僕の彼女は曜ちゃんです⚠再編集中 詳しくはあらすじへ 作:ゆうきoog3
チュンチュンチュン
小鳥の鳴き声で目を覚ますとそこは曜の家…
ではなくいまは俺の家、十千万旅館である。
今日は日曜日で部活もなくデートの予定も旅館での手伝いもない。
旅館で手伝った時間の分だけお金をもらっている。
そして今日は、最近ずっと練習が忙しかったからとダイヤがくれた休日である。
ドタンッ!
隣の部屋から物音がした。
おそらく千歌がベットから落ちた音だ。でも彼女のことだからまだ寝ているだろう。
平日や部活がある時は起こしに行くが今日に至ってはその必要もない。
階段を降りて行くと志満姉の置き手紙と朝食が置いてあった。
ー千歌、雄飛おはよう。
ご飯置いてるからあたためてたべてね♪ー
とのことだった。相変わらず優しい人である。
旅館の仕事で忙しいにも関わらず、妹の千歌、赤の他人の俺にもこんなことをしてくれる。
あ、赤の他人って言ったら怒られるんだった。
いまとなっては俺も、彼女の弟である。
「いただきます。」
手を合わせて朝食を食べ始めた。
ちなみにメニューはパンの上にチーズを乗せたいわゆる
チーズトーストというやつと、新鮮野菜の数々が盛り込まれたサラダである。
初めてここで朝食を食べたとき、和風の旅館なのにトーストが出てきたときは色々な意味で驚いたものであった。
そして、デザートにはみかん。これは毎日でてくる。
千歌いわく、
「昔からずっと食べてるよ!朝は、みかん!昼は、みかん!おやつはみかん!晩ごはんはみかん!」
お前はみかんしか言えないのかと言いたくなるほどのみかん三昧である。
千歌の言う通りここ高海家のデザートはほぼみかんである。
たまに常連客や近所の人からもらったメロンやらマンゴーやらののフルーツが来るときもあるが、それは極稀である。
「ごちそうさまでした。」
美味しい志満姉の朝食を食べ終わり伸びをする。
いつもの千歌や美渡姉が言い合いしてる賑やかな雰囲気ももちろん大好きだが、こういう静かな雰囲気も新鮮でいい。
「さて、久しぶりに直しますか。」
俺は、裏にあるガレージに向かった。
向かう途中、千歌と出会ったが
「梨子ちゃんと約束してたの忘れてたぁぁ!!」
と、寝癖も直さず急いで家から出ていった。
これでも彼女は女子高生で高校2年である。
もう少しちゃんとしてほしいものだ。
…ガレージ…
高海家の裏に車が入るほどのガレージが5つほどある。
昔送迎バスが格納されていたとのことだが最近(といっても大昔)は駅からバスがでるようになり不必要になったらしい。
ほぼ空いているガレージの一つにうちの親父が残した車を保管してもらっている。(里帰り ~in兵庫~ にて)
車はRX7 FD
MAZDA社が作ったいわゆるスポーツカーというやつである。
「今日はミッション系を直そうかな。」
車の下に潜り込みついているパーツを丁寧に外していく。
長い間実家で眠いっていたためかなり劣化が進んでおり、いまはエンジンすらかからない状態であるが、
それをこうして休日の空き時間に直すのが雄飛なりの過ごし方の一つだ。
ちなみに治すお金は旅館で手伝ったときにもらえるお金でおぎなっている。
作業を始めて2時間ほどたった。
「…ふぅ。休憩挟むか。」
肩を回しながらガレージをでて浜辺にある自販機で冷たいコーヒーを買った。
プシュッゴクッ
「ぷはぁ~、うまい。」
冷たい缶コーヒーが喉を通り、熱を持った体を内側から冷ましていく。
海から吹く潮風が心地いい。
目の前では穏やかな波が何度も砂浜を撫でていた。
ザブーン……
ザブーン……
聞こえるのは波の音だけ。
兵庫にいた頃はこんな時間を過ごしたことがなかった。
いつも何かに追われていた。
勉強だったり、生活だったり、将来だったり。
でもここでは違う。
海があって、仲間がいて、家族がいて。
何より――帰る場所がある。
「……ここに来てよかったな。」
自然とそんな言葉が漏れた。
今思えば、この街に来てまだ半年も経っていない。
それなのに、もう何年も住んでいるような気がする。
それだけ、この街の人たちは温かかった。
なぜそんなことを兵庫県の警官のはずの彼が知っていたのだろうか。
地元がここなのだろうか、まあ、気にしてもしょうがないか。
作業に戻ろうと腰を上げて伸びをした。
曜「あ、ゆうくん!」
聞き慣れた声がした。
雄飛「お?曜か!どうしたんだ?」
最愛の人である。
曜「えへへ♪会いに来ちゃった♪」
雄飛「(かわいい…)連絡してくれればこっちから会いに行ったのになんでいつもみたいに言わなかったんだ?」
曜からたまに会いに来てと連絡がある。
旅館が忙しくないときであれば会いに行っているのだが、こうして向こうから来るのはこれが初めてだった。
曜「だって、繋がらないんだもん。」
曜は少し拗ねた口調になった。
そんなはずはと、ポケットから携帯を取り出し、電源をつけると不在着信とメッセージがいくつか表示された。
雄飛「あ…。」
曜「そういうことでありますかー。私を放ってほかのことに夢中だったのでありますかー」
曜が更に拗ねた口調になった。
雄飛「ち、ちがう!サイレントになって気づかなかっただけで…」
曜「ふーん。」
雄飛「…すまん。」
曜「…。」
雄飛「やっぱり、怒ってる?」
そう聞くと、曜はしばらく黙り込んだ。
視線を泳がせたり、俺の顔を見たり。
何かを言おうとしてはやめる。
そして、小さな声で呟いた。
「……ハグ。」
「え?」
「だから……ハグ。」
少しだけ頬を赤くしながら曜が言う。
「してくれたら許す。」
その言葉を聞いた瞬間、思わず笑ってしまった。
「よろこんで。」
おれは精一杯曜を抱きしめた。
そこをたまたまお客さんと出てきた志満姉に見つかった。
そのあとガレージに戻って曜と一緒に作業をしていると
志満「うふふ♪青春ねぇ♪」
と言われ二人して顔を赤くしたのは言うまでもないだろう。
曜を家まで送り届け帰宅する。
たまたまお客さんが食堂にいないタイミングで帰ってこれたため珍しく家族揃ってご飯を食べた。
美渡姉と千歌がみかんを争って喧嘩をする。
これが高海家の日常。
こうして普通にある幸せがずっと続けばいいのにと思うの雄飛であった。
もう二度と失いたくない。
そしてこの思いが将来、彼の原動力になることを彼はまだ知らない。
‥
お風呂はお客さんが寝てから入るのが鉄則だ。
遅い時間になるにはなるが、誰もいない大浴場とはなかなかいいものである。
「今日も一日疲れたー!」
こんなふうに大声を出しても大丈夫。
「想いを〜乗せて〜♪」
と歌っても大丈夫。
一時間ほどの長い入浴のあと冷蔵庫で冷やしてある瓶コーラを飲む。
これが格別にうまい。
そのあと明日の用意をするなりなんなりしていると時刻は0時を回った。
家族に寝る前のあいさつをして、寝床に入る。
今日あった一日を、平凡な日である幸せを噛み締めて目を瞑る。
すると聞こえる千歌の叫び声。
「ゆうくん!宿題手伝って!!」
「え…。」
これもまた日常である。
こうして吉田雄飛、兼、高海雄飛の休日は幕を閉じた。
日記
雄飛にとっての曜。
この街で最初に出会った彼女は今となっては俺の彼女である。
出会った当時はこんなことになるなんて思っても見なかった。
彼女は四季のように表情が変わる可愛らしい人だ。
でも、みんなの前では元気いっぱいに振る舞っていても実は心の奥で不安や、劣等感を感じいることが彼氏という立場になって初めて知った。
この人も人間なんだなと実感した瞬間だった。
なんせ、人の前で弱みを極力見せないようにする人だったからだ。
でも関わりが増えて行くに連れて俺に弱みを見せるようになった。
彼女は完璧超人ではなかった。
でも、そんな彼女に失望なんかしない。
むしろ、守って上げたいと思った。おれができることならなんでもしてあげようとそう思った。
そんな彼女が俺は大好きだ。
元気いっぱいに笑う顔も。
たまに見せる弱い部分も。
夢に向かって必死に頑張る姿も。
全部ひっくるめて好きになった。
愛している。
だから守りたい。
この街も。
仲間も。
家族も。
そして――曜の笑顔も。
もしまた何かを失う日が来るとしても。
その時は今度こそ逃げない。
大切なものを守れるくらい強くなろう。
そう思わせてくれたのが、彼女だった。
雄飛は日記を閉じ、夜空を見上げた。
「もう、失えない。失いたくない。親父…」
雄飛の目からは一筋の涙が流れた。
最後までありがとうございました!
またお願いします!(つ≧▽≦)つ