この調子だと一ヶ月に一話のペースになりそうですが、これからも愛読してもらえると嬉しいです!
もっと早く投稿できるよう頑張ります!
亀さん程の投稿速度かもしれませんけどこれからもよろしくお願いします!
リサ「にしても凄い雨だね~。誰かダンスパウダーでも撒いたんじゃないかしらね」
カイ「今日は大人しく家でのんびり過ごすしかねぇな」
レア「折角あーしがピクニックしようと弁当作ってきたってのに、テンション激下がり~」
タクト「こればっかりはしょうがねぇって」
リサ「変身して天気変えれる能力とかないの?」
タクト「んな便利な能力ねぇよ。雨雲を吹き飛ばすことは可能かもしれねぇけど、そんなことこの世界でしてみろ。変な噂が広がり兼ねないぜ」
アシュリー「やろうと思ったら出来るんだね…」
青空一つ見えぬ曇天。
朝から雨が滝のように降り続いている。
この世界を訪れたタクトとレアはリサ達と共にピクニックに行こうと計画を立てていたのだが、生憎の悪天候により外出することは叶わず家で寛いでいた。
レア「でも雨なんてどーでもいいくらい愛莉がきゃわいいんだよね~♪何枚でもチェキ撮れるっつーの!」
アシュリー「レアの言う通りだね。寝顔まで可愛いなんて反則だよ」
リサ「そうでしょうそうでしょう。もっと誉めてくれてもいいのよ」
カイ「何でお前が胸張って堂々としてんだよ」
タクト「親バカ全開だな」
畳の上では愛莉がスヤスヤと寝息をたてていた。
愛らしい寝顔の天使を側にいるレアは携帯電話を取り出しカメラ機能を使用し連写している。
レア「雨の憂鬱なブルーな気持ちぶっ飛んだわ~!とは言え、ひまひま星人ってことに変わりないんだよね。誰かなんかおもろい話とかある?」
カイ「唐突に言われても言うほど面白い話とか持ち合わせてないぜ」
タクト「アレクやアリスだったらネタは幾らでもあるんだろうけどな」
カイ「あいつらのは本当かどうかすら怪しいけどな」
レア「あの二人の話はガチっしょ。イミフすぎてドン引きすること多いけど」
アシュリー「あの二人はよく色んな世界を渡り歩いてるからね」
リサ「あたしは世界を渡り歩く力はないからアレクやアリスより面白い話は持ってないけど、あたしの過 去とかどう?」
タクト「リサの過去?そういや聞いたことなかったけど、いいのか?」
リサ「あたしは全く問題ないけど…カイはいいの?」
カイ「まあ構わねぇけど…俺は聞きたくないからクールに去るぜ」
リサの過去を語ると言い出すと、カイはばつが悪そうに顔をしかめ部屋を退出した。
その数秒後に玄関の開け、雑に閉めた音が聞こえたので、外出したのが分かった。
レア「カイも関係あるかんじ~?」
リサ「一部はあるね。この生活を始めたのには、特に関与してる」
アシュリー「あんまり個人的なことについては聞きづらかったけど…二人の関係ってなんなの?愛莉の父親ではなさそうだけど」
リサ「アシュリーちゃん冗談キツいよ。あたしとカイはちゅっちゅらびゅらびゅするような関係じゃないよ。腐れ縁みたいな存在ね。最初はガチの殺し合いするくらいには最悪の関係だったし」
タクト「今の生活見てると想像出来ねぇな。だが、俺とレアだって最初は合間見えぬ敵同士だったから、境遇は少しは似てるのかもな」
レア「今じゃちょーキュートなベイビーを授かっちゃうラブラブMAXな関係になってるし~!正にMax Heartってやつっしょ!」
タクト「ちょ、急に抱きつくなって」
レア「え~いいじゃ~ん。ハグっとされるの嫌いって言ったりしないっしょ?」
タクト「嫌いじゃないわ!…じゃなくて、くそ、アレクとアリスに毒されたか。嫌なわけねぇだろ。愛する女に抱き付かれて嫌な気持ちになるわけねぇだろ」
レア「あーしを大事にしてくれるのが死ぬほど伝わってくる~♡タクト、愛してる~♡」
タクト「俺も愛してるぜ、レア。言わなくたって分かるだろ?」
レア「でもやっぱ言葉で伝えてほしいもんだっつーの。もっと愛を囁いてタクトだけで脳内を埋めたい♡」
タクト「何万回でも伝えるぜ。レアが飽きるまでな」
レア「飽きる瞬間は訪れないよ~だ♡」
アシュリー「あー、もう。見慣れたとは言え、やっぱりちょっと見てて気恥ずかしいな///」
リサ「ちょっとお二人さん。うちの愛莉の前でアダルティーな雰囲気醸し出さないでくれる?」
タクト「わりぃな。でも仕方ないんだ。俺達は何処の世界を探しても探しきれない程、世界に広がるビッグな愛で結ばれてるんだぜ」
リサ「分かった分かった。ラブラブなカップルでフリフリでチューなのはよぉ~く分かりました。で、あたしの過去のことよね?そうね~…何処から話したものか」
レア「とりま重要なところ纏めてくれりゃいんじゃね?その目になった原因とか」
リサ「ん?この目が生まれつきじゃないってのは知ってるの?」
レア「リョウからかるーく聞いてるってかんじ。話せるんならちょっち気になるから聞いてみたいっつーか…」
リサ「そんな遠慮せずとも質問すりゃ話すよ。それじゃ、鼻☆塩☆塩」
タクト「はいぃ?」
リサ「あ、間違えた。話をしよう。あれは今から36万…… いや、1万4千年前だったかしら」
アシュリー「あれ?なんか聞いたことあるフレーズだよ?」
~~~~~
リサは愛莉やカイと過ごしている世界とはまた別の世界で生まれ育った。
リサの故郷とも呼べる世界は魔物やモンスターと言った類いが存在しない、極々普通の平穏な世界。
リサの家庭は貧乏でもなければ大富豪でもなく、何処にでもいるような普通の家庭。
近所からはおしどり夫婦と呼ばれる程に仲睦まじい父と母から愛情を受け育てられてきたリサはすくすくと成長していった。
この平穏で変哲もない幸福な時間が続けばいいと誰もが願っていたが、無慈悲にもその時間は音を立てて崩れていくことになる。
リサが8歳の時のこと。
突如として謎の怪物、ヴィラド・ディアがリサの住む街に出現し、誰彼構わず、見境無く破壊の限りを尽くした。
目の前に立ち塞がる建物を蹴散らし、進行を妨げようとする人間達を自慢の大顎で喰らい尽くすその様は、この世界の人々にとっては化け物という言葉ですら可愛らしいと思える程にまで異常で、恐怖の象徴そのもの。
異形の怪物の出現に為す術もない人々は悲鳴と絶叫の合唱を響かせ逃げ惑う中の一人にリサもいた。
絶対に離れないよう父親と母親の手に繋がれ、人々の波に飲まれ走り続ける。
走って、走って、走り続ける。
走る足を止めることは、死を意味する。
体力の限界が付きようと、走り続けるしかなかった。
息も絶え絶えのなか、ふと後ろを振り返ると、ヴィラド・ディアが大勢の人々を喰らいながら迫ってきているのが視界に映り、恐怖の念が一層増し、限界に達していた足に鞭を入れ走り続けた。
「伏せろー!」
「止まらないで!走り続けて!」
鳴り止まぬ喧騒の中で聞こえたのは両親の声。
気付いた時には、両親の体は瞬時にして消え去った。
リサの両親はヴィラド・ディアの餌食となったのだ。
リサ「お父さん?お母さん?何処に行っちゃったの?」
何が起こったのか理解できず走る足が止まる。
リサ「え…お父さん、お母さん…え、なん、で…お父さんとお母さんって…誰?」
即座に訪れた違和感に更に困惑し頭を抑える。
両親の顔が思い出せなかった。
両親という存在と、生まれてから過ごしてきた掛け替えのない大切な時間、一つ一つの記憶が徐々に薄れ消え去っていくのが嫌でも分かった。
リサ「……何で、あたしにはお父さんとお母さんがいないの?」
数秒と経過しないうちに、リサの記憶から両親の存在は跡形もなく消え去った。
当たり前にいる筈の存在がいない孤独感と、自分に置かれている状況が理解できない絶望感に包まれている最中、真後ろからドスンと巨大な何かが地面を踏み締める音が聞こえた。
体をビクリと震わせ、ゆっくりと首を後ろへ向けると、ヴィラド・ディアが立っており、繊弱な存在でしかないリサを見下ろし舌舐りしていた。
先程までの喧騒は嘘だったかのように静まり帰り、逃げていた人々の姿も周囲にはいなかった。
日常的に見ていた町並みは蹂躙し破壊され、周囲にはヴィラド・ディアが喰らった時に出来たであろう時空の裂け目からは亜空間が顔を覗かせており、この世の泥黎だと錯覚してしまう。
慄然と寒心が襲い、蛇に睨まれた蛙同然の状態のリサを喰らおうと口が開いた直後、巨体は真後ろへ吹き飛んだ。
巨大に叩き込まれたのは一閃の斬撃と、激烈な勢いの打撃、翡翠色の電撃。
様々な非日常すぎる現象が起こり、錯綜していたリサを守るかのように3つの影が舞い降りた。
ヴィラド・ディアに対抗できる数少ない人物達。
知る人ぞ知る、ユグドラシルメシアと呼ばれている、あらゆる世界を救ってきた名の通りの救世主達。
『純白の破壊神』の二つ名を持つ消しゴム、ピコ。
『世界の監視者』の二つ名を持つ青年、リョウ。
『救済の雷鳴』の二つ名を持つピースハーモニアという戦士の一人、結愛。変身時の名前はライトニングアルカディア。
ピコ「一足遅かったみたい…だね」
リョウ「……守れなかった。昔から、ずっと、守り続けてきたのに…!!」
リョウは激しい後悔に苛まれ、悲哀と悔恨と憤怒が混濁し酷い表情をしていた。
隣に立っていたアルカディアが宥めるように空いている手を握り優しく声を掛ける。
アルカディア「リョウ…残念なのは私達も同じよ。でもあなたにはまだ、リサがいるでしょ?全てを失ったわけじゃないの。悲しむのは最後にして、今はこの子のために戦いましょう」
ピコ「僕達も全力を尽くすから。あの『力』を使わずに、全てを投げ出さず、前を進み続けよう!」
リョウ「……あぁ。リサだけは、守らないと。絶対に!!」
目に浮かべた涙を拭い、未だに溢れそうな涙を無理矢理にでも気力で引っ込ませる。
後ろを振り返り、呆然と自分達を見つめるリサに視線を合わせるように背を低くして怖がらないよう優しく語り掛ける。
リョウ「リサ、ここは危ないから、少しでも距離を取って離れていて。あの怪物はわし達が倒すから」
リサ「え、えっと…」
リョウ「色々と混乱する気持ちは分かるよ。全てが終わったら説明するから、今は自分の命を守るために逃げて」
リサ「あたし、生きてても…」
両親がヴィラド・ディアに喰われ存在を失ったことで、リサの記憶からも両親の存在が消え去り、リサは一人孤独に生きてきたということになってしまっていた。
父親と母親が存在せず、楽しい記憶もなく孤独に生きてきて自分は絶望の淵に立たされ、生きる活力を失っていた。
リョウ「…ホンマにごめんね」
俯くリサをリョウは優しく抱き締める。
突然のことでリサは驚き目を見開き拒絶しようとしたが、敵意のない優しい温もりを感じ突き放すことはなかった。
リョウ「こうなる前にわしが早く駆け付けていれば、悲しむことなんて、苦しむことなんてなかったのに。お父さんとお母さんを守れなくてごめんね…本当にごめん…」
リサ「お父さん?お母さん?」
リョウ「わしが出来ることはリサが安全に暮らしていけるか守ることだったのに、こんな形になってしもうたのは、わしの責任じゃ。だから、これから出来ることはリサをわしが側にいて守り続ける。それが唯一できる罪滅ぼし。リサ、君は一人じゃない」
リサ「……っ!」
リョウ「わしが言える言葉じゃないのかもしれへんけど…もう大丈夫。リサは一人なんかじゃない。これから先、何があってもわしがリサを守る」
家族も友人も知人も、誰一人残らずヴィラド・ディアに喰われ、孤独となったリサにとって、自分を支えてくれる人から掛けられた一人じゃないという言葉一つで心が満たされていく。
リョウ「守るためにはあの怪物を倒さなきゃいけない。情けない話じゃけど、今は守りながら戦うのは厳しい。必ず迎えに行くから、今だけはこの場から離れていてほしい」
リサ「……あたしを、一人にしない?」
リョウ「約束する。リサを絶対に一人になんてしない。だから今は走って逃げて。生きるのを諦めないで」
リサ「っ!うん!」
優しくも心強い言葉を浴び生きる活力が湧いたのか、先程までの弱々しい口調から少し活気が戻り、年相応の元気な返事をし走り始める。
戦場から逃げるよう促したが、自分の元から離れるリサを名残惜しく杞憂な視線で見送っている。
本当ならば一帯に響く渡るまで慟哭したかったのかもしれない。
涙を流さず生きるという道を選んだのは、紛れもなくリョウの情の深い言動があったからこそだろう。
ピコ「リョウ、来るよ!」
リョウ「……あぁ。ぶっ殺してやる。完膚なきまでに」
優しく語り掛けていた表情から一変、瞬時に憤怒と憎悪、殺意が籠められた表情へと豹変する。
我慢することは最早不可能、感情が爆発した修羅と化したリョウはアルティメットマスターを抜刀し、瞬足の速度でヴィラド・ディアへ接近、狂瀾怒濤の勢いで斬撃を叩き込む。
ピコ「これはヴィラド・ディアを殺すまで止まらないね。いざって時は僕達が止めるしかないね」
アルカディア「そうならないようにメンタルケアはしっかりしないといけないわね。私達も行くわよ、ピコ!」
ピコ「了解っと!」
~~~~~
リサ「はあ、はあ、はあ…」
リョウ達と別れた後のリサは、一心不乱に走り続けていた。
あの謎の怪物が怖かったからなのか、リョウに言われるがままに走っているのか、地獄のような現実から逃れたいからなのか、それは本人でも分からない。
もしかしたら全て当てはまるのかもしれない。
自分はこれからどうなるのか、恐怖と不安が募るなかでも、一筋の希望を見出だすことができた。
突如現れ、自分を危機から救ってくれた人達。
現実とは思えぬ規格外染みた力を持つ人達だったが、あの怪物を見た直後だと恐怖より安堵の方が強かった。
その内の一人である青年の言動が、何よりリサの心に強く響き、初めて知る暖かな温もりに包まれる。
家族もいない、孤独を生き抜いてきたリサに掛けられた、何があっても守る、一人にしないという心強い言葉が脳裏と心に刻み込まれ、感銘を受けた。
邂逅僅かではあるが、自然と受け入れられたのは、微塵も不審さを感じない慈愛に溢れた青年を信頼できるという不確かな信頼があったからだろう。
重要なのは、自分の過去の事を知っていると確信できたから。
両親をヴィラド・ディアに喰われたことにより存在が消滅したことを知らぬため仕方ないことだが、リサからすれば、自分の両親の事を知る存在。
空白となっている記憶を知っているならば、聞知したいと思うのは当然のことだろう。
リサ「でも…今は、走らないと…!」
兎に角今は走り続けることしか選択肢はない。
青年から言われた通り、可能な限り距離を取り生きることだけを考え、疲労した身体に鞭を打ち足を動かす。
不安と期待を胸に走り続けていた途中、突如浮遊感が襲った。
リサ「えっ………?」
踏み締める筈だった地面の感触がしないと気付いた時には、自分の身体は落下していた。
下に視線を向けてみると、視界に広がっていたのは亜空間。
ヴィラド・ディアがこの世界を喰った形跡である空間の裂け目があり、リサは運悪くその場所を通ってしまった。
薄紫色の長方形の結晶が幾つも浮く宇宙のような空間に放り出されてしまった。
リサ「きゃあああああああ!!」
重力というものが存在しない空間で、上下左右どちらに向かっているかも分からず、抵抗の術もなく漂流するしかなかった。
またもや現実とは程遠い現象に完全に冷静さを失い踠き泣き叫ぶ。
振り回されながらも、結晶とも違う別の何かが迫ってきているのが目に映る。
紫色の渦のようなもの。
ゴォーと不安を掻き立てる不気味な音を響かせながらリサに接近してきている。
何かは勿論知る由もないが、あれを生身で受ければただでは済まないことだけは理解できた。
リサ(もう、無理……助けて……)
生きるのを諦めたくなんてなかった。
嫌でも諦めざるを得ない。
何の力もない自分に対処できるわけもない。
助けを請うも、人間が生存可能とは思えぬ空虚な空間で誰かが救助に来る筈もない。
これまでにない絶望がリサを襲い、自身の最期を悟り、踠くことを止め静かに目を瞑る。
華奢な体を引き千切ろうとする勢いで向かってきた渦は瞬く間にリサを飲み込んだ。
凄まじい衝撃に一瞬目が開いた時、確かに見えた。
視界一面を覆う紫色の中を割り込むように入る、神々しく輝く白い粒子と、自身に伸ばされる手。
左目を襲う激痛を感じながら、リサの意識は闇の中へと落ちていった。
投稿速度が上がるように一話をもうちょっと短くしようか検討中です。