身だしなみを整えて、私は今日もバイトに向かう。
「行ってきまーす」
「またバイトか?よく飽きないなお前……」
「おしゃれの為なら、私は地獄巡りだってやり遂げてみせる!!」
「いや命はもっと大事にしろ」
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というわけで、バイト先のファミレスにて接客中。
「いらっしゃいませ~!!」
今ちょうど来店したのはここでのバイトはそこそこ続けてるけど見たことがない人だった。
体つきは女性っぽいけど凛々しい顔立ちをした、宝塚とかにいそうな感じの人だ。着ている服は地味めな感じだけど、それだけでは隠しきれないくらいには写真映えしそうで、どんな服が似合うかシミュレーションしてしまう、もはや職業病だね。
「注文がお決まりでしたら、お申し付けください!」
ちょっと自分の目つきが妖しくなってた気がしたけど、さっさと切り上げて次の客の接客に向かう。
次の客は見た目で判断するとDQNだった。いや、まだ分からない、もしかしたら普通の人という可能性も…
「いらっしゃいませ~」
「あれ、もしかして陽務瑠美ちゃん!?」
「えぇ、そうですけど………」
「ちょっと写真撮っていい?」
「他のお客様の迷惑になるのでご遠慮ください」
うわ来た。仮にも読モのため、たまに私のことが分かる人が来たりして写真をねだられるけど、そういうのは他のお客様に迷惑になるからとかわしてるんだけど…………
「えーいいじゃん別に、これくらいのファンサービスは渋っちゃ駄目でしょ」
(めんどくせえええええええええ!一回許可したら他の人も頼むようになって仕事に支障が出るのなんでわかんないかなぁ????)
という思考を押し留めて席に案内しようとするが、相当諦めが悪いようで私の肩を掴もうとしてきた。
が、その手は横から伸びた手に阻まれていた。
「女性に乱暴するのは感心しないよ?」
止めてくれたのは、さっきの女性だった。
DQNはなおも言い返そうとしたが、
「これ以上他のお客様に迷惑かけるとほんとにつまみ出されるかもね?」
とカウンターの方を見ながら続けた言葉に口をつぐみ、席についてくれた。
そこまで見届けてへたりこみそうになった私を、先ほどの女性が支えてくれた。
「大丈夫だった?」
「ひゃう!?」
かおがちかい。至近距離から顔を覗き込まれて、顔が熱くなってしまっているのを自覚する。
「駄目そうだなこれ………すいませーーん!!この子
頭が混乱してよく分からないけど、今なにかすごいこと言ってなかった?
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えー現在、謎の女性におんぶで運ばれています。
(大丈夫?誘拐されないよね?)
「あの、先ほどはありがとうございました。あなたは……」
「自己紹介がまだだったね。僕は龍宮院京極、君の兄の楽郎くんのクラスメイトだよ。」
「そうだったんですか……あの、もう大丈夫なので降りますよ」
「まだ震えてるのに無理しちゃ駄目だよ」
「すいません、お言葉に甘えさせていただきます……………」
京極さんの温もりに身を委ねていると、どっと押し寄せてきた疲れを感じながら、私は眠りに落ちた……………
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ピンポーン
「楽郎ーーー」
「うちの妹がすまん、京極」
「いやいや、この子は悪くないでしょ、それにどっかの誰かさんに似ないでいい子じゃんか」
「お前はそのどっかの誰かさんに謝れ」
「で、どこで寝かせればいいの?」
「おうスルーすんな…………案内するから瑠美の部屋まで運んでくれ」
「僕が入っても大丈夫なの?」
「俺だと後で殺されかねないけど、まあお前なら多分大丈夫だろ」
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「……うぅん……………あれ」
なんで家のベッドに寝てるんだ…………?
「あ、起きた」
ベッド横に置かれた椅子に、京極さんが座っていた。
「きょうごくしゃん!?!!???!??!?」
やばい、思考がパニクってる。取り敢えず一旦深呼吸して落ち着こう。
「スーーーーーーハーーーーーースーーーーーーハーーーーーー」
よし。多分落ち着いた。
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そんな感じのことがあって、気持ちを落ち着かせるためだろうか、京極さんと話していた。
京極さんは気さくな方で、剣道をされていること、先月引っ越ししてきたこと、兄とはゲームで知り合って、たまたま同じクラスになったことなどを話してくれた。
「そろそろ暗くなってきたし、帰ろうかな」
「あの、」
「なんだい?」
「こ、今度、京極さんの家に伺ってもよろしいでしょうか?」
京極さんは僅かに考える素振りを見せた後、
「問題ないけど、その時は僕が迎えに来るね?」
「いえ、そういうわけには…………」
「瑠美ちゃんは可愛いんだから、今日みたいなことがあったらどうするのかな?」
「可わっ!?」
臆面もなく可愛いと言われたことはなく、気が動転してしまう。
「そそ、それではまた今度!」
おまけ(京極の事情説明)
「……とまあ、そんな感じのことがあったんだよ」
「それ、瑠美が動かなくなったの半分くらいお前のせいじゃねーか」
「なんで!?」