僕の彼女は曜ちゃんです⚠再編集中 詳しくはあらすじへ   作:ゆうきoog3

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皆様ありがとうございます!!
これからもよろしくお願いします_(._.)_

では本編をどうぞ!


17話

あのあと、部室で自己紹介をし、ささやかな歓迎会が行われた。

 

千歌「これから頑張ろー!!それじゃあ!かんぱーい!!」

 

『『『かんぱーい!!』』』

 

紙コップが重なり合い、部室に一斉に明るい音が広がる。

その光景を少し離れた場所から眺めながら、雄飛は改めて部屋の中を見渡した。

 

すると――

視線の先に、まだ話したことのない一人の少女がいた。

 

津島善子。

 

目が合いそうになった、その瞬間。

彼女はビクッと肩を揺らし、慌てたように視線を逸らす。

 

(……恥ずかしがり屋、なのかな?)

 

そう思いながらも、ここはやっぱり挨拶だよな、と雄飛はグラスを置いて一歩踏み出した。

 

雄飛「君が、津島善子ちゃんだよね?」

 

善子「は、う、は、はい……」

 

声は小さく、視線は床に落ちたまま。

 

雄飛「千歌から聞いてるかもしれないけど、一応スクールアイドル部の吉田雄飛だよ。よろしくね」

 

善子「よ、よろしく……」

 

(やっぱり大人しい子なのか?)

 

さっきまで花丸たちと話していたときは、もっと賑やかだったような気がしたのだが――。

 

突然、善子が顔を上げた。

 

善子「クックック……!」

 

雄飛「え……? よ、善子ちゃん?」

 

次の瞬間。

 

善子「ようこそ!我がリトルデーモンの惨禍へ!!」

 

雄飛「――っ!?」

 

(な、な、なんだ?!)

 

雄飛「リ、リトルデーモン……?」

 

ヨハネ「そうよ。あなたは私のリトルデーモン。たった今、あなたと契約したの。堕天使ヨハネよ」

 

雄飛「堕天使……」

 

(あー……なるほど。

これは、そういう“設定”の人だな)

 

雄飛は内心で納得すると、軽く背筋を伸ばした。

 

雄飛「ヨハネ様。歓迎していただき、ありがとうございます」

 

ヨハネ「ふふっ。これからあなたは、私をそう呼ぶといいわ」

 

雄飛「はい。名前を呼ばせていただけるだけで光栄です、ヨハネ様」

 

善子「今日は下がっていいわよ。リトルデーモン・ユウ」

 

雄飛「ありがとうございます」

 

予想通りだ。

少しクセは強いけれど、こういう個性も嫌いじゃない。

 

(十人十色、ってやつだな)

 

そう思った矢先。

 

果南「ゆう!」

 

雄飛「あ、果南さん」

 

果南「もー、そんな堅苦しい呼び方やめてよ」

 

雄飛「じゃあ……どう呼べば?」

 

果南『果南でいいよ。あと敬語もなしね」

 

雄飛『か、果南……こ、これでいい?」

 

果南「うん!オッケー♪」

 

果南「改めて、これからよろしく! ゆう!」

 

雄飛『うん、こちらこそよろしく!』

 

自然と笑みがこぼれる。

この距離の詰め方は、さすが果南だ。

 

――残るは。

 

鞠莉『Hi! ゆう!』

 

雄飛『お? これはこれは理事長』

 

鞠莉『その呼び方はノー! ワタシの名前で呼んでくださーい!』

 

雄飛『ま、まりさん……?』

 

鞠莉『ノー! それじゃあ硬度10のダイヤと変わらないわー!』

 

ダイヤ『だ、誰が硬度10ですって?!』

 

鞠莉『だって事実でしょう?』

 

ダイヤ『ぐぬぬ……』

 

雄飛『わ、わかったよ……じゃあ、まり。これからよろしく』

 

鞠莉『よろしくお願いしマース!』

 

こうして、気づけば全員を名前で呼ぶことになっていた。

 

(女の子の名前を下で呼ぶとか……正直、慣れないな)

 

でも――

それでも。

 

(仲良くなれた、気はする)

 

胸の奥が、少しだけ温かくなった。

 

その後は、みんなで他愛もない話をして、笑って。

歓迎会は、穏やかな空気のまま幕を閉じた。

 

――帰りのバス――

 

座席に身を沈め、窓の外を流れる景色を眺める。

夕陽が、海と街をオレンジ色に染めていた。

 

雄飛は、歓迎会の途中からずっと同じことを考え続けていた。

 

(三年生は……スクールアイドル経験者)

 

つまり、ダンスやパフォーマンスの指導は、自然と三年生が担うだろう。

 

(俺は……マネージャー)

 

部員集めでは役に立てた。

でも、これから先は?

 

(じゃあ……俺は……)

 

窓に映る自分の顔が、どこか頼りなく見えた。

 

(……必要、なくなるのか)

 

曜『ゆうくん?』

 

雄飛『ん? どした、曜』

 

隣に座る曜が、心配そうにこちらを覗き込んでいる。

 

曜『なんか元気ないね』

 

雄飛『……そう見える?』

 

曜『うん。なんかあったの?』

 

雄飛『あー……やっぱり、わかっちゃうか』

 

曜は小さくうなずいた。

 

曜『私で良ければ、聞くよ?』

 

雄飛『ありがとう。実は……』

 

――沼津港――

 

波の音が静かに響く。

港の風は少し冷たくて、頭を冷やすにはちょうどよかった。

 

曜『なるほど……そういうことか』

 

雄飛『そうそう。これからどうなるんだろーって思ってさ』

 

少し間を置いて。

 

曜『私は……これからも一緒にいてほしいな……』

 

かすれた声。

聞き返そうとした、その瞬間。

 

曜が雄飛の服をぎゅっと掴んだ。

 

雄飛『?! よ、曜? なにして……』

 

曜『ゆうくん、これからも一緒にいてよ。私だけじゃない。みんなも、きっとそう』

 

顔を上げた曜の瞳は、真剣だった。

 

曜『Aqoursは、ゆうくんがいてこそだよ』

 

胸が、きゅっと締めつけられる。

 

雄飛『……』

 

(やばい……泣きそうだ)

 

雄飛『ありがとう、曜』

 

そっと、抱き返す。

 

曜『うん。相談にのれてよかった』

 

少し照れたように笑ったあと、曜はふと我に返ったように言った。

 

曜『ていうか……私たち、今すごい状態だね』

 

雄飛『ご、ごめん! いま離れ――』

 

その言葉は最後まで言えなかった。

 

曜が、さらに力を込めたからだ。

 

曜『もうちょっと……このままがいい。だめ?』

 

上目遣い。

 

(反則だろ……)

 

雄飛『……わかった』

 

曜『えへへ』

 

雄飛『なあ、曜」

 

曜『なに?」

 

雄飛『ありがとな。これからも、よろしく」

 

曜は、少しだけ強くうなずいた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

放課後の校舎に、軽快な音楽が流れている。

 

部室のドア越しに聞こえるのは、三年生が中心になって進めている練習の声だった。

 

雄飛は廊下の端、壁にもたれながらその様子を見ていた。

 

雄飛(……すごいな)

 

果南の動きは無駄がなく、的確だった。

ダイヤは全体を俯瞰して細かく指示を出し、まりは空気を和ませながらも要点を外さない。

 

曜や千歌たち二年生も、それについていこうと必死に身体を動かしている。

 

雄飛(俺がいなくても、ちゃんと回ってる)

 

その事実が、胸の奥にじわりと重くのしかかる。

 

雄飛はマネージャーだ。

これまでやってきたのは、部員集め、雑用、スケジュール管理の手伝い。

 

でも――

「スクールアイドル」としての核の部分は、経験者の三年生が自然と担っている。

 

雄飛(じゃあ……俺は、何をすればいい?)

 

ドアに手をかけようとして、ふと止まる。

 

曜に励まされたものの中に入って、何をすればいいのかわからない自分がいることが怖かった。

 

――校庭――

 

夕方の風に吹かれながら、雄飛は一人ベンチに腰掛けていた。

 

雄飛(役割ってさ……誰かに与えられるもんじゃないよな)

 

父の言葉が、ふと脳裏をよぎる。

 

――「戦場じゃ、命令待ちのやつから倒れる。

  自分で“何ができるか”を考え続けろ」

 

雄飛(……軍人の言葉としては重すぎるけど)

 

でも、今の自分には妙に刺さった。

 

その時――

 

曜「ゆうくん?」

 

振り返ると、練習帰りの曜がタオルを首にかけて立っていた。

 

雄飛「曜か。練習終わったのか?」

 

曜「うん!三年生すごいね〜!果南ちゃんの指導、めっちゃ効く!」

 

曜は笑顔でそう言いながらも、雄飛の隣に腰を下ろす。

 

曜「……でもさ」

 

雄飛「ん?」

 

曜「ゆうくん、今日はずっと中に入らなかったでしょ」

 

雄飛「……バレてたか」

 

曜「うん。ゆうくんのこと、見てないわけないじゃん」

 

その言葉に、胸が少しだけ温かくなる。

 

雄飛「正直さ……俺、何していいかわからなくなってて」

 

曜「……」

 

雄飛「三年生が入って、指導も完璧でさ。

   部員集めも終わって……俺、もう出番ないんじゃないかって」

 

曜は少し考えるように空を見上げてから、雄飛のほうを見る。

 

曜「ねえ、ゆうくん」

 

雄飛「なに?」

 

曜「“できること”と“必要なこと”って、同じじゃないと思うんだ」

 

雄飛「……」

 

曜「果南ちゃんたちは、教えるのが得意。

   ダイヤさんはまとめるのが得意。

   でもね――」

 

曜は、まっすぐ雄飛を見る。

 

曜「ゆうくんは、“みんなを見てる”」

 

雄飛「……え?」

 

曜「誰が無理してるか、誰が落ち込んでるか、

   誰が一歩踏み出せてないか。

   それ、ゆうくんが一番最初に気づくよ」

 

雄飛「そんなこと……」

 

曜「あるよ。私、何回も助けられてる」

 

雄飛は言葉を失った。

 

曜「だからさ。

   “与えられる役割”じゃなくて、“見つける役割”でいいんじゃない?」

 

雄飛(……見つける、役割)

 

その言葉が、胸の奥で静かに形を持ち始める。

 

――夜・自室――

 

ノートを開き、雄飛はペンを走らせていた。

 

・練習の進行メモ

・各メンバーの得意・苦手

・体調、表情、癖

 

雄飛(全部、俺が見てきたことだ)

 

数字でも、技術でもない。

でも、確かに“自分にしか見えないもの”がある。

 

雄飛(……よし)

 

雄飛はペンを置き、静かに息を吐いた。

 

雄飛(俺は俺のやり方で、Aqoursに必要な存在になる)

 

それはまだ、はっきりとした答えじゃない。

 

でも――

「探し始めた」こと自体が、確かな一歩だった。

 

 




以上です!
投稿が遅くなり申し訳ないです。

これからもがんばりますのでどうぞよろしくお願いします!

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