5人の魔女は優しく微笑む   作:杉谷さとし

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謎の女子高生

 時間は19時を迎えて日は沈み、校門をでた頃の綺麗な赤色部分はすっかりなくなっていた。

 僕は、家に着くまで残り5分の場所まで来ていた。場所は家が立ち並ぶ住宅街だ。

 この時間帯になるとここは、自身が歩く時に響き渡る足音と家々から聞こえる生活音のみが聞こえるのみの静な場所になる。さっきまでいた、街とは大違いだ。

 街灯も人通りも少ない、それだけでもともと寒い冬の夜はさらに寒く感じてしまう。

 身に着けていたマフラーを鼻元まで上げ寒さを緩和しようと試みるがその作戦は無念に散り、ところどころにある自販機に売ってあるコーンポタージュやココアが目につくが金欠のため、唾を飲み込み我慢する。

「早く帰ろう」

 そう呟き、僕は速足で家へと向かう。

 

 

 そうして、家まで数十メートルというところまでやってきた。

 ようやく、体を温められる。授業や部活で疲れ切った肉体や精神を休められる。そう思ったが、玄関先を見てそれらをするには少し後になることが分かる。

「あの、どうしましたか? うちに何か用ですか?」

 そこには、街灯が照らす光の下で僕の家を見つめる黒髪美人が立っていた。

 どこか人を寄せつかせない雰囲気を醸し出し、僕が話したことに気づかず、ずっと家を見つめている。

 この美人、まさか! 新手のオタクなのか! 外見、広さという外見だけを見るのではなく、外から室内の日当たりのよさ、内装を想像し楽しむオタク。名付けて「家オタ」。

 ...うん、ないな。

 気づいてもらえない悲しみからついつい心の中でふざけてしまった。

 そんなことよりも、この人は何の用でうちに来たんだ? 

 服装は制服で、うちの学校の制服だった。こんな美人が学校にいたのか、初めて知った。

 見たところ年上に見えるけど...

「あの...」

 何年生なんだろう。なんていう名前なのか。そんなことを考え制服を見ている僕に気づいた彼女はいつからか僕を不安がる様子で見ていた。

 ぼくもその様子に気づき、咳ばらいを一つするとさっきした質問を繰り返す。

「あの、どうしましたか? 母さんなら家にいますけど」

「いえ、用事は済んだので大丈夫です。では、これで」

 そう言って彼女は、帰っていく。後姿は堂々とした立ち振る舞い。どこかで会った懐かしい雰囲気が彼女にはあった。僕は、急いでカバンを家において彼女のもとへ駆け寄る。

「ここらあたりは、人通りが少なくてたまに変な人が出る時があるんです。なので、送りますよ」

 女子に自分から話しかけるのは、何年ぶりだろうか。羞恥心で内心慌てるが最低限の言葉を使ってみ見送りする意思表示をする。彼女は最初は驚いていたが、小さくうなずいて「お願いします」と言ってくれた。

 

 

 そうして、僕が彼女を送ることになったのだがその時に彼女について知った。

 美女の彼女の名前は「瀬川美玖 せがわみく」高校二年生だそうだ。

 高校二年生とは思えないほどの落ち着きから年上の高3くらいだろうと思ってたのに

 まさかのに同級生だったとは。

 なぜ同じ学年だったのに1年以上気づかなかったのか、自分がこれほどまでに他人に興味がないことに驚きだ。

「でも、なんで僕の家に来たんだ? 今日初めて話したはずだけど...もしかして僕なんか忘れものしてた?」

「いや、全然そういう分けではないよ。...ただ確かめたいことがあってだから、気にしないで」

 笑ってごまかす美玖さんは、何かを隠している。気にしないでって言われると余計気になってしまうじゃないか。

 そんなこんなで、モヤモヤした気持ちを抱えながら、20分程美玖さんと歩きながら会話を続けた。最初は、緊張ではち切れそうな気持を抑えながら話していたけれど、時間をかけていくほどに自然と名前で呼ぶまでの仲になっていた。思考が似ているからなのか話が合う。よくあるアニメの展開ならここから彼女に好意を持ちそのまま恋人の関係になるなんてことがあるが、実際は僕は美玖さんに好意を持つことはなかった。あっても良き友人までだった。

 

 

 そうして住宅街からそろそろ出そうというときには星の輝きが増し、周囲の気温が下がっていることが五感を通して感じる。住宅街を出る寸前で、美玖さんは駅に向かうと言ったため僕の役目はここまでだと分かった。住宅街を出れば、会社帰りの社会人が大勢い行きかう。もう安心だ。

「じゃあまた明日会お」

 街の明かりをバックに見える美玖さんに手を振る。

 ここでお別れ。そう思ったが、意外なことに美玖さんは僕の袖をつかんできた。

 上目遣いで何かを伝えたそうな感じを僕は読みとり、あとすこしだけと自分に言い聞かせ立ち止る。

「ねぇ、相馬くんって...魔女のことどう思う? 怖い? 嫌い?」

「んーそうだなぁ、怖いって言ったら嘘になるのかもしれない。10年前のニュース。子供の泣き声が聞こえた。それだけ魔女が怖い存在だということだったんだと思う...けど、何か事情を抱えてたら? そうしなければならない理由があったとしたら? って考えたら、魔女が100%悪いとは言い切れないと思うんだ。だから、僕は魔女のことは怖いと思っても嫌いではないかな」

 美玖さんが何を思って『魔女』について聞いたのか僕は理解が追い付かなかった。

 だけど、何も考えず、今この時点で思っていることをそのまま伝えた。何を言うのが正解かわからなかったが、美玖さんが涙目になっているところを見ると納得してもらえた...はず...えっ? 

 泣いてる。どうして、なにか気に障ることを言ってしまったのだろうか。

「相馬さん、すこしだけ時間もらえますか?」

「う、うん。いいけど」

 そう返事した途端の出来事だった。緩やかに吹いていた風は、急に僕と美玖さんを取り巻くように吹いた。

 こんな風の流れはあり得ない。だけど現実に起こっている。僕は、何が起こっているのかわからず美玖さんに聞こうとする、だが理解できないことが起こっているのは目の前も同じだった。月の光で変わっているように見えるのかと思ったがその予想は外れた。実際に現在進行形で変わっていたのだ。見間違いなんかじゃない。黒く綺麗な長い髪は上から下にへと変色していき、白銀の髪色へと変わっていった。

 夢を見ているようだった。子供のころに初めて見たニュースで映っていた少女が今成長した姿で僕の目の前に現れた。目をこすったり、頬をつねったりしてみるが目の前で起こった事実は変わらなかった。

 そして、僕は口にする。

「美玖さんが魔女?」

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