19時42分。
五味は親が作り置きしていたご飯を食べ終わり皿を洗った。
少し食後の休憩でソファーに座っていたら一花からメールが来た。
『今、五味君の家の前にいるよ。』
『今から行きます。』
返信をして少し準備をして外に出る。そこに高級車が止まっており五味は驚いた。車のドアが開くと一花が乗っていた。
「五味君。はやくはやく。」
「あっ…はい!」
五味は車に乗り一花の隣に座る。車の中は広く椅子も革製で良い匂いが充満していた。するとドライバーが「コーヒーでも飲みますか」と聞かれ五味はコーヒーを頼んだ。するとサイドブレーキの後ろにある荷物入れの中を開けると挽きたてのコーヒーが入っており一花がコーヒーカップにコーヒーを注いで五味に渡した。
「五味君はブラック派?それとも砂糖かミルクいれる派?」
「僕はブラックが好きなのでブラックで…。」
「渋いねー。私はブラックは飲めないや。」
「ありがとうございます。」
五味はコーヒーを少し飲むと感動した。こんなに美味しいコーヒーは人生初飲んだため普段飲んでいるインスタントコーヒーとは味や香りが別格。思わずおかわりを要求した。一花も五味が美味しそうにコーヒーを飲んでいる姿を見て笑顔になる。
「一花さん…。このコーヒー美味しいです…。」
「そんなに美味しかった…?なら良かった。」
「一花さん…。僕に会いたい理由はなんですか?」
「今日ね〜三玖から聞いたのよ。二乃にいろいろ言われたってね。私達と五味君が関わって欲しくないと。何故二乃がそこまであなたに関わって欲しくないか。それは私達に問題があるの。」
「といいますと…?」
「私達のお母さんは随分前に亡くなったの。よくお母さんから「5人で楽しい時も苦しい時もどんなことがあっても一緒」ってね。だから…今でもこんなに仲良く5人でいられるのもお母さんのおかげなんだ。」
「そうですか…。」
(幼い時にお母さんを亡くしていたのですね…。)
「私はね。女優を初めたのも妹達に迷惑をかけたくないし心配させたくないと思ったから。だから…女優の道に進んであの子達に楽をさせてあげたい。お姉さんとして立派でなければならないと常に言い聞かせている。」
(三男が言っていたことはこうゆうことかもしれない…。だからこそ…妹達に女優をして頑張っていることを見せたくない。1人で背負っているのかもしれません。)
「一花さんは偉いですね。お姉さんとして妹の模範となるよう常に努めているのですね。」
「まぁ〜。私もダメなところはあるんだけどさ〜。」
「えっ…。そうなんですか?」
「私…全然勉強出来ないからさ。」
「意外ですね…。勉強が出来そうな雰囲気があったのですが…。」
「はははっ…。」
しばらくすると30階建てのタワーマンションに着いた。ドライバーの人がドアを開けて五味は車を降りる。
(でか…。なんでここに降ろされたんだろ…。)
「ここ。私の家なんだよね。」
「えーーー!!」
「いこっか。」
一花はカードキーを取り出しロートロックを解除してエレベーターに乗る。最上階にボタンを押すともの凄いスピードでエレベーターが上がっていく。あっという間に最上階に到達した。
「ここが私達が住んでいる部屋。あがってあがって。」
「お邪魔します。」
靴を脱いで廊下を抜けるとガラス張りの大きい窓にベランダ。階段がついており上には5つ部屋があった。キレイなリビングであり物がスッキリしている。そのせいか広く感じた。
「凄いですね…。オレの家より広いや…。」
「座って座って!」
すると四葉が部屋から出てきて階段を降りてきた。
「あれっ。五味さんじゃないですか!なんでここにいるの!!?」
「四葉さん!一花さんが迎えに来てくれました!」
「一花が…!」
「四葉。コーヒーを注いであげていいかな?」
「わかりました!コーヒーを注いできまーす!」
五味は近くの椅子に座る。
「早速本題に入るけど二乃がなんで五味君と会わせたくないかについてだよね。」
「そうですね…。」
「二乃は誰よりも私達のことを大事にしてる。さっき五味君は私のことを褒めてくれたけど…私より二乃の方がしっかりしてるし…お姉さんっぽいところがあると思うんだ。」
「そうなんですか…。」
「ああ見えてあの子。可愛いところ沢山あるんだよ。それをまだ出せていないだけに。」
「……。」
四葉がコーヒーを持ってきてくれた。
「はい!どうぞ!飲んでください!」
「ありがとうございます!」
「ちなみに姉妹の中で1番子供っぽいのは四葉だよね〜。パンティーもまだ子供の頃履いてたのを使ってるし〜。」
「一花!恥ずかしいじゃないですか!」
「はははっ。」
(二乃さんがオレを毛嫌いするのもわかる気がした。今思い出したが…オレの長男の一男もそういうところは二乃さんに似てる部分があったかも…。末っ子のオレにはわからない気持ちがあるんだ。)
「それで…五味君は私達とどういう関係でいたいの?」
「五月さんと初めてあった時から友達になりたいと思っていました。実は5人兄弟の末っ子で自分と照らし合わせる部分があるのです。中野家の姉妹と関わっていくうちに5人それぞれ個性があって一緒にいて楽しいです!それに、このあいだラーメンを食べに行った時…凄く楽しかったんです。普段は学校行ってアルバイトして家に帰って1日が終わる。前はそれで満足している自分がいましたが…こうして皆さんと出会えたことで少しずつ新たな発見や生活が少しずつ変わり充実しております。今日も三玖さんや二乃さんとパフェ屋に初めて行ったことや、今現在、中野家にいることも僕にとっては新たな発見です!だから…皆さんと一緒に何処かに行ったりすることが凄く良いんです!!」
一花と四葉は五味が真剣に話す姿に耳を傾けていた。
「そっかぁ。五味君は今こうして私達の家にいることも新たな発見なんだね。五味君を家に連れてきて正解だったね。」
「私もこのあいだ行ったラーメン屋を紹介してくれた五味さんに感謝しています!またメガ盛りに挑戦したいです!」
「四葉さんは…まだ早いかな…。」
「この一花お姉さんに何か困ったことがあったら相談してね。」
「四葉も五味さんのために何か力になれるのならば是非協力します!」
「一花さんも四葉さんもありがとうございます。」
その後。一花と四葉の3人で雑談をしていると三玖と二乃が帰ってきた。
「ちょっと!あんた!なんでここにいるのよ!!」
「二乃。いいじゃん。」
「まさか!一花!あんたが連れてきたのね!」
「五味君は私達と一緒にいるのが楽しいんだって。だから…友達になりたいんだとさ。」
「あんた…。男の友達はいないの!?」
「シフトが結構入って遊ぶ時間がないからワザと友達を作らないのです…。しかし…二乃さん達と出会って僕は充実してるんです。今日もパフェ屋に行ったことが凄く楽しかったんです!だから…またいきましょう!」
「うん。また行こう。五味君からもらった抹茶サイダー。良く冷やして飲むから。」
「……。わかったわ!!友達にはなるが私はまだあんたの事を認めた訳じゃないからね!」
「全く…二乃は素直じゃないんだから…。」
時計を見ると22時を過ぎていた。
「そろそろ僕は帰りますね。」
すると一花がドライバーに電話をして彼の家まで送るように頼んだ。
彼は中野家を後にしてマンションを出て車に乗る。
(しかし…凄かったな…。中野家…。賃貸か分譲がわからないけどいくらするんだろう…。あそこの家。それにお父さんの職業はなんだろう…。気になるな…。)
五味が部屋を出ていくと一花はあることに気づく。
「そういえば…五月ちゃんはまだ帰っていないよね。」
次回話に続く…。