「これでも喰らえい!」
エッグマンは俺に向かって鉄球をてこの原理で振り下ろしながら向かってくる。
「そんなもんに当たるもんかよ!」
俺は、ジャンプで避けるとまた奴の円盤に体当たりを仕掛けてやった。
「うおっ!?やってくれおったな!!」
エッグマンは、反転して鉄球をもう一回振り下ろす。着地した直後のこともあって俺は背後から打ちつけられそのまま岩に激突する。
「フゲッ!?」
「ホ~ホッホッホッホッホッ!次でとどめじゃ!!」
エッグマンは、まだふらついている俺を見て笑いながら追撃を仕掛けようとする。
(やべ・・・・・・フラフラしてまだ思うように動かない・・・・・)
俺がフラフラ動いている間にもエッグマンの次の攻撃が迫る。
「お別れじゃ、ソニック!精々ワシを敵に回したことを後悔するんじゃな!」
エッグマンの鉄球が俺に向かって飛んでくる。
ガンッ!!
だが、鉄球は折れに届くことはなかった。
俺は何事かと自分の目の前をよく見ると見覚えのある後姿が見えた。赤い甲羅・・・・でも亀ではない。
「マ、マイティ―・・・・・?」
目の前にいたのはマイティーだった。騒がしい音を聞いて駆けつけてくれたのだろう。マイティーは俺に命中しそうになっていた鉄球を両腕でガッチリとキャッチしていた。
「おい、ソニック!大丈夫かっ!?」
マイティーは、俺を見ながら声をかける。一方のエッグマンがマイティーの介入に驚いていたようだった。
「な、なんじゃお前は!?」
「俺のダチに何てことしてくれやがったんだ!この卵ヘッド!!」
マイティーは、力いっぱい鉄球を引っ張り上げる。するとチェーンで繋がれていたエッグマンの乗り物は勢いよく振り回される。
「わぁあああああ~~~~~!?」
マイティーが回ることによってエッグマンは目が回る。
「や、やめぇ~い!やめんか!?」
「喰らえ!!」
マイティーは遠心力がついたのを見計らって鉄球を離す。するとそのままエッグマンは俺と同じように岩に激突し顔がめり込んだ。
「あだぁ・・・」
「ソニック、しっかりしろ。」
「た、助かったぜマイティー。」
マイティーが膝を付いている俺の安否を確認している一方エッグマンはそのまま力なく乗り物事落ち、持っていた宝石を落とした。宝石は、俺たちのところまで転がり、俺の傍で止まった。
「ん?これがカオス何とか?」
「フブブ・・・・・・あっ!?しまった!?」
エッグマンは自分の手からカオスエメラルドが離れていることに気が付き、驚いた顔で俺たちの方を見る。
「おのれ!ワシのカオスエメラルドを!!」
エッグマンは、乗り物に乗って俺たちの襲い掛かろうとする。だが、乗り物は動くものの煙を吹かしながらフラフラして武器が飛んでくる気配はなかった。
「あらっ!?もしかして、さっきの衝撃でエッグモービルが故障しちゃった!?」
動揺しながらエッグマンは俺たちの様子を窺う。俺は腕を振り回しながら、マイティーは指を鳴らしながらエッグマンを睨み返す。奴は思わず冷や汗をかいた。
「く、くそ~!!憶えておれ!!今回はワシの負けにしておいてやる!!だが、カオスエメラルドは必ず返してもらうぞ!それまでは・・・・・さらばじゃ!!」
エッグマンは、エッグモービルを動かしながらその場を後に島の一番高い山の方へと飛んで行ってしまった。
「なんなんだ、アイツ?」
マイティーは、飛び去って行く奴の姿を見ながら言う。
「さあ、俺にもなんだかさっぱりだ。でも、グリーンヒルをこんなに荒らすほどこんな石ころがほしかったのかね?」
俺は、奴が置いて行ったエメラルドを見ながら言う。
確か後4つとか言ってたよな?
そんなにすごい宝石には見えないんだけどな。
「・・・・・あっ、そう言えばマイティー。お前、確か旅に出ていたはずじゃなかったのか?」
俺は、思い出したかのようにマイティーに聞く。憶えている限り、マイティーは1年前に旅に出たはずだ。手紙も碌によこさないものだからてっきりまだ帰ってこないと考えていたんだが。
「いやぁ・・・・本当はもっと早く帰って来るつもりだったんだけど乗ってたヨットが嵐で流されてつい2,3か月無人島でサバイバルする羽目になったんだ。数日前、通りかかった船に乗せてもらってやっと帰ってこれたんだよ。」
なんとなく納得できるようで納得できないようなことだったがマイティーらしい答えだ。多分、嵐に備えずに昼寝してたせいで流されたんだろうな。むしろ、溺死しなかっただけすげえし。
「まあ、俺の武勇伝は後で語るとしてソニック、お前なんであんな奴に駆ら周れたんだ?」
「薬を買いに行く途中ものすごい音がしてたから・・・・いけねっ!?風邪薬を買いに行く途中だった!!」
俺は、肝心なことを思い出して急いで走り去っていく。
「お、おい、ソニック・・・・・」
マイティーは、走り去っていった俺をしばらく呆然と見ていた。
数十分後、薬を買って帰りを急いでいると道端で待っていたマイティーと合流する。
「なんだ、ロングクローが風邪を引いたから態々薬を買いに行っていたのかよ。」
「あぁ、最近よく咳き込んでいたからな。」
俺たちは、久しぶりの再会と言うこともあってさり気ない会話をしながら家まで歩いて行った。
「そうだ、せっかくここまで来たんだからお茶でも飲んでけよ。」
「いいのか?って言うかお前がお茶を淹れる姿なんて想像できねえけど。」
「大丈夫だって。こう見えてもロングクローのお気に入りの紅茶、何度か拝借したことがあるからさ。」
そう言いながら俺は玄関を開けるがドアの先の光景を見た瞬間、絶句する。
「ろ、ロングクロー?」
ドアの先には部屋で寝ているはずのロングクローの倒れた姿があった。近くに割れた器があるのを見るとどうやら片付けようとして倒れたらしい。
「お、おい!大丈夫かよ!?」
俺は買い物袋を放り出し、彼女の体を起こす。朝見た時よりも顔は赤くなっていて額に手を当てるとすごい高熱になっていた。
「すごい熱だ・・・・」
「おいおい・・・・・これが普通の風邪かよ。」
その異常さは来たばかりのマイティーにもわかるほどだった。息はしているが荒々しい。
「コイツは重症だな。早く港の診療所に見てもらった方が良さそうだぜ。」
「そうだな。」
俺たちは、彼女の容態を見てもらうべく港の診療所へと向かうことにした。マイティーには、とりあえず必要になりそうなものを持ってもらい、俺は高熱のロングクローを背負って行く。顔色を見る限りかなり悪化しているようだ。
「頼むよ、ロングクロー・・・・しっかりしてくれよ。」
俺は、不安になりながら返事をしない彼女を見ながら港を目指した。
港の診療所へと着くなり俺は、急いで先生に診察を頼んだ。先生がロングクローを見るなり、気難しい顔になり診察室へと運んで行った。部屋のすぐ隣の席に座っていた俺たち二人の下へ騒ぎを聞いたのか、レイが店の恰好のまま駆けつけてきた。
「ロングクローが倒れたって本当!?」
レイは、沈黙している俺たち二人を見ながら心配そうに聞く。
「あぁ。ソニックの話を聞く限り、ここ数日あまり体調がよくなかったそうだ。先生たちの様子を見る限り、風邪ではなさそうだな。」
マイティーは、気落ちしている俺に代わって話をする。俺は、すぐ傍にいながら彼女の体調の異変に気づけずにいたことを後悔していた。
(なんでもっと早く気づけなかったんだ・・・・そんなに悪い病気だったらすぐにでも連れてきていたのに・・・・・)
しばらくすると、先生が部屋から出てくる。相変わらず気難しい顔だ。
「先生!ロングクローは!?」
俺は、藁にも縋る想いで先生に聞くが先生は重苦しそうに答えた。
「・・・・かなり、危険な状態だ。」
「!?」
「先生、一体どういうことなんだよ?」
愕然としている俺に対してマイティーは、先生の顔を見ながら聞く。
「・・・・新型の悪性ウィルスだ。このウィルスは最近発見されたばかりでまだ治療法が確立していないんだ。彼女も大分弱っているから果たして後何日持つやら・・・・・・」
「ふざけるな!!」
話を信じられず、俺は先生の襟を掴んだ。
「うおっ!?」
「「ソニック!!」」
「ロングクローが・・・・・ロングクローが死ぬって言うのかよ!?こういうのを何とかするのが医者の仕事なんだろ?何とかしてくれよ!!」
俺が先生を揺さぶりながら叫んでいると二人が取り押さえにかかった。
「やめろ、ソニック!」
「こんなことしたって、どうにもならないよ!」
二人は俺を先生から離すが俺は、もがきながらも叫び続ける。
「何とかしてくれよ!頼むから・・・・助けてくれよ!!おい!」
「・・・・・・・」
「何とか言ってくれぇえええ!!」
夕方。
診療所から二人に締め出された後、俺はトボトボと誰もいない家に戻って来た。
「・・・・・・ただいま。」
俺は反射的に声を出して、玄関を開ける。いつもなら心配しているロングクローが待ち構えているが今は夜が迫っていることもあって真っ暗だった。
「・・・・・・・・」
俺は、鍵を閉め自分の部屋に戻ろうと階段を上り始める。その途中でロングクローの部屋が空いていることに気づく。
「・・・・・そう言えば、あの後すぐに飛び出して行っちまったからそのままにしちゃってたな。」
部屋のドアを閉めようと駆け寄るとふと部屋の中の彼女の机に目がいった。机の上には俺が入った時にはなかった何かが置いてあった。
「なんだ?」
俺は、明かりをつけて部屋の中に入っていく。そこには倒れる直前まで彼女が作業をしていたと思われる痕跡が残っており、机の上に乗っているものを見て俺はあっと声を出してしまった。
「これは・・・・・・」
そこには赤いシューズが置いてあった。二足ともちゃんと仕上がっている状態で、すぐ傍には、『Happy Birthday SONIC』というメッセージカードがあった。
「俺の誕生日・・・・・・・準備しててくれたんだ。」
俺は、靴を持ちながら複雑になる。
近頃、少しでも大人になったところを見せたいと思うあまり彼女と話す機会が減っていた。誕生日のことに関しても別に何もしなくていいって意地張って言っちゃったんだよな。それなのに・・・・・・
「・・・・・」
彼女の部屋のボードを見るとそこには、ガキの頃からの俺の写真がたくさん張ってある。あまり、見たことはなかったけど一つ一つちゃんと笑っている。
「・・・・・そう言えば、俺。一度も言ったことなかったな。」
靴を抱きしめながら誰もいない部屋で俺は、思わず独り言を言う。
「・・・・・・・母さん。」
そう言えば、前世の母さんの記憶はあんまりなかったな。
俺が小学生の頃に親父と離婚してそれっきり。
こっちの世界での本当の母さんなんて見たこともない。
だから・・・・ロングクローは俺にとってたった一人の母さんだった。初めて、俺のことを見てくれたたった一人の。
「・・・・・嫌だ・・・・・こんなの嫌だよ・・・・・」
ガキの頃すら泣いたことがなかった俺は、思わず膝を付いてその場で泣き出してしまった。
「まだ、何もしていないのに・・・・・育ててくれたお礼もしていないのに・・・・・・こんな別れ方・・・・したくねえよ!俺を置いて逝かないでくれよ!!」
泣きながら叫んでいるとしまっていたカオスエメラルドが落ちた。エメラルドは光源もないにもかかわらず温かみのある光を発していた。
「逝かないでよ・・・・・母さん・・・・・・・・・!」
目の前で光っているエメラルドを見て、俺の頭の中で朝言っていたレイの言葉が過る。
『このサウスアイランドには、実は大昔の文明が残した宝石や遺跡の宝庫であって、その中に全ての生物にエネルギーを与えるだけじゃなくて、6つ全部集めるとどんな願いでも叶える奇跡の宝石があるんだって。』
更にこのエメラルドを手にしていた時のエッグマンの言葉。
『後、4つあれば・・・・・』
二つの言葉が交わり、俺はこの宝石が伝説通りに願いをかなえてくれるのではないかと結論を導き出した。
「これを後5つ揃えれば・・・・・もしかして!」
俺は、まだ希望があると思い立ち上がる。
翌朝。
「お~い~!ソニック~!」
昨日のことを心配してか、マイティーは包みを持ちながら家の前に来ていた。
「腹減っているだろうからって、レイの店から貰ってきたぞ~お前の大好物~。」
しかし、何度も声をかけてもソニックの返事はない。
「お~い~、速く出てこないと俺が食っちまうぞ~。いいのか~。」
マイティーは、何度も声をかける。
ソニックが家にいないことを気づかずに。
次回は・・・・・
この作品を呼んで思ったことをどうぞ。
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