魔理沙の弟子は魔法初心者。   作:破片

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#56 全ての行動は―

「ん…?」

 輪花はゆっくりと目を覚ました。そして―

「え」

 十字架に貼り付けられていた。

「…お目覚めかしら?」

 そこにはレミリアが。さらに、

《目覚めた?》

(あ、沙紀、戻ったの?)

《ええ。》

 沙紀も輪花の体にいた。

(これ、どういうこと?)

《大丈夫よ。後は咲夜次第よ。》

(はあ?)

 輪花はなんのことか一切分からない。

「さあ、沙紀を殺したこと、命を持って償ってもらおうかしら?」

 そう言ってレミリアはグングニルを構えた。

(わー、亜紀がかわいそう。)

《全くね。》

 二人はそんなことを話していた。レミリアのことではない。咲夜の方にかけていた。

「じゃあ、最後に言うことは?」

 レミリアはそう言って構える。

《ちょっとまた体借りるわね。》

(え?)

《そろそろ時間切れみたい。》

(え…。どうすればいいの?)

《私が一度レミリアを蹴り飛ばしたあと、後は…。言葉の説得。》

(…はい?)

 輪花はきょとんとする。表情に出してないが。

《私には説教は無理よ。》

 あっさりと言われた。

(なーに言ってるのぉ!?)

《あなたなら、大丈夫。そのお人好し同然の性格なら、ね。》

(………。最後の一言余計じゃない?)

《あら、ごめんなさい。》

 と、レミリアが睨んでいるのに気がついた。

「…なに笑ってるのよ?」

(…人を小馬鹿にするのもやめたほうがいいよ。)

《まあまあ、いいじゃない。…後は、》

(《咲夜次第。)》

 そう言って、輪花と沙紀は咲夜の方を見る。すると、咲夜は何かを決意したような表情になり、手を指を鳴らす形にした。

「まあ、いいわ。死になさい。」

 そう言ってレミリアは、グングニルを投げた―と同時に、咲夜が指を鳴らした。

―そうして、グングニルが貫いた。

 

 

 

 

「…!?」

 レミリアは咲夜が指を鳴らしたことに気がつかなかったようで、目を見開いている。なぜなら―

 グングニルが貫く直前、輪花は地面に落ちたのだから。

―と、目に入ったのは、十字架に刺さっている、4本のナイフ。

「……咲夜。なんでこんな真似を…………!」

 レミリアは咲夜の方を向き、咲夜を睨みつける。

「「…お嬢様。後ろを見てると、やられますよ?」」

「!?」

 咲夜の声とともに、もう一つ、別の声が聞こえる。慌ててレミリアは後ろを向く―が、既に遅く、蹴り飛ばされた。

「がはっ…!」

 そうして蹴り飛ばした、輪花―沙紀が取り付いているが、咲夜の方を見て、

「…ギリッギリすぎるわよ、本当に。」

 苦笑する。

「…あと、お願いね。」

 咲夜はそういった。

「さあね。後はこの子に任せましょう?」

 そう言った刹那、

「…おっと。」

 沙紀は抜けたようで、輪花が出てきた。

「……僕にレミリアの説教を押し付けてきた。」

 そう言うと、ゆっくりとレミリアの方に近づいたと思うと、胸ぐらを掴み、壁に叩きつけた。

―そして、深呼吸をしたかと思うと、

「あああああああ!」

 ひとつ、大声で叫んだ。

 レミリアと咲夜はその声量に驚く。―そして。

「―レミリア。…君は考えが甘かったんじゃない?」

 そう言い始めた。

「…なんで?」

 レミリアはそう言って、輪花のつかんでいる腕を掴む。

「………じゃあ。どんな運命が見えていたの?‥亜紀達はどんな決断をすると思っていたの?」

「…いろいろありすぎて忘れたわよ、そんなこと。」

 レミリアは腕を掴んでいる手に力を入れていく。

「…嘘。」

「!?…なぜよ。」

「………本当は、何らかの形で()()()()()()()()()()()()()()んじゃないの?」

「…………!」

 レミリアは、掴んでいる腕に爪を食い込ませる。…輪花の腕から血が少しずつ流れ始める。

「例えば…」

「やめて。」

「自殺とか…。」

「やめてって…。」

「…今回のように、『殺してくれ』って言ったりとか。」

「やめてって言ってるでしょ!」

 レミリアは叫んだ。

「その…。」

 が、輪花の言葉はおわらない。

「その運命から、目を背けていた。…違う?」

「………ええ。そうよ。」

 すると、レミリアは空いている手を握り締めた。

「…私の能力をもってしても…変えられなかった…!」

「…変えられなかった理由。」

「え?」

「変えられなかった理由。…僕はこう思う。」

 そう言って、またひとつ深呼吸をすると、こう言った。

「みんな孤独なんだよ。」

「…え?」

「みんな、一人で決めようとしたでしょ?レミリアだって、なんでも一人で決めようとした。亜紀達だって…。」

「………それで?」

「ほかの運命も見えていたんじゃないの?」

「…ええ。」

「みんなで話し合えば、変わっていたんじゃないの?」

「…………。」

 

 レミリアが望んだ運命。ほかの運命には、みんなが集まって、笑っていた。いまの紅魔館とは正反対の、明るい仲だった―

 

「……でも。」

 そう言ってレミリアは爪を立てて、

「沙紀は…あなたが殺したのよ!」

 そうして、左に向かって突き刺した―

 

 

 

「…なんで。」

 レミリアは目を見開いていた。

「……なんでよけなかったの?」

 レミリアから見て左側に手を突き刺したので、心臓は免れた。が、輪花の右側の背中からは、血だらけになったレミリアの手が出ている。‥貫通したのだ。

「…よけられたでしょ?」

 震える声でレミリアは言った。

「…良かったよ。」

 輪花はそういった。

「………え?」

「レミリアが本当に優しいことが分かって。」

 ゆっくりと輪花から手を引き抜く…。

「あ………‥。」

 その手を見つめて、

「…うわああああああぁぁぁぁぁ!」

 膝をつき、下を向いて、泣き出した。

 その様子に、輪花は微笑みながら、

「…もっと相談しなよ。美鈴や、咲夜、パチュリー、小悪魔、フラン…。大丈夫。レミリアのことなら、必死に考えて…くれ……る…………。」

 と、何かが倒れる音がした。

「…え?」

 レミリアは真っ赤になった目を向ける。そこには、輪花が仰向けで倒れていた。

 右側の傷口からは血が大量に出ていき、血だまりができていく。

「…輪花?輪花ぁ!」

 レミリアが駆け寄る。が、輪花の顔は白い。

「…お嬢様!」

 咲夜が駆け寄る。

「咲夜!…みんなを!輪花は私が運ぶから!」

「……わかりました!」




作者「輪花は倒れて出血多量。朱莉たちは随分と回復して目が覚める頃です。」
朱莉「まあ、このあとも終わらないのだけど。」
作者「章タイトル変えときます。」
朱莉「次回、#57『怪しげな満月』ここまで見て下さりありがとうございました!」
作者「では!」
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