僕の彼女は曜ちゃんです⚠再編集中 詳しくはあらすじへ   作:ゆうきoog3

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35話

修学旅行を終えた俺たちを乗せたバスは、夕方前に浦の星女学院へと到着した。

 

「それでは、気を付けて帰るように!」

 

先生の声が校庭に響く。

 

生徒たちはそれぞれ荷物を抱えながら、友達と最後の思い出話をしつつ帰路につき始めていた。

 

千歌「終わっちゃったねぇ、修学旅行。」

 

曜「楽しかったなぁ。」

 

梨子「本当にあっという間だったわね。」

 

三人もどこか名残惜しそうに校舎を見上げる。

 

俺も小さく息を吐いた。

 

色々なことがあった。

 

北海道での出来事。

 

忘れられない景色と、新しい出会い。

 

忘れられない数日間だった。

 

千歌「じゃあ、帰ろっか。ゆうくん!」

 

雄飛「ああ。」

 

俺たちは荷物を持ち直し、学校を後にした。

 

午後――。

 

見慣れた内浦の景色が窓の外へ広がっていた。

 

青い海。

 

穏やかな波の音。

 

そして山に囲まれた小さな町。

 

バスがゆっくりと十千万旅館の前で止まる。

 

千歌「着いたぁー!」

 

元気な声と共に扉が開いた。

 

俺たちは荷物を持ってバスを降りる。

 

すると――。

 

「おかえりー!」

 

旅館の玄関から聞き慣れた声が飛んできた。

 

美渡姉と志満姉だった。

 

千歌「ただいまー!」

 

千歌が真っ先に駆け出していく。

 

その姿を見て、思わず笑みが零れた。やっぱり俺たちの帰る場所はここなんだ。

 

潮の香りを胸いっぱいに吸い込みながら、俺は小さく息を吐いた。

 

雄飛「……帰ってきたな。」

 

潮の香りを胸いっぱいに吸い込む。

 

北海道の冷たい空気とは違う、どこか懐かしくて温かい空気だった。

 

志満「ゆうひもおかえり!」

 

志満姉がにこにこと笑いながら手を振る。

 

美渡「修学旅行どうだった? 楽しかった?」

 

美渡姉も興味津々といった様子で身を乗り出してきた。

 

千歌「それがね! すっごく楽しかったんだよ!」

 

千歌が待ってましたと言わんばかりに話し始める。

 

旅館の中へ入ると、荷物を置く間もなく居間に集まり、自然と修学旅行の報告会が始まった。

 

「函館の夜景、すっごく綺麗だったんだよ!」

 

「海鮮も美味しかったし!」

 

「お土産もいっぱい買ってきたの!」

 

千歌が身振り手振りを交えながら話す。

 

居間はすっかり賑やかな空気に包まれていた。

 

美渡「へぇ~、いいなぁ。」

 

志満「私も北海道行きたくなっちゃった。」

 

志満姉と美渡姉も楽しそうに笑う。

 

雄飛「……本当に色々あったよ。」

 

ぽつりと呟く。

 

北海道では、本当に色々なことがあった。

 

函館山での出来事も、あの夜の走りも、きっと胸の中にしまっておくべきことなんだろう。

 

それでも――。

 

雄飛「すごく大事なものを見つけられた気がする。」

 

美渡「大事なもの?」

 

美渡姉が首を傾げる。

 

雄飛「……うん。」

 

何なのかは、まだ上手く言葉にできない。

 

だけど、確かに俺の中に残っているものがあった。

 

すると、志満姉が優しく微笑んだ。

 

志満「それなら、きっと素敵な修学旅行だったんだね。」

 

その言葉に、自然と頷いていた。

 

千歌「うん! 最高の修学旅行だった!」

 

元気よく答える千歌。

 

その隣で、俺も小さく笑った。

 

賑やかな声が響く居間。

 

温かい料理の匂い。

 

窓の外から聞こえる波の音。

 

――帰ってきたんだ。

 

そう、改めて実感した。

 

修学旅行から帰ってきて数日。

 

代休のおかげで、俺たちは久しぶりにゆっくりとした時間を過ごしていた。

 

特に予定を入れることもなく、昼近くまで寝て、千歌たちと旅館の手伝いをしたり、縁側でのんびりしたり。

 

曜とは約束通りデートにも行った。

 

内浦の海を眺めながら他愛もない話をして、帰り際にはまたお揃いの小物が一つ増えた。

 

北海道での出来事が夢だったんじゃないかと思うくらい、穏やかな時間だった。

 

だけど、その穏やかな時間もいつまでも続くわけじゃない。

 

ラブライブ本選は、もうすぐそこまで迫っている。

 

そして――。

 

代休が明けた。

 

千歌「ゆうくーん! 部活行くよー!」

 

部屋の外から元気な声が響く。

 

聞き慣れた声。

 

言うまでもなく千歌だ。

 

雄飛「朝から元気だな……。」

 

苦笑しながら布団から起き上がる。

 

北海道から帰ってきてまだ一日も経っていないというのに、もういつもの日常が戻ってきていた。

 

千歌「早くー! 遅刻するよー!」

 

雄飛「まだ集合一時間前なんだけど……。」

 

千歌「細かいことは気にしなーい!」

 

思わず笑みがこぼれる。

 

やっぱり、この騒がしさが俺たちの日常なんだ。

 

雄飛「今行くよ。」

 

そう返事をしながら制服に袖を通した。

 

制服に着替え、鞄を肩に掛けて部屋を出る。

 

階段を下りると、すでに千歌が玄関で待っていた。

 

千歌「遅い!」

 

雄飛「だからまだ早いって。」

 

千歌「早く行こうよー!」

 

急かされるまま靴を履き、二人で旅館を後にする。

 

朝の内浦はいつも通り穏やかだった。

 

青い海が朝日に照らされ、潮の香りを含んだ風が頬を撫でる。

 

千歌「なんか久しぶりだねー。」

 

雄飛「数日しか経ってないだろ。」

 

千歌「でも修学旅行があったから、もっと前のことみたい。」

 

それには少し同意だった。

 

北海道での出来事が濃すぎたせいか、内浦の景色が妙に懐かしく感じる。

 

バス停へ向かって歩いていると、前方に見慣れた後ろ姿が見えた。

 

長いワインレッドの髪。

 

肩に掛けたスクールバッグ。

 

梨子だった。

 

千歌「あっ、梨子ちゃん!」

 

梨子が振り返る。

 

梨子「おはよう、千歌ちゃん。ゆうくん。」

 

雄飛「おはよう。」

 

千歌「待ったー?」

 

梨子「ううん、今来たところ。」

 

そう言って微笑む。

 

三人で並んで歩き、バス停へ向かう。

 

やがて、ちょうどいいタイミングで東海バスがやって来た。

 

扉が開き、乗り込む。

 

すると――。

 

曜「あっ!」

 

一番後ろの席から元気な声が飛んできた。

 

善子「だから大きい声出さないでって……。」

 

そこには曜と善子が並んで座っていた。

 

千歌「曜ちゃん! 善子ちゃん!」

 

曜「おはよーそろ!」

 

善子「おはよう。」

 

曜は俺たちを見つけるなり、嬉しそうに手を振っている。

 

千歌はその隣へ。

 

俺と梨子はその後ろの席へ腰を下ろした。

 

曜「ゆうくん、おはよう!」

 

雄飛「おはよう。」

 

曜「えへへ。」

 

挨拶しただけなのに、なぜか満足そうに笑う。

 

善子が呆れたようにため息をついた。

 

善子「相変わらずね、二人とも。」

 

曜「何が?」

 

善子「何でもないわよ。」

 

そう言いながら窓の外へ視線を向ける。

 

バスはゆっくりと走り出した。

 

見慣れた海沿いの道。

 

いつもの朝。

 

修学旅行が終わり、また日常が始まる。

 

だけど――。

 

その日常の先には、ラブライブ本選が待っている。

 

俺たちは再び、あの舞台へ向かって走り出そうとしていた。

 

浦の星に到着し、教室で授業を終えると、放課後にはいつもの部室へと向かった。

 

ガラガラッ。

 

扉を開けた瞬間――。

 

鞠莉「おかえりデース!」

 

花丸「修学旅行どうだったずら!」

 

ルビィ「お土産、、、あるって善子ちゃんに聞いたんですけど…」

 

一斉に声が飛んできた。

 

花丸とルビィが目を輝かせ、鞠莉は興味津々といった様子で身を乗り出している。

 

果南は苦笑しながらその様子を眺め、ダイヤさんは「皆さん、落ち着いてください」と言いながらも少し楽しそうだった。

 

千歌「ふっふっふ……待たせました!」

 

曜「ちゃんと買ってきたよー!」

 

千歌が得意げに袋を掲げると、部室の空気がさらに賑やかになる。

 

まずは花丸。

 

千歌「花丸ちゃんにはこれ!」

 

花丸「わぁ……! 北海道限定のお菓子ずら!」

 

箱を受け取った花丸の目がきらきらと輝く。

 

やっぱり食べ物が一番らしい。

 

続いてルビィ。

 

曜「ルビィちゃんにはこれ!」

 

ルビィ「かわいい……!」

 

小さなクマのイラストが描かれたお菓子に、ルビィが嬉しそうに頬を緩める。

 

善子には限定のキーホルダー。

 

善子「なっ……! 堕天使ヨハネに相応しいデザインじゃない!」

 

梨子「善子ちゃんこういうの好きかなって。」

 

善子は何だかんだ言いながらも、かなり気に入ったらしい。

 

鞠莉には少し変わった北海道限定のグッズ。

 

鞠莉「オゥ! 何これ面白ーい!」

 

予想通り大ウケだった。

 

果南には海産物のお土産。

 

果南「へぇ、これ美味しそうだね。」

 

ダイヤさんには上品な箱入りのお菓子。

 

ダイヤ「ありがとうございます。皆さんでいただきましょう。」

 

いつもの優しい笑みを浮かべる。

 

しばらくの間、部室はお土産の話と修学旅行の思い出話で大盛り上がりだった。

 

千歌「函館の夜景、すっごく綺麗だったんだよ!」

 

曜「雪も少し残っててね!」

 

千歌「写真もいっぱい撮ったの!」

 

千歌と曜が身振り手振りを交えて話し、ルビィと花丸が目を輝かせながら聞いている。

 

……もちろん、函館山での出来事は話していない。

 

あれは俺たちだけの秘密だ。

 

そんな賑やかな空気を見て、俺は思わず苦笑した。

 

すると――。

 

パンッ。

 

ダイヤさんが手を叩く。

 

ダイヤ「皆さん。」

 

その一言で、部室が静かになった。

 

ダイヤ「修学旅行の思い出話はそのくらいにして、そろそろ練習を始めますわよ。」

 

ダイヤと雄飛以外「あー……。」

 

千歌たちから残念そうな声が漏れる。

 

俺も苦笑しながら前へ出た。

 

雄飛「ほら、ラブライブ本選まで時間ないんだから。」

 

千歌「うっ……。」

 

花丸「正論ずら……。マル、まだお土産見てたい……。」

 

花丸が名残惜しそうに箱を抱える。

 

雄飛「練習が終わったらまた見ればいいだろ。」

 

花丸「それもそうずら!」

 

単純だな。

 

曜がくすっと笑う。

 

ダイヤさんも小さく頷いた。

 

ダイヤ「では、着替えて屋上へ向かいましょう。」

 

みんな「はーい!」

 

返事が重なる。

 

さっきまでの騒ぎが嘘みたいに、みんなが動き始める。

 

俺も荷物を置き、屋上へ向かう準備をする。

 

修学旅行は終わった。

 

楽しい思い出は胸の中にある。

 

だけど――。

 

俺たちには、まだ目指す場所がある。

 

ラブライブ本選だ。

 

数分後――。

 

着替えを終えた俺たちは、いつもの屋上へ集まっていた。

 

午後の日差しがグラウンドを照らし、海から吹く風が心地よく頬を撫でる。

 

久しぶりに見る屋上の景色。

 

内浦の青い海。

 

遠くに見える淡島。

 

そして、いつもと変わらない浦の星女学院。

 

北海道の雄大な景色とは違う。

 

だけど、この景色を見ると不思議と気持ちが落ち着いた。

 

ダイヤ「それでは、本日の練習を始めますわ。」

 

全員が円になって集まる。

 

ダイヤさんは一人ひとりの顔を見渡してから、ゆっくりと口を開いた。

 

ダイヤ「修学旅行も終わり、いよいよラブライブ本選が目前まで迫っています。」

 

その言葉に、みんなの表情が自然と引き締まる。

 

ダイヤ「ここから先は、一日一日の積み重ねが結果を左右します。」

 

果南も腕を組みながら頷いた。

 

果南「体力も技術も、まだまだ伸ばせるよ。」

 

鞠莉「ここからがラストスパート、デース!」

 

千歌「よーし!」

 

勢いよく拳を握る。

 

千歌「絶対優勝するよ!」

 

「おーっ!」

 

全員の声が青空へ響いた。

 

その声を聞きながら、俺はみんなの顔を見回す。

 

北海道で、それぞれが何かを得た。

 

俺もそうだ。

 

だからこそ、このチームは前より少しだけ強くなっている。

 

そんな気がした。

 

ダイヤ「まずはウォーミングアップから始めます。」

 

雄飛「了解。」

 

俺はストップウォッチを取り出し、練習メニューを確認する。

 

マネージャーとしての仕事も、今日からまた本格的に始まる。

 

曜「ゆうくん。」

 

準備運動をしながら曜が小さく声を掛けてきた。

 

雄飛「どうした?」

 

曜「北海道で約束したこと、覚えてる?」

 

雄飛「約束?」

 

曜「本選が終わったら、またデート。」

 

にこっと笑う曜。

 

雄飛「ああ、ちゃんと覚えてる。」

 

曜「えへへ♪」

 

その笑顔を見て、自然と俺も笑ってしまう。

 

ダイヤ「曜さん?」

 

曜「あっ、すみませーん!」

 

ダイヤさんに注意され、曜は慌てて練習へ戻っていく。

 

その様子にみんなが思わず笑い、屋上には和やかな空気が流れた。

 

だけど、その笑顔の奥には全員同じ想いがある。

 

あの夢の舞台へ――。

 

Aqoursは、一歩ずつ前へ進み始めていた。

 

その舞台へ向けて、Aqoursは再び走り始めるのだった。

 

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