5人の魔女は優しく微笑む   作:杉谷さとし

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魔女キサラ

翌朝、僕と美玖さんは普段通り学校へ通った。

バトル漫画のような一日中修行なんてことはせず、学校にはちゃんと行って、授業が終わった後に教会へ向かうことにした。

「本当に良かったんですかね?教会の方へ行かなくても。」

「よかったんじゃないですか?ボスからの許可も得たんだし。それに、母さんにお金出してもらってるのに、学校を休むことなんてできないですよ。」

「そうですよね。なら、私も気にしないです!」

拳を握り、ガッツを決める美玖さんはこっちを見て笑う。そんな表情を見て僕もつられて笑ってしまった。

やっぱり可愛い!

月の下で笑うと美玖さんはクールな感じだけど、太陽の下で笑う美玖さんはまた違った魅力があった。

そうやって、僕が美玖さんに魅了されていた時、美玖さんは笑っていた表情から怯えた表情に一瞬で切り替わった。

えっ、そんなに僕の顔気持ち悪かった!?

僕の顔は良くないことは昔から自覚していたけれど、そんな表情をされる程気持ち悪いのか…

しゃがんで、落ち込んでいると、いきなり美玖さんが腕にしがみ付いて、周りを見渡し始めた。

「あっ、のっ、美玖さん?」

まさか、ブサメンが好みなのか。なんて、調子に乗ってみるが美玖さんがそんな特殊な好みを持っているわけでもなく、今にも泣きそうな顔で僕に訴える。

「相馬さん、人がいないです…」

「えっ?」

そういえば……

さっきまで同じ高校の奴らや、サラリーマン、ゴミ袋を持ったおばさんが居なくなっていた。

別に、人が居たという勘違いは全くしていない。

かと言って、夢だったっていうオチは無さそうだった。

明らかに周りの雰囲気が変わったため、美玖さんを僕の後ろへ回り、辺りを見渡す。

「ねぇねぇ、お兄さん。なんで、そんなに警戒してるんですか?」

肩を軽く叩れて、一瞬体が跳ね上がる。

「み、美玖さん、状況を考えてくださいよ。」

僕は決して鈍くない。ただ、周りに人が居なくなって僕と美玖さんしかいないという状況で、聞いた事のない声を聞いてしまったということを認めたくなかったのだ。

だけど、僕はすぐに認めざるを得ない光景を目にする。

「そ、相馬さん…あれが、5人の魔女の一人。キサラさんです……」

「あの少女が魔女?」

屋根の上に、僕が知っている動物のどれにも当てはまらない獣とともに少女が座っていた。

体格はカナミと同じくらい?だと思う。白いローブを纏っていて実際どうなのか分からないがそれくらい小さな体だった。

最近、やけにロリによく会うなぁ。

「だれがロリですか!」

あれ?僕声出してたっけ?もしかして、、、

「そうだよお兄さん、私は心が読めるんです。だから、心の声だからと言って私の前では好き勝手言わない方がいいですよ。場合によっては、殺しますから。」

少女は、にっこりと笑いこちらに脅しをかける。

「えっと、魔女っ子さん。なんで、こんなところにいるんだ?一大陸につき一人しかいないって事を聞いたんだけど。」

昨日の夜、美玖さんは確かに言った。一大陸につき一人の魔女がいると、だけど目の前には美玖さんの他に魔女がいる。

「そっか、そこの腰抜け魔女が言ったんですね。

そうです!本来なら、私たち、盟約により他の魔女のいる大陸に関わる事を禁じられています。ですが、そこの腰抜けは少しばかり"面倒なこと"になってるので特別事例で盟約を無視できるのです。で、早く正常になれるように私が"起こしてあげよう"と思って。」

あのキサラという少女、なにを言ってるんだ?腰抜け?面倒な事?起こす?

僕がまだ知らない美玖さんの事情なのだろうが、

当の本人も、なにを言っているんだろう?みたいな顔をしている。

「じゃあ、腰抜け。剣を手に取ってください。すぐにでも起こしてあげますよ。」

キサラはそう言って、指を鳴らすと無数の魔法陣が僕らを囲んだ。

「やめてください。キサラさん!相馬さ…この人は関係ないんです、ただの一般人なんです。だから、巻き込むのはやめてください!」

後ろにいた美玖さんは前に出て腕を広げて、僕を庇った。

震えている背中を見てたらわかる。 僕を、逃がそうとしてるんだ。だけど、そんな必死に僕を庇おうとする行為は、キサラには全く意味をなさなかった。

「一般人?笑わせないでください。契約したんですよね?だったら……まとめて襲っちゃいます。」

周りの魔法陣は、徐々に大きくなっていき、ついには中からまた変な生物が出てきた。ウサギのような姿をして、体格に関しては僕の身長の半分くらいだった。

これは……負けたな?

数と大きさが明らかに僕一人で対処できるものではなかった。

「勝てるイメージ湧かないなぁ…」

「湧かないなら、湧くまで続けてください。私も力になります。前の敵は相馬さん、お願いします。」

美玖さんは、僕の背中に体重をかけた。僕は大きく深呼吸して、掛け声をかける。

「分かった。じゃあ任せました!」

互いに背中で押し合い、勢いをつけて珍獣に立ち向かった。

そんな様子を屋根の上で見物するキサラは小さな声で呟く。

「さぁ、始めましょう!一方的な虐殺を!」

 




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