ユグドラシルメシア   作:仮面ピコ

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頼むから会社休みになってくれー


第9話 共同ミッション? 報酬は多めにね!

リリスの襲撃を耐え凌ぎ、本日の修行を終えたアイリ、リョウ、付き添いで来たカイはシェオルの街へと戻り、空を飛び家へ戻っているところだ。

 

街に着くまでに、リョウがリリスが所属しているサタンフォーの事を端的に説明した。

 

悪魔族を率いて統一する悪魔の王、サタン。

サタンに支える側近であり、悪魔族の中でも並外れた戦闘能力を誇る四人の実力者、サタンフォー。

 

サタンフォーの一人一人が四大天使に匹敵するであろう実力で、天使なら誰もがその名を知る恐れ戦く存在。

世界の監視者でもあるリョウ一人でも苦戦を強いられる強敵揃いの集団に好んで挑もうとする輩は、この天界では誰一人としていないであろう。

 

アイリは自分はとんでもない相手に喧嘩を売ったのかを知り、浅短な行動を取り自らとリョウを危険な目にあわせてしまったことを反省していた。

自信があるのは、迷いなく自分の意見を尊重し前を向き進んでいけるのは精良なこと。

だが、過信しすぎて後先考慮せず突き進みすぎ、見えるものも見えなくなってしまう実例が誰にでもあるはずだ。

そうならぬよう、微塵でも理解してもらえればとリョウは願っていた。

 

アイリ「あたしももうちょっと成長しないとだね。 戦うときの強さもだけど、心の方もね。 あと序でに胸も」

 

リョウ「ソウデスネー(棒)」

 

アイリ「なんで棒読みで言うのよ~! あたしの成長するところ、しっかりじっくり見ててよね!」

 

リョウ「胸の方はどうでもいいけど、アイリの成長、見届けさせてもらうよ」

 

アイリ「家帰って牛乳飲みまくってやるんだから! 胸に関してはカトレアみたいになるまで大きくなろうかな~?」

 

リョウ「それはでかすぎるからやめてくれ」

 

牛乳を飲み過ぎ腹を下しトイレに駆け込む図がリョウの脳内で再生されたが、それが現実のものになるかどうかは定かではない。

 

そうこう話をしている間に、家に到着した。

先日ラミエルとの勝負で荒れ果てていた庭は元通りになり、始めて見た時と同じ美観な光景が広がっていた。

整備された庭には作業をやり終えジャケットを脱いだラミエルが大の字に体を広げ倒れ込んでいた。

家から引っ張り出してきたのであろう麦わら帽子と白いタオルを首に巻いている姿はまるで田舎の農家の人の様だ。

 

リョウ「ようラミエル、お疲れ様。 おぉーええ感じに元通りになってるやんか」

 

ラミエル「ん? えらい早いお帰りだな。 まだ3時間とちょっとしか経ってねぇのに…って、どうしたんだよその服、めっちゃ血付いてるじゃねぇか?」

 

上体を起こし汗だくの顔を向け力ない声で喋り掛けアイリ達を見ると、一番目に入ったのはリョウのリリスに刺された腹部だった。

剣で刺された箇所の服は破れ血も付着していたが、傷は何事もなかったかのように消え去っていた。

 

リョウ曰く、元々自然治癒能力が高いらしく、軽微な被害、例えるなら転けて擦り剥いてしまった程度の怪我ならば瞬時に完治させてしまう。

疲労は溜まるが、集中すれば刺された箇所も普通の人間の何倍もの速さの治癒能力で忽ち治ってしまうようだ。

 

現在は腹部を刺された傷は消えてはいるが、貫通した時の背中の傷はまだ完全には塞がってはいない状態だ。

 

リョウ「まぁ斯々然々あってな…」

 

~少年説明中~

 

ラミエル「サタンフォーのリリスが出てきたのか!? 俺でもタイマンで勝てるかどうか微妙なのに、お前ら良く無事に戻ってこれたな」

 

アイリ「やっぱりそんなにヤバい悪魔だったんだね。 さっきまでは全然知らなかったよ…」

 

ラミエルも天界の中では強者の部類に入るが、勝算が薄いと断定するあたり、サタンフォーの一人一人がどれ程の実力があるのかが伺えた。

 

ラミエル「サタンフォーがお出でになるなんて、リョウ、なんかヤバい事に絡んでんのか? 良く考えてみりゃ何の用事もなしにこの世界に滞在することなんてないしな」

 

リョウ「脳筋のお前にしては洞察力が働いてるな。 そうや。わしはある指名があってこの世界に来たんや。 話せば長くなる、とりあえず家に入ろうか」

 

ラミエル「おーそうだ。お前らが出てる間にお客さんが来てるぞ。 今頃ピコと楽しく会話…してれば良いんだけどな…。 黒い眼帯付けた怖そうなねぇちゃんだったぞ?」

 

リョウ「あぁ~、もう誰か分かったわ。兎に角家に入るか」

 

リョウを先頭にアプローチを通り、血が付着した手を、先程カイの顔を拭いたものとは別のハンカチで拭き取り扉の取っ手を掴み開ける。

玄関には雑に脱いだと思われる黒いヒールが四散されており、品の無さが伺われる。

リョウは溜め息を付きつつヒールを並べ、靴を脱ぎホールを通りリビングの扉を開け入ろうとした瞬間、家全体に響き渡るような銃声が轟いた。

突然の銃声に全員驚き、アイリは体をビクリと震わせ、カイはアイリの足にしがみつき、ラミエルに至っては拳に電撃を纏わせ戦闘体制に入っている。

 

リョウ「あっぶな…。 おいムッキー! わしじゃなかったら誰かが射たれてたかもしれんやろうが! 当たったらどうすんだよ!」

 

?「そりゃ当てるつもりでやったんだからよ。 お前じゃなきゃ顔の中心に射ったりはしねぇから安心しな」

 

射たれた銃弾を額に当たる直前で銃弾を手で止め危機を免れたリョウはリビングのソファーに座っている黒い眼帯を付けた黒い軍服を着た女性に目を写した。

手中には先程射ったであろう銀の銃が握られており、銃口からは硝煙が立ち昇っていた。

硝煙を息で吹き消し、腰のホルスターに戻し立ち上がった。

 

ラミエル「リョウの知り合いだよな? 随分とおっかなそうな人間だな」

 

?「おっかねぇとは失礼な。 俺よりあの四大天使のウリエルの方がよっぽどおっかないと思うぜ?」

 

ラミエル「…まぁ否定はしないぜ」

 

リョウ「それで、ムッキーは何しに天界に来たの?」

 

?「だー、もう! そのムッキーって呼び方やめてくれって毎回言ってるだろうが! 初めて会う奴もいるから丁度いいぜ、名前を言っといてやる。 俺の名前は篠崎 睦月(しのざき むつき)。 良く覚えとけよ!」

 

ニカッと白い歯を見せ笑顔を見せ、男勝りな口調で自己紹介をする。

 

リョウ「彼女は結愛と同じ時空防衛局の第一時空防衛役員に所属してるんだ」

 

アイリ「結愛さんと同じ時空防衛局の人なんだね。 よろしくお願いします、ムッキーさん。 あ、レンゲルっていうあだ名も良いかもしれないね!」

 

リョウ「それならフロート(笑)もありだな」

 

睦月「お前ら馬鹿にしてるだろ?」

 

眉間にしわを寄せ怒りを露にしている睦月は何処からともなくサブマシンガンを取り出しセイフティを解除しアイリとリョウに銃口を向けた。

アイリは映画の見すぎであろうが、自然と両腕を上げ降参の姿勢をとっていた。

 

リョウ「冗談やからそんな物騒な物はしまってくれ。折角の新居が蜂の巣になっちゃうよ」

 

睦月「蜂の巣になりたくなけりゃんなこと言うなっつーの」

 

悪い悪い、と宥めるとサブマシンガンを下ろし腰の後ろに隠すように納めると、手品の様に消えてしまった。

 

リョウ「それで、何しにここに来たんだ?」

 

睦月「そうそう、それを言いに来たんだよ。 上の奴等から命令されて俺はこの世界に来たんだが、俺一人だと色々と面倒事が多くて厄介だからリョウに手助けしてもらいたいんだよ。 今回任された任務は、グニパヘリルの奥にあるフサキノ研究所を調査することなんだよ」

 

ラミエル「グニパヘリルに行くのか? あそこにはシェオルの都市を動かすための科学の…何て言うか忘れたけど、資源があるんだよな?」

 

睦月「そうだ。 あそこにはこの街を動かす源、E資源がある。 グニパヘリルの奥にはE資源を生み出すフサキノ研究所があるんだが、その研究所から謎のデータを時空防衛局が受信したんだ。 何故だか分かんねぇけど、データの送信先が時空防衛局になっていた。 データを開いて見てみると、別世界の言語で『見つけてくれ…』と記されてあった。 データの内容と送信先を指定されてるあたり、何者かが研究所にいるみたいだ」

 

リョウ「ほぅ、ガブリエルの結界を破り何者かが入ったっちゅーことか?」

 

アイリ「あの~、聞いたことのない単語が出すぎてもうあたし頭がオーバーヒートしそうなんだけど…」

 

天界のことを全く知らないアイリが分からないのは無理はないので、リョウが簡潔に説明することになった。

 

天界の都市、シェオルは魔法科学で作られ成り立っており、都市を動かすためのエネルギーとなっているのがE資源と呼ばれるエネルギー物質。

E資源は元々シェオルから採れる物質ではなく、グニパヘリルと呼ばれている都市から離れた場所にある洞窟があり、その最深部にあるフサキノ研究所で発見され、天使族が使用するようになった。

 

フサキノ研究所は現在から約900年程前に、天使の一人がグニパヘリルを探索中に偶然発見した人工の建造物だ。

 

何故天界に人工の建造物があるかを調査するため、直ぐに天使達がフサキノ研究所の捜査を始めようと施設の内部へと入ったが、内部には人はおらず、動力だけが動き続いている状態だったと言う。

施設の内部は相当広く、入ることができない部屋が幾つもあり、迷路のような構造をした内部を長時間探索し遭逢した物質がE資源だった。

 

E資源は研究所の内部のとある一室に設置されてある巨大な装置により無限に製造されているようで、天使族の知識を結集させても、どのように製造されているかは解明できなかった。

どのような仕組みで、どの物質を材料にE資源が作らされていたのかは現代に至っても未だに解明はできてはいないが、無限に精製されているということだけは分かっていたため、天使族はE資源を使用し、シェオルの街を活性化させていったのだ。

 

シェオルの街並みが現実世界の都市の様なものになったのは天使族の歴史の中でもかなり最近の方だと言う。

 

その後も何度も調査を進めてはいたが、此れと言った進展がなかったため、数年で調査は打ち切りとなり、悪魔族などの悪しき存在の手にE資源が悪用されないよう四大天使の一人であるガブリエルがグニパヘリルの周辺に結界を張った。

現在では特に用件がなければ誰も近付かない、近付いてはならない立ち入り禁止区域になっている。

 

アイリ「不思議な研究所なんだね。 数百年も動き続けているのに未だにエネルギーが切れないなんて」

 

睦月「今回はそう言った事を調査するのも任務のうちだからな。 時空防衛局がフサキノ研究所を調査するのは初だからな」

 

ラミエル「行くんならガブリエルの所に寄らねぇと駄目だぜ。 あの結界は強力だから解いてもらうしか方法はないからな」

 

リョウ「そうやな。 仮に結界が破られたりしているなら、ガブリエルが気付いてもう行動を起こしているかもしれへんし。 あの結界を破るのは到底無理やからそれはないとは思うが」

 

アイリ「リョウさん、そういうのフラグって言うんだよ。 映画じゃ良くあるもんそんなシーン」

 

リョウ「本当にフラグやったら困るな、割りとマジで。 じゃあ早速行こうか、ブレイザブリク宮殿に」

 

アイリ「えっと、それってあたしも行ってもいいのかな?」

 

リョウ「そうやなぁ…ガブリエルの結界が何者にも破られてなかったらそのまま同行してきてええよ。 調査だけやからね」

 

アイリ「やった! ピコさんはどうする?」

 

リョウ「あれ、お前いたのか?」

 

ピコ「ずっといたよ!! 小さくなってたから気付かなかっただけでしょ!」

 

アイリ達がリビングに入室する前からピコは消しゴムサイズでテーブルの上にいたようで、漸く気付いてもらえたピコは人間サイズになり床に下り立つ。

 

ピコ「僕は今回も留守番しとくよ~。 カイの面倒も見なきゃ行けないだろうし」

 

リョウ「最悪な場合になったときにカイの身が危ないもんな。 助かるよピコ。 また留守番を頼むわ。 カイ、今回は留守番をしてもらいたいんや」

 

カイ「えー! カイもいく! いきたい!」

 

アイリやリョウと常に行動していたいカイは不機嫌になり地団駄を踏む。

アイリはしゃがみ込み、カイの頭を優しく撫でながら話し掛ける。

 

アイリ「カイ君、今回は危ないかもしれないから待ってもらいたいの。 一緒に来てくれるのは嬉しいけど、もしカイ君が危ない目に会って怪我でもしちゃったら、あたしは悲しくなっちゃう。 今回は我慢して、あたし達を信じて待っていてほしいの。 大丈夫! あたしは絶対に無事に帰ってくるから! お願いできる?」

 

カイ「…うん! まってる!」

 

笑顔で言うカイの頭を撫で、自分の小指をカイの小指と繋ぎ、指切りげんまんをして約束を交わした。

 

アイリ達は庭へ出て翼を展開させ飛び立つ準備をしていた。

 

睦月「んじゃ行くか! 久々に冒険みたいな感じでわくわくしてきたぜ! リョウ、俺は飛べないから乗せてけよな!」

 

リョウ「人にものを頼むときの態度がそれか? その言い方じゃ乗せられへんなぁ、ムッキーw」

 

睦月「なっ、くっそ~! こういうときばっかり強気になりやがって~!」

 

顔を林檎の様に赤く染め怒り歯を食い縛る睦月を見てリョウは下衆な笑みを浮かべ揶揄い楽しんでいた。

 

ラミエル「あの乱暴なねぇちゃんを揶揄うなんてやるなぁ」

 

アイリ「仲良いんだね~あの二人」

 

二人のやり取りを見てアイリとラミエルはひそひそと聞こえないよう小声で話していた。

リョウは下衆な笑みを浮かべたまま更に攻めていく。

 

リョウ「ずっと言わないつもりか? ほらほら~言わないと留守番やで~?」

 

睦月「ぐぬぬ…。 あーもう分かったよ!の、乗せてください!!」

 

リョウ「はい、良く言えました」

 

睦月はドシドシと地面を踏みながら勢い良くリョウの背中に飛び乗る。

勢いが強かったためリョウはバランスを崩しそうになり前によろけた。

 

睦月「覚えてろよ~! いつかRPG-7でパリィしてやるからな!」

 

リョウ「物騒なこと言うなって、折角の美人が台無しやで?」

 

睦月「ふん、ほっとけ!!」

 

まだ怒っているからか、美人と言われて嬉しかったのか、睦月の顔はまだ赤く染まったままだった。

 

補足として説明しておくが、パリィとは、ゲームにおいて回避率の高さ等で攻撃が当たらない、攻撃を受け流すことである。

 

ラミエルが先導するようで、先に飛び立ち、アイリとリョウも続くように地を蹴り飛び立つ。

立ち並ぶビルの間を潜り抜けながら飛び目的地へと向かっていく。

アイリは先程修行をするために家から飛んだ時よりは、翼の羽ばたきの動作やバランスの取り方の感覚を掴めたようで、リョウと並走するように宙を楽しそうに駆けていた。

ブレイザブリク宮殿に向かう途中、モニターが備えられてあるビルを通る度に、綺麗な歌声を響かせ踊る天使族のアイドル、サリエルの映像が目に入った。

 

アイリ「いつかあたしもこんな風にアイドルになりたいな~♪ その内765プロに声掛けられたりしたりするかもね!」

 

リョウ「だからないっつーの」

 

ラミエル「俺もライブ行きたかったんだけどハズレちまったからなぁ。 俺はサリエルよりプリシー推しだなぁ」

 

睦月「あの天然娘が良いのか?」

 

リョウ「あぁいう天然なのも可愛さの1つなんだよ」

 

アイリ「プリシーって人はまだ見たことないな~。 天界にライブに来ることはあるの?」

 

リョウ「あまりないな。 ディーバはあらゆる世界を駆け巡りライブをしてるから、自身の世界に来るってなるのは何千、何万分の確率だから、ライブが開催されるってなるとお祭り騒ぎになるからなぁ。 況してやサリエルが天界出身のアイドルってなると余計に今回のライブは盛り上がることになる」

 

ラミエル「あーサリエルのライブに行きたかったぜ! 次はディーバの誰でもいいから当たってほしいぜ!」

 

余程ライブに行けないのが悔しいのか、拳を握り締め腕を上下に振り回していた。

リョウとラミエルのディーバの素晴らしさ(ラミエルに関しては殆どプリシーの話題)に関して熱く語っていると、ビルの立ち並ぶ風景がなくなっていき、街から外れた場所へとやって来た。

 

そして目の前に白い巨大な宮殿が姿を現した。

 

現実世界に存在する、ギリシアの首都アテネのアクロポリスの丘に建てられたパルテノン神殿に風姿が酷似した建造物を初めて見たアイリはその美しさに魅了されていた。

護衛の鎧を装備した天使兵が数人配置されており、守りは充実といったところ。

天使兵達はアイリ達の姿を視認したが、存在を既に知っているのか、警戒するようなことはなくブレイザブリク宮殿に立ち入ることができた。

入り口の床へ足を着け宮殿内に入ると、絨毯が引かれた真っ直ぐに廊下が続いており、左右には天井まで届く白い柱が何本も並行に建てられてあり、電気や蝋燭等の光源があるわけでもないのにも関わらず、宮殿全体が光で包まれているかの様に明るく神秘的な雰囲気を出している。

周りには幾つか部屋があるようで、扉があったが入ることはなく長い廊下を進んでいくと、一人の女性がアイリ達を待っていたかの様に廊下に立っているのが見えた。

額には緑色の宝石が嵌め込まれたヒッピーバンドを付けた水色の長い髪の女性女性の天使だ。

 

?「あらあら、 漸く来たんですね。 遅すぎて私から伺おうとしていたところだったんですよ?」

 

ラミエル「やっぱり気付いてたのかよ。 俺達が待ってりゃ良かったな。 無駄に体力使っちまったぜ」

 

?「まぁ、毒のある言い方ね。 ウリエルの教育が間違っているんじゃないでしょうか?」

 

リョウ「ガブリエル、ラミエルが冗談で言ってるだけだから気にすんなって」

 

アイリ「え、この人が四大天使のガブリエルなの!?」

 

優しい口調で大人な雰囲気を出しながら話しているのが、四大天使の一人であるガブリエルだ。

 

ガブリエル「はい、この私が四大天使の中で最も慈愛に溢れ、誠実で勇敢で凛々しく、慈愛に溢れ…。」

 

ラミエル「それはもう言ったぜ。 っつーか全然どれも1つも当てはまってないぜ」

 

ガブリエル「あら、慈愛に溢れていることは当てはまっている筈ですよ? 初めて会ったアイリちゃんには、た~っぷり時間を掛けて分かってもらいますから♪」

 

ガブリエルはアイリの頭に手を置き微笑みながら撫で始めた。

アイリはラミエルの様な一般の天使ではなく、天使族の中でも地位も力も上位に立つと言われる四大天使とは初対面だが、アイリが想像していた威厳のあるものとは違ったので、拍子抜けしており苦笑いを浮かべていた。

 

リョウ「アイリが天界に来たのはフォオン様から聞いてるみたいやね。 説明をする必要がないから助かる」

 

ガブリエル「あら? リョウ以外の人間がいるということは、もしかして貴方が時空防衛局の方ですか?」

 

睦月「そうだぜ。 時空防衛局、第一時空防衛役員の篠崎睦月だ。 四大天使であるガブリエルのあんたが今回の件を知ってるってことは、説明は不要みてぇだな」

 

ガブリエル「えぇ、貴方の言うように説明は要りません。 私がグニパヘリルの周辺に張った結界に歪みを感じ取り、あなた方達とほぼ同時に異変を感じ取りました」

 

リョウ「歪みを? 結界が破られたのではないということは、歪ませて抉じ開けて入ったという可能性があるな」

 

ガブリエル「そういうわけでもなさそうなんです。 感じられた歪みは外からではなく、中から通り抜けられる様に触れられたような感じなのです」

ガブリエルが張る結界は相当強力なもので、余程の力がなければ破られる様な柔な代物ではない。

シェオルを守るように建造された壁の上に張られた目に見えぬ結界も、ガブリエルの結界に四大天使の残りの3人が上乗せするように力を注ぎ、より強化されたもので、結界に何かしら変動があればガブリエルは瞬時に察知することができるため、時空防衛局にメッセージが届く前より気付くことができたのだ。

 

ラミエル「中から結界をいじられたのか? となると…ガブリエルの結界を、どうやったかは知らねぇけど触れることなく潜り抜け、グニパヘリルを出るときに結界に触れ出たってことか?」

 

睦月「入る時に結界に触れもしなかった奴が出る時に態々触れるようなことするか?」

 

アイリ「若しくは、最初からグニパヘリルの中に誰かいたかだよね」

 

ラミエル「最初からって、何百年という時の中をあの薄暗い洞窟と何もねぇ研究所で過ごすのは無理があると思うぜ?」

 

アイリ「やっぱりそうだよね。 でも、フサキノ研究所って調べたけど開かなかった部屋も多いんでしょ? もしかしたらそこに誰かいたんじゃないかな~とか思ったりしちゃってさ」

 

リョウ「まぁなんにせよ、行って調べてみんと分からんやろ。 ガブリエル、グニパヘリルまでは着いて来てくれよ?」

 

ガブリエル「えぇ勿論。 なんだか四大天使らしい仕事ができてわくわくしますね。 私がいればちょちょいのちょいって異変も収まるから安心してね」

 

約一名、一番頼りになる筈の天使が楽観的なため、全員が危惧の念を抱きつつもグニパヘリルへ向け出発した。

 

 

~~~~~

 

 

E資源を効率良く供給するためにシェオルはグニパヘリルの近況に造られた様で、街を離れ数分と掛からない時間で辿り着いた。

アイリ達の目の前には怪獣が口を開けたかのような巨大な入り口が広がっていた。

 

ガブリエル「では結界を一時的に解くので、調査の方を宜しくお願いしますね」

 

睦月「あんたは来ねぇのか?」

 

ガブリエル「はい。 私は結界を張った後、宮殿に戻りたいと思います。 ミカエルさんったら、私にあなたができる仕事を成せと五月蠅いんですから」

 

リョウ「そりゃガブリエルがサボって寝てばっかりだからじゃろ」

 

ガブリエル「あら、バレてましたか。 てへっ☆」

 

アリス「殴りたい、この笑顔」

 

リョウ「お前が言うな」

 

舌を出し頭に手を置く仕草を見て、超絶の美女だが見た目が20後半の天使がしたところでリョウは全く魅力を感じるとは思わず、寧ろウザさしか感じず殴りたい衝動を抑えていた。

姿勢を正したガブリエルは手を前にかざすと、先程まで目に見えてなかった結界が見え、手を前にかざした場所から徐々に消え始め、数秒で結界は消え去ってしまった。

 

アイリ達は洞窟内に入るのを確認すると、ガブリエルは再び結界を張った。

 

ガブリエル「これで洞窟内に入ることができます。 出るときはあなた方だけが結界を通れるように細工を施しておくので、ご心配なく。 それでは皆さん、またお会いしましょう。 天使の御加護がありますよう。アデュ~♪」

 

ガブリエルは翼を広げ鼻唄を歌いながらシェオルの街へと戻っていった。

 

アイリ「最後の『アデュ~♪』さえなかったらかっこ良かったのに。 あれが四大天使ならあたしでもなれたりできそう」

 

リョウ「アイリが四大天使の一人になったら一日で天界が滅びるわ」

 

アイリ「どういう意味よ!? あ~なるほど。 あたしの力が天界を滅ぼすくらい強いってことだね!」

 

リョウ「お前今度からあだ名は『⑨』にするわ」

 

アイリ「あたしはバカじゃないもん! バカを演じてるだけの女の子だよ!」

 

リョウ「成る程、バカを演じてるアホか、ふむふむ」

 

アイリ「憎いあんちくしょうの顔めがけ、あたしの星心大輪拳が火を噴く! ホワタァー!」

 

リョウ「やかましいわい」

 

アイリ「ごるばっと!」

 

繰り出したパンチを避けられ、額にチョップを受けたアイリは倒れてしまった。

 

睦月「この嬢ちゃん明るい奴だな」

 

ラミエル「賑やかで良いじゃねぇか」

 

アイリ達は所々にライトが設置された洞窟、グニパヘリルの最新部、フサキノ研究所へ向け歩き始める。

 




頼むからコロナ終息してくれ

皆さんも天に祈って!(切実)
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