蝶は星を駆け僕らを繋ぐ   作:ゆっくりシップ

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pixivの方で1話が日間ランキングに載りまして......
本当に嬉しかった...本当に、本当に...なんて素敵な閲覧回数...ありがとう...それしか言う言葉が見つからない...!となってましたゆっくりシップです。
なんでこんな時間が開いたかと言いますとね、装甲娘とFGOに夢中になってました、はい。是非もないヨネ☆


それでもエメラルドは砕けない

歯を磨く音が嫌いだった。

別に歯を磨く事自体が嫌いな訳ではない。

ただ朝と夜、1日の始まりと終わりを否応にも実感させられる音だったからだ。

たまたま生まれ持ってきてしまった周りとは違う髪色。アルビノとメッシュを入れた訳でもないのに水色に染まった左前髪。

そうたったそれだけの事だけで家族から身内である事を否定され学校で虐められていた僕にとって朝はこの日々が夢ではない事を切実に思い知らされ夜は明日には皆普通に接してくれるのではないかというほんの少しの期待とどうせいつものように裏切られるであろうって諦め。

所詮人というモノは他人を下に見て自分の方が上だと思わなければ生きていけない生き物なのである。

こんな状況に置かれはや10年近くの時が過ぎた今でも僕が生きてこれた理由、それは親戚の存在が大きいのだろう。

市ヶ谷有咲、僕の再従姉妹。そして数少ない僕を拒絶しなかった親族。

彼女がいなかったら僕は間違いなく生を投げ出し、『彼女』と出会う事もなかっただろう。

彼女から転校の誘いを受けたのは去年。つまり中学2年生の秋、彼女が高校1年生の時だった。

曰く彼女の通っている中高一貫の学校が一昨年、少子高齢化に伴い共学化したのでこちらに転校してきてはどうか、という事らしい。

 

「高等部と中等部だから多少は距離はあるが少なくともなんかあったらすぐ助けに行ける距離だからな。まぁ皐月が行きたいならって話だが......」

 

言い終わった時には僕は既に決めていた。

傷ついた身体全身が叫んでいた。

「このままじゃ前に進めない!未来への道を探すことすら出来ない!」

そして選んだ。

未来を、自分を変える最後のチャンスに乗る『覚悟』を。

 

ここまでが僕自身の過去。

結果的に僕は転校した先、花咲川学園で変われたかと言われると素直に首を縦には振れないが『マイナス』から『ゼロ』へは進めたと思っている。

 

 

人間というのは醜悪な生き物だとこの十数年で知った。だがそれと同時に最も美しい心、『他人を想う精神』を持つのもまた人間だということも知った。故に僕は人を嫌い、そして人の善意を信じたいと強く思ったのだ。

 

 

......えっ?なんで1話の冒頭みたいな事になったって?

それには海よりも深くこの湿っぽい天井よりも低い事情があるんだけれど......

 

「ふへっうへへへ......いいにおい......」

 

「ま、ましろちゃん?首絞まってるから少し緩めてくれると嬉しいかなぁって」「やだッ!」「うんだよねー」

 

こちらとしても女の子の柔らかい身体が嫌ってほど堪能させられて役得というか詰みというか。

落ち着くんだ僕の僕。シリアスっぽい回想が終わったからって張り切るな。

肝心のましろちゃんは若干幼児退行...?いや、普段からこんなんか。

先ほどからずっとその触れたら崩れてしまいそうな細い腕を僕の首に回し髪やら色々な所をくんかくんかと嗅いでいる。

 

「これじゃあまるで赤ちゃんだな......」



ため息で消された声は部屋に響く前に完全に消失し代わりに彼女の鼻息だけが耳に届く。

こんな状況がいつまで続くかも分からず先ほどのように消えないようにしっかりと声を出す。

 

「『やれやれ...』ってね」

 

1度くらい言ってみたい言葉ではあったけどこんな状況で使う羽目になるとは多分李白さんでも見透せなかっただろう。




今回はやけにジョジョネタ多いなって?
私がジョジョ好きの端くれで7部を読み返してるからだよ!!
アニメ化はよ

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