親父の仕事についてくるんじゃなかった。
誘われた時から分かっていた筈だ。最近チェルノボーグで怪しい動きがあるのはニュースでもやっていた事だ。
「しかもあの親父、俺に地図だけ残してどこかに逃げやがった。」
外ではレユニオンが侵攻している。武器はサブマシンガンのみ。何と心許ない事だろう。
「マガジンは装填してるのを含めて5つ……もっと持ってくるべきだったかな。」
幸い地図には目印があり、泊まっていたホテルからはそう遠くはない。これが何なのかは分からないが取り敢えずこの場所に移動すれば何とかなるかもしれない。途中にいるであろうレユニオンには…
「何とかやり過ごしながら移動するしかない。」
生き残るためにはやるしかない。最低限の物だけ持って移動するとしよう。
「どこに逃げやがったあのサンクタのガキ!?」
失敗した。後少しの所だったがレユニオンの奴らに見つかってしまった。武器を持って来たのが不味かったかもしれない。見つかった瞬間に逃げれば良かったかもしれないがつい、撃ってしまった。それもかなり大胆に。
残弾も後はマガジン一つ分しか無い。
そんな事より何とかしなければいけない。
「いつまでも隠れてるわけにはいかないんだ。」
少なくとも逃げる算段がついていないわけじゃない。
「とりあえずで取ってきたこのお面とマントがあれば何とかなるか。」
そう、こうなれば変装して奴らに紛れるしかない。銃を隠して、ナタを持って近づくしかない。上手くいけばいいが。
結果を言えば上手くいった。上手く行きすぎなほどだ。上手くレユニオンの目をごまかし、印の場所にたどり着く事ができた。
「このマンホールに入れって事だよな。」
そこにはマンホールがあった。
むしろマンホール以外に何もなかった。
「マンホールってどうやって開けるんだ?」
マンホールを叩いたりずらそうとしているとマンホールがずれ始め、人が入れそうな隙間が生まれた。
「よし!これで中に入れる!」
マンホールの中に入ればまた何か分かるだろうか。それでも今は逃げ切れた喜びを噛み締めよう。
「よく辿り着いてくれたアリオスよ!」
出迎えてくれたのは俺を置いていったクソ親父だった。
「よくも置いていってくれたな親父……」
「あれはやむを得ない事情があってだなぁ。」
「なら俺も連れて行ってくれたら良かっただろう!」
「でもお前は辿り着いた。それが結果だ。」
「それで良いのかよ!息子の危機だったんだぞ!」
「良いんだよ、お前が無事だったんだから。」
「それでここは何だよ。こんな暗くて狭い場所なら一般のシェルターにでも逃げて寿司詰にされた方がマシだろ。」
マンホールの中は高さ2mくらいの深さで奥行きは大体6〜7mくらいあるだろうが機材なんかで体感的にはその半分もないだろう。逃げるだけならシェルターがいくつもある。ここよりも狭いだろうが、入るのはここよりも楽で安全だっただろう。
「その理由については後で話す。今は無事にここに辿り着けた事を祝おう。」
父はコーヒーの入ったコップをこちらへ渡してくる。この父はやたらとコーヒーを入れるのが上手い。この一杯で全て許してしまいそうになるがそれでも聞きたい事が山程ある。
「それで何で置いて逃げたんだよ。親父なら近い内にレユニオンが攻め込んでくる事くらい分かっただろうに。」
「それについては申し訳ないと思っている。しかし私の研究がようやく完成したんだ。だからお前にもついてきて欲しかった。」
「その研究ってなん…だ…よ……」
コーヒーを飲んでいたら急に眠たくなってきた。睡眠薬でも入れられたのだろうか。
「それは次にお前が起きた時に分かるさ。そして、すまない。お前には俺たちの業に付き合わせることになる。」
「おや…じ…」
「projectSIDにな…」