翌日。
彼はいつも通りに学校とバイト生活を送っていた。
バイト後の帰宅中に中間試験が近いことを気づいた。
「やべっ…。中間そろそろじゃん…。」
彼は成績もテストの点数も常に平均で普通だった。
正直勉強してもしなくても平均。ある意味天才だと思う。
「勉強してもしても50点ぐらいしかとれない。要領が悪いのか…それとも凡ミスをしているのか…。わからない…。だが…赤点だけは回避したいから…苦手な日本史を勉強するか…。明日…。」
彼は独り言を話しながら帰宅するのである。
翌日。
この日はコンビニのバイトのシフトが入っていなかったため近くの図書館で苦手な日本史を勉強することにした。図書館に着くと日本史の教科書とノートを開き勉強を始める。
(えーと…織田信長は…本能寺の変で…明智光秀に敗れて…その後…秀吉に山崎の戦いで…明智光秀は討たれたと…。)
「日本史は人物名が多いし…漢字も多いし…覚えられないよ!」
すると、隣に座っていた女性が唐突に話しかけてきた。
「光秀は!山崎の戦いで負けて坂本城に戻る途中に山賊に竹槍で刺されて死んだんだよ!」
突然の出来事で五味は呆然とした。彼は思わず独り言をいってたら隣の女性に力説されたからである。そして、周りで本を読んでいた人達の視線が痛かった。
「あっ…。ごめんなさい…。思わず声が出ちゃった…。」
「……。いやっ…。光秀は本当は山賊にやられたんだね…。初めて知ったよ…。」
「はっ…。」
その女性は急に彼の腕を掴んで図書館の外に出る。
「ちょっと…! 急にどうしたんですか!?」
「いやっ…。あなたに言いたいことがあるの…。」
「えっ…。」
彼は状況を理解することが出来なかった。あまりにも突然すぎて。
「なんですか?」
「あの…もし…良ければ一緒に戦国武将について語りませんか!?」
「えっ…。別に…戦国武将が好きではないし…日本史の勉強をしてただけなんだよ…。」
「そうなの…。私…てっきり戦国武将が好きだと思ってたんだけど…。」
「いや〜。口で話しながら覚えるタイプだから思わず独り言を言ってしまったんだよね…。なんか…誤解を招いてごめんね。」
「そうなんだ…。」
彼女はそう言うと図書館に戻っていこうとした。
「あの!! 戦国武将が好きなんですよね!今…ちょうど安土桃山時代らへんを勉強してるのでもし良ければ教えて頂けませんか!?日本史は…苦手なので…。」
「……。わかった。良いよ。あなたを驚かせてしまったから…。その謝罪として勉強を教えるよ。」
「ありがとうございます!」
その後。五味はその女性に日本史を教えてもらいながら勉強を再開する。彼女は生き生きしながら五味に戦国武将の素晴らしさを語っていたためなかなか次の江戸時代まで進めなかった。五味はその女性に関してこう感じてた。
(戦国武将がよっぽど好きなんですね…。)
あっという間に時間が経ち図書館の閉館時間になった。
「今日は勉強を教えてくれてありがとうございました!助かりました!お礼として今度お茶をご馳走します!今日はもう時間が遅いので帰ります!あの…もし良ければ連絡先とか教えてほしいのですが…。」
「……。良いよ。これ…私の番号だから…。」
彼は彼女の連絡先を見て驚いた。「中野三玖」と表示されてた。
「あなた…中野三玖さんですね…。」
「そうだけど…それが何?」
「いやっ…。前に一花さんや二乃さん、四葉さんに五月さんと会ったことがあって…5人姉妹というのは知っていたので…。」
「…。そうなんだ。私は5つ子の三女の三玖。よろしくね。」
「よろしくお願いします!!」
「また戦国武将について勉強しようね…。あと…姉妹達に私が戦国武将が好きなことは言わないでね。」
「なんでですか?」
「それは内緒。では。またね。五味君。」
「はい…。では…。」
2人は別れた。
(あの人が三玖さん…。凄くミステリアスな部分はありました…。四葉さんの言う通りですね…。5つ子全員個性があって面白い…。連絡先をもらっているのは五月さんと四葉さん、三玖さんですね…。五月さんとラーメン屋に行く約束をしましたし.三玖さんに今度お茶をご馳走すると約束をしたので…中間試験が終わったら行きたいな。いろいろ話を聞いてみたいし…。)
彼は中間試験後の楽しみが出来たため上機嫌になりながら家に帰るのであった。
次回話に続く…。