僕の彼女は曜ちゃんです⚠再編集中 詳しくはあらすじへ   作:ゆうきoog3

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24話

――部室――

 

無事に地区予選第二回、そして梨子のピアノコンクールを終えたAqours。

だが、安心していられる時間はほとんどなかった。

 

三日後には――地区予選の結果発表。

 

これが終われば次は地区大会。

 

その三日間、部室の空気はどこか張り詰めていた。

 

普段なら誰かが騒ぎ、誰かがツッコミを入れ、自然と笑い声が起きる。

けれど今は違う。

 

全員が、あの日のステージを何度も思い返していた。

 

観客の歓声。

ライト。

汗。

呼吸。

そして――最後に見えた景色。

 

確かに、全力は出し切った。

 

だが、それは他校も同じ。

ラブライブ!はそんなに甘くない。

 

雄飛も、平静を装ってはいたが、心の中はずっと落ち着かなかった。

 

しかも今回は、梨子のピアノ演奏会も重なっていた。

 

あのあと演奏会の映像がSNSで少し話題になり、

「Aqoursのピアノ担当すごすぎる」と噂になっているらしい。

 

つまり――

 

あとは、Aqoursが結果を出せばいい。

 

それだけだった。

 

そして。

 

長く感じた三日間は終わり、結果発表の日を迎える。

 

――部室。

 

カチッ…カチッ…

 

静かな部室に、パソコンの起動音だけが響く。

 

結果は、学校のメールフォルダへ送られてくる形式だった。

 

雄飛は深呼吸を一つして、部室のパソコン――“知識の海”を起動する。

 

その後ろでは、Aqoursの九人が固唾を呑んで画面を見守っていた。

 

……一人を除いて。

 

千歌「〜♪」

 

曜「……ねぇ、ゆうくん」ボソッ

 

雄飛「ん?」ボソッ

 

曜「あれ、なんで千歌ちゃんだけあんな呑気なの……?」ボソッ

 

雄飛「……もしかして忘れてる?」ボソッ

 

曜「聞いてみる?」ボソッ

 

曜はそっと千歌へ近づく。

 

曜「ね、ねぇ千歌ちゃん?」

 

千歌「んー? なぁに? 曜ちゃん!」

 

曜「今日が何の日か……覚えてる?」

 

千歌「え? ラブライブ!地区予選の結果発表の日でしょ?」

 

雄飛「覚えてたのかよ……」

 

千歌「そこまでバカちかじゃないよ!?」ムスッ

 

善子「“そこまで”って自分で言ってる時点でアウトよ……」

 

花丸「否定になってないずら……」

 

そんなやり取りが少しだけ空気を和ませた、その時。

 

ルビィ「あっ!」

 

全員「?!」

 

ルビィ「け、結果メール来ました!」

 

一瞬で部室の空気が凍りつく。

 

雄飛「……ルビィちゃん、開けてくれ。」

 

ルビィ「は、はい……!」

 

震える指でマウスを動かすルビィ。

 

全員が息を呑む。

 

ピロン

 

メールが開かれた。

 

数秒。

 

誰も声を出せない。

 

そして――

 

ルビィ「……っ!」

 

曜「ど、どうだったの?!」

 

ルビィ「Aqours……!」

 

ルビィ「地区予選……三位通過ですっ!!」

 

「「「「「「「「「……っ!!!!」」」」」」」」」

 

次の瞬間。

 

部室の空気が一気に爆発した。

 

千歌「やったぁぁぁぁぁ!!!!」

 

曜「通ったぁぁぁ!!!」

 

花丸「ずらぁぁぁ!!!」

 

善子「堕天使ヨハネの力ね!!」

 

ダイヤ「ですから違いますわ!!」

 

果南「ははっ、やったじゃん!」

 

鞠莉「Wonderful!!」

 

梨子「……よかった……っ!」

 

雄飛「っしゃぁぁぁぁぁ!!!」

 

誰からともなく抱き合い、飛び跳ね、涙を浮かべる。

 

それは、努力が報われた瞬間だった。

 

そして何より――

 

“九人で掴み取った結果”だった。

 

雄飛は騒ぐみんなを見ながら、小さく笑う。

 

雄飛(……よかった。)

 

その瞬間だけは、

不安も、焦りも、責任も、全部忘れられた。

 

――その夜。

 

地区予選突破祝いということで、果南が大量の刺身を持って十千万へやって来た。

 

果南「はい、今日は特別サービス!」

 

千歌「うおおおおお!!!」

 

鞠莉「Sushi partyねー!」

 

雄飛「うまっ!? なにこれ!?」モグモグ

 

果南「それマグロ。」

 

雄飛「まぐろ……?」

 

曜「ゆうくん、相変わらず魚知識ゼロだね……」

 

千歌「タコを魚だと思ってた男だもんね!」

 

雄飛「いや、あれ海にいるじゃん!!」

 

梨子「そこ基準なの……?」クスッ

 

ダイヤ「それでよく沼津に馴染めましたわね……」

 

わいわいと騒ぎながら、みんなで刺身をつつく。

 

次の大会の話。

新曲の話。

今日のライブの反省。

 

話題は尽きなかった。

 

そして時間は過ぎ、解散の空気になり始めた頃。

 

曜「ゆうくん!」

 

雄飛「ん? どうした?」

 

曜「今度の土曜日、一緒にお出かけしない?」

 

雄飛「あー……ごめん曜。その日ちょっと用事あるんだ。」

 

曜「え?」

 

千歌「珍しいね。」

 

雄飛「ああ。土日で、ちょっと里帰り。」

 

梨子「兵庫の?」

 

雄飛「うん。」

 

少しだけ、空気が静かになる。

 

曜「……お墓参り?」

 

雄飛「ああ。」

 

曜「……そっか。」

 

少し寂しそうに笑う曜。

 

それを見て、雄飛も少し困ったように笑った。

 

雄飛「今回は難しいけど、また今度連れてってやるよ。」

 

曜「……ほんと?」

 

雄飛「おう。その代わり来週どっか行こうぜ。」

 

曜「行く!!」

 

千歌「切り替え早っ!」

 

「「「あははっ!」」」

 

――十千万・閉店後――

 

店の片づけも終わり、館内には静かな波音だけが響いていた。

 

客室の明かりも落ち、廊下には柔らかな橙色の灯りだけが残っている。

 

そんな中、雄飛は帳場で伝票を整理していた志満のところへ向かった。

 

雄飛「志満ねぇ。」

 

志満「あら?どうしたの、雄飛。」

 

いつものように優しく笑う志満。

 

その笑顔を見た瞬間、少しだけ言葉に詰まった。

 

雄飛「……ちょっと、お願いがあるんだけど。」

 

志満「お願い?」

 

雄飛「ああ。」

 

志満「なにかしら?」

 

少し首を傾げる志満に、雄飛は視線を落とした。

 

雄飛「今週の土曜と日曜で……里帰りしたいと思うんだ。」

 

志満「……兵庫?」

 

雄飛「うん。」

 

その瞬間、志満の表情が少しだけ柔らかくなる。

 

志満は雄飛の“実家”という言葉の意味をちゃんと理解していた。

 

両親が亡くなってから、雄飛がその話題を自分から出すことはほとんどなかったからだ。

 

志満「久しぶりね。」

 

雄飛「……そうだね。」

 

少しの沈黙。

 

遠くで波が砕ける音だけが聞こえる。

 

志満「お金かしら? それなら用意――」

 

雄飛「そ、そうじゃなくて!」

 

珍しく食い気味に否定した雄飛に、志満は目を丸くした。

 

雄飛「あ、その……ごめん。」

 

志満「ふふっ、びっくりした。」

 

雄飛「その……志満ねぇにも、ついてきてほしいんだ。」

 

志満「……えっ?」

 

雄飛は少しだけ気まずそうに頭をかいた。

 

雄飛「一人で行くの、なんか……怖いっていうか。持って帰ってきたいものもあるし…」

 

志満「……。」

 

雄飛「家を見るのも久しぶりだし、墓参りも……ちゃんとできるかわかんないし。」

 

雄飛「それに、俺が今ここでちゃんとやれてるのって、志満ねぇたちのおかげだから。」

 

雄飛「だから……できれば一緒に来てほしい。」

 

最後の方は、少しだけ声が小さくなっていた。

 

普段はAqoursのリーダーとして皆を引っ張っている雄飛が、今は年相応の少年みたいな顔をしている。

 

志満はそんな雄飛を見つめ、ふっと優しく微笑んだ。

 

志満「……もちろん、行くわよ。」

 

雄飛「……ほんとか?」

 

志満「当たり前じゃない。」

 

そう言うと、志満は立ち上がり、雄飛の頭を優しく撫でた。

 

志満「あなた、一人で抱え込みすぎるところあるもの。」

 

雄飛「……。」

 

志満「家族なんだから、頼りなさい。」

 

その言葉を聞いた瞬間、胸の奥が少し熱くなる。

 

雄飛「……ありがと。」

 

志満「ふふっ。」

 

志満は少し悪戯っぽく笑った。

 

志満「でも、曜ちゃんにはちゃんと説明したの?」

 

雄飛「一応…。」

 

志満「恋人みたいねっ♪」

 

雄飛「違うって!!」

 

からかわれながらも、雄飛はどこか安心したように小さく笑った。

 

きっと、一人だったらこんなふうに笑えなかった。

 

Aqoursのみんながいて、十千万のみんながいて、曜がいて。

 

だから今、自分は前を向いて“帰る”ことができる。

 

雄飛は窓の外に広がる夜の海を見つめながら、小さく息を吐いた。

 

雄飛(……ちゃんと、会いに行くから。)

 




同時進行ガンバルビィ!!

おやすみなさい…(´・ω・`)
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