僕の彼女は曜ちゃんです⚠再編集中 詳しくはあらすじへ 作:ゆうきoog3
ブーン
ポーンツギノシンゴウヲサセツシテクダサイ
「あ、このナビの行き先は無視していいよ。こっち行った方が近いから。」
「こっちね、わかったわ。それにしても雄飛詳しいわね。」
「まあ、昔はこの辺に住んでたからさ。親父とよくドライブにきたんだ。」
「そうなのね。いいわね。親父さんが優しそうな方で。」
「志満姉のお父さんどんな人?」
「え、私たちのお父さんは十千万の料理人よ?」
「えっ?!あの全然しゃべらない人がお父さん?!」
「ふふ、そうよ、あの人が私たちのお父さんよ。」
「昔からあんな感じなの?」
そこで、志満姉は少し表情を変えた。
「いや、そんなことなかったわよ。昔はよく遊んでくれてたんだけど、ちょっと事故に遭っちゃってね。喋れなくなっちゃったの。」
「そうだったんだ。ごめんね?雰囲気悪くさせて…。」
「ふふ、いいのよ、ここはどっちに行けばいいのかしら?」
「えーと、この六甲山ってとこに向かって。」
「山道に入るの?」
「うん。ちょっとだけでいいから!だめ?」
「うふふ♪かわいい弟の為だもの!もちろんいいわよ!」
「やった!」
---山頂(展望デッキ)---
「ここも親父とよくドライブに来たところなんだ。」
「綺麗な場所ねー!神戸市内が一望できて!」
パシャパシャと写真をとってはしゃぐ志満姉を見ながら俺は懐かしい気分に浸っていた。
親父…。今、なにしてんだ?俺は新しい家族ができたよ。結婚した訳じゃないけど、こんな俺を本当の家族として認めてくれる人に、人たちにあったんだ。静岡っていいとこだよ。たしか、親父はずっと関西だったからわかんなかったかもしれないけどな。
親父たちが死んで、俺は自殺しようとした。
それを警察が助けてくれて、今の場所に行くことを提案してくれたんだ。
正直、最初は半信半疑だったよ。でも行ってから確信した。静岡は…、沼津はいいとこだよ。ホントに。
俺は…本当に幸せものだよ。
気がつくと、おれの頬をあたたかい何かが流れていた。
「雄飛?」
姉に泣いているのをみられるのが恥ずかしくて、涙を拭いて無理に笑顔を作った。
「お、おれは大丈夫!さあ、そろそろい…!」
俺はあたたかいものに包まれた。
そう、昔、泣いていた時、母がしてくれた。この感じ。覚えてる。
「…。」ギュー
「し、志満姉、おれは大丈夫だから。」
そう。はぐである。はぐをされると不思議な力でついつい本音を言ってしまう魔法が掛かると母が言ってた気がする。
「我慢しなくていいのよ?懐かしい気持ちになって少し寂しくなったんでしょう?」
「…。なんでわかったの?」
「私もね、お父さんの写真をアルバムとかで見てるとたまになるのよ。この歳にもなっても。もちろん、妹たちには見せないようにしてるけどね。」
「志満姉も泣く時あるんだな。」
「当たり前よ。人間だもの。何回もないて強くなっていくのよ?人間って。」
「じゃあさ、…少しだけ、泣いてもいいかな?」
「うん。おいで」
俺は志満姉に優しく撫でられながら静かに泣いた。
気づけば、展望デッキは夕焼けに照らされ明るくなっていた。
「落ち着いた?」
「うん。ホントにありがとう。志満姉。前よりちょっとだけ、強くなれた気がする!」
「ふふ♪それはよかったわ♪かわいい弟の泣き顔も堪能できたし、Win-Winね!」
「はぁ?!そんなこと思ってたのかよ?!」
「うふふ♪冗談よ♪」
「じょ、冗談にみえなかったんだけど…。」
「じゃあ、そろそろ目的の場所に行きましょうか!」
「うん!いこう!!」
ブーン
「雄飛、ずっと思ってたんだけどなんでこんなに大きいトラックを借りたの?」
「それはね、…着いてからのお楽しみ!!」
「教えてくれないの?」
「まあ、すぐにわかるしいいじゃん。あ、そこ右。」
「はーい。」
「到着!」
「ここでいいの?」
「うん!」
トラックを止めた場所はなんの変哲もない静かな住宅地である。
「ここ?」
「うん、ついてきて。」
言われた通りついていくと、少し錆びた門があった。雄飛に続いてくぐって行くと前には木でできた大きい扉があり、その前で足を止める彼の姿があった。
「ここ?来たかった場所って。」
「うん、このなかだよ。」
雄飛は木でできた取っ手に手をかけると力一杯引いた。
グギィィィィ
木が腐っているのか、聞いたこともない異音が静かな住宅街に響く。
「ふぅ、あいた。」
「いったいなにが…。こ、これは?!」
そこには、青色のスポーツカーがあった。
「もしかして、お父さんの?」
「うん。MAZDAのRX-7っていう車なんだ。」
「そ、そうなんだ。私、車の知識ないからわからないけど、すごい車なの?」
「まあ、たしかに性能はすごいけど、何より親父との、家族との思い出なんだ。」
「これを、もって帰るのね?」
「いや、もう捨てようと思って。」
「えっ?!捨てちゃうの?!」
「うん、そのうち燃えちゃったりしても困るしね。」
「でも、思い出なんでしょ?」
「だからって旅館の駐車場とかに停めとくのも迷惑だろ?」
「別に大丈夫よ?」
「え?」
志満姉があまりにケロッと答えたため俺は自分の耳を疑った。
「ほんとうにいいの?」
「いいに決まってるじゃない!さあさあ!早くトラックに載せましょ!」
「志満姉、なんでそんなにテンション高いの?!」
「だって、これがあれば雄飛の笑顔がさらに増えるわけでしょう?」
「ま、まあ、無いよりかは…。」
「だからよ!弟の幸せはお姉ちゃんの幸せよ♪さあさあ!」
「あ、ありがとう?」
志満姉が後半テンションが上がったのは俺の喜ぶ姿がみたかったからだそうだ。おれって、ほんとにいい姉もったよな。
その後、持ち帰って千歌にびっくりされたのはまた別の話。