僕の彼女は曜ちゃんです⚠再編集中 詳しくはあらすじへ 作:ゆうきoog3
堕天使のほうもすぐに完成させるのでもうしばらくお待ちください。
――地区本選結果発表当日・浦の星女学院 部室――
部室の空気は、異様なくらい静かだった。
誰も騒がない。
誰もふざけない。
あれほど賑やかなAqoursなのに、今は時計の音だけがやけに響いていた。
カチッ
カチッ
千歌「……」
曜「……」
梨子「……」
全員が、部室のパソコンを見つめている。
全国大会出場校の発表。
それが、今日だった。
前回の地区予選とは違う。
ここを超えれば、“全国”だ。
スクールアイドルとして、本当に夢の舞台へ行ける。
だからこそ、全員緊張していた。
……一人を除いて。
千歌「〜♪」
雄飛「おい」
千歌「ん?」
雄飛「なんでお前だけそんな呑気なんだよ」
千歌「え?だって緊張しても結果変わらないし!」
ダイヤ「あなたはもう少し緊張感を持ちなさい!」
千歌「いたぁっ!」
ペシッと頭を叩かれ、千歌が涙目になる。
だが、そのやり取りのおかげで少しだけ空気が軽くなった。
曜「ふふっ……」
小さく笑いながら、曜は隣の雄飛を見た。
ライブのあと、恋人になった。
思い出すだけで少し照れてしまう。
でも今は、それ以上に緊張していた。
曜(終わりたくない……)
もっと歌いたい。
もっと、このメンバーで前に進みたい。
そして――。
もっと、雄飛の隣にいたい。
雄飛はそんな曜の視線に気づくと、小さく笑った。
雄飛「大丈夫だ」
曜「……え?」
雄飛「お前ら、ちゃんとやり切っただろ」
その言葉だけで、不思議と少し安心できた。
ルビィ「き、来ましたぁ!!」
全員「!!」
ルビィが慌ててパソコン画面を指差す。
メール受信。
『ラブライブ!全国大会出場校発表』
善子「ルビィ!開きなさい!」
ルビィ「む、無理ぃぃぃ!!」
花丸「善子ちゃんも震えてるずら」
善子「うるさい!!」
実際、善子の手も震えていた。
ダイヤ「……ルビィ」
ルビィ「は、はいっ!」
ダブルクリック。
……失敗。
千歌「ルビィちゃん!?」
ルビィ「ご、ごめんなさぁい!」
部室に変な悲鳴が飛び交う。
そしてもう一度。
カチッ
ファイルが開いた。
全国大会出場校一覧。
画面をスクロールしていく。
上位校の名前が並ぶ。
その中に――。
『Saint Snow』
その文字を見た瞬間。
ダイヤ「っ……!」
ルビィ「Saint Snow……!」
黒澤姉妹だけが反応した。
千歌「え?知ってるの?」
ダイヤ「北海道のスクールアイドルですわ……」
ルビィ「すっごく有名なんだよ!」
果南「へぇ〜」
鞠莉「名前は聞いたことあるかも♪」
だが、他のメンバーはそこまで実感がない。
そんな中――。
雄飛だけは、その名前を見た瞬間、眉をひそめていた。
雄飛「……Saint Snow?」
曜「ゆうくん?」
雄飛は画面をじっと見つめる。
その瞬間。
ライブ会場の観客席で見た、あの少女の姿が頭をよぎった。
鋭い目。
真っ直ぐな視線。
そして――。
『Aqoursのセンターじゃなくて、あなたを見ていました』
確か、そう言われた。
雄飛(まさか……)
だが、考える暇はなかった。
さらにスクロール。
まだAqoursの名前がない。
曜「っ……」
梨子「まだ……下……」
空気が重くなる。
ルビィの指が震える。
そして――。
最後の出場枠。
『Aqours』
数秒。
誰も動かなかった。
千歌「……え?」
曜「……通った?」
梨子「う、そ……」
ルビィ「ぜ、全国……?」
ダイヤ「っ……!」
次の瞬間。
ダイヤの目から涙が溢れた。
ダイヤ「や、やりましたわぁ……っ!」
その瞬間、全員の感情が一気に爆発した。
千歌「やったぁぁぁぁぁ!!!!」
ルビィ「うわぁぁぁん!!」
花丸「全国ずらぁぁ!!」
善子「ふ、ふふっ……当然じゃない……!」
でも善子も泣いていた。
果南は静かに笑いながら目を押さえ、鞠莉は「Congratulations♪」と言いながら涙ぐんでいる。
梨子も泣きながら笑っていた。
そして――。
曜「ゆうくんっ……!」
曜は勢いよく雄飛へ抱きついた。
雄飛「うおっ?!」
恋人になってから初めて、人前でこんなふうに抱きついた。
でも曜は止まれなかった。
曜「よかったぁ……っ!」
雄飛「……ああ」
雄飛は曜を支えながら、静かに画面を見る。
雄飛(……届いた)
ギリギリだった。
本当に、ギリギリ。
でも。
確かにAqoursは、全国へ辿り着いた。
その時だった。
ピロン
雄飛のスマホが鳴った。
雄飛「……?」
知らない番号。
メッセージを開く。
『全国で待っています』
短い文章。
そして、差出人。
『鹿角聖良』
雄飛「……っ」
その名前を見た瞬間。
ライブ会場で見た、あの少女の顔が完全に一致した。
曜「どうしたの?」
雄飛「……いや」
スマホを握る手に少しだけ力が入る。
雄飛(やっぱり、あいつ……)
全国で待っている。
その一文には、妙な重みがあった。
まだ誰も知らない。
Aqoursがこれから出会う、“本物の強豪”を。
⋯
現在の時刻は8時30分。
アラームが鳴り重い体を無理やり起こす。
――沼津駅前――
休日の沼津駅は多くの人で賑わっていた。
観光客。
買い物客。
学生たち。
その中で一人、曜は落ち着かない様子で改札前を行ったり来たりしていた。
曜「まだかな……」
スマホを見る。
待ち合わせの十分前。
早く来すぎた。
でも仕方ない。
今日は――初デートなのだから。
曜「変じゃないよね……?」
何度目かわからない確認をしたその時だった。
雄飛「曜!」
聞き慣れた声に振り返る。
そして曜は思わず固まった。
曜「……」
雄飛「お待たせ」
いつもより少し大人っぽい服装。
整えられた髪。
見慣れているはずなのに、今日は違って見えた。
曜「……かっこいい」
雄飛「へ?」
曜「あっ!」
思わず本音が口から飛び出してしまった。
曜「ち、違うの!」
雄飛「何が?」
曜「何でもない!」
顔を真っ赤にする曜。
そんな曜を見て雄飛も少し笑う。
雄飛「曜もかわいいぞ?」
曜「~~~っ!!」
恋人になった途端、雄飛の無自覚な攻撃力が上がっている気がする。
曜「もう行こ!」
雄飛「おう」
二人は並んで歩き始めた。
そして自然と手が触れる。
曜「……」
雄飛「……」
曜「……」
雄飛「手、繋ぐか?」
曜「う、うん!」
曜は嬉しそうに手を差し出した。
雄飛も優しく握り返す。
曜「えへへ♪」
雄飛「そんなに嬉しいか?」
曜「嬉しいよ!」
その笑顔を見て、雄飛も自然と笑っていた。
――沼津港深海水族館――
館内に入った瞬間、曜のテンションは最高潮だった。
曜「ゆうくん見て見て!」
雄飛「ん?」
曜「深海魚!」
雄飛「うん、深海魚だな」
曜「反応薄い!」
雄飛「いや、魚詳しくないし……」
曜「もったいない!」
曜はガラスに張り付くように水槽を眺める。
その姿を見ながら雄飛は少し昔を思い出していた。
小さい頃から知っている曜。
泣いた顔も。
笑った顔も。
怒った顔も。
全部知っている。
でも――。
(なんなんだろうな)
(同じ曜なのに)
(めちゃくちゃ可愛いんだけど……)
曜「ゆうくん?」
雄飛「え?」
曜「さっきからぼーっとしてるよ?」
雄飛「いや、なんでもない」
曜「怪しいなー?」
曜が顔を覗き込んでくる。
近い。
近すぎる。
(いや、本当に近いって……)
雄飛は慌てて視線を逸らした。
曜「もしかして私に見惚れてた?」
雄飛「なっ?!」
曜「図星だ!」
雄飛「違う!」
曜「あやしいなぁ~♪」
雄飛「ほら次行くぞ!」
曜「待ってよ~!」
恋人になったばかりの二人は、そんな何気ないやり取りさえ楽しく感じていた。
――水門びゅうお――
深海魚水族館を出た二人は、そのままびゅうおへやって来ていた。
展望デッキへ上がると、目の前には青い駿河湾が広がる。
曜「わぁ……!」
思わず声が漏れる。
空と海の境界線が曖昧になるほど綺麗な景色だった。
曜「何回見ても綺麗だよね」
雄飛「ああ」
曜「沼津っていい場所だなぁ」
雄飛「そうだな」
静かな潮風が吹く。
曜の髪がふわりと揺れた。
その姿を見て、雄飛は思わず目を奪われる。
付き合う前から曜は可愛かった。
それは認める。
でも今は違う。
恋人になったからなのか。
一つ一つの仕草がやたらと可愛く見えてしまう。
曜「ん?」
雄飛「え?」
曜「また見てた」
雄飛「見てねぇよ」
曜「見てたもん」
雄飛「見てない」
曜「見てた」
雄飛「……」
曜「ふふっ♪」
完全に遊ばれている。
曜は楽しそうに笑っていた。
その笑顔を見ていると反論する気も失せてしまう。
曜「ねぇ、ゆうくん」
雄飛「ん?」
曜「もう少しこっち来て」
雄飛「なんで?」
曜「いいからいいから!」
曜に手を引かれる。
そのまま展望デッキの手すり近くへ移動した。
曜「ほら!」
雄飛「おお……」
改めて見る景色は確かに綺麗だった。
港。
海。
遠くの山々。
沼津の街並み。
全部が見渡せる。
曜「この景色好きなんだ」
雄飛「へぇ」
曜「悩み事とかある時ここ来るとさ」
雄飛「うん」
曜「なんとかなるかなーって思えるんだよね」
雄飛「曜らしいな」
曜「それどういう意味?」
雄飛「そのままの意味」
曜「むぅー」
頬を膨らませる曜。
その姿が可愛くて思わず笑ってしまう。
曜「笑った!」
雄飛「悪い悪い」
曜「反省してない!」
曜はそう言いながら雄飛の腕を軽く叩いた。
そして次の瞬間――
ぎゅっ
曜「……」
雄飛「……え?」
曜は何事もないような顔で雄飛の腕を抱きしめていた。
雄飛「曜?」
曜「恋人なんだから普通だよ?」
雄飛「いや、そうだけど……」
曜「嫌だった?」
雄飛「嫌じゃない」
曜「じゃあ問題なし♪」
満面の笑み。
反則である。
(近い近い近い近い)
(腕に柔らかいの当たってるんだけど?!)
(曜さん?!)
表面上は平静を装う。
しかし内心は大混乱だった。
曜「?」
雄飛「なんでもない」
曜「顔赤いよ?」
雄飛「潮風だ」
曜「潮風で赤くなるの?」
雄飛「なるんだよ」
曜「へぇ~」
絶対信じてない顔だった。
曜は少しだけ雄飛の肩に頭を預ける。
曜「えへへ♪」
雄飛「……」
曜「今日は楽しいね」
雄飛「ああ」
曜「来週もどこか行く?」
雄飛「全国大会終わったらな」
曜「約束?」
雄飛「約束」
曜「やった!」
嬉しそうに笑う曜。
その横顔を見ながら雄飛は思う。
(付き合う前は普通だったのにな……)
(なんでこんなに緊張してるんだ俺)
それでも嫌じゃない。
むしろ心地いい。
そんなことを考えながら、二人はしばらく海を眺めていた。
――夜・十千万――
二人が帰ってくると、玄関で千歌が待ち構えていた。
千歌「おかえり~♪」
雄飛「ただいま」
曜「ただいま!」
千歌「楽しかった?」
曜「楽しかった!」
千歌「へぇ~♪」
雄飛「うぜぇ」
千歌「ひどい!」
曜「あはは!」
いつものやり取り。
だけど今日の曜はずっと幸せそうだった。
投稿遅れて本当にもうしわけないです。
これからもよろしくお願いします!(^▽^)/