僕の彼女は曜ちゃんです⚠再編集中 詳しくはあらすじへ   作:ゆうきoog3

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久しぶりの投稿ですー!お待たせいたしました!!


今回は梨子ちゃん回!

ここにきて、急展開!!

それではどうぞ!!


23話

――十千万・裏口付近――

 

「ごめんねっ。明日本番なのに、こんな暗い話しちゃって……」

 

梨子は少し困ったように笑い、浜辺へ視線を落とした。

 

夜風が、ふわりと彼女の髪を揺らす。

 

雄飛は少しだけ考え込み、それから静かに口を開いた。

 

雄飛「……梨子」

 

梨子「ん?」

 

雄飛「梨子はさ、“Aqoursに迷惑かけたくない”って思ってるんだろ」

 

梨子「っ……」

 

図星だったのか、梨子の肩が小さく揺れた。

 

雄飛「やっぱりな」

 

梨子「……だって、今はみんなで頑張ってる途中だし……」

 

雄飛「でも、それって本当に“逃げたい”顔してるやつの顔じゃないぞ」

 

梨子「え……?」

 

雄飛「俺、最近わかるようになってきたんだ。

 本当に諦めたやつって、その話題を口にしない」

 

「夢が気になるってことは、まだ終わってないってことだろ」

 

梨子「……」

 

梨子は驚いたように目を見開いたあと、ふっと小さく笑った。

 

梨子「ゆうくんって、たまにずるいこと言うよね……」

 

雄飛「そうか?」

 

梨子「うん。

 そういうこと、真正面から言われると……なんか、泣きそうになるから」

 

雄飛「泣くなよ? 明日本番前だぞ」

 

梨子「ふふっ、わかってる♪」

 

少しだけ空気が軽くなった。

 

その時――

 

千歌「梨子ちゃん!」

 

梨子「?!」

 

後ろから聞こえた声に振り返ると、そこにはAqoursのみんなが立っていた。

 

曜「やっぱりここにいた!」

 

花丸「戻ってこないから心配したずら~」

 

ルビィ「ふんばルビィ!」

 

善子「フッフッフ……夜の気配を感じて来てみれば、やっぱりここだったわね」

 

花丸「絶対あと付けてきただけずら」

 

善子「ヨハネよ!」

 

わいわいと騒ぎながら集まってくるみんなを見て、梨子は少し目を丸くする。

 

ダイヤ「話はだいたい聞こえてしまいましたわ」

 

鞠莉「海辺だと声、意外と響くのよね~」

 

果南「まあ、盗み聞きするつもりはなかったんだけどね」

 

梨子「み、みんな……」

 

千歌は梨子の前まで来ると、まっすぐ彼女を見つめた。

 

千歌「ちかはね、梨子ちゃんに夢を諦めてほしくない」

 

梨子「……!」

 

曜「うん。私もそう思う」

 

花丸「夢って、思い続けてる限り終わらないって本で読んだずら!」

 

ルビィ「ルビィも応援したい!」

 

ダイヤ「夢を持ち続けることは、決して悪いことではありませんわ」

 

果南「むしろ、そういう気持ちって大事だと思うよ」

 

鞠莉「ピアノもAqoursも、どっちもリコの大切なものなんでしょ?」

 

善子「堕天使ヨハネが特別に応援してあげてもいいわよ!」

 

花丸「上から目線ずら……」

 

梨子はみんなの顔を順番に見つめた。

 

その表情は、さっきまでとは違っていた。

 

不安だけじゃない。

 

どこか、救われたような顔だった。

 

梨子「……ありがとう、みんな」

 

雄飛「ほらな。説得なんか必要なかっただろ?」

 

梨子「ふふっ、そうみたい♪」

 

そして梨子は、少しだけ言いづらそうに口を開いた。

 

梨子「……実はね」

 

全員「?」

 

梨子「この前、昔のピアノの先生から連絡が来たの」

 

雄飛「先生?」

 

梨子「うん。

 今度ある若手演奏会で、“もしまだピアノを続ける気持ちがあるなら、一曲だけでも弾いてみない?”って」

 

曜「演奏会……?」

 

梨子「本格的なコンクールじゃなくて、小さなステージなんだけどね。

 でも、昔の私にとってはすごく大事な場所で……」

 

千歌「それっていつなの?」

 

梨子「……地区予選が終わった次の週」

 

「しかも、練習期間もほとんどなくて……」

 

ダイヤ「なるほど……」

 

雄飛は静かに頷いた。

 

さっきまでの“急すぎる話”ではなくなった。

 

ずっと梨子の中で引っかかっていた“もう一つの夢”。

 

それが今、少しだけ顔を出したのだ。

 

雄飛「だったら簡単だな」

 

梨子「え?」

 

雄飛「地区予選を突破して、そのあと全力で梨子の演奏会も成功させる」

 

千歌「おおー!」

 

曜「ゆうくんらしい!」

 

雄飛「Aqoursは九人でやるもんだろ。

 だったら、誰か一人だけ夢を我慢する必要なんてない」

 

梨子「……っ」

 

その言葉に、梨子は少しだけ目を潤ませた。

 

でも今度は、ちゃんと笑っていた。

 

梨子「……うん!」

 

――ラブライブ!地区予選当日・舞台裏――

 

会場の空気は、独特だった。

 

ステージ袖を歩くだけで緊張が伝わってくる。

 

スポットライトの熱。

遠くから聞こえる歓声。

控室を行き交うスクールアイドルたち。

 

その全てが、“本番”を嫌でも実感させていた。

 

ルビィ「ひゃぁ……す、すごい人……」

 

花丸「動画で見た場所ずら……」

 

善子「フッ……ついに堕天使ヨハネが降臨する時が――」

 

曜「善子ちゃん、声震えてるよ?」

 

善子「ヨハネよ!!」

 

緊張を誤魔化すようなやり取りに、少しだけ笑いが起きる。

 

だが、その空気もすぐに静まり返った。

 

次はいよいよAqoursの出番。

 

九人全員が自然と雄飛の方を見る。

 

雄飛はそんなみんなを見渡し、小さく息を吐いた。

 

雄飛「……よし、最終確認するぞ」

 

全員「!」

 

雄飛「今回のライブ、一番大事なのは“想いを届けること”だ」

 

千歌「うん!」

 

雄飛「だから無理に完璧を目指さなくていい。

 多少ミスしても、気持ちだけは絶対止めるな」

 

ダイヤ「ええ」

 

果南「了解」

 

鞠莉「オッケー♪」

 

そして雄飛は、ゆっくり梨子を見る。

 

梨子はピアノ用の白い衣装の袖を、少しだけ握りしめていた。

 

雄飛「……梨子」

 

梨子「っ……」

 

雄飛「本当にやるんだな?」

 

曜「……!」

 

千歌「……」

 

その言葉に、その場の空気が少しだけ変わった。

 

実は今回のライブ。

 

直前になって、ある演出変更が行われていた。

 

――梨子が、ステージ上で生演奏をする。

 

最初に提案したのは雄飛だった。

 

---

 

――数日前・部室――

 

雄飛「なあ、ひとつ思ったんだけどさ」

 

千歌「?」

 

雄飛「“想いよひとつになれ”って、梨子のピアノがあって完成する曲じゃないか?」

 

梨子「え……?」

 

曜「それはそうだけど……」

 

雄飛「だったら、音源じゃなくて生演奏にした方が絶対伝わる」

 

全員「……!」

 

ダイヤ「確かに、インパクトはありますわね……」

 

果南「でも本番で弾くのって相当大変じゃない?」

 

梨子「そ、それは……」

 

当然だった。

 

ピアノを弾きながら、ライブの流れを合わせる。

 

普通のスクールアイドルライブとは難易度が段違いだ。

 

しかも梨子には、昔の“本番で弾けなくなった記憶”がある。

 

雄飛「もちろん無理には言わない」

 

梨子「……」

 

雄飛「でも俺は、梨子のピアノには人の心を動かす力があると思ってる」

 

梨子「っ……」

 

千歌「ちかも聞きたい!」

 

曜「私も!」

 

ルビィ「ルビィもです!」

 

花丸「絶対素敵ずら!」

 

善子「堕天使ヨハネの儀式にも相応しい旋律ね……!」

 

花丸「よく分からないずら」

 

鞠莉「リコのピアノ、好きよ♪」

 

果南「やるなら全力で支える」

 

ダイヤ「わたくしも賛成ですわ」

 

全員の視線が梨子へ向く。

 

梨子は少しだけ俯き――

 

それから、小さく笑った。

 

梨子「……やってみたい」

 

雄飛「!」

 

梨子「怖いけど……でも、逃げたくないから」

 

その瞬間、雄飛は確信した。

 

Aqoursは、また一歩前へ進んだのだと。

 

---

 

――現在・舞台裏――

 

雄飛「怖いか?」

 

梨子「……ちょっとね」

 

雄飛「そりゃそうだ」

 

梨子「でも、不思議と前より怖くないの」

 

雄飛「え?」

 

梨子はゆっくりメンバーを見る。

 

梨子「一人じゃないから」

 

曜「梨子ちゃん……!」

 

千歌「絶対成功させよう!」

 

梨子「うん!」

 

その時。

 

スタッフ「Aqoursの皆さん、スタンバイお願いします!」

 

全員の表情が引き締まる。

 

雄飛「円陣組もう!」

 

九人が輪になる。

 

雄飛は一人ひとりの顔を見た。

 

最初はバラバラだった。

 

悩んで。

ぶつかって。

泣いて。

 

それでもここまで来た。

 

雄飛「……ここまで来たら、もう楽しめ」

 

千歌「!」

 

雄飛「お前たちが頑張ってきたこと、俺が一番知ってる」

 

曜「ゆうくん……」

 

雄飛「だから胸張って行ってこい」

 

ダイヤ「ふふっ……」

 

果南「ほんと、変わったね雄飛」

 

鞠莉「もう立派なリーダーよ♪」

 

雄飛「茶化さないでくださいよ……」

 

千歌が真ん中へ手を伸ばす。

 

千歌「Aqours!」

 

全員「サーンシャイン!!」

 

そして――

 

ステージの幕が上がった。

 

---

 

歓声。

 

眩しいライト。

 

観客席を埋め尽くすペンライトの海。

 

一年生組は一瞬だけ息を呑む。

 

だが。

 

イントロが流れた瞬間。

 

会場の空気が変わった。

 

ステージ中央。

 

白いグランドピアノに座る梨子。

 

スポットライトが彼女だけを照らしていた。

 

観客がざわめく。

 

「え、ピアノ……?」

「生演奏?」

「すご……」

 

梨子は静かに息を吸い――

 

鍵盤へ指を置いた。

 

最初の一音。

 

透き通るような音色が、会場全体へ広がる。

 

その瞬間だった。

 

観客の空気が、一気にAqoursへ引き込まれる。

 

雄飛(……いける)

 

ピアノの旋律に合わせて、メンバーたちが動き出す。

 

千歌の真っ直ぐな歌声。

 

曜のキレのあるダンス。

 

一年生たちの全力のパフォーマンス。

 

三年生の圧倒的な安定感。

 

そしてその全てを繋ぐ、梨子のピアノ。

 

九人の想いが、本当にひとつになっていた。

 

サビへ入る。

 

ペンライトが大きく揺れる。

 

歓声が増していく。

 

梨子は演奏しながら、一瞬だけ視線を横へ向けた。

 

ステージ袖。

 

そこには、真剣な表情で自分たちを見守る雄飛の姿があった。

 

――“お前のピアノには、人の心を動かす力がある”

 

数日前、雄飛に言われた言葉が頭をよぎる。

 

あの時は、半信半疑だった。

 

また失敗するかもしれない。

また弾けなくなるかもしれない。

 

そんな不安の方が大きかった。

 

でも今は違う。

 

怖いのに、不思議と指は止まらない。

 

逃げたいはずなのに、もっと音を届けたいと思っている。

 

梨子(……ゆうくんのおかげだよ)

 

もし、Aqoursに入っていなかったら。

 

もし、彼が背中を押してくれなかったら。

 

きっと私は、“またピアノを好きになる”ことすらできなかった。

 

梨子(だから――)

 

鍵盤へ想いを込める。

 

この音で。

 

このライブで。

 

今の自分を、全部届けたい。

 

梨子(……届け!)

 

最後の音が、会場へまっすぐ響き渡った。

 

そして。

 

一瞬の静寂のあと――

 

会場を揺らすほどの拍手が響いた。

 

 

 

――数日後・ピアノ演奏会当日――

 

小さなホール。

 

客席は決して多くない。

 

けれど、静かな緊張感が漂っていた。

 

舞台袖で、梨子は小さく深呼吸する。

 

手が少し震えていた。

 

そんな彼女の前に、雄飛が立つ。

 

雄飛「緊張してるか?」

 

梨子「……うん、ちょっと」

 

雄飛「そりゃそうだ」

 

梨子「ふふっ」

 

雄飛「でもさ」

 

梨子「?」

 

雄飛「俺、知ってるぞ」

 

梨子「え?」

 

雄飛「梨子、本番になると一番すごい顔する」

 

梨子「なにそれ……」

 

雄飛「努力してきたやつしかできない顔」

 

梨子「……っ」

 

その言葉に、梨子は少しだけ目を潤ませた。

 

でも次の瞬間には、ちゃんと前を向いていた。

 

ステージへ向かう直前。

 

曜「梨子ちゃん!」

 

千歌「がんばれー!!」

 

ルビィ「ふんばルビィです!」

 

花丸「応援してるずらー!」

 

善子「堕天使ヨハネの加護を授けてあげるわ!」

 

ダイヤ「落ち着いていけば大丈夫ですわ」

 

果南「楽しんできな」

 

鞠莉「リラックスよ、リコ♪」

 

仲間たちの声が背中を押す。

 

梨子は静かに頷いた。

 

梨子「……いってきます!」

 

舞台へ出る。

 

照明が彼女を照らした。

 

ピアノの前へ座る。

 

静寂。

 

そして――

 

最初の一音が響いた。

 

その音は、どこまでも澄んでいた。

 

――ピアノ演奏会終了後・ホール裏口――

 

演奏会が終わり、外へ出ると、夕暮れの空が静かに街を染めていた。

 

緊張から解放されたせいか、梨子は小さく息を吐く。

 

梨子「……終わったぁ」

 

曜「お疲れ様!すっごくよかったよ!」

 

千歌「ちか、鳥肌立っちゃった!」

 

ルビィ「ルビィ、感動して泣きそうでした……!」

 

花丸「ほんとに綺麗な音だったずら……」

 

善子「フッ……さすがヨハネの契約者ね」

 

花丸「違うずら」

 

ダイヤ「とても堂々としていましたわ」

 

果南「途中から完全に自分の世界に入ってたね」

 

鞠莉「最高だったわよ、リコ♪」

 

みんなに囲まれながら、梨子は少し照れくさそうに笑った。

 

梨子「えへへ……ありがとう♪」

 

でも。

 

その視線は、自然とある人物を探していた。

 

少し離れた場所。

 

自販機の横で、缶コーヒーを片手にこちらを見ている雄飛。

 

いつも通りの、どこか気の抜けた立ち方。

 

だけど――

 

誰よりも真剣に、自分を見ていてくれた人。

 

梨子「……ゆうくん」

 

雄飛「ん?お疲れ」

 

梨子「それだけ?」

 

雄飛「え?」

 

梨子は少し頬を膨らませる。

 

梨子「もっとこう……あるでしょ?」

 

雄飛「いや、だってめちゃくちゃ良かったし」

 

梨子「!」

 

雄飛「正直、途中から鳥肌止まんなかった」

 

梨子「……っ///」

 

雄飛「やっぱり梨子のピアノすごいな」

 

その言葉は、まっすぐだった。

 

変に飾らない。

 

だからこそ、胸に刺さる。

 

梨子「……ゆうくんってさ」

 

雄飛「?」

 

梨子「ほんと、人の心に入ってくるの上手いよね」

 

雄飛「なんだそれ」

 

梨子「ふふっ♪」

 

梨子は少しだけ前へ歩く。

 

そして、雄飛のすぐ隣へ並んだ。

 

夕暮れの風が、静かに二人の間を通り抜ける。

 

梨子「ねえ」

 

雄飛「ん?」

 

梨子「私ね、前までピアノのこと考えるの怖かったの」

 

雄飛「……」

 

梨子「また失敗するんじゃないかとか、また逃げたくなるんじゃないかって」

 

雄飛は黙って聞いていた。

 

梨子「でも、Aqoursに入って……ゆうくんに出会って……」

 

「また好きになれた」

 

雄飛「……そっか」

 

梨子「うん」

 

その声は、とても優しかった。

 

梨子はふと、自分の胸に手を当てる。

 

最近、自分でも分かる。

 

雄飛が笑うと嬉しい。

 

褒められるとドキドキする。

 

近くにいると安心する。

 

そして――

 

他の誰かと仲良くしていると、ちょっとだけモヤモヤする。

 

梨子(……もう、完全に好きなんだ)

 

曜への気持ちを知っているからこそ、簡単に言えない。

 

でも。

 

想いは、どんどん大きくなっていく。

 

梨子は少しだけ寂しそうに笑い、それを隠すように前を向いた。

 

梨子「……ねえ、ゆうくん」

 

雄飛「なんだ?」

 

梨子「これからも、ちゃんと隣で見ててね?」

 

雄飛「当たり前だろ」

 

即答だった。

 

その返事が嬉しくて、苦しくて。

 

梨子は小さく笑った。

 

梨子「……そっか♪」

 

その横顔を見ながら。

 

雄飛はまだ気づいていなかった。

 

梨子の想いが、もう“憧れ”では済まなくなっていることに。

 




堕天使のほうもがんばります!
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