「五月さん!単刀直入にいいます。さっきの件ですが……。」
五月は五味の目先を見つめていた。心臓の鼓動がバクバクしながら五味の返事を待つ。
「好きです。」
「……。」
「僕は今まで…学校とアルバイトだけの生活でした。それに理由があって…僕も5人兄弟がいて自分は末っ子。長男と次男、三男、四男は大学に進学していて親の負担が多かった。僕も大学に進学したい…。しかし、これ以上親に負担をかけたくないと思い、今のうちに学費を稼ごうと…この3年間は勉強してアルバイトすると決めたが…それは違かった。何故なら…五月さん達と出会えて僕の考え方が少しずつだが変わっていった。放課後にラーメン屋に行ったり…休日にはパフェを食べに行ったり…二乃さんと四葉さんは僕が勤めているバイト先で一緒に仕事をするようになって…楽しかったし充実した。これが本来あるべき高校生らしい生活だと感じた。一生に一度しか高校生生活の3年間を犠牲してまで悔いを残さないこと。そのことを一花さんや二乃さん、三玖さん、四葉さん…。そして…五月に教えてもらった。だから…僕は感謝してます。その…初めてのキッカケを作ってくれたのは五月さんのおかげなんです。そして…あなたが笑うと僕も笑う。自然と笑みが出るんです。それはきっとあなたが笑う姿が僕に刺激に与えたと感じてます。」
五月は彼の言葉を聞いてニッコリと笑った。
「五味君は本当に優しい方なんですね。私があなたが好きになった理由は貧血で倒れた時でした。あの時…意識は朦朧としてましたが…五味君が必死に私に声をかけてくれたこと。ジャッケットかなんかで…私の身体を温めてくれたことや水を飲ませたりして私を助けた。その時…私は思ったのです。五味君の真の優しさに。その優しさに私は惹かれました。あの時は助けてくれてありがとうございました。」
「私はあなたに会いたかった…。この気持ちを本来なら姉妹達の力を借りずにこうして面と向かって伝えたかったけど…勇気がなかったです。人生初めて好きになった人ですから…。だから…こうゆう形になってしまったことは謝ります…。」
「それはもういいよ。五月。五月の気持ちが良く伝わった。だから…僕も正直な気持ちを伝えるよ。」
「五月。キミが好きだ。だから…こんな冴えない男だけど…よろしくお願いします。」
「はい!!よろしくお願いします!五男君!」
「はははっ…。ダサい名前で呼ばれると恥ずかしいな…。」
「ダサくないです!私だって5番目に生まれてきたから五月(いつき)なんですよ!」
「お互い様だね…。名前に「五」がついているんだもん。」
「そうですね!」
五味は五月に優しくハグをした。
「五月…。」
「五男君…。」
そして……2人は甘酸っぱいキスをする。五味も五月も初めての体験で下手だった。
その後。五味は他の姉妹達を呼び彼女達を部屋に入れた。
「で…。話が終わったみたいだけど…どうだった!?どうだった!?」
「あんた…。男ならハッキリ言ったよね!!」
「五月とどんな話をしてたの?五味君。」
一花と二乃、三玖の質問攻めが始まりしばらく話が終わらなかった。
五月は四葉に話しかけた。
「四葉。五味君を見つけてくれ…ありがとうございます。」
「いえいえ〜!!そんな〜。」
「四葉…。少しいいかしら…。五男君もしばらく終わりそうではないので……。」
「はははっ…。そうだね……。」
四葉と五月は部屋を出て再び一階のロビーのソファーに座る。
「四葉。本当はあなたも……。」
「いえいえ〜!そんなことないですよ〜!」
「だって…四葉がバイトしたい理由も五味君と会いたいからですよね…。二乃は化粧品や洋服を買いたいから稼ぎたいと言ってましたが…あなたは普段…他の運動部の助っ人として参加していてバイトをするなんて1ミリも感じていなかったのでは…?」
「………。私はアルバイトをしたいだけですよ!!今までやったことないので…チャレンジしたかったのですよ!それに…五味君と二乃もいるから仕事しやすいかな〜と!!」
「…。そうですか。四葉。今日はありがとうございました。」
「いえいえ〜。五月が五味君に告白出来たならそれで充分ですよ!私はその手助けをしただけですから!!」
「……。そう……。部屋に戻りましょう。」
「私…トイレに行きますね!」
「わかりました。先に行ってますよ。」
「はーい!」
五月は部屋に戻っていき四葉はトイレに向かう。
四葉がトイレに入ると……。
「これで良かったのですね…。これで…。」
四葉は涙が止まらなかった。何故なら…四葉は五味と初めてランニングした時から好意を持っていたからである。五味は何ごとにも真剣に取り組み直向きに頑張る姿や姉妹達に対する振る舞いを見て彼の人間性を感じていたからだ。彼を先程追いかけたのは二乃の命令もあるが何より四葉自身彼を心配して行動したからである。それは、四葉が彼に対して真剣に向き合おうと思っていた。最終確認として五味が五月に対してどう感じているかを確かめたい気持ちもあった。だが…彼の言葉から五月に面と向かって話したい気持ちを聞いて四葉は諦めた。
五月が幸せになれるのであれば姉として応援すると決めたからだ。
四葉は大量の涙を流しながら洗面所の鏡を見た。
「わたしは…五味さんのことが好きです…。でも…五月が好きになった五味さんなんですから…私は邪魔をしてはいけません…。悔しいけど…五味さんは………。」
「私の初恋の人でしたから。」
四葉は泣くのをやめた。
五月と五味さんをサポートすると。
そして…自分の気持ちを殺してしまった後悔。
四葉は決めた。今からまた五味と五月に会う時は笑顔で迎えると。
その頃。部屋には一花と二乃、三玖が五味と一緒に楽しくワイワイと会話してた。五月が部屋に戻ると一花が…。
「おっ。来ましたねー。このリア充が!」
「五月〜。どこに行ってたのよ!あんたの彼氏が待ってるわよ!」
「五月。早くしないと。」
「四葉と話していたので…。」
「あれっ?四葉と一緒にいたんじゃないの?」
「トイレに行きましたから。」
「あらっ…。そう。」
五月は五味に近づいて照れた。五味も同様に照れた。
「五月……。二乃さんが記念日ということでデリバリーでピザを頼みましたから…一緒に食べよう。」
「ピ…。ピザですか!!二乃!!気がききますね!!早くこないかしら?」
五味は彼女の表情を見て改めて感じた。五月のこの満面な笑みが見るのが好き。食欲旺盛な彼女。真面目だけど要領が悪いところ。それが彼女の魅力であると。そんな彼女と一緒にそばにいたいと感じた。
「トイレから帰りましたー!!」
「四葉!五月とどんな話をしてたの?」
「それは秘密です!ねぇ。五月!」
「はいっ!そうです!」
「気になるな〜。お姉さんは。」
「隠す必要ないじゃない!姉妹なんだから!」
「隠しても無駄だよ。四葉。五月。」
五味は5人の姉妹達の仲の良さに感心した。
こーして姉妹達と包み隠さず話し合える関係性が羨ましいと。
すると、デリバリーピザ屋からピザが届くのであった。
次回話に続く…。