「魔女狩り」に入って、初めての夜を迎えた。
ボスからは教会の近くにある寮に泊まれと誘われたが、美玖さんをよく思っていない輩も多くはないし、僕もまだメンバーたちとは仲良くできないと思ってしまい、僕は美玖さんを連れて家に帰った。
女の子を家に連れ込むっていうのは、少々悩んだが一人にさせておくよりもマシだろうと思い家に案内した。
家に着くと、いつもなら何も考えずスッと入れるが一日帰らなかったのと女の子を連れて帰ってきたとなると話は別だ。
こんなの如何わしい関係に見えてしまうだろう。
「ただいまぁ…」
僕は、勇気を振り絞って扉を開けて恐る恐る一歩を出す。
「相馬…相馬なの?」
「母さん、ただいま。それと、ごめん…」
リビングの扉から顔を出して、ゆっくりと近づく母さんの足並みは少しづつ早くなる。
顔を見ると、目元は赤く腫れていて同時にクマもできていた。
「どれだけ心配したと思ってるの!…父さんと一緒でもう会えないのかと思ったわよ。」
「ごめん、もうどこにも行かない……。そうだ、母さん少しお願いがあるんだけど、この子を少しの間家に泊めてあげられないかな?」
外で待ってもらった美玖さんを、僕は手を引いて招き入れる。
「その子って…」
どこか怯えているような表情を見せる母に美玖さんは、深くお辞儀をする。
「お願いします。私を泊めてもらえないでしょうか。」
怯えて震える身体を抑えるように、必死に全身に力を入れているのがよく分かった。突然の拉致、死の恐怖。それらを半日で味わったんだ。当然だ。
母さんも、詳しい事象は分からないだろうが怖いことがあったのだろうと察せらくらい美玖さんの震え方は尋常じゃなかった。
「別に良い…わよ。でも!相馬とその子は別の部屋という条件でならね。」
迷惑、心配。ここまで成長するのに、数え切れないほどかけてきた。それでも、今のようなわがままを聞いてくれる親には本当に頭が上がらない。
無事に母さんからの許可を貰い、各部屋に僕たちはそれぞれ自由に一晩過ごした。
僕はベットで横になり、母さんは美玖さんの服を用意し、美玖さんは……何をしてるんだろ?
着替えかな?今日は大変だったからな…
僕も早く風呂に入って寝よう。
脱衣所へ着替えを持ち、階段を一歩、一歩降りていく。全身筋肉痛で階段を一つ降りるのも一苦労だ。
「魔女との契約」そんなことをボスは言っていたけど、なんなんだろ。
人を守れる。そう確信できる力を手に入れることはできたけど、この力はどういったものなのかを自身で全く理解していない状態にあった。
「「魔女」は美玖さんで、「契約」は…あのとき答えた「美玖さんを守る」?が契約になってたのかな?」
というか、今思い返せば、とてつもなく恥ずかしいことを言ってる気がする。
思い出すと、熱でもあるんじゃないかと勘違いしてしまうほどの体温が体に生じた。
汗は出るは、顔は熱くなるわで気持ち悪かったので、さっさと服を脱いで風呂の扉を開ける。
「「えっ?」」
ドアを開けて出た声は、全く同じ言葉で、そんでもってシンクロした。目の前の光景は、普段見ないような光景が広がっていて高校生の男子には未知に等しいそれだった。
美しく、主張が激しい部分と大人しい部分が描く曲線は見惚れるものがあった。
僕は、色々な感情が合わさり慌てて体の下部を抑える。
「美玖さん、なんで!?」
「えっと、相馬くんのお母さんが風呂に入ってきなさいと……あの、そういうお年頃というのは分かってはいるんですが、そろそろ閉めて欲しいなぁ〜なんて。ハハハァ」
あまりに美しい光景を見て呆気にとられていた自分を引っ叩き、慌てて風呂のドアを閉める。
「ごめん!というか、怒って良いんだよ!?」
「いえ、お世話になってる身なので全然気にしないです」
「そ、そう?」
あれ?ならもう一度…
なんて考える僕がいることに、僕は恥ずかしい…
「そ、そういえばさ。美玖さんって、「魔女との契約」について何か知ってるの?」
この周りに漂う気まずい空気をかえようとすぐさま話題を変える。あっ、パンツ履かなきゃ!
「ごめんなさい、私は全然…。でも一つ言えることがあります。その「魔女との契約」。それを身につけている人は、相馬くん以外にもいるんじゃないでしょうか?」
「えっ、そうなの?」
「はい、おそらくボスさんはそれを見たことがあるから私たちに期待の目を向けていたんじゃないかと…。それに、魔女は私のほかに4人いますし」
ん?気のせいかな?僕は耳を疑う発言を言ったのかどうか確かめる。
「美玖さん、ごめん最後のところもう一度聞かせてもらっていい?」
頼む!気のせいであってくれ。
「魔女が“4人”いるというところですか?」
気のせいじゃない!?とんでもない力を持ってる魔女があと4人も…勝てるのだろか?
「この地球って5つに大陸が分かれているのはご存知ですよね?アテナ大陸、ヘル大陸、アルテミス大陸、シヴァ大陸そして、ここヘスティア大陸。それぞれに魔女が一人ずついると聞いたことがあります。」
「今頃なんだけど、なんで神様の名前が大陸に使われているんだろ?」
「それは、魔女の存在を知るものがつけたとされています。それぞれの魔女の性格、力と一致する名前をつけたとか…なんとか」
そうなんだなぁ、その名前を聞き慣れすぎて全然違和感がなかった。
「ごめん、体冷えちゃったかな?ゆっくり、風呂に浸かって休むといいよ」
僕は脱衣所からさっさと出る。美玖さんが悲鳴を上げないことが助かった。母さんには見つからず、半裸で自室へ戻ることができた。
それにしても…
すごいセクシーな体つきだったなぁ。頭から離れない記憶で下部が暴れ出しそうになるのをしっかりと抑えて僕は、脱いだ服を着る。
今日は、色々疲れた…