あれから1週間後。
彼は相変わらずバイトをしていた。四葉は接客の仕事を好み積極的にレジの担当になることが多くなった。一方…二乃は品出しや搬入の仕事に興味を持つようになり品出しのスピードも上達していった。2人が真剣に仕事に取り組む姿を見ていた五味は嬉しかった。
彼女達を紹介して良かったと。
五味はコンビニの業務は全般こなしていたのでオールラウンダーに常に動いていた。そのおかげか…店長やバイトで働いている人達から信頼を得ていた。時々二乃から怒られることもあった。
「あんたさ〜。このドリンクの売り上げが良くてすぐ売り切れになるから困るんだけど〜。」
「あ〜。抹茶ソーダね…。」
(抹茶ソーダを毎日のように買うお客さんの人を知ってるんだよな…。)
その噂のお客さんが入って来た。三玖だ。
「抹茶ソーダ〜♪抹茶ソーダ♪」
(今日も来ましたね…。三玖さん…。)
三玖は抹茶ソーダを爆買いしていく。一日10本を買っていく噂のお客さんであった。
(このソーダ…。そんなに美味しいかな…。1回飲んだ時は美味いと感じたが…2回目以降飲んだら微妙だったかな…。)
三玖は爆買いする抹茶ソーダをカゴに入れてレジに持っていく。
「四葉。今日は五味君はいるの?」
「五味さんなら裏にいますよ!!搬入してると思います!」
「そう。後で五味君によろしくね!」
「わかりました〜!!合計1290円になります!」
三玖は店のある飲料水の看板を見た。
「一花。ポ○リのイメージキャラになったんだね。」
「このあいだオファーが来たみたいですよ!」
「似合ってるね。一花はスタイルが良いから。」
「はははっ…。一花は大人の下着を持ってますから!」
「一花が?」
すると後ろで並んでいたお客さんからヤジが入る。
「お喋りしてないで早くして!」
「オレはこれからデートで忙しいんだから早くしろよ!」
「申し訳ございません!三玖!!また家に帰ったらね!」
「わかった。」
中野家の姉妹に一花が女優をしてることは全員知っる。何故なら…五味が四葉にバラしてしまったからだ。一週間前にあのホテルに泊まっている時に四葉が突如…。
「一花は女優やってるんだよ〜!」
この一言によってバレた。
その後、五味は他の姉妹が寝た時に呼び出され一花に説教された。
「あれだけ秘密にしてって言ったのに!五味君!」
「すみません…。」
「もう〜。五味君ったら口が軽いんだから〜。」
「まっ…。いいわ。いずれは妹達に早かれ遅かれ伝えておくべきだと思ってたからいいわ。今日は五味君と五月の記念日だから許してあげる。☆ お互い様ということで〜これで帳消しでしょ?」
「…。そうですね…。」
(一花さん…。そこを持っていくんですね…。でも…バラしてしまったのも僕の責任なので…何も言えませんが…。)
二乃は一花がポ○リのイメージキャラについて語る。
「一花がまさか女優をしてるなんて知らなかったわ。でも…一花は一花なりに私達に迷惑をかけないよう地道に努力してたのね…。私も…頑張らないと…。」
「二乃さんも努力してますよ!正直…最初ここで働いた時は今後どうなるかな〜と心配したのですが…今は品出しや搬入で頑張っていますから…今後…その調子で頑張ってください!」
「そーゆう綺麗事は五月に言いなさいよ!私は私で目標が新たに出来たから…。」
「えっ…。なんですか?気になりますよ!」
「あーーもう!!あんた!!仕事しなさいよ!!」
「はいはい。すみません。」
「腹立つわね〜!ゴミのクセに!」
その後。四葉と二乃達と仕事をして家に帰る。
すると、家に五月が料理をしてた。
「お帰りなさい。五男。」
「えっ…。何故…五月がオレの家で料理してるの!」
すると…五味の母が…。
「こんな可愛い五月ちゃんを彼女に出来るなんて母さんは嬉しいわ!五月ちゃんは真面目で素直だし…楽しそうに料理するからお母さん的には助かるわ〜。毎日来て欲しいぐらいだもん。」
「母さん…。それは…きっと五月が食べるのが好きだから積極的に料理してるだけだと思うが…。」
「いいじゃない!!アンタは…少食だし…不健康だわ!!男の子ならもっと食べなさいよ!だからアンタはチビなんだから…。アンタね…女の子の方が背が高くて恥ずかしくないの?」
「確かにそうだけどさ…。」
「私は五男に私の手作りの料理を食べてほしいからお母様と一緒に料理を作ってます。お母様の言う通りに食べないと背が伸びませんわ!」
「オレはもう高校生だぜ…。背はもう伸びないのでは…。」
「それでも食べてください!五男は少食なんだから…食べないと元気が出ませんよ!」
「はははっ…。」
(五月は食に関しては敏感だからな…。そこが…好きなんだけどね。)
この日のメニューは五月が好きなカツ丼だった。
具材は全部…五月が買ってきてお母さんに美味しいカツ丼の作り方を教えて貰いながら作ったみたいだ。見た目は少しいびつだったが…手作り感があって良かった。食べてみると美味しかった。
「美味しい!普段食べるカツ丼より美味いな〜。なんだろう?」
「はい!鹿児島県産の黒豚を使用した肉ですから柔らかくて脂身もあって美味しいんですよ!」
「五月ちゃんがぜーんぶ具材を払ってくれたから助かるわ〜。」
「いえいえ。お母様。五男に美味しい料理を食べてもらいたい想いで作りました!また…明日も料理を作りますね!」
「五月ちゃんは良い奥さんになるわ〜!母さんは感激!このまま…結婚しなさいよ!」
「けっ……結婚!!」
五男と五月は顔を赤くなりながら照れる。五味の母は2人の様子を見てニヤニヤした。まるで付き合いたてのカップルのように。
(あらあら〜。可愛いわね〜。2人とも…。私も高校生に戻りたいわ〜。)
料理を食べ終わると五月は後片付けをして終わらせると…。
「私は帰りますね。姉妹達も心配すると思うので。」
「五月ちゃん!明日も家に来るかしら?」
「はい!行きます!お母様!明日も…料理を教えてください!」
「良いわよ〜!」
「ありがとうございます!」
すると…五月は唐突に五味の頬にキスをして家の玄関を開けて帰っていった。五味は突然の出来事で呆然と立ってた。
「五男〜。本当に良い彼女を持ったわね!お母さんは羨ましい!」
「……。母さん……。これだけ言わせて……。五月を利用するな!!」
五味はその後…風呂に入りスマホを見ると五月からメッセが来てた。
『カツ丼を美味しそうに食べてくれて良かったです!また作りますね!』
『美味しかったよ。五月。でも…母さんの言いなりにならないでね…。肉とか調味料とか五月が買ったみたいだから…。』
『そんなこと…対したことではありません!五男に美味しい料理を作れるよう修行してますから!』
『そうなんだ…。それはそれで良いと思うけど…。程々にね…。』
『また明日…お母様と料理を作る約束をしてますからまたお伺いします!!』
『そうなんだ…。』
『五男。私はあなたと出会えて良かった。だから…私もあなたのために努力したいんです。少しでも魅力的な女子になるために…。』
『そうですか…。五月が努力をしてるなら僕も努力しないといけないですね…。僕の魅力を五月に感じてもらえるような男にならないとね…。』
『私にとって充分…魅力は伝わっています!だから…その魅力をもっと表に出せば良いのです!』
『そうだね。五月の言う通りだよ。だから…お互い頑張ろ。』
『はい!』
『僕はもう寝ますね。おやすみ。五月。』
『おやすみ。五男。』
このメッセのやりとりを最後に五味は夜空を見上げながら感じた。
今日も充実した一日を過ごせたと。
こういう日々を多く過ごしていきたいと常日頃感じるようになれた。そう思えるようになれたのも中野家の姉妹達と出会えたからである。五月とは恋人関係ではあるが…他の4人とは友人として接していきたいと思っている。
個性あふれる姉妹達と関わっていて楽しいからだ。
「今日は…仕事が長かったからもう寝よう…。疲れた…。」
そう言って彼は寝床に着くのであった。
時間話に続く…。