―爆発が止んでいく。
「…霊夢…。」
魔理沙はゆっくりとつぶやいた…。
―煙が晴れていく。そこには、霊夢と―沙紀が立っていた。
『………ふざけるんじゃないわよ。』
沙紀がゆっくりと呟いた。
『こんなことで言いくるめられるとでも思ったの!?…私は、この…。この二重人格のせいでどれだけ苦しめられたかわかってるの!』
大声で沙紀は叫んだ。
『…だったら……だったら止めて見せなさいよ!滅亡『ブラックホール』!』
その言葉とともに、沙紀の目の前に巨大なブラックホールが現れた。
「っ!」
霊夢は少しずつ吸い込まれていく。それを見た魔理沙が、
「!霊夢!魔符『スターダストレヴァリエ』!」
高速で霊夢に近づき、霊夢を抱え遠くに離れようとしたが―
『…無駄よ。』
「…!!」
ブラックホールに近づいただけでスターダストレヴァリエが強制的に終わり、魔理沙も徐々に吸われていった。
『これは光をも飲み込むブラックホール…。スペルなんてあっさりと吸うわよ。』
沙紀は冷酷に言い放った。
「くそっ!一刀『斬撃―
風雅は大きく曲がる巨大な鎌のような斬撃を放つが―
『無駄だって言ってるでしょ?』
斬撃は砂のように細かくなっていき、ブラックホールに吸われていった。
「っ!…まずい!」
いきなり沙紀は吸引力を強めたので、近くにいた朱莉や風雅も引き込まれはじめる。
「!みんな!」
輪花は転送魔法を貼ろうとしたが―
『隕石『the・スターハレー』。」
目の前に彗星が襲ってきた。そして―
「わあっ!」
思いっきり押されていく。
「…くっ!」
しかし、ここから逆転できる術もなく―
「ぐわっ!」
壁に大きく激突、そのまま輪花は落ちていった―
―輪花はゆっくりと目を覚ます。すると―
『あ、やっと起きたわね。』
同じ場所に沙紀は立っていた。
「…!みんなは!?」
『そこに倒れてるわ。』
あっさりと沙紀は言った。
輪花は慌てて周りを見る。―霊夢、魔理沙、朱莉、風雅。全員が地に伏せていた。
『非殺傷って便利ねー。』
平気な顔で沙紀は言う。
『…さ、後はあなただけね…。』
そう言って沙紀は少しずつ近づいてきた、その時。
『…うっ!?』
突然沙紀が苦しみ始めた。
『…っ!くそっ…!』
なぜ苦しんでいるのかがわからない。その時、輪花の脳内に声が響いた。
《…輪花!》
「…!亜紀…?」
《そうよ…。お願いがあるの。》
「…なに?」
その願いは、とんでもないものだった。
《…私をこのまま殺して!》
「…!!そんな…!」
自分を殺せ。…とんでもないものだ。
《…私が悪いのよ。…みんなに迷惑かけないために、沙紀の案にのって、少しずつ沙紀を封じようとしたこと…。これが暴走の原因よ。》
「でも…。」
それは沙紀の案である。
《いいえ。それに乗った私も悪い。…お願い。》
「ダメだよ!…そもそも、スペルカードは非殺傷なんだ。それは知ってるでしょ?」
《…簡単よ。簡潔に言うと、レミリアの神槍『スピア・ザ・グングニル』に、美鈴の能力で気をまとえば、気に当たるからスペルの攻撃じゃなくなる…殺傷能力ができるわ。》
「…!!」
なぜ亜紀はこんなに自分を殺せとせがむのだろう。
《…あのね、暴走しているのは私たちも知らない、第三の人格よ。》
「…え?沙紀じゃないの?」
すると、脳内に別の声が響いた。
《失礼ね。…そこまではできないわよ。》
「沙紀!?」
《あいつは性格が私なだけよ。…早く。…もう紅魔館の実力者全員の力を借りて!》
「…っ!…分かった。」
そう言って輪花は次々と、ゆっくりと、一枚ずつスペルカードを取っていった。それは―
・日符『ロイヤルフレア』
・『咲夜の世界』
・神槍『スピア・ザ・グングニル』
・禁忌『レーヴァテイン』
そして、美鈴の能力を使う。
グングニルとレーヴァテインを組み合わせ、ロイヤルフレアをまとわせる。
そして、それに美鈴の気をまとわせ、殺傷能力をまとわせる。
「…………。」
もはや輪花は何も言わなかった。
《《早く!》》
二人の声が重なる。
「………っ!」
そして輪花はそれを投げた。そして、時を止めた。それが動き出した時―
沙紀の周りに大量の槍が。それぞれの先端をつなぐと―
―綺麗な正二十面体になっていた。
『…………ありがとう。」
「!」
最後に小さい声で、お礼を言われた気がした。
そうして、槍が近づいていき―
強大な爆発が起きた。
「………………バカ。」
小さく輪花は呟いた。
「…なんで、自分で…。」
そう言って膝をつき、俯く。
「なんで自分で決めるの…。」
そうして、輪花は泣き始める。
「わあああぁぁぁぁ!」
下を向いたまま、輪花は泣き叫んだ。
―…輪花は優しいね。最後のあの槍―直接当てずに、爆発で巻き込むなんて。まあ、殺傷能力はあるけど。
―そうね。…さあ、先に行きなさい。私はまだやることがあるわ。
―え、でも。
―いいから先に行って!…それじゃあ。
―…そうね。…じゃあ。―
―…!…―
『『またね』』
そして光が止んだ時、沙紀の姿は跡形もなかった―
作者「はいおしまいですた。…亜紀、沙紀は消えました。…輪花は被害者でもあり加害者でもある。」
輪花「………。」
朱莉「…でも、この異変はそれだけじゃ終わらなかったのよ。」
作者「…次回、#55『友達のため?』ここまで見て下さりありがとうございました!」
三人「「では。」」