負してくれたし。拳だったら絶対に負けてたわ。」
萃香は少し照れたように、
「…ありがとな、二人共。」
「僕は何もしてないよ。」
輪花は即否定する。
「いや、輪花がいなかったら、朱莉は弟子になることもなかっただろう?」
「まあ、そうだけど…。」
「輪花。萃香の言うとおりよ。」
輪花も少し照れたように、
「…ありがとう。」
そう礼を言った。
「…さ!宴会に戻ろう!」
萃香の言葉で三人は降りていった。
―その後、輪花の暴走事件を知らない萃香が『鬼ごろし』を飲ませ、いじけるのを見に来た魔理沙が禁句を言ってしまい、輪花が再暴走、博麗神社は酷い有様になった…。
―そして、あの事件が始まるのである。
作者「はい、萃夢想異変、終了です。」
朱莉「いや、萃香っていいわね!」
輪花「あれほど自分の種族に誇りを持っている人は初めて見たよ。」
作者「人じゃねえけどなw」
朱莉「さて、…次の異変ね。」
作者「…ああ。始まるぜ、最悪の異変が…次回、『魔理沙の弟子』シリーズのうちの『魔理沙の弟子は魔法初心者。』最終章突入です!」
輪花「次回、#45『四季、天候の分裂』、ここまで見て下さりありがとうございました!」
三人「「「では!」」」