僕の彼女は曜ちゃんです⚠再編集中 詳しくはあらすじへ 作:ゆうきoog3
ステージに響くイントロ。
青い光が会場を包み込み、まるで本当に海の中へ潜ったような幻想的な空間が広がる。
『恋になりたいAquarium』――Aqoursの新たな物語が、今始まった。
客席から歓声が上がる。
中央に立つ曜は、ライトを浴びながら静かに目を閉じた。
曜(届けるんだ――)
この歌を。
この想いを。
雄飛へ。
♪ 空色カーテン Open! 海色ゲート Welcome!
歌い出しと同時に、会場の空気が一気に変わった。
曜の声は真っ直ぐだった。今までの不安も迷いも、全部吹き飛ばすくらいに。
その姿を、スタッフ席から雄飛は見つめていた。
雄飛(……すげぇ)
知っている。曜がどれだけ悩んで、どれだけ考えて、どれだけ想いを込めてこの曲を書いたのか。
でも今の曜は、そんな努力すら超えていた。
楽しそうで。
苦しそうで。
恋していて。
眩しかった。
♪ もっと知りたい
歌詞が胸に刺さる。
♪ 離さないで
その瞬間。
雄飛の中で、点と点が繋がった。
雄飛(……あ)
この曲――曜の気持ちそのものじゃねぇか。
気づいた瞬間、胸が熱くなる。
曜が何を伝えたかったのか。
誰に向けて歌っていたのか。
全部、分かってしまった。
その頃――客席上段。
一人の少女が、静かにAqoursのライブを見つめていた。
銀色の髪。凛とした雰囲気。そして圧倒されるような存在感。
彼女は、センターで歌う曜から目を離せずにいた。
???「……これが、Aqours」
隣に座る妹が小さく笑う。
理亞「すごいでしょ? 姉さま」
少女――聖良は静かに頷いた。
聖良「ええ……まだ未完成。ですが、人の心を動かす力があります」
理亞「ふん、」
ライブはそのままクライマックスへ突入していく。
♪ Aquariumでー♪
最後のフォーメーション。
水のように広がる九人の動き。
会場を埋め尽くす歓声。
曜は最後に、ほんの一瞬だけ雄飛を見た。
その目には、隠しきれない想いが宿っていた。
――好き。
その感情が、歌声に乗って真っ直ぐ届く。
曲が終わる。
一瞬の静寂。
そして次の瞬間、会場を揺らすほどの大歓声が響いた。
「Aqoursー!!!」
「曜ちゃーーん!!」
「最高ー!!」
ステージ上で肩を震わせる曜。
やり切った。
全部出し切った。
その時だった。
スタッフ席から、雄飛が小さく笑っているのが見えた。
その笑顔を見た瞬間、曜の目から涙が溢れた。
曜(……届いたんだ)
――ライブ終了後。
控室へ戻る途中。Aqoursのみんなは興奮冷めやらぬ様子で騒いでいた。
千歌「やったよぉぉぉ!!!」
ルビィ「す、すごかったぁ……!」
善子「当然よ! 堕天使ヨハネの力だからね!」
花丸「途中普通に息切れしてたずら」
善子「言うなぁ!」
そんな中、雄飛はスタッフへの挨拶回りを終えて、一人で廊下を歩いていた。
「失礼します」
前から聞こえた、落ち着いた声。
振り向くと、そこにはさっき客席にいた銀髪の少女が立っていた。
雄飛「あれ……?」
聖良「先ほどのライブ、拝見させていただきました」
雄飛「え、ああ……ありがとうございます?」
突然話しかけられ少し困惑する雄飛。
しかし、聖良は真っ直ぐ雄飛を見ていた。
聖良「あなた、Aqoursの関係者ですよね?」
雄飛「まあ、一応マネージャーみたいなことやってるけど……」
聖良「なるほど」
彼女は納得したように小さく頷いた。
聖良「ステージを見れば分かります。あのグループは、あなたを中心に回っている」
雄飛「え?」
予想外の言葉だった。
聖良「もちろん、センターは高海千歌さんです。ですが、グループ全体を支えている軸があなたなのでしょう」
雄飛「そんな大したもんじゃないよ。俺はみんなの背中押してるだけだ」
聖良「それが難しいんです」
静かな声だった。
でも、その言葉には重みがあった。
聖良「……Aqoursは、これからもっと強くなります」
雄飛「そっか」
聖良「次に会う時が楽しみです」
そう言って聖良は軽く会釈し、廊下の向こうへ歩いていく。
その途中、少しだけ立ち止まり――。
聖良「それと」
雄飛「ん?」
聖良「渡辺曜さんの想い……ちゃんと受け止めてあげてください」
雄飛「っ?!」
驚いて顔を上げた時には、聖良はもう歩き出していた。
雄飛「……なんなんだ、あの人」
でも、不思議と嫌な感じはしなかった。
むしろ、背中を押された気がした。
⋯
控室へ戻ったあとも、Aqoursのみんなの興奮は冷めなかった。
千歌「やったよぉぉぉ!!!」
ルビィ「す、すごかったぁ……!」
善子「当然よ! 堕天使ヨハネの力だからね!」
花丸「途中普通に息切れしてたずら」
善子「言うなぁ!」
曜はそんなみんなの輪の中で笑いながらも、どこか落ち着かなかった。
ライブ中、何度も雄飛と目が合った。
その度に、胸が苦しくなるくらい熱くなった。
――伝わったのかな。
そんなことを考えていると、控室の入口から雄飛が入ってきた。
スタッフへの挨拶を終えたばかりなのか、少し疲れた顔をしている。
でも、その視線は真っ直ぐ曜を探していた。
曜「っ……」
一瞬目が合う。
すると雄飛は、小さく手招きした。
雄飛「曜。ちょっといいか?」
曜「えっ……」
突然のことに固まる曜。
その隣で、梨子が静かに二人を見ていた。
梨子「……」
その表情は、どこか切なくて、それでいて優しかった。
曜の恋が、届いた。
さっきのライブを見れば分かる。
雄飛の表情を見れば、なおさら。
胸の奥が少しだけ痛む。
でも同時に、不思議なくらい納得している自分もいた。
梨子(……そっか)
曜がどれだけ真っ直ぐ想い続けてきたのか。
ずっと近くで見てきたから。
だから梨子は、小さく笑って曜の背中を押した。
梨子「行ってきなよ、曜ちゃん♪」
曜「梨子ちゃん……」
梨子「大丈夫。ちゃんと、行っておいで」
その言葉に、曜は少しだけ目を潤ませながら頷いた。
曜「……うん!」
そうして曜は、雄飛の後を追って控室を出ていった。
残された梨子は、静かに閉まる扉を見つめる。
鞠莉「……行っちゃったわね」
隣に来た鞠莉が、優しく声をかけた。
梨子「うん……」
鞠莉「平気?」
梨子は少しだけ黙ったあと、小さく笑った。
梨子「……ちょっとだけ、胸が苦しいかも」
鞠莉は何も言わない。
ただ、急かさず隣にいてくれる。
梨子「でもね、不思議なの」
鞠莉「?」
梨子「曜ちゃんが笑ってるの見ると……応援したいって思っちゃうの」
その声は少し震えていた。
梨子「私も、ゆうくんのこと好きなのにね」
鞠莉「……恋って難しいわね」
梨子「ほんとに」
そう言って、梨子は少しだけ寂しそうに笑った。
その頃――。
人気のない通路。
遠くからメンバーたちの騒ぎ声が聞こえる。
曜は、雄飛と向かい合っていた。
いつもみたいに軽い雰囲気じゃない。
曜は息を飲んだ。
雄飛「……ちょっといいか?」
曜「う、うん……」
でも今、曜には雄飛の声しか聞こえなかった。
雄飛「今日のライブ……すげぇよかった」
曜「えへへ……ありがと」
曜は少し照れながら笑う。
雄飛「……それでさ」
そこで言葉が止まった。
珍しく迷っている。
曜は胸の前で手を握りしめた。
雄飛「俺、今日やっと気づいたんだ」
曜「……え?」
雄飛「この曲、曜の気持ちだったんだな」
曜の肩が震える。
もう、誤魔化せなかった。
曜「……うん」
小さく頷く。
目には涙が滲み始めていた。
雄飛は曜を真っ直ぐ見つめる。
逃げずに。
真正面から。
雄飛「曜」
曜「……っ」
雄飛「好きだ」
曜の呼吸が止まる。
雄飛「俺と、付き合ってくれ」
その瞬間、曜の目から涙が溢れた。
曜「……っ、ぅ……」
ずっと伝えたかった。
でも怖かった。
嫌われたらどうしよう。
今の関係が壊れたらどうしよう。
そんな不安全部が、涙と一緒に溢れていく。
曜「……うれしい……っ」
曜は泣きながら笑った。
曜「私も……っ」
曜「私も、ゆうくんが大好き……!」
その言葉と同時に、曜は一歩前へ踏み出した。
そして――。
チュッ
曜から、そっとキスをした。
雄飛「っ?!」
顔を真っ赤にする雄飛。
曜も涙を流しながら顔を真っ赤にしている。
曜「えへへ……しちゃった……」
雄飛「曜、お前……」
でも、嫌なわけがなかった。
雄飛は曜を優しく抱き寄せる。
曜「っ……///」
雄飛「これからも――ずっと隣にいてくれ」
曜は涙を拭きながら、何度も頷いた。
曜「うん……!」
曜「ずっといる……!」
そして二人は、もう一度静かに唇を重ねた。
ステージの熱気がまだ残る廊下。
Aqoursの輝きの中で――渡辺曜と吉田雄飛は、正式に恋人になった。
ありがとうございました!