5人の魔女は優しく微笑む   作:杉谷さとし

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プロローグ

「じゃあ、また明日」

一日の授業が終わり部活を終え帰るころには、太陽は西の地平線に位置していて空の色は赤色に染まっていた。完全な赤色というわけではなく、少し青みがかかっていて一日の終わりを実感させる。

そんな空を背景に手を振ってる健人に僕もうでを上げ大きく振り、「また明日な」といいそれぞれの帰り道を通り家へと帰る。

季節は12月中句。街中は、24日のクリスマスに向け並木にLEDライトによって色づけられていて街の景色は異なっていた。まるでアニメの世界に迷い込んだような感覚を覚える。

僕は、部活で筋肉痛の体を近くのベンチに下ろして、ため息を一息つき、街の幻想的な景色を眺めた。

吐いた息は白くゆっくりと空に向かって上昇しある一定の場所まで行くと消えてなくなってしまう。ボーっと、行きかう人の様子を見て僕は思う。

「平和だ。魔女なんて本当にいるのだろうか」

 

 

僕が、当時7歳のころに世界が騒めくニュースがテレビで報道されていた。

その内容というのは、魔女がある小さな国を襲ったというものだった。

死者10万人、重軽傷者100万人という大規模な被害をたった一人の存在によって引き起こされるというニュースは最初は誰一人として本気で耳を傾けるものはいなかった。だが、被害者の一人が撮った動画によってこのニュースを疑うものはいなくなった。

動画に映っていたのは、同い年ぐらいの女の子だった。白銀の髪色に遠くからでも分かるくらいの赤く光る瞳。そんな異様な姿をした少女が街を破壊している光景が映し出されていた。

「お母さん、この女の子どうしてテレビに映ってるの?」

無知な小さい頃の僕は振り返り母さんに聞いてみる。テレビに映っているのが羨ましかったのか、はたまた何も考えず興味本位で聞いたのか今となっては思い出すことはできない。

だけど、僕が聞いた時の母さんの表情は生涯忘れることはないと思う。顔を引きつりながら、頑張って笑顔にしようとしている顔でこう答える。

「さあ、どうしてなんだろうね?...ごめん、相馬。ちょっと母さん休んでくるね」

母さんは、ゆっくりと立ちふら付いた足取り寝室へと入っていった。

ニュースを見て思ったのだろう。日本も危ないかもしれない。いや、日本だけじゃない。世界が、地球が危ないかもしれないと悟ったのだろう。僕は、ドアの隙間から中をそっと覗く。

そこには、布団をかぶり声を出さないように我慢しながら泣く母さんの姿があった。

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