家から出た俺は、早速少し離れたところにある港の市場までひとっ走りする。結構広い島だけど、人が住んでいる場所は限られているから港から離れて暮らしているのは大抵変わり者が大半だ。ちなみにロングクローもこの変わり者の仲間だと俺は勝手に解釈している。
元々、このサウスアイランドは変わった島だから島民はそこまで多くないんだ。いつからなのか俺は詳しく知らないけどこの島、常に移動をしているからあまり移民地や貿易拠点としてあまりいい所ではなかったかららしい。一時はその珍しさに空港を作ろうとかって言うどっかの国のお偉いさんが島の土地の一部を買収しようとしたけど島民に猛反対されて中止になったとかっていう話も聞いたことがある。
まっ、島の大半が自然のままで特に何もないけど結構いい所だぜ!
俺は、港に着くと買い物かごのメモを頼りに買い物を始める。
「おばちゃん、これとこれちょうだい。」
「あいよ!」
野菜の置いてある店(前世の言葉で言えば八百屋と言えばいいかもしれないけどなんか違う)で俺は早速メモに書いてある品を店主のおばちゃんに頼む。世界観よくわかんないけどこの島の人間って喋る動物に対して抵抗ないのかな?
「はいよ。オマケにパパイヤとマンゴーのどっちかつけるけどどっちがいい?」
「マンゴー。」
「ソニックは感がいい子だね。今日のマンゴーはよく熟れているから甘いよ。」
まだ、子供だからって言うのもあるけどこの島の人間は結構俺に優しい。
「おう、ソニック!丁度、今朝新鮮な奴が上がったんだ!買ってくか?」
「ソニック、今日もロングクローのお使いか?」
「ソニック。」
「ソニック。」
俺はロングクローのメモリストに書かれた品を一通り買うとお目当てのファーストフードの屋台に行く。
「おっちゃん、いつもの一つ!」
俺は店の目の前で買い物袋を一回起き、顔を上げてチリドックを頼もうとする。
「あれ?」
でも、屋台の中にいたのはいつものおっちゃんではなくエプロンを付けた黄色い体色に先端が丸い尻尾を持つサル・・・・じゃなくてムササビがいた。
「あっ、ソニック。いらっしゃい!」
おっと、紹介しなくちゃな!コイツはレイ。レイ・ザ・フライングスクイレル。俺のダチの一人でこの屋台のおっちゃんの所で世話になっている。言っとくけど頭のピンと撥ねている毛は妖怪アンテナじゃなくてただのくせ毛だからな。
「なんで今日はレイが店番なんだ?おっちゃんは?」
「あぁ。痔だよ、痔。新作の製作中に激辛なものばかりとっていたから悪化したんだ。今日は先生の所へ行って治療に専念だよ。僕は、午前中の店番で午後は閉めていいだってさ。」
レイは、そう言いながら慣れた手つきでチリドッグを作る。
「そう言えばこの間のタコスもタバスコの入れすぎで火吹いていたな。」
「そうなんだよ、何考えているのやら。」
俺は、レイからチリドッグを受け取ると早速頬張る。このチリソース、多分今朝仕込んだものだな。うまい。
「おっちゃん譲りのうまくなったんじゃないのか?」
「このぐらいうまくならなきゃ大将の代わりできないからね。」
「そうか?」
俺はあっという間にチリドッグを平らげるとレイと午後の遊びの打ち合わせをして、家へと帰って行った。
「ただいま!」
俺は、買い物袋を置いて部屋に戻ろうとしたらロングクローに捕まった。
「待ちなさい、ソニック。」
「何?」
「ちょっと靴を見せなさい。」
ロングクローに言われて俺は自分の靴を見せた。靴を見せるなり、ロングクローは目を細くする。
「この間新しい物にしたばかりなのにもうこんなにすり減ってるのね。」
「俺のせいじゃないよ。すぐにすり減っちゃう靴が悪いんだもん。」
俺の靴はすぐにダメになる。速く走っているとどんどん靴底がすり減っちゃって一週間もしたら穴が開いてしまう。ロングクローは、俺の靴のことでどうすれば長持ちするのかで良く頭を抱えていた。
「しょうがないわね・・・・今度新しいもの用意するからそれまでこっちで我慢しなさい。」
「え~!!」
ロングクローから渡されたのは前のダメになった靴を補修したものだった。穴が開いてしまった靴底に新しいものを付け直してとりあえず応急処置したものなんだけどこれだとフルスピードで走った時、靴底がはがれちゃうことがあるからあまり履きたくない。
「我慢しなさい。」
「ブウ~!」
俺はふくれっ面になりながらロングクローから靴を受け取る。
午後になり、昼食を終えると俺は釣り竿とバケツを持ってレイとの待ち合わせの場所へと向かう。幸い場所は家から遠く離れていなかったから普通に歩いて行くことができた。目的地についてしばらく待っていると膜を広げながら飛行するレイの姿は見えた。
「おまちどお。」
合流した俺たちはそのまま歩いてグリーンヒルの方へと歩いて行く。グリーンヒルは綺麗な草原地帯で海を見渡せる絶景スポットだ。俺たちが海辺の方まで来るといつもの如く、アイツが釣りをしながら寝ていた。
「お~い!マイティ―!」
「ん?」
俺たちが声をかけると彼は目をこすりながら上半身を起こす。コイツはマイティ―・ザ・アルマジロ。俺たちより一つ年上で普段は大人しい奴なんだけど、怒らせるとかなり怖い。この間、悪戯でコーヒーにデスソースを仕込んで飲ませて岩を持ち上げて追いかけまわされたのは今でも新鮮に憶えている。
「ん・・・・ソニックとレイか。」
「今日は、三人で釣りをするって約束してたじゃないか。」
「そうだっけ?」
「「言った。」」
俺たちはそのまま釣りを始める。
「そっか。あのおっちゃん、また痔になったのか。」
「もういっその事店畳んで、別の商売した方がいいかも。」
「それは困るぜ!あの店以外でチリドッグ売っていないからよ!」
そう言いながら釣れたら自慢し、逃げられたら悔しがるを繰り返す。
やがて日が沈み、俺たちは釣れた魚をバケツに抱えながら帰路につく。
「ねえ、二人は大きくなったら何になる?」
帰りの間際、レイは気になったかのように俺とマイティーに聞いてきた。
「どうしたんだよ、レイ。急に。」
「僕たち・・・・まだ、子供だからいつもこうやって遊んでいるけど。大人になったら、この島から出るかもしれないでしょ。その時、二人はどうしたいと思う?」
レイは不安そうな顔で言う。俺たち二人は困った顔で考えるがマイティーの方は少し考えた後、落ち着いた口調で答えた。
「俺は、島の外に出てみようと思う。」
「「えっ!?」」
「だって、俺たちこの島以外のこと知らないじゃん。だったらさ、島の外に出て旅をしてみるって言うのもいい話じゃないのか?」
マイティーは呑気そうに言うが俺は島の外に出るという考え自体持ったことがなかったからその答えには驚いた。
「ソニックはどうしたいんだよ?」
「俺?」
「俺とレイの両親は漁の最中、嵐に巻き込まれて死んじまったからもういないけど、ソニックの両親は何処にいるかわからないんだろ?だったら、島から出て探してみるのもいいんじゃないか?」
「・・・・・でも、俺にはロングクローがいるからいいよ。」
「そっか?」
「あっ!飛行機だ!」
レイは、夕焼け空を飛んでいるプロペラ機を見て指を差す。
「おっ!一体どこから飛んできたんだろうな。」
「この島の外からかな。」
俺たち三人はその飛行機を見送りながら同じことを考えた。
この島の外にはいったいどんな世界が待っているのだろうかと。
レイとマイティーは「ソニックマニア」以前に「セガソニック・ザ・ヘッジホッグ」で共演していました。
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